おしゃべりが止まらないのは認知症が原因?対処法を解説

おしゃべりが止まらない原因は、認知症が関係しているケースがあります。認知症によって記憶がなくなると、同じ話を繰り返したり、聞き返したりしてしまうのです。 認知症の方と触れ合う際は、しっかり相手の目を見て相槌を打ちましょう。また、褒めたり、感謝したりして自己肯定感を上げてもらうことが大切です。 介護は肉体的にも精神的にも大変ですが、本記事を読み、認知症の方の特性を理解して適切なケアを心がけましょう。

目次

おしゃべりが止まらない原因は、認知症が関係しているケースがあります。認知症によって記憶がなくなると、同じ話を繰り返したり、聞き返したりしてしまうのです。

認知症の方と触れ合う際は、しっかり相手の目を見て相槌を打ちましょう。また、褒めたり、感謝したりして自己肯定感を上げてもらうことが大切です。

介護は肉体的にも精神的にも大変ですが、本記事を読み、認知症の方の特性を理解して適切なケアを心がけましょう。

おしゃべりが止まらないのは認知症が原因?

おしゃべりが止まらない場合、認知症が原因の可能性があります。認知症で記憶障害があると、話したこと自体を忘れるため、繰り返し同じことを話し続けます。

また、認知症の症状として、話の辻褄があわないこともあるでしょう。認知機能が衰えることで、部分的な情報だけが残り、矛盾が生じるおそれがあるのです。

また、話題がすぐ変わるなどの傾向がある場合も認知症の可能性があります。

おしゃべりが止まらない認知症の方の心情

おしゃべりが止まらない認知症の方の心情を把握することで、適切なケアがしやすくなります。認知症の方には以下の心情があることを知っておきましょう。

  • ・不安
  • ・ストレス
  • ・責任感

不安やストレスから逃れるために、おしゃべりを続けてしまう傾向があります。また、罪悪感や責任感を抱きすぎるあまり、話し続けてしまうこともあるでしょう。

不安

自分が置かれている状況を正確に理解できず、過度な不安を感じやすくなります。何かを忘れているような感覚に陥り、常に心配な気持ちになるでしょう。

不安に思う気持ちや心配な気持ちを解消するために、周囲の人に話し続けてしまいます。表面では笑顔で話していたとしても、内心は不安で押し潰されそうになっていることもあります。

ストレス

身体的な症状(腰が痛い・腕が痛いなど)が原因でストレスを抱え、苦痛から逃れるためにおしゃべりが止まらない場合があります。

家族を含む人間関係が悪く、ストレスを抱えている場合も話し続けてしまうことがあるでしょう。

責任感

以前できていたことができなくなり「家族に迷惑をかけているのではないか」という罪悪感にかられる方がいます。

「もっとしっかりしなくてはならない」と責任を感じ、頼りないところを見せないようにするためにしゃべり続けるのです。

おしゃべりが止まらない認知症の方への対処法

おしゃべりが止まらない認知症の方への対処に困ったら、以下のことを実践してみてください。

  • ・褒める・感謝する
  • ・相槌を打つ
  • ・話題を変える
  • ・趣味を見つけてもらう

認知症の方に丁寧に向き合いながらも、上手く話題を変えたり、熱中できる趣味を見つけてもらったりすることが大切です。

褒める・感謝する

認知症の影響で、自分だけでは取り組めないことが増えると「自分は役に立たない」「誰からも必要とされていない」などと思い込んでしまう傾向があります。

認知症の方が自己嫌悪に陥らないためにも、上手くできたことを褒めることが大切です。褒めて感謝の気持ちを伝えることで、認知症の方の自己肯定感が満たされ、精神が安定しやすくなります。

認知症の方に対し「頑張りましたね」「すごいですね」といった言葉をかけることで、誰かの役に立っていることが実感でき、落ち着きが取り戻せるようになるでしょう。

相槌を打つ

認知症の方が発した言葉をそのまま返し、適度に相槌を打つことで「自分の話を聞いてもらえている」と認識してもらいやすくなります。

たとえば、認知症の方が「今日は暑い日ですね」と言ったら「そうですね。暑い日ですね」という形で返しましょう。

認知症の方と話すときは、聞き取りやすい声ではっきり話し、しっかりと相手の方の目を見て話すことが大切です。

認知症の方から「この人は自分の話をしっかり聞いてくれる人だ」という印象を持ってもらえれば、より信頼関係が構築しやすくなるでしょう。

話題を変える

認知症の方のおしゃべりが止まらない場合は、本人の関心をずらすことが大切です。たとえば「外に行きたい」と言われたら、その理由を聞きましょう。

「娘に外に出てきてと言われたから」と言われたら「娘さんは何歳ですか?」と話を広げ、意識をそらすことが大切です。

しっかり寄り添いたいという思いが強すぎるあまり、認知症の方と一生懸命会話を続ける人もいますが、現実はなかなか難しい部分があります。

相手を思いやる心を忘れず、適度に会話をしていくことが大切です。

趣味を見つけてもらう

集中できる趣味を見つけると、気分転換ができ、別のことに意識が向きやすくなります。本人が熱中できる趣味を見つけることで、おしゃべりが止まらない状況を改善しやすくできるでしょう。

たとえば、絵を描いたり、テレビを見たりして熱中できる時間を少しでも増やすと、他のことに意識が向かなくなるためおすすめです。

認知症の方がどのようなものに興味を持つのかを把握した上で、よい選択肢を与えてあげましょう。

おしゃべりが止まらない認知症の方へやってはいけないこと

おしゃべりが止まらない認知症の方に対して、以下のことは絶対にやらないようにしましょう。

  • ・無視する
  • ・否定する
  • ・無理に思い出させる

無視したり、否定したりすると、相手の心に傷を負わせてしまいます。大事なことを忘れてしまったからといって無理やり思い出させるのではなく、しっかりと寄り添い、話を合わせてあげましょう。

