受ける前に知っておこう。健康診断書の読み方を徹底解説

健康診断を受けた後は、健康診断書が発行されます。体重や血液など、項目ごとに目安が記載されているため、健康状態を把握する際に役立つものだといえます。

しかし、「読み方がわからない」「数値に異常があったとして相談は必要なの?」といった疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。実際、健康診断書の読み方がわからずに結果を無視してしまうケースも少なくありません。

本記事では、健康診断書の概要、各項目の読み方について解説していきます。また、健康診断書の結果に基づいたオンライン診療の使い方にもふれていくため、参考にしてください。

健康診断書の内容について、医師に見解を聞きたいという場合、おうち病院オンライン医療相談を活用してみましょう。

健康診断書とは

健康診断書とは、健康診断を受けた際に発行される書類です。発行までの期間は、1週間程度が目安であるものの、より多くの時間を要する場合もあります。そのため、健康診断前に発行時期を聞いておくとトラブルを防ぐことにつながるでしょう。

企業に勤めている場合は、定期健診のタイミングで発行されます。次のように似たような書類名もあるものの、扱いや役割が異なる点は把握しておきましょう。

・健康診断報告書・・・労働基準監督署に報告するための書類

・健康診断証明書・・・健康診断の結果を基に発行する証明書類

また、企業が健康診断を実施する理由は、次のように法律を守るためでもあります。

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない」

引用 厚生労働省 労働安全衛生法「第66条」 

雇い入れ時や従業員として働く際の定期健診は、企業の義務であり、パート・アルバイト・正社員・契約社員など自社の社員であれば受診させなければなりません。

働き方やライフスタイルとして、健康診断の受診義務がないケースもあります。しかし、健康診断書が渡された際に、血液の数値や身長に対する体重のバランスなどの記載されている内容を知っておくことで、今後の生活の指針にすることができるでしょう。

健康診断書で分かること

健康診断書でわかることは次の項目です。

・各検査項目の基準値

・現段階の身体の数値(目、血液、内蔵、耳など)

・生活習慣病などの病気の可能性

飲食の影響を強く受けるものが多いことから、健康診断前は食事を控えるなど医療機関からの指示を守ることで正確な数値を知ることができます。例えば、血圧が高い・低いといった基準値を知っておけば、食生活の改善や医師からの指導なども受けやすくなります。

また、自覚症状の有無に関わらず、健康状態の改善や重篤な症状になる前の病気発見の機会にもつながるケースもあるため、心身の負担軽減も可能です。

健康診断書で分からないこと

健康診断書でわからないことは次のような項目です。

・初期の大腸や胃などのがん

・特定臓器の状態(検診が必要)

・それぞれの病気の発症リスク(人間ドックで知れる)

あくまでも健康診断書は、健康診断の結果が掲載されるものであるため、特定臓器の状態や病気の発症リスクを明確に把握できるものではありません。しかし、血圧や糖尿病、脂質異常症など、血液や尿で把握できる検査項目には、はっきりとした数字が表れます。そのため、健康診断書は1つの目安にすることが可能です。

健康診断書が発行されるタイミング

健康診断書が発行されるタイミングは大きく分けて3つあります。

・雇用関係のある会社が実施する定期的な健康診断を受けた時

・雇用される会社が求める雇い入れ時の健康診断を受けた時

・自ら望んで健康診断を受けた時 

就職や転職の場合は雇い入れ時、継続的に勤務している会社であれば毎年決まった時期に健康診断を実施します。個人で受ける場合と会社で受ける場合では、 健康診断書の発行スピードが一か月以上違うこともある点は知っておきましょう。

また、会社よりも個人で健康診断を受けた方が健康診断書の発行スピードが早い点から、気になる数値や症状がある場合は、健診に関係なく医師の診察を受けることを推奨します。

健康診断書を発行してくれる場所

健康診断書は、病院や保健所、クリニックで発行してくれます。場所によって、大きく項目が変わるわけではないため、利用しやすい医療機関を選びましょう。

病院

私立・公立病院どちらでも健康診断を受けることが可能です。個人で予約を行い、予約日に健康診断を実施し、1週間から 2週間で健康診断書を受け取れます。

検査項目を聞かれることがあるため、法律で決まっている雇い入れ時の健康診断の項目でよいのか事前に確認しておくとスムーズです。

保健センター

個人だけでなく、集団健診の場合、決まった日時で実施される健康診断です。集団健診の場合、企業勤めや個人事業主などといった勤務体系や働き方に関係なく、多くの人が同じ場所に集まり、健康診断を受けます。

市町村に対して事前に申し込みが必要となるケースが多く、検査項目が限定されることもあるため、事前に窓口に確認しましょう。

クリニック

病院と同じく個人に対して健康診断を実施しています。個人で営業時間内に予約を行い、指定した日時に健康診断を実施するという流れです。

検査項目病院と大きく変化しないものの、実施した後の健康診断書の発行スピードが各クリニックによって大きくことなります。スピーディーな発行も可能であるものの、場合によっては追加料金なども必要となる点は知っておきましょう。

健康診断書の読み方と各項目の概要

ここからは、健康診断書の読み方と各項目の概要についてふれていきます。異常なしや要塞検査などの表記、基準値、想定される病気などを知り、医師と相談しつつ対策する際の参考にしてみてください。

体重・身長

体重と身長はBMIを図るために算出します。BMIは肥満度を表す数値で高いほど、生活習慣病の発症リスクが上がるといえます。

算出方法は体重÷身長÷身長です。

例:体重80、身長180→80÷1.80÷1.80=BMI24.7 

基準値は以下の通りになります。

・BMI18.4以下(痩せすぎ、低体重)

・BMI24.9まで(標準)

