「健康診断で肥満またはメタボを指摘された」「高血圧と言われた」「高血圧になるリスクが心配」など、肥満と高血圧の関係に不安を抱く方は多いのではないでしょうか。
この記事では、肥満と高血圧の関連とリスクを解説します。
合わせて、その対処法もお伝えしますので、ぜひ今後の参考にしてください。
この記事でわかること
- 肥満、特に内臓脂肪型肥満は、高血圧や動脈硬化を発症するリスクを2〜3倍に高める
- 肥満が高血圧を引き起こすのは、塩分・水分コントロールの異常や、インスリンの働きが悪くなることなどが原因
- 高血圧を放置すると、脳卒中や心臓病、腎臓病など、命に関わる重篤な合併症のリスクが高まる
- 治療は、食事・運動による生活習慣の改善が基本で、重症度に応じて薬物療法も併用する
目次
肥満と高血圧の密接な関係
肥満、特に内臓周りに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」の方は、そうでない人に比べ、高血圧を発症するリスクが約2〜3倍にも跳ね上がります。どのような関連性があるのか、見ていきましょう。
塩分と水分のコントロール機能の異常
肥満の方は、食生活において自然と過食になりがちです。それが肥満の直接の要因にもなりえますが、過食にともなう塩分(ナトリウム)の摂取量過多も要因のひとつです。
塩分の摂取量もどうしても多くなりがちで、その時塩分と水分のコントロール機能の異常が起こります。体内のナトリウム濃度が高まると、それを薄めようと水分が血管内に引き込まれ、血液の総量が増加します。
これにより、血管にかかる圧力が上がり、血圧が上昇するのです。
インスリンの働きと腎臓への影響
内臓脂肪が増えるとインスリンの働きが悪くなり、腎臓へ影響して、血圧を高くします。
インスリンとは、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる唯一の物質です。食事によって上昇した血液中のブドウ糖(血糖)を、筋肉や肝臓などへ取り込ませたり、グリコーゲンや脂肪として蓄えたりすることで血糖値を安定させる働きがあります。
インスリンの働きが悪くなる(インスリン抵抗性)状態になり、それを補おうとインスリンが過剰に分泌されます(高インスリン血症)。
過剰なインスリンによって、排泄されるはずのナトリウムが腎臓で再吸収されやすくなり、血液中のナトリウム濃度が上昇します。これにより、さらに血液量が増えて血圧が上がります。
さらに、インスリンは交感神経系を刺激し、血管を収縮させる働きのあるカテコールアミンというホルモンを分泌させます。これも血圧を上昇させる原因のひとつです。
脂肪が「血圧を上げるホルモン」を出す
肥大した脂肪細胞からは、アンジオテンシノーゲンなど、血圧を上げる作用を持つ物質が分泌されます。通称「血圧を上げるホルモン」とも呼ばれています。
血圧を上昇させるホルモンには、アドレナリン・ノルアドレナリン、アルドステロン、アンジオテンシンIIなどがあります。
アドレナリン・ノルアドレナリンは血管を収縮させ、アルドステロンとアンジオテンシンIIは体内のナトリウムと水分を増やして血圧を上げます。
このうち、脂肪細胞から分泌されるアンジオテンシンノーゲンは、主に肝臓で作られるタンパク質で、血圧を上昇させる「レニン・アンジオテンシン系」というホルモン経路の出発物質です。
この経路では、レニンがアンジオテンシノーゲンを分解してアンジオテンシンIになり、それがさらにアンジオテンシンIIに変換され、血管を収縮させて血圧を上昇させます
高血圧がもたらす命の危険度
高血圧は、血管を老化させ、動脈硬化へと繋がります。命を脅かすことにもなりかねないので、進行を食い止めねばなりません。その危険度を確認していきましょう。
高血圧から来る合併症のリスク
高血圧の最大の危険性は、自覚症状がないまま全身の血管を傷つけ、最終的に重篤な合併症を引き起こすことです。そのため、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれています。
特に、肥満と高血圧が重なると、動脈硬化の進行は急激に加速します。放置すると、以下のような重篤な病気のリスクが急激に高まります。
| 危険な病気 | 概要 |
| 動脈硬化の進行 | 高い血圧が血管の壁に常に負担をかけ、血管を硬く狭くする。肥満は動脈硬化を加速させるため、非常に危険 |
| 脳卒中(脳梗塞・脳出血) | 動脈硬化の進行により、脳の血管が詰まる(脳梗塞)または破れる(脳出血)の恐れ。麻痺や言語障害、最悪の場合は命に関わる |
