性交渉における避妊の失敗や望まない妊娠を防ぐために、アフターピルは処方されるものです。しかし、具体的にどのくらいの確率で妊娠を阻止できるのかわからないというケースもあるでしょう。
また、アフターピルの処方を望む場合にオンライン診療は活用できるのかという点に悩む方もいるのではないでしょうか。そこで、本記事ではアフターピルの仕組みや具体的な避妊率にふれていきます。また、そもそもの避妊方法やオンライン診療の活用方法も詳しくみていくため、参考にしてみましょう。
アフターピルをオンライン診療で受け取りたい方はおうち病院オンライン緊急避妊外来を活用してみてください。
目次
アフターピルの概要
アフターピルは、避妊に失敗した場合に服用する妊娠阻止用のピルです。経口避妊薬として知られる低用量ピルとは次のような違いがあります。
種類 | 内容 |
経口避妊薬(低用量ピル) | 毎日服用するもの。卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含む |
アフターピル | アフターピルは性交渉後の緊急時に服用する。24時間以内の服用が最も効果が高く、72時間以降は効果が下がる。 成分は、黄体ホルモンのレボノルゲストレルかウリプリスタール酢酸エステルが主。ただし、ウリプリスタール酢酸エステルが主なものは認可されていないため、現状はレボノルゲストレルが主流。 |
アフターピルは緊急時に服用するピルであり、迅速に服用するほど妊娠阻止率が高まります。とくにノルレボやレボノルゲストレルを処方された場合は、3日(72時間)が高い効果を維持できる目安です。
アフターピルが妊娠を阻止する仕組み
アフターピルが妊娠を阻止できるのは、排卵の抑制・着床の阻害・子宮内膜の増殖の阻止といった動きを行うためです。排卵前・排卵後どちらでもアフターピルで、妊娠の条件である子宮への着床を防ぐことで望まない妊娠を防止します。
また、受精の阻害・子宮内膜の剥離などが強制的に起きる体内環境に変化させるため、妊娠を防止できる仕組みになっているといえます。
アフターピルの種類と避妊率
アフターピルの避妊率は、次のように処方されるピルの種類によって大きく異なります。
・ノルレボ、レボノルゲストレル・・・現在、主流となっているアフターピル。行為後、1錠を服用する。妊娠阻止率は80%以上、避妊率は99%。24時間以内の方が効果が高く、72時間が使用の目安。72時間経過後は60%程度の避妊率になる
・プラノバール(ヤッペ方法)・・・1977年から使用されているアフターピル。一度服用したあと、12時間後(計2回)に服用する。妊娠阻止率は70%以上。ただし、48時間~72時間になると30%前後まで減少する
・エラワン・・・日本では未認可のアフターピル。BMIが高い場合も使用でき、副作用も強くない。また、効果の持続期間が長く120時間程度であれば避妊率は9割を超える
※妊娠防止率は生理周期的に妊娠しやすい時期に服用した際の防止率。
避妊率は、生理周期に関係なく服用した際の防止率。
どのようなアフターピルが処方されるのかは、受診する医療機関によって異なるものの、どのパターンでも早めの服用によって妊娠を阻止できる確率が高まります。
また、エラワンに関しては処方してくれるクリニックがある程度限られる点に注意が必要です。そのため、現状ではレボノルゲストレルかノルレボのどちらかになることが多い点は知っておきましょう。
アフターピルの服用方法と飲むタイミング
アフターピルは、ぬるま湯か水で薬剤を呑み込むことで服用できます。しかし、プラノバールだけは処方後・12時間後に2錠ずつ計4錠服用しなければならない点は知っておきましょう。
服用する際は、アルコールや炭酸飲料・グレープフルーツジュースなどは推奨できません。アフターピルの成分の分解作用を弱めるため、より強く薬の影響が出てしまう可能性があるためです。とくに、服用後の副作用で、吐き気からおう吐してしまうと、成分が体に吸収されないためアフターピルを飲んだ意味がなくなってしまいます。
アフターピルを飲むタイミングに関しては、処方されたその場で構いません。オンライン診療でも薬局や店舗で受け取ることができるため、性交渉後24時間や72時間、120時間という目安を意識しつつ、受け取ったら迅速に服用しましょう。
アフターピル服用後の副作用について
