健康診断でHDLコレステロール(善玉)が低いと言われたら|低HDL血症の原因・動脈硬化リスク・肥満との関係をオンライン医師が解説

健康診断で「HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い」と指摘されても、LDLとは逆に「低いほど悪い」というイメージが浸透していないため、そのまま放置してしまう方は少なくないのではないでしょうか。HDLコレステロールは血管壁のコレステロールを回収して動脈硬化を抑制する役割を担っており、低値が続くと心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高まります。本記事では、低HDLコレステロール血症の基準・原因・放置リスク・生活習慣改善法を医学的根拠とともに解説します。

この記事でわかること

  • HDL 40 mg/dL未満は「低HDLコレステロール血症」と診断され、動脈硬化リスクが上昇する
  • 内臓脂肪型肥満は中性脂肪(TG)を上昇させ、HDLを連鎖的に低下させる
  • 体重を5〜10%減量することで、中性脂肪の低下とHDL上昇が同時に期待できる
  • 有酸素運動の習慣化・禁煙・食事改善がHDL上昇の最も有効なアプローチ
  • LH比(LDL÷HDL)が2.0以上の場合は特に動脈硬化リスクが高く、早期の対応が重要

健康診断でのHDLコレステロールの基準値とは?

HDLコレステロール(HDL-C)は「善玉コレステロール」とも呼ばれます。血管壁に蓄積した余分なコレステロールを回収して肝臓に運ぶ働き(コレステロール逆転送)があり、動脈硬化を抑制する重要な役割を担っています。LDL(悪玉コレステロール)が血管壁にコレステロールを蓄積させる方向に働くのとは逆に、HDLはその蓄積を取り除く方向に作用します。

日本動脈硬化学会ガイドライン2022に基づく判定基準は以下の通りです。

判定HDLコレステロール値推奨アクション
目標値60 mg/dL以上現状維持(心血管リスクが低い範囲)
正常範囲40〜59 mg/dL経過観察・生活習慣の見直しを検討
低HDLコレステロール血症40 mg/dL未満医療機関受診・リスク評価を実施

参考:日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

LH比(LDL/HDL比)とは?

HDL単体の値だけでなく、LH比(LDL÷HDL)も動脈硬化リスクの重要な指標です。HDLが低い状態にLDH高値が重なると、リスクは相乗的に高まります。

LH比リスク評価
1.5未満動脈硬化リスクが低い
1.5〜2.0経過観察が必要
2.0以上動脈硬化リスクが高い(要受診)
2.5以上心血管イベントリスクが特に高い

例: LDL 130 mg/dL ÷ HDL 38 mg/dL = LH比 3.42(高リスク)

HDLコレステロールが低くなる原因

HDLコレステロール値が低下する原因は、生活習慣・体質・疾患など多岐にわたります。

原因区分具体的な原因メカニズム
肥満(★主要因)内臓脂肪型肥満内臓脂肪→TG上昇→HDL分解促進(TGとHDLは逆相関)
中性脂肪の上昇高トリグリセリド血症(TG 150以上)VLDLとのコレステロールエステル交換でHDL合成が抑制される
運動不足身体活動量の低下有酸素運動はHDL上昇に最も有効な生活習慣干渉の一つ
喫煙現在喫煙者喫煙はHDL合成を直接阻害する
食事精製糖質・トランス脂肪酸の過剰摂取食後高中性脂肪血症→HDL低下を促進
遺伝・体質家族性低HDL血症など生活習慣とは独立して低値を示すことがある
疾患・薬剤2型糖尿病・甲状腺機能低下症・ステロイドなどインスリン抵抗性がHDL代謝を阻害

特に注意が必要なのは「高TG・低HDL」の組み合わせです。この2つは内臓脂肪型肥満を共通の原因とすることが多く、メタボリックシンドロームの診断基準にもなっています。

低HDLコレステロール血症を放置するリスク(合併症一覧)

HDL低値を放置すると、血管が慢性的にダメージを受け、以下のような重篤な合併症につながる可能性があります。動脈硬化は自覚症状なく進行するため、健診で指摘された段階での対応が重要です。

