喘息が軽度の場合など、市販薬を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
喘息は、発作時の治療だけでなく、日頃から体調や症状を管理していくことが大切です。そのためのケアとして最も使用される重要な薬、吸入ステロイド薬や発作時の薬などは市販されていません。
そのため、基本的には受診をおすすめしますが、セルフケアを手助けしてくれる市販薬もあります。
本記事では、セルフケアを手助けしてくれる市販薬を紹介するとともに、受診したほうが良い症状の目安などもお伝えします。
目次
喘息の原因
喘息の直接的な原因は、何らかの原因により気管支が炎症を起こして、健康な方に比べて気道が狭い状態になることです。
この状態が慢性化し、少しの刺激で呼吸困難に陥ります。これが発作です。
喘息を引き起こす主な原因について、表にまとめました。
分類 | 主な原因 | 詳細 |
アレルギー性(アレルギー反応が引き金となるもの) | 吸入性のアレルゲン | ダニ、ハウスダスト、カビ、花粉、ペットの毛、線香の煙、ゴキブリ、大気汚染、化学物質の香料(香水・スプレー)など |
食物アレルギー | ピーナッツ、卵、牛乳、甲殻類、小麦粉、そば、魚、フルーツ、食品添加物など | |
接触性のアレルゲン | 化学物質(住居建材・塗料、洗剤、香水、せっけん、シャンプー、化粧水、日焼け止め、虫よけスプレー)、木材粉塵、ラテックス、植物など | |
非アレルギー性(アレルギー反応を伴わないもの) | 感染症 | ウイルス感染(風邪、インフルエンザ・コロナなど)、細菌感染 |
環境因子 | タバコの煙、大気汚染、PM2.5、光化学スモッグなど | |
気象条件 | 寒冷刺激、湿度変化、大気圧変動 | |
運動誘発性 | 激しい運動や運動後の冷たい空気の吸入 | |
心因性 | 精神的なストレス、不安、緊張など | |
薬剤 | アスピリン、ロキソニン、ボルタリンなど解熱鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)、高血圧治療薬(β遮断薬) | |
ホルモン変化 | 女性の月経周期、妊娠、更年期 |
アレルギー性喘息
喘息は、アレルギー疾患のひとつであり、喘息は多くの場合、アレルゲンにより引き起こされます。
アレルゲンには、主に吸入により喘息が引き起こされるもの、食べることで反応する食物アレルギー、皮膚等に接触するか経皮毒(皮膚を通じて体の中に染み込む)によりひきおこされるものの3種類あります。
吸入性のアレルゲン
アレルゲンとなるものを吸い込んでしまうと、喘息の引き金となります。慢性的に吸い込んでいるうちに気道の炎症が加速し、悪化すると強い発作を起こすようになります。
食物アレルギー
食べ物アレルギーの場合、体中に蕁麻疹等の症状が表れ、気道も腫れて呼吸困難におちいることがあります。アナフィラキシーショックを起こすと命の危険があるので、しっかりとアレルゲンを突き止め管理します。
接触性のアレルゲン
皮膚に接触した部分が腫れる、赤みや痒み、蕁麻疹等が表れると同時に、呼吸困難におちいることがあります。化学物質等が皮膚から体に入ると蓄積され、喘息を引き起こすことがあります。
非アレルギー性喘息
喘息は、アレルギー疾患のひとつですが、アレルギー検査を行なってもアレルギー反応が認められず原因不明のものもあります。それらは非アレルギー性に分類されます。
特に大人の喘息は、非アレルギー性の割合は多いです。
コロナやインフルエンザなどの感染症が引き金となるもの、大気汚染やタバコなどの環境因子、気圧や冷たい乾燥した空気など気象条件によるもの、走ると咳が止まらないなど運動によるもの、ストレスが大きく関係しているケース、ホルモンバランスの変化など、様々な原因が考えれます。薬の副作用が影響していることもあります。
また、アルコールには気道を収縮させる働きがあります。お酒を飲むと息苦しいと感じる方は、喘息の可能性もあります。過度の摂取は要注意です。
喘息に効く市販薬の効果は?治療薬との違い
喘息症状が軽症の場合、「わざわざ受診するほどではないかな」と市販薬を検討される方も多いのではないでしょうか。また、多忙で通院時間がなかなか取れず、市販薬で何とかしたいと思っている方も多いでしょう。
