最近注目の「クービビック」は、日本では2024年12月に発売されたばかりの新薬です。
従来の睡眠薬の課題を解決する睡眠薬としての可能性があり、期待も高まっていますが、どう違うのかも気になるところです。
不眠症に悩んでいる患者さんにとっては、副作用の心配がない、自分に合う適切な睡眠薬を処方してもらいたいという気持ちがあると思います。
ここでは、新薬「クービビック」について詳しく解説していきます。
目次
クービビックはどんな睡眠薬?
クービビックはまだ歴史の浅い新薬です。日本では、2024年12月に発売されました。
海外では、スイスのイドルシア ファーマシューティカルズ社によって開発され、アメリカで2022年1月に、ヨーロッパで2022年4月に承認され、「QUVIVIQ」の商品名で販売されていました。
一般名および有効成分はダリドレキサントです。デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)であり、覚醒促進機能がある神経ペプチド(脳内の神経伝達物質)の結合と活性を阻害します。これにより自然な眠りへと働きかけます。
クービビックの特徴
クービビックの特徴は、従来の睡眠薬とは異なり、脳の覚醒を維持する働きを抑えて調整することで、自然な睡眠に近い効果が期待できます。また、長期使用による依存性や耐性が低いとされています。
オレキシン受容体拮抗薬としての既存薬品に比べて半減期が短く、悪夢や翌朝への持ち越し効果(翌朝の眠気やふらつき・頭痛・日中の活動の著しい低下)が少ないとされています。
メリットは以下の通りです。
- 自然な睡眠をサポート
- 依存性・耐性が低い
- 翌朝への持ち越し効果が少ない
一方、以下のようなデメリットが挙げられます。
- 効果の発現に時間がかかる場合がある
- 人によっては効果が充分に得られない場合がある
- 報告は少ないものの、他の睡眠薬と同様に副作用のリスクがある
クービビックはこんな人におすすめ
クービビックは、以下のような患者におすすめです。
1.入眠困難に悩む方
オレキシンは覚醒を維持する働きを持つため、その働きを抑えるクービビックは、寝つきの悪さに悩む方に効果が期待できます。
2.従来の睡眠薬に悩みや不安がある方
クービビックは、依存性や耐性が比較的低いとされています。半減期も短いため、翌朝への持ち越し効果やふらつきの可能性も低くなっています。そのため、従来の睡眠薬の副作用に不安や懸念がある方は、試してみると良いでしょう。
3.自然に近い眠りを希望する方
クービビックは、脳の睡眠・覚醒リズムを調整することで、より自然な眠りに近い効果が期待できます。
4.高齢者
従来の睡眠薬に比べて、ふらつきや転倒のリスクが低い可能性があるため、慎重な投与が必要な高齢者にも比較的使いやすい可能性があります。
5.日中の活動性を維持したい方
翌朝への持ち越し効果が少ないため、睡眠薬による日中の眠気や倦怠感を避けたい方に向いています。
6. 睡眠薬の継続服用による認知機能への影響を心配する方
従来の睡眠薬と比較して、認知機能(記憶や思考、理解、判断など、大脳で行われる「知的な機能」の全般)への影響が少ない可能性が示唆されています。
7.他の睡眠薬で効果が不充分だった方
これまで使用してきた睡眠薬で充分な効果が得られなかった場合に、選択肢の一つとなることがあります。
クービビックとよくある他の睡眠薬との違い
クービビックと、共通点のある類似品の睡眠薬との違いを表にまとめました。比較してみてください。
いずれの薬も、脳内で覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシンの働きを阻害することで、睡眠を促します。オレキシン受容体には1型(OX1R)と2型(OX2R)があり、それぞれの薬の作用メカニズムに少し違いがあります。
薬品名 | クービビック | ベルソムラ | デエビゴ |
有効成分/一般名 | ダリドレキサント | レンボレキサント | スボレキサント |
分類 | オレキシン受容体拮抗薬 | オレキシン受容体拮抗薬 | オレキシン受容体拮抗薬 |
作用メカニズム | OX1RとOX2Rの両方を阻害 | クービビックよりもやや弱い | 睡眠への影響の強いOX2に対する阻害作用が強い |
効果 | 入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒の改善 | 入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害 | ベルソムラよりも睡眠を誘発する作用が強い |
効果発現時間 | 比較的早い | 服用後1~1.5時間 | 服用後約1.3時間 |
半減期 | 約8時間 | 約12時間 | 約30時間 |
持ち越し効果 | 少ない | 翌日に眠気が残る可能性あり | 翌日に眠気が残る可能性あり |
副作用 | 眠気、頭痛、めまい | 眠気、頭痛、めまい、悪夢、ふらつき | 眠気、頭痛、めまい、悪夢、金縛り、ふらつき |
どの薬を選択するかは、本人の希望も考慮されますが、最終的には患者の症状や状態、既往歴などを総合的に考慮して、医師が判断します。
クービビックを取り入れる前に知っておきたい注意点
クービビックを取り入れる前に、知って欲しい注意点があります。順番に把握していきましょう。
クービビックの服用にあたっての注意点
クービビックの服用にあたっての注意点は以下の通りです。
- 効果の発現には個人差があります。全ての不眠症の方に効果があるわけではありません。