臓器・系統合併症名主な症状・影響
血管動脈硬化コレステロール逆転送機能の低下→血管壁にプラーク蓄積
心臓心筋梗塞・狭心症胸痛・突然死リスク(低HDL群は正常群の1.5〜2倍)
脳梗塞・脳出血手足のしびれ・言語障害・意識障害
末梢血管末梢動脈疾患間欠性跛行・足の冷感・重症化すると壊疽
代謝全般メタボリックシンドローム低HDL+高TG+腹囲増加で心血管リスクが相乗的に上昇
糖代謝2型糖尿病合併インスリン抵抗性→HDL代謝異常→血糖上昇

動脈硬化は10〜20年かけて進行するため、若い時期からの管理が重要です。心筋梗塞・脳梗塞は突然発症することが多く、後遺症や死亡リスクを伴います。

HDLコレステロールの検査と治療方法

推奨される追加検査:

HDLコレステロールが低い場合、以下の検査を合わせて受けることをおすすめします。

  • 中性脂肪(TG)・LDLコレステロール・non-HDLコレステロール
  • LH比(LDL÷HDL)の算出
  • 空腹時血糖・HbA1c(インスリン抵抗性のスクリーニング)
  • 血圧測定・腹囲測定(メタボリックシンドロームの評価)
  • 甲状腺機能(TSH・FT4)— 甲状腺機能低下症の除外

治療方法:

HDLを直接上昇させる薬剤は現在のところ限られており、生活習慣改善(減量・運動・禁煙)が最も確実なアプローチです。中性脂肪が著しく高い場合(200 mg/dL以上)や、LH比が2.5以上の場合は、フィブラート系薬などの薬物療法を並行して検討することがあります。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「HDLコレステロール」

生活習慣改善でどこまで改善できる?

HDLコレステロールは、LDLと異なり薬で直接上昇させることが難しいため、生活習慣改善が治療の中心となります。特に有酸素運動・禁煙・減量の3つは、エビデンスに基づいたHDL上昇効果が期待できます。

改善方法期待できる効果具体的なアクション
有酸素運動(週150分)HDL +2〜5 mg/dLウォーキング・水泳を週150分以上(最も効果的)
減量(5〜10%)HDL +3〜5 mg/dL+TG低下1日200kcal制限+週3回有酸素運動の組み合わせ
禁煙HDL +3〜5 mg/dL禁煙外来・ニコチンパッチの活用
食事改善TG低下→HDL上昇に連鎖トランス脂肪酸を避け、青魚・オリーブオイル・ナッツを積極摂取
精製糖質の制限TG低下→HDL上昇白米・パン・清涼飲料水・菓子類を削減
アルコール適正化TG低下飲みすぎはTGを上昇させHDLを下げるため節酒が重要

中性脂肪の低下(TG正常化)が先行し、その後にHDLが上昇するパターンが一般的です。「わかっていてもできない」という方は、肥満が根本にある場合、代謝機能そのものが障壁になっているため、医療的サポートを早めに検討することが重要です。

こんな方はおうち病院 肥満症外来へ(セルフチェック)

以下の項目に当てはまるものはありますか?

□ BMI 35以上(高度肥満)
□ 「ダイエットしても続かない」「リバウンドを繰り返している」と感じている
□ 肥満による合併症(高血圧・高血糖・膝痛など)が気になっている
□ 健診でHDL 40 mg/dL未満を繰り返し指摘されている
□ HDLと合わせて中性脂肪高値・血圧高値など複数の異常を指摘された
□ 腹囲が男性85cm・女性90cmを超えている(または医師からメタボを指摘された)

2つ以上当てはまる場合は、肥満症治療による体重管理がHDLコレステロールを含む脂質全体の改善につながる可能性があります。おうち病院 肥満症外来への受診をご検討ください。