| 心臓病(心不全・心筋梗塞) | 高い血圧に抵抗して心臓が働きすぎるため心臓が肥大し機能が低下(心不全)。心臓を養う血管が詰まる心筋梗塞のリスクも高まる |
| 腎臓病(慢性腎疾患) | 腎臓の細い血管が高血圧によって傷つけられ、腎臓のろか機能が低下(慢性腎疾患)。進行すると透析が必要になる場合もある |
また、肥満と高血圧は、糖尿病や脂質異常症とも深く関連しています。これらが重複すると動脈硬化の進行はさらに加速され、上記のリスクが何倍にも跳ね上がります(メタボリックシンドロームの状態)。
それはただの「肥満」ではなく「肥満症」かもしれません
その「肥満」の悩み、もしかしたらそれは「肥満症」かもしれません。
肥満とは、ただ太っている状態、肥満症は治療が必要な病気です。
肥満症と診断された場合、治療は保険適用となります。
もし自分が当てはまるかな?と思ったら、しっかり治療にのぞみましょう。
肥満症の診断基準は、以下の通りです。
- BMIが25以上で肥満に関連する11の健康障害のうち1つ以上有する患者
- 健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合
(腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上のいわゆるメタボリックシンドロームの判断基準)
BMIが35以上では、高度肥満症と診断されます。
BMIとは肥満度を判定するための国際的な体格指数のことです。
<計算式>
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
肥満に関連する11の健康障害(合併症)は以下の疾患です。
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病
また、高血圧の診断基準は以下の通りです。
- 診察室血圧が最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上
- 自宅で測定する家庭血圧の場合は最高血圧135mmHg以上または最低血圧85mmHg以上(目安)
これらの基準値は、日本高血圧学会など複数の専門機関で定められており、将来の脳卒中や心臓病などのリスクとの関連性に基づいています。
参照元:一般向け「高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)」|日本高血圧学会
【ドクターおすすめ】肥満解消と高血圧改善のための治療法
肥満解消と高血圧改善のためのおすすめの治療法を解説します。
どれかひとつということではなく、下記の4つを並行して行っていくのが最も改善しやすい治療です。詳しく確認していきましょう。
肥満解消を目標にした食事療法(栄養指導)
血圧を下げる最も確実な一歩は、減量です。
まずは現在の体重の5%〜10%の減量を目指しましょう。体重が1kg減るだけで、血圧は約1〜2mmHg下がるとされています。また、降圧剤の効果も高まることが報告されています。
塩分の摂取を控えましょう。高血圧対策の基本です。1日あたり6g未満を目標に、加工食品、麺類の汁、漬物などを控えてください。また、塩分や糖質を減らすだけでなく、野菜や海藻類・きのこ類・魚や豆類など良質なタンパク質を取り、バランスの良い食事を心がけましょう。
これらを1人でやるのは困難かもしれません。医療が介入することで、医師か管理栄養士がしっかり指導しサポートもしてくれます。
適度な有酸素運動や生活改善など運動療法・行動療法
食事のほか、生活習慣を見直して行動を改善し、痩せる行動を身につけていきます。また、適度な有酸素運動などを取り入れて体を動かす習慣を身につけます。
運動は、減量効果だけでなく、それ自体が血圧を下げる効果があります。
おすすめは、ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を、毎日30分以上、または週に合計180分以上(例:1時間×3日など)行うことを目標にしましょう。
激しい運動よりも、無理なく毎日続けられることが重要です。
運動を習慣にしていくには、医療のサポートを受けながらも本人の覚悟と努力も必要です。
薬物療法(重症度に応じて)
生活習慣の改善で目標の体重・血圧に達しない場合や、すでに動脈硬化が進んでいる場合は、降圧薬による治療を並行して行います。
ただし肥満による高血圧の場合、体重を減らすことで薬が効きやすくなる、あるいは薬の量を減らせる可能性が高まるため、減量の薬を用いる場合があります。
肥満症治療や肥満を伴う高血圧に使用される主な薬は以下の通りです。
| 薬の種類 | 作用 | |