喘息の治療に不可欠な吸入薬は市販薬として売られておらず、医師の診断による処方が必ず必要になります。処方される治療薬は、あなたの症状に合わせて、適切な薬を適切な用量の分だけ処方し、経過を観察します。
いっぽう、市販薬は治療薬に比べて、根本的な治療にはならず、一時的な改善や症状の緩和にしかすぎません。
以上を踏まえたうえで、あくまでも一時しのぎとして、日頃の体調管理を手助けしてくれる市販薬はありますので、上手に活用していきましょう。後に必ず医師に相談しましょう。
喘息のセルフケアを手助けしてくれる市販薬
体調と症状管理に役立ちセルフケアを手助けしてくれる市販薬を紹介します。
自律神経へ働きかける市販薬
主にβ2刺激薬です。
アレルギー症状が出にくくなるように自律神経を整えることをサポートしてくれる市販薬です。気管支の自律神経に働きかけることで、気管支を広げてくれる効果が期待できます。ただし、病院で処方されるβ2刺激薬吸入タイプや内服薬とは異なります。
咳を静める市販薬
キサンチン系気管支拡張薬という昔から使用されている成分の咳を静める市販薬があります。一般的な咳止めです。咳のほか痰が気になる方にも向いています。喘息に限らず風邪をひいた時の対処療法として用いられます。
咳がおさまらず夜も眠れない時の緊急用として、常備しておくと便利です。
気管支拡張を手助けする喘息の市販薬
一時的に症状緩和を手助けしてくれる市販薬として、おすすめの薬を紹介していきます。喘息は、気道の炎症により気道が通常より狭くなっていて呼吸が困難な状態です。まずは、気管支の拡張を手助けしてくれる薬です。
β2刺激薬
アレルギー症状が出にくくなるように自律神経を整えることをサポートしてくれる市販薬です。気管支の自律神経に働きかけることで、気管支平滑筋のβ2受容体を刺激し、気管支拡張を助けてくれる効果が期待できます。
β2刺激薬は、喘息治療の第一選択肢として病院で処方される吸入薬や気管支拡張シール(ホクナリンテープ)などでも用いられる薬です。
ただし、医師の管理のもとの処方が望ましい強い薬であるため、病院で処方される薬よりは成分が弱く、効き目が異なります。代表的な成分はメトキシフェナミン塩酸塩やメチルエフェドリン塩酸塩です。
キサンチン系気管支拡張薬
吸入ステロイド薬が主流になる前は、よく喘息治療に用いられていた薬です。キサンチン系気管支拡張薬は、気管支拡張を助け、喘息症状をやわらげてくれる作用があります。そのため、喘息で咳が止まらない時に、咳を静める効果も期待できます。
代表的な成分として、ジプロフィリンやテオフィリンなどがあります。
咳がおさまらず夜も眠れない時の緊急用として、常備しておくと便利です。
β2刺激薬とキサンチン系気管支拡張薬の両方の成分が含まれている市販薬もありますので、どちらが良いか迷った時は、両方のタイプを選ぶと良いでしょう。
咳を静める喘息の市販薬
前述した、キサンチン系気管支拡張薬は、咳を静める効果が期待できます。一般的な咳止めとしても昔から利用されています。咳のほか痰が気になる方にも向いています。喘息に限らず風邪をひいた時の対処療法として用いられます。
代表的な成分として、ジプロフィリンやテオフィリンなどがあります。
自律神経へ働きかける喘息の市販薬
自律神経へ働きかけてアレルギー症状を出にくくする市販薬があります。
気管支を広げて呼吸を楽にして咳を静める成分、メトキシフェナミン塩酸塩や、咳をしずめる効果があるノスカピン、たんの排出をスムーズにするカンゾウ粗エキス、アレルギー症状を和らげる抗ヒスタミン作用をもつ成分なども含む、鎮咳去痰薬があります。
小児喘息(子どもの喘息)におすすめの市販薬
小児喘息(子どもの喘息)の治療は、体が未熟なために起こっていることも多く、命にかかかわる重篤な発作が起こる可能性もあるため、重症化しないうちに必ず医師の診察を受けることが望ましいです。
それらをふまえて、一時的な症状の改善、緩和、日常的な体調管理を手助けしてくれるものとして、やむを得ない時に活用しましょう。
市販の内服薬を選ぶ時は、ドラッグストアでも薬剤師が在中している時間帯を選び、確認して購入すると良いでしょう。
基本的には「子ども用」と書いてある物を選び、年齢別の用法用量等を守って服用します。「気管支拡張作用」「抗アレルギー作用」のある薬、漢方薬では小児喘息に効果があるとされる柴朴湯(さいぼくとう)や麦門冬湯(ばくもんどうとう)がおすすめです。また、咳止めシロップやドロップも活用できます。