無視する

無視をすると、本人に不安や孤独を感じさせてしまい、ストレスの原因になります。また、ストレスがたまると、大きな声を出したり、暴力を振るったりして手に負えなくなるおそれがあります。

おしゃべりが止まらない認知症の方に対応していると、苦痛に感じることがあるかもしれません。

しかし、認知症の方を放置してしまうと、状況は悪化します。放置することなく、しっかり寄り添ってあげましょう。

否定する

認知症の方は、叱られる原因が理解できなくても「叱られた」「否定された」という感情は残るものです。

負の記憶が重なっていくと、認知症の症状がますます悪化する可能性が高まるため、否定してはいけません。

信頼関係が失われ、コミュニケーションをとることが難しくなり、指示したことに従ってくれなくなる可能性があるでしょう。

無理に思い出させる

認知症になると、何度も同じことを周囲に確認したり、話したりします。もし、忘れたことを本人に無理やり思い出させると、ストレスがかかってしまいます。

嫌悪感や不安が続き、コミュニケーションがとりにくくなるでしょう。相手に記憶を呼び起こさせるのではなく、話を合わせてあげることが大切です。

おしゃべりが止まらない認知症の方を対処するときの心構え

おしゃべりが止まらない認知症の方に対応する際は、以下の心構えを持っておきましょう。

  • ・考えすぎない
  • ・周りの人に協力をお願いする
  • ・介護サービスを利用する

認知症の方を介護する際は1人で抱え込まず、周囲の人に協力をお願いしたり、介護サービスを利用したりして少しでも負担を減らしましょう。

考えすぎない

認知症の方が指示を聞かないのは、症状が原因です。個人の性格によるものではないため、気にする必要はありません。

「自分のことが嫌いだから指示を聞いてくれない」と考えすぎず「症状だから仕方ない」と割り切っておきましょう。

周りの人に協力をお願いする

1人で介護をしていると、ストレスがたまり、気持ちが張り詰めてしまうことがあるでしょう。一方で、家族や友人、専門家などに相談するだけでも気持ちが楽になります。

オンラインコミュニティや認知症介護をしている人のイベントなどに参加し、交流を深めることで、精神的に楽になることがあります。

知り合った方とお互いに励まし合いながら介護に臨むだけで、ストレスが和らぐでしょう。決して1人で抱え込まず、周りの方の協力を得るようにしましょう。

介護サービスを利用する

1人で介護をしていると、どうしても精神的・肉体的に負担がかかりすぎる場合があります。継続的に介護するためにも、無理せずに以下の介護サービスを利用するとよいでしょう。

  • ・訪問介護
  • ・デイサービス
  • ・ショートサービス

訪問介護

認知症の方の自宅へホームヘルパーが訪問し、生活支援をおこないます。排泄や入浴、食事補助など、生活に必要な支援が受けられます。

デイサービス

認知症の方が施設に通い、日常生活の支援や機能訓練などを受けます。他の利用者と交流ができ、よい刺激が得られるため、認知症によい影響が出るとされています。

ショートサービス

施設に一定期間宿泊し、生活支援を受けます。食事や入浴の支援に加え、機能訓練などを受けられます。

おしゃべりが止まらない認知症に関するよくある質問

おしゃべりが止まらない認知症の方に関するよくある質問は以下の通りです。

  • ・認知症の方がおしゃべりするときの特徴は?
  • ・認知症の方とおしゃべりするときのコツは?
  • ・認知症の方が不機嫌になるのはなぜ?

介護する前に、認知症の方の特性を理解し、どのように対処するかを決めておくとよいでしょう。

認知症の方がおしゃべりするときの特徴は?

同じ話を繰り返したり、話の内容を途中で忘れたりすることがあります。また、話が飛躍してありもしないことを話し始めることもあるでしょう。

認知症の方は、症状によってこのような特徴を持ちます。介護する際は、このことを知識として知っておきましょう。

認知症の方とおしゃべりするときのコツは?

相手の目をしっかり見て、相手のペースに合わせて話すことが大切です。相手に真摯に向き合うことで、信頼関係が構築しやすくなります。

身振り手振りを使ってわかりやすく話を伝えることも大切です。

認知症の方が不機嫌になるのはなぜ?

自分の感情を適切に表現できなくなると、怒ったり不機嫌になったりすることがあります。あくまで症状によって起こることであり、介護者の方に問題があって起こるものではありません。

認知症の方への対処についてお悩みの方は「clila 疾患別コミュニティ」を利用しよう

認知症の介護は精神的にも肉体的にも疲弊しがちです。認知症の方となかなかコミュニケーションがとれず、信頼関係が構築できないことがあります。

また、認知症の方が指示に従わず、問題を起こしてしまうこともあるでしょう。こういった経験から、介護者の方がストレスをため、1人で塞ぎ込むケースがあります。

このような方を救うために設立されたのが「clila 疾患別コミュニティ」です。本コミュニティでは、同じ疾患を抱える家族・関係者とつながることで、スムーズに情報収集ができます。

情報収集を通し、正しい介護の仕方や、向き合い方が学べます。介護の辛さを共有し、同じ悩みを抱える方がどのように認知症患者さんと向き合っているかを知ることは大切です。

同じ境遇を持つ方同士が情報交換し、認知症の方への向き合い方を学ぶことで、患者さんとよりよい信頼関係が構築できるようになります。

認知症の方を家族・友人に持つ方は、気軽にコミュニティへ参加してみてください。