・BMI25は異常(肥満)

血圧

血圧は収縮期・拡張期に分かれます。心臓の収縮と拡張と連動しており、低血圧では立ちくらみ、高血圧では脳卒中や心筋梗塞につながることもあります。

収縮期・・・基準値は129以下、要注意が159まで。160からは異常

拡張期・・・基準値は84以下、要注意が99まで。100からは異常

心電図

心電図を実施する意図は次のようになります。心疾患につながる項目であるため、再検査や要精密検査となった場合は、専門的な医療機関の受診を推奨します。

・心臓がうまく動いているか、不整脈があるかどうか

・血液の循環がうまくいっているかどうか

・心臓の筋肉が壊死していないかどうか

視力

裸眼とメガネなどを使用した矯正視力を測ります。仮に、矯正視力の数値が低い場合は近視や乱視、角膜炎、白内障なども疑われるため、後に別途検査が必要です。

裸眼でも矯正視力でも目安は変わりません。裸眼で0.7以下の場合は、近視や乱視などの可能性が高いため、屈折異常を矯正するためのメガネやコンタクトレンズの使用を検討しましょう。

・1.0は基準範囲

・0.7までは要注意

・0.6以下は異常

聴力

聴力は高音と低音の両方を検査します。高音域に関しては、徐々に聞こえなくなっていくため、異常なしとされる基準が年齢によって異なるケースも少なくありません。

基準値では、1000hz(低音)でも4000hz(高音)でも、基準は30db以下が聞こえれば問題なし、35dbでは要注意、40dbが異常と判定されます。

血液

肝機能や脂質、体内の炎症、赤血球の数や白血球の数なども検査することが可能です。 

項目基準値可能性のある病気
総タンパク低い場合は6.1、高い場合は8.4以上が異常。6.5〜7.9が健康な状態。(単位g/dL)栄養障害や脱水、慢性炎症などが想定される。
アルブミン4.0以上が健康な状態。3.5からは異常。(単位g/dL)肝臓障害や栄養不足が装填される 。
γ-GTP50以下が通常の範囲。101以上が異常。(単位 U/L)アルコール性肝障害や薬剤性肝障害などが想定される。
AST、ALT 両方とも酵素で基準値は同様。 30以下が健康といえる状態、51以上は異常となる。(単位 U/L)急性肝炎や脂肪肝、 AST のみであれば筋肉疾患なども想定される。
HDLコレステロール基準範囲が40以上で、34以下、120以上であれば異常となる。(単位mg/dL)脂質異常や動脈硬化が想定される。
LDLコレステロール低い場合は59以下、高い場合は180以上が異常となる。60〜119が基準範囲。(単位mg/dL)動脈硬化や心筋梗塞が想定される。
中性脂肪低い場合は29以下、高い場合は400以上が異常とされる。 基準範囲は30から149(単位mg/dL)動脈硬化などが想定される。 
血糖値基準範囲は99以下。126以上が異常とされる (単位 mg/dl)糖尿病や膵臓癌などが想定される。 
赤血球男性の場合は400から539、女性の場合は360から489が基準値。(単位 104/μL マイクロリットル)数値が低ければ貧血、高ければ多血症が想定される。
白血球男女ともに4000から9000程度が基準値。 (単位 103/μL)薬物アレルギーやウイルス感染症などが想定される。
ヘモグロビン(血色素)男性は13.1から16.3、女性は12.1から14.5が基準範囲。(単位 g/dL)数値が高い場合は多血症や脱水症、低い場合は鉄欠乏性貧血や慢性出血性貧血が想定される。

尿検査

尿に対して糖分がどのくらい含まれているかを確かめます。 基準値が陰性、それ以外は要注意、異常となった場合は糖尿病が想定されます。

胸部X線

肺炎や肺結核肺がんといった呼吸器系の疾患を確認する検査です。 仮に再検査や精密検査となった場合は必ず、専門医療機関の診察を受けることを推奨します。

健康診断書の発行後の対処方法

健康診断書の読み方を知ったうえで、 要経過観察・要精密検査、要治療などという表記の場合、再検査及び専門的な治療が必要です。 しかし、健康診断の結果は、どのようなものであっても任意で治療を行うことになります。 

具体的な治療を行わなければ、完治できない症状となるケースも多いため、自覚症状がある場合は迷わず専門医療機関を受診しましょう。

健康診断書の発行後にオンライン診療でできること

健康診断書の発行後に、治療するかどうかは当人の意思に左右されます。しかし、気になる数字はあるものの、治療した方がいいのかどうかを気軽に相談したい場合などは、オンライン診療を活用しましょう。

おうち病院オンライン診療では、自宅や職場など忙しい人でも時間を指定することで相談だけでなく処方箋発行まで行えます。 健康診断の結果を受けて、「不安だけどわざわざ医療機関までの移動は億劫」という場合でも気軽にサービスを使用できます。

まとめ

健康診断書は、健康診断の結果を示す書類です。雇い入れ時や転職、定期的な健康診断を行った場合に発行されます。

健康診断では、人間ドックや特定臓器に特化した専門的な医療機関よりも詳細な健康状態を把握することはできません。しかし、数値を参照しつつ、血液や脂質など様々な病気に発展する可能性のある項目に対して、医師の診察や指導を通して対処していくことが可能です。

おうち病院オンライン診療では、忙しい方でも自宅や職場から健康診断書の数値の相談もできます。相談だけでなく、場合によって処方せんを受け取ることも可能であるため、具体的な治療方針も見つけられるでしょう。

「医師に相談しつつ健康診断書の結果を検討したい」「そもそもどこから改善したらいいのかわからない」という場合には、おうち病院オンライン医療相談の活用を推奨いたします。