喘息発作にも効果のある吸入薬は市販していない
喘息治療には、発作時にすぐに症状を静める緊急治療が不可欠ですが、発作を静める時にも効果のある吸入薬は、今のところ市販されていません。必ず医師の診断による処方箋が必要です。
なぜなら、高い効果が期待できる成分の強いものであると同時に、ステロイド薬でもあるため、症状に合わせた最適な分量の指示や、使用方法の指導が必要なためです。
喘息は、一時しのぎでいったん症状が改善したように見えても、しっかり治療しないと密かに症状が悪化して、繰り返し発作を起こす危険性があります。症状のある方は必ず受診しましょう。
喘息の主な症状と発作
喘息は、ヒューヒューゼイゼイ喘鳴が聞かれ、呼吸困難で苦しい発作が起きる、といったイメージをお持ちの方も多いかと思います。
しかし、これは重度の症状であり、軽度の症状も事前に把握しておきましょう。
【息苦しさ・咳など】主な症状
以下のような症状が思い当たる方は喘息の可能性があります。
- 咳の風邪がなかなか治らない
- よく咳き込む
- 頻繁に痰がからむ
- 会話中に息苦しくなる
- 運動の後など、咳き込む
- 就寝中に咳で目が覚める
- 主に朝や夜間に咳が止まらない、または息苦しい
- 少し動くと息苦しい。息切れしやすい
軽い発作や普段の様子では、喘息と判断が難しい症状や風邪と思って我慢したり放置したり、といった場合があります。
このような症状の場合、受診の判断が難しければ、ひとまず市販薬で様子を見るのも1つの方法です。
【喘鳴・呼吸困難など】喘息発作
喘息発作時の症状は、以下のようなものがあります。確認してみましょう。
- 咳が止まらなくて眠れない
- 上体を起こしていないとつらい
- 激しい咳
- 強い息苦しさ
- 呼吸のたびに、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)が聞かれる
- 呼吸困難におちいっている
- 唇や爪が青くなる(チアノーゼ状態)
これらの症状の場合、発作が起きている状態です。
特に呼吸困難やチアノーゼ状態は、命に関わる重大な発作なので、緊急の処置が必要な状態と言えます。
喘息はセルフケアが大切
喘息の治療は、普段の体調と症状の管理と、発作を起こした時に静める治療の2本柱です。
喘息はセルフケアをしていく事が最も重要です。処方薬にせよ市販薬にせよ、しっかり体調管理をしていきます。
ここでは、セルフケアでの注意するべきポイントを解説します。
喘息発作をおこさないための体調管理
喘息発作をおこさないために、普段から体調管理には充分注意しましょう。
そのためには、充分な休養と栄養が第一です。過重労働にならないよう充分注意し、大変な時はなるべく周囲の助けを借ります。
育児や家事で休めない場合も、家族の協力を得られると良いです。
また、睡眠は充分とりましょう。寝不足や過労が喘息を引き起こすことがあります。
さらに、栄養バランスの良い食事は健康な体を作ります。無理なダイエットなどはせず、充分に栄養を取りながら適度な運動をするほうが、喘息が良くなるケースがあるそうです。
このように、常に過度なストレスをためないよう、リフレッシュできる時間も意識して持ちましょう。
喘息発作の引き金を作らない環境づくり
発作をただちに静める薬は市販では売っていませんが、自分で管理する事が重要です。
発作の引き金となるような環境はさけます。
以下は注意するべきポイントです。
- タバコの副流煙を吸ってしまいそうな場所には行かない
- 自分も吸っているのであれば禁煙する
- 満員電車等で香水などが苦手な方はマスクやハンカチで自己防衛する
- 自宅の掃除はマメに行いホコリ・ダニ・カビのない部屋にするよう注意する
- カーペットや布団のダニ対策をする
- エアコンフィルターの掃除をまめにする
- 空気清浄機を活用する
- 線香やお香の煙に注意する
- 洗剤や柔軟剤・消臭剤・殺虫剤などの化学物質を吸い込まないように注意する
(できれば自然由来のものに切り替える)
これらを徹底することで、発作を起こさずに体調を落ち着かせられる可能性があります。空気と水の綺麗な土地に引っ越すなど、環境を変えるだけで症状が軽くなるケースもあります。
市販薬で改善しない時・喘息症状が重い時はすぐに医師に相談を
市販薬は、直接喘息を完全に治療してくれるものではありませんので、長期的な使用はさけます。