アフターピル服用後に副作用が出るかどうかについては、人によって異なります。必ずしも副作用が出るわけではないものの、次のような症状が表れる可能性がある点は知っておきましょう。
1.頭痛
2.吐き気・おう吐
3.胃腸障害や神経系障害
4.子宮からの出血
5.眠気
この中でも、2時間経たずにおう吐してしまった場合は飲み込んだ成分がまるごと無くなっていると想定されます。そのため、再度処方してくれた医療機関に相談しつつ、アフターピルを服用することが大切です。
避妊に失敗しないために必要なこと
ここからは、避妊の具体的な方法についてみていきましょう。アフターピルだけでも高い避妊率があるものの、あくまでも緊急時に使用するものという位置づけです。
そのため、正しい避妊方法を知り、アフターピルを使用しなくてもよい状況と環境をつくりましょう。
正しい避妊方法を理解する
正しく妊娠を防げる避妊方法は、ある程度決まっています。そのため、よくある誤った知識と避妊方法では妊娠を阻止することはできません。例えば、「生理中は妊娠しない」「膣外射精すれば妊娠しない」などといった知識は誤りです。
望まない妊娠を防ぐためには、避妊率を高める次のような方法を取り入れていきましょう。
避妊方法 | 概要 |
経口避妊薬(低用量ピル、OC) | 卵巣ホルモンと黄体ホルモンを含むビル。継続して服用することで90%以上の避妊率となる。月経困難症や過多月経にも効果を発揮する。医師による処方が必要 |
コンドーム | 男性器に被せるゴム製の避妊具。女性用もある。上手く利用できれば、80%以上の避妊率がある。薬局・コンビニ・店舗で購入できる |
IUD(子宮内避妊具) | 膣内にいれるプラスチック製の器具。90%以上の避妊率となる。位置がズレる可能性もあるため、定期的な診察が必要だが薬を併用する必要がない。 |
IUS(新型子宮内避妊リング) | 数年間にわたり、黄体ホルモンを出し続ける器具。生理痛や出血も少なくする。避妊率は90%割以上 |
不妊手術 | 外科手術が必要。卵管の切断、精管を糸で結ぶ |
不妊手術以外は、どの方法でも望んだタイミングで妊娠できる可能性が残されている方法だといえます。また、普段の生活から避妊を意識した対処を行うことで望まない妊娠を防ぐことが可能です。
上記で挙げた方法とアフターピル以外の方法では、正しい避妊方法ではない可能性が高いため、正しい避妊方法を知り、取り組みやすいところから取り組んでいきましょう。
避妊に関するデマ情報に気をつける
誤った避妊に関する情報の代表的なものには、次の項目が挙げられます。避妊に関するデマ情報は、信頼性がなく、確率の高い避妊は不可能であることを知っておきましょう。
・膣内洗浄
・膣外射精
・日数に関するもの、精神的なもの
日数に関するデマでは、妊娠しづらい期間のことを安全日と呼びます。しかし、妊娠までの過程を知れば 、女性が妊娠しない日はありません。加えて、男性に関しては、射精前のカウパー液にも精子が含まれているため、性交渉を行った場合、いつでも女性を妊娠させる可能性があるといえます。
アフターピル服用後に妊娠を阻止できたか確認する方法
アフターピルの服用後に、妊娠を阻止できたかどうかは次の3つの方法で確認することが可能です。どれも確認する目途としては、3週間後で問題ありません。
1.色として茶色に近い消退出血があるかどうか
2.妊娠検査薬の反応があるかどうか
3.産婦人科による超音波検査
消退出血と妊娠検査薬は、自分の体の状態を自分で判断する必要があります。 しかし、妊娠が確実に防げているかどうかは産婦人科による検査でしかわからないのが実情です。
妊娠検査薬も上手く使用できなければ、そもそも妊娠しているかどうかを判断できません。また、子宮外に着床してしまう子宮外妊娠では、適切な治療が必要になります。そのため、確実な判断を下したい場合は、アフターピルの服用後、産婦人科による超音波検査を受けましょう。
オンライン診療でアフターピルを受け取るには
オンライン診療においても、アフターピルを受け取る方法は概ね対面診療と変わりません。しかし、Webサービスのためアカウント登録が必要になり、問診はビデオ通話で行われる点は異なります。
問診・診療まで
オンライン診療を受診する場合、Webサイトへのアカウント登録が必要です。メールアドレス・性別・氏名・生年月日などの情報を入力します。おうち病院オンライン緊急避妊外来の場合、アプリ等のインストールは不要です。