医療的コントロールに興味があるなら「おうち病院 きちんと向き合う肥満症改善外来」

HDL低値の根本にある「肥満」を治療する選択肢

低HDLコレステロール血症は、単独で発生することよりも「内臓脂肪型肥満 → 高TG → 低HDL」という代謝連鎖の中で出現することが多く、体重管理によってHDLを改善できる余地が大きい状態です。体重を5〜10%減量することで、中性脂肪・HDL・LDL・血糖・血圧を含む複数の代謝指標を同時に改善できる可能性があります。

肥満症治療には、認定肥満症専門病院での保険診療と、オンライン診療(自費)の2つのルートがあります。認定専門病院は数が限られており、通院が難しい方や待ち時間が長い場合には、自宅から受診できるオンライン診療が選択肢になります。

そのような方には、医師の継続的な診察とサポートを受けながら、医療的介入(薬物治療)と生活習慣の見直しを組み合わせた治療が推奨されます。「他サービスのように、お薬の処方だけで終わりでは不安…」そんな声に応えるのが、「おうち病院 きちんと向き合う肥満症改善外来」です。

肥満症治療薬(ウゴービ・マンジャロ・ゼップバウンド・リベルサスなど)は体重管理と同時に中性脂肪・血糖値の改善効果も報告されており、低HDL血症の根本原因(内臓脂肪・中性脂肪上昇)にアプローチできます。

おうち病院 きちんと向き合う肥満症改善外来の特徴

✅ 自宅から受診できる

診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。肥満やダイエットの悩みを対面で話すことへの心理的なハードルを軽減できます。

✅ 時間通りに診察が始まる

予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込めます。平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診療可能です。

✅ 女性医師が丁寧に診察

おうち病院の肥満症改善外来では、初回診察時間を30分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨みます。これまでのダイエット歴・食生活・ライフスタイルを丁寧にヒアリングし、あなたに合った治療方針を提案します。リバウンド防止のサポートも行います。

✅ 薬は自宅に配送される

自宅配送「おくすりおうち便」にて配送。薬局に行く手間がありません。

対応している薬剤(2026年4月現在):

  • ウゴービ(セマグルチド)
  • ゼップバウンド(チルゼパチド)
  • リベルサス(セマグルチド)
  • マンジャロ(チルゼパチド)

費用の目安(自費診療):

※ この外来は自費診療(保険適用外)です。保険診療を希望の場合は、保険適用条件を満たすか医師にご確認の上、認定肥満症専門病院を受診してください。

受診の流れ:

  1. 予約 — 公式サイトまたはアプリから希望日時を選択
  2. 問診票の記入 — 症状・現在の体重・BMI・生活習慣について入力
  3. オンライン診察(初回30分) — 医師がこれまでの経緯を丁寧に確認し、治療方針を説明
  4. 処方・配送 — 処方が決まり次第、おくすりおうち便で自宅にお届け
  5. 定期フォロー — 月1回以上の診察で経過確認・薬の調整

初回受診時の必要書類: 初回受診時には医師が正確に状態を把握するため、「健康診断書」または「体重測定結果の画像」のご提出が必要です。ご予約の前にご用意いただくようお願いいたします。

よくある質問(FAQ)

Q. HDLが低いだけで受診は必要ですか?

A.HDL 40 mg/dL未満(低HDLコレステロール血症)の場合は医療機関への相談をおすすめします。特に中性脂肪が同時に高い(メタボリックシンドロームの疑い)、またはLH比(LDL÷HDL)が2.0以上の場合は、動脈硬化リスクが高まっているため早めの対応が望ましいです。症状がなくても動脈硬化は静かに進行しているため、「症状がないから大丈夫」という判断は危険です。

Q. HDLは生活習慣だけで上がりますか?

A.軽度の低値(35〜39 mg/dL)であれば、有酸素運動の習慣化・禁煙・飽和脂肪酸の制限・減量によって改善することがあります。ただし、中性脂肪が著しく高い場合(200 mg/dL以上)や、LH比が2.5以上の場合は、フィブラート系薬などの薬物療法を並行して検討することが多くなります。

Q. 中性脂肪も高いと言われました。どちらを先に治療すべきですか?

A.「高TG・低HDL」はセットで発生することが多く、内臓脂肪型肥満を原因とする場合がほとんどです。体重を5〜10%減量すると、中性脂肪の低下とHDL上昇が同時に起こります。どちらかを単独で治療するより、肥満を改善することが根本的な解決につながります。