- 効果を実感するまでに時間がかかる場合があります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ハルシオンなど)のような即効性はないことがあります。
- 副作用のリスクはゼロではありません。他の睡眠薬に比べてリスクは低いですが、眠気・頭痛・めまいなどが報告されています。
- 医師の診断と処方が必要です。必ず医師の診察を受け、適切な診断と処方に基づいて使用する必要があります。自己判断での薬の量の増減や中止・変更は危険です。
以上を理解したうえで、医師と相談の上服用してください。
クービビックの服用には注意が必要な方と投薬できない方
クービビックを投薬できない患者と注意が必要な患者について、添付文書をもとに解説します。
必ず受診の際、医師に伝えるようにしましょう。
禁忌(投薬できない患者)
- 本剤の成分である、ダリドレキサント塩酸塩および添加剤に対し、過敏症の既往歴のある患者(アレルギー反応が出たことのある患者)
<添加剤>
D-マンニトール、結晶セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、グリセリン、タルク、酸化チタン、黒酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄
参照元:電子添文 | クービビック錠25mg・錠50mg | 塩野義製薬 医療関係者向け情報
- 重度の肝機能障害のある患者
また、併用できない薬(併用禁忌)もあるため、受診時はおくすり手帳を見せるなどして現在服用中の薬を医師に報告しましょう。
注意が必要な患者
- ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者
- 中等度及び重度の呼吸機能障害(閉塞性睡眠時無呼吸及び中等度以下の慢性閉塞性肺疾患患者を除く)を有する患者
- 閉塞性睡眠時無呼吸及び慢性閉塞性肺疾患患者
- 脳に器質的障害のある患者
- 軽度または中等度肝機能障害患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性、授乳婦
- 小児等
- 高齢者
クービビックはどこで手に入る?
クービビックの服用を希望する場合、クービビックはどこで手に入るかを確認しましょう。
新薬なのでどこでも取り扱っているわけではありません。
主治医に処方してもらう
最初のステップは、主治医への相談です。今までの薬ではなくクービビックを試してみたい旨伝え、しっかり相談しましょう。
現在自覚症状のある副作用の症状や薬の効き具合等、詳しく体調を伝え、薬の変更を相談します。
クービビックへの変更を希望する場合は、その理由を具体的に伝えます。
今まで処方されていた薬とクービビックの違いやそれぞれの副作用などの詳細を確認し、疑問点や不安を解消しましょう。
心療内科・精神科・睡眠専門外来で処方してもらう
クービビックは2024年12月に発売された新薬のため、医療機関によってはまだ取り扱っていない場合があります。
臨床ケースのデータが集まってくるまで導入を見送るケースもあります。
今まで通院していた病院でクービビックの処方箋を出さない場合、別の心療内科・精神科をセカンドオピニオンとして活用する方法もあります。睡眠専門外来という選択肢もあります。
確実にクービビックの相談がしたい場合は、受診する前に電話かWeb問い合わせフォームから、クービビックの処方は可能かどうか確認しておくのがおすすめです。
オンライン不眠外来(睡眠外来)で処方してもらう
近年、オンライン受診の医療サービスも増えてきました。
多忙な方、なかなか通院が難しい方、プライバシーが気になる方は、こちらがおすすめです。
オンライン専用のクリニックでは、24時間受付していてスキマ時間で予約し受診できるところもあります。
また、オンラインクリニックは全国の大手薬局薬店と提携している場合が多く、新薬を確保できる可能性が高いです。
薬に関する懸念点や不安なども気軽に相談でき、受診のハードルは低いと言えます。
不眠症の処方薬なら「おうち病院 オンライン不眠症外来」
不眠症の治療相談や薬の処方には、「おうち病院 オンライン不眠症外来」がおすすめです。
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✅通院時間や待ち時間が不要なので体調が悪い時でも安心受診
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近年、依存性の高い睡眠薬の使用について心配の声を聞くことも少なくありません。そのため、「おうち病院 オンライン不眠症外来」では患者の安全を考慮し、依存性の高いベンゾジアゼピン系睡眠薬(ユーロジン、ドラール、ハルシオンなど)の処方を行わない方針を取っています。
代わりに、ラメルテオン(ロゼレム)やレンボレキサント(デエビゴ)など、より依存性の低い薬剤を中心に処方しています。
クービビックは自然な眠りへとサポートしてくれる睡眠薬
クービビックは、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害に効果が期待できる、オレキシン受容体拮抗薬です。
日本では2024年12月に発売されたばかりの新薬ですが、副作用が比較的少ないとされ注目されています。
類似薬のベルソムラ・デエビゴと比較して半減期が短いため、朝まで持ち越さないメリットが確認されています。
朝への持ち越しによる眠気や日中の活動への弊害、悪夢や頭痛等で悩んでいる方、睡眠薬での副作用が心配な方は、まずは医師に相談し、新薬「クービビック」という新たな選択肢も検討してみましょう。