喘息の診断を受けている方が一時的に薬が切れてしまった時や、喘息外来への初診をためらっている方が試す場合に使用すると良いでしょう。
初診をためらっている方は、市販薬で症状が改善されない場合や、他に普段から服用している薬があって飲み合わせに不安がある場合はただちに医師に相談しましょう。
市販薬に頼るのは危険!喘息症状が悪化することも
市販薬は根本的な治療ではないため、喘息症状が悪化する危険性もあります。
市販薬は一時的な対処に過ぎず、喘息治療の根本である気管支の炎症をおさえて気道を広げる長期的な治療には向きません。
また、市販薬によっては喘息の悪化を引き起こす成分が入っているものもあるので注意が必要です。
治療薬の処方は医師の診断が必要!薬だけほしい方は対応不可
喘息の普段の症状の改善及び発作時の治療は、医師の指導の元行われることが望ましいです。治療薬の処方は医師の診断が必要です。
薬だけほしいという方の対応はできません。ただし、初診ではなく喘息の診断を受けている状態で、経過観察のみの方は、オンライン診療で受診し、薬を処方してもらう、という手段はあります。
そろそろ薬が終わりそうだけど多忙でなかなか通院が難しい方は、オンライン受診の検討をしても良いかもしれません。
医師の診断のもと最適な治療をしよう
喘息の種類や原因・症状によって、適切な治療が違います。喘息かそうでないかの診断も重要です。
また、喘息は軽めの症状のうちから治療することで、症状をコントロールする事ができ、悪化を防ぐことが可能です。
症状が気になるなら、医師への相談と医療機関での処方薬をおすすめします。
喘息の治療薬はどこで手に入る?
喘息の治療薬は、実際にどこで手に入るか解説します。
喘息の外来を受診する
喘息は、通常の内科や耳鼻咽喉科でも対応していますが、専門医の知見が安心です。
アレルギー科や呼吸器科、呼吸器内科などで喘息に対応しているか、喘息専門外来のあるクリニックで受診します。
オンラインクリニックの喘息外来を受診する
前述したクリニックがオンライン受診外来を設置している場合と、オンライン専用クリニックの喘息外来があります。
初診は検査等があるため実際の通院が必要ですが、その後の継続治療の処方はこちらが便利です。
喘息治療は市販薬に頼らず、おうち病院「オンライン喘息外来」へ
喘息治療は、市販薬に頼らず受診することをおすすめします。
初診ではない場合、薬が切れてしまってなかなか通院できない状態で市販薬を一時的に使用するのは、「なにもしないよりまし」といったところです。
あまりおすすめできることではありません。しかし、仕事や育児・家事が忙しくてなかなか通院できない状況もあるかと思います。
時間を作るのが大変だったり、遠くて面倒だったり、受診予約が取れなかったり様々な問題があるでしょう。
そんな時は、おうち病院「オンライン喘息外来」がおすすめです。
近所にアレルギーや喘息の専門外来、呼吸器科や呼吸器内科がなくて困っていても、多忙でも、症状がつらくてなかなか外出できなくても、おうち病院「オンライン喘息外来」なら、お住まいの地域の薬局薬店で、処方薬を受け取っていただけます。薬手帳があれば受診が可能です。
また、スキマ時間をWebからサッと予約でき、お時間になったらお好きな場所でスマフォやPCからオンラインで繋がっていただき受診できる手軽さですから、薬が切れる心配は少なくなります。
服用後24時間安心のアフターサポートもチャットでお気軽にご相談していただけます。
初診をためらっている方も、一度は検査通院していただき、その後の処方はオンラインに切り替えるなどが可能です。
※ただし、小児喘息(16歳未満)は対応していません。大人の喘息がメインになります。
喘息は適切な治療が大切。市販薬でごまかさずに受診しよう
市販薬は、処方薬がない時や病院に受診できない時に薬局に駆け込んだり、もしもの時のために常備しておいたり、といった使い方として重宝しますが、一時的な利用にとどめましょう。
喘息は、適切な治療が大切です。
市販薬でごまかしたり我慢したりせず、専門の外来へ速やかに受診しましょう。
まだ診断をうけておらず、喘息かどうかわからない方は、市販薬を試してみて症状の改善が見られなければ、早いうちに受診することをおすすめします。
適切な治療を継続的に行っていくなら、処方薬をきらさず忙しい合間でも気軽にサクッと処方箋をもらう事が可能な、おうち病院「オンライン喘息外来」を試してみてはいかがでしょうか。