Q. 肥満と低HDLはどのような関係がありますか?

A.内臓脂肪の増加→VLDLの過剰産生→中性脂肪上昇→HDL分解促進というメカニズムで、HDLが低下します。体重を5〜10%減量することで、中性脂肪が低下し、連鎖的にHDLが上昇することが期待できます。特に腹部肥満がある方は、体重管理がHDL改善の最も重要なアプローチです。

Q. おうち病院 肥満症外来の受診対象は誰ですか?

A.BMI 27以上の方、もしくはBMI 25〜27で肥満の腹囲基準または低HDL血症・高中性脂肪血症などの既往症基準を満たす方が対象です。ただし、医師が診察した上で治療適応を判断しますので、まずは初回相談にお越しください。かかりつけ医への照会や他の医療機関の受診が適切と判断した場合は、そのようにご案内することもあります。おうち病院の肥満症外来は美容目的のダイエットは推奨しておらず、肥満を解消し健康体を目指すことを目的とした受診をお願いしております。

Q. 脂質改善薬(フィブラート系など)を飲んでいますが、肥満症外来も受診できますか?

A.はい、フィブラート系や他の脂質改善薬を服用中の方でも受診いただけます。肥満症治療によって体重管理が進むと、薬の必要量が変化する場合があります。現在服用中の薬(薬剤名・用量)は必ず問診票にご記載ください。かかりつけの主治医との連携についても、診察時にご相談いただけます。

Q. HDLが低い場合、食事で特に気をつけることは何ですか?

A.トランス脂肪酸(マーガリン・ショートニング・加工食品)を避け、不飽和脂肪酸(青魚・オリーブオイル・アボカド・ナッツ類)を積極的に摂取することが重要です。また、精製糖質(白米・パン・砂糖・清涼飲料水)の過剰摂取は中性脂肪を上昇させ、HDL低下を招きます。アルコールは過剰摂取すると中性脂肪を上昇させてHDLを下げるため、節酒が重要です。

【コラム】HDLコレステロール(善玉)を上げる食生活のポイント

低HDLコレステロール血症の改善には、中性脂肪を下げる食事と、HDLの産生を促す脂質の選択が重要です。以下の3点を意識した食生活から始めてみましょう。

  • トランス脂肪酸を避け、良質な脂質に置き換える
  • 精製糖質・アルコールを控えて中性脂肪を下げる
  • 魚・大豆食品・野菜・食物繊維を積極的に摂る

トランス脂肪酸を避け、良質な脂質に置き換える

マーガリン・ショートニング・市販の菓子パン・揚げ物などに含まれるトランス脂肪酸は、HDLを低下させる方向に作用します。代わりに、青魚(サバ・イワシ・サンマ)に含まれるEPA・DHA、オリーブオイルのオレイン酸、アボカドやナッツ類の不飽和脂肪酸を積極的に取り入れることで、HDLの維持・改善につながります。

精製糖質・アルコールを控えて中性脂肪を下げる

白米・パン・砂糖・清涼飲料水などの精製糖質の過剰摂取は、肝臓での中性脂肪(TG)合成を促進します。TGとHDLは逆相関の関係にあるため、糖質を適切に管理して中性脂肪を下げることが、HDL上昇への近道です。アルコールも過剰摂取すると中性脂肪を上昇させるため、休肝日の設定や飲酒量を節度ある範囲に抑えることが大切です。

魚・大豆食品・野菜・食物繊維を積極的に摂る

サバ・イワシ・サンマなどの青魚に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、中性脂肪を低下させ、HDLの改善に寄与することが知られています。大豆食品(豆腐・納豆・味噌)に含まれる植物性タンパク質も脂質代謝の改善に役立ちます。野菜・きのこ・海藻・豆類に含まれる食物繊維は、コレステロールの腸管吸収を抑える働きがあります。毎食の食事に意識して取り入れてみましょう。

おうち病院の特化型外来

診療科目

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