診断・処方を申し込む際は受診するクリニック、診療科、診療時間、処方箋を受け取る薬局を選択します。アフターピルの処方を希望する場合、診療科は緊急避妊外来を選択し、診療時間を予約する際は、処方箋が発行されるタイミングも加味しましょう。
問診はビデオ通話によって行われ、予約時間の5分前からビデオ面談のルームで待機できます。自覚症状や気になる点などについて、担当医師に詳しく伝えることが大切です。
処方箋発行と薬の受け取りまで
おうち病院オンライン緊急避妊外来では、発行された処方箋はサイト上のマイページに送信されると同時に、事前に登録した最寄りの連携薬局店舗へ自動的にFAX送信されます。薬の準備ができれば薬局から電話連絡があり、その後は都合の良いタイミングで受け取ることが可能です。
オンライン診療でアフターピルを処方してもらう場合は、薬局で受け取る際に服薬指導があります。その後、薬剤師のサポート下で確実な服薬を行うため、服用時の不安を無くすことが可能です。
不安な場合はアフターサポートを利用する
薬の服用後に不安が生じた際は、オンライン医療相談にて「緊急避妊薬(アフターピル)服用後サポート」を受けられます。些細なことでも気になる点があれば、相談して不安を解消しましょう。
スムーズな発行から受け取りまで可能なおうち病院オンライン緊急避妊外来を活用してみませんか。
アフターピルの服用時・服用後の注意点
アフターピルには複数の種類があるものの、いずれも100%の避妊効果が見込めるわけではありません。そのため、服用を始めてから約3週間後を目安に産婦人科で対面診療を受診し、避妊ができているかどうか確認してもらうことを推奨します。
ここからは、患者が服用時に注意しなければならない点をみていきましょう。
必ず72時間以内に服用する
アフターピル服用による避妊効果は性行為から服用までの時間が早いほど効果が高いため、効果を期待する場合、性交渉のタイミングから72時間以内のなるべく早いタイミングで服用する必要があります。臨床結果では、72時間を越えても効果は認められると言われておりますが、産婦人科学会の出しているガイドラインでは、72時間以内での服用が効果を期待できる時間として推奨しています。
医療機関によっては、性交渉から5日以内であれば避妊効果が見込める薬も用意されています。万が一性交渉から72時間以上経過した場合は相談・検討しましょう。
服用後2時間以内は吐かないように気をつける
アフターピルの代表的な副作用のうち、吐き気・おう吐には注意が必要です。服用後2時間以内におう吐した場合、避妊効果を得られない可能性が高まります。
アフターピルと吐き気止めの併用は可能となっているため、2時間の間は吐き気止めを飲むなどの対処が必要です。仮に、嘔吐してしまった場合は、診療・処方を受けたクリニックや薬局に連絡し、医師や薬剤師の指示に従いましょう。
基本的には、1錠の追加服用にて対処することになります。
生理が確認できるまで性交渉を控える
アフターピルの服用後は、生理が確認できるまでは妊娠の有無が判別できません。避妊効果を高めるには生理による出血、または薬による消退出血がみられるまでは性交渉を控えることが重要です。
多くの場合、アフターピルを服用後遅くても2週間以内には消退出血が起こるとされています。3週間以上出血がみられない場合は、避妊が失敗している可能性が高いため再度クリニックを受診しましょう。
また、経口避妊薬のホルモンが作用して不正出血が起こるケースもあります。生理の経血はドロッとしており、不正出血では経血がサラサラとしているため、しっかり見分けることが重要です。
まとめ
アフターピルの避妊率は、性交渉から早いタイミングであるほど高まります。現在主流となっているノルレボやレボノルゲストレルを希望する場合、可能であれば95%の避妊効果が得られる24時間以内の受診が理想的です。遅くても48時間以内に服用できれば、85%程度の服用効果が得られます。
しかし、アフターピルはあくまでも緊急避妊薬のため、100%避妊できるとは限らない点に注意が必要です。望まない妊娠を防ぐ場合、普段から経口避妊薬やコンドームやIUD、IUSなどの避妊具を使用する習慣をつけましょう。
おうち病院オンライン緊急避妊外来では、女性専門医がいつでもチャットでの医療相談を受け付けています。インターネットで出回っている避妊方法にはデマも多いため、避妊に関して気になる点が少しでもあれば相談してみましょう。