| 降圧剤(血圧を下げる薬) | ARB (アンジオテンシンII受容体拮抗薬) | 血圧を上げる物質アンジオテンシンIIの作用を阻害することで血圧を下げる薬。肥満を伴う高血圧患者へも有効 |
| ACE阻害薬 (アンジオテンシン変換酵素阻害薬) | 血圧を上げる物質アンジオテンシンⅡの生成を抑え、血管を広げて血圧を下げる薬。肥満を伴う高血圧患者へも有効 | |
| 肥満症治療薬 | GLP-1受容体作動薬 (ウゴービ) | 脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制、胃の運動を抑え満腹感を持続 |
| 持続性GIP/GLP-1受容体作動薬(ゼップバウンド) | インスリン分泌を促すGIPと食欲を抑えるGLP-1の両方の作用を持つ。血糖値改善効果、食欲抑制・満腹感の持続 | |
| 漢方薬 | 大柴胡湯(だいさいことう) | 内臓脂肪型肥満の方に向いている。ストレスによる自律神経の乱れを整え、食欲をコントロールし、脂肪代謝を促す |
| 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) | 腹部に皮下脂肪が多い方に向いている。 脂肪分解・燃焼の促進、便通改善、利尿作用、肥満に伴う症状でよくある高血圧や肩こり、むくみなどに効果あり |
ただし、これらを組み合わせる場合は、禁忌事項等を考慮し医師が判断して処方します。自己判断で絶対に組み合わせないでください。
定期的なモニタリング
肥満症治療、及び高血圧の治療では、定期的なモニタリングを行います。
経過観察が最も重要なため、定期的な通院を推奨しています。特に薬物療法を取り入れたばかりの時は、薬が合っているか様子を見たり、用量を調節したりしなければなりません。
個々の患者さんによって頻度は様々ですが、最初は2週間に1回程度、安定してきたら1ヵ月に1回程度と徐々に感覚を開けていくのが一般的です。
医師に指定された次の受診はできる限り守りましょう。自己判断で通院をやめてしまうなどすると、危険リスクが高まるので絶対やってはいけません。
肥満と高血圧改善の治療相談が可能な医療機関
肥満と高血圧改善の治療が可能な医療機関について、確認してみましょう。
生活習慣病外来・肥満症外来など専門外来がおすすめ
高血圧の場合、内科または循環器内科が通常ですが、肥満を伴う場合は、肥満と生活習慣病の専門である、生活習慣病外来・肥満症外来がおすすめです。
まずはかかりつけの内科を受診しても良いでしょう。専門的なサポートが必要なら紹介される可能性もあります。
専門的な検査やサポートが必要な場合は、循環器内科または内分泌・代謝内科で検査を行い、後の継続治療を肥満症外来という組み合わせも良いでしょう。
多忙だけと高血圧を改善したいならオンラインクリニック肥満症外来
現代ではオンラインクリニックも増えてきました。
多忙で通院が難しい方にはこちらがおすすめです。健康診断で再検査になった場合、専門的な検査は対面診療で行う必要がありますが、その後の治療はオンラインクリニックでも可能です。
特に肥満を伴う高血圧の場合は、オンラインクリニック肥満症外来がおすすめ。
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肥満症治療なら「おうち病院Privateシリーズ きちんと向き合う肥満症改善外来」
肥満や過体重は、高血圧・糖尿病・脂質異常症など、さまざまな生活習慣病のリスク因子となります。運動や食事に気を配っているつもりでも、加齢やホルモンバランスの変化、ストレスなどの影響で、思うように体重が落ちないと感じている方も多いのではないでしょうか。
そのような方には、医師の継続的な診察とサポートを受けながら、医療的介入(薬物治療)と生活習慣の見直しを組み合わせた治療が推奨されます。
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✅ リバウンド防止にも対応:体重減少後も、生活習慣改善の継続支援あり
✅ 平日・土日祝すべて対応:朝8時〜夜22時まで診察可能
✅ 診察後、薬はご自宅に配送:通院不要で治療継続がしやすい
✅ 予約時間ぴったりに診察開始:出社前、会議の合間、就寝前など、スキマ時間で受診可能
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なお、初回受診時には医師が正確に状態を把握するため、「健康診断書」または「体重計測結果の画像」のご提出が必要です。ご予約の前にご用意いただくようお願いいたします。
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