献血に興味はあるけれど受け方を知らない、献血の必要性が分からない、自分が献血を受けられるか不安という方も多いのではないでしょうか。現在の技術では、人工的に血液を作れません。
そのため、基準を満たした人々から献血された血液は輸血用血液製剤として加工され、医療の現場で使用されるという流れとなっています。
そこで、今回は献血が必要とされる理由、献血の流れやメリットなどを詳しくみていきましょう。
目次
1. 献血が必要とされる理由とは
献血はボランティアで血液を提供する行為のことです。献血で提供された血液は、手術やケガなどによって輸血を必要とする人々に使用されます。年間で献血を行っている人数は約500万人、献血量は200万リットルほどです。ちなみに、最も献血を行っている世代は40代であるため今後若年層での献血者を取り込んでいく必要があるといえるでしょう。
献血で提供された血液は、年間で約100万人の人々の輸血に使用されています。輸血のために献血が必要な理由は、医療技術は進歩しているものの、血液は人工的に造れず、長期保存ができないためです。また、献血者の健康を害さないために、1人の方が1年間に献血できる量や回数には上限が設けられています。
そのため、患者に安定して血液製剤を届けるためには、多くの方に継続して協力してもらうことが重要です。献血で集められた血液から、輸血用血液製剤や血漿分画製剤がつくられ、患者の治療に役立てられています。
2. 献血は誰でも行えるのか
結論からいうと、献血は誰でも行えるものではありません。献血者の健康を守り、患者に安全な血液を届けるために、さまざまな基準が設けられているためです。
それぞれの献血の基準は、以下の通りとなります。
出典)厚生労働省HP・献血について知りたい>献血基準より引用掲載
献血は全血献血と成分献血の2種類に分かれます。
全血献血は血液中のすべての成分を献血する方法で、400ml・200ml献血があります。輸血の回数が減少する・輸血者の負担が軽減するため、400mlの献血がある点は知っておきましょう。
成分献血は血小板成分献血と血漿成分献血に分けられます。成分採血装置を使用し、特定の成分のみを採血し、赤血球を再び体内に戻す方法です。そのため、成分採血は身体への負担が軽いというメリットがあります。
3. 献血できない方とは
以下の事項に該当する方は、献血を行うことができません。当日の体調や睡眠不足なども影響してきます。
- 当日の体調不良、服薬中、発熱等の方
- 出血を伴う歯科治療を受けた方
- 一定期間内に予防接種を受けた方(1年)
- 6カ月以内にピアスの穴をあけた方
- 6カ月以内にいれずみを入れた方
- 外傷のある方
- 動物または人にかまれた方
- 特定の病気にかかったことのある方
- 海外旅行者および海外で生活したことがある方(帰国後、4週間以内の方)
- 輸血液・臓器移植歴のある方
- エイズ、肝炎などのウイルス保有者、またはそれと疑われる方
- クロイツフェルト・ヤコブ病の方、またはそれと疑われる方
- 妊娠中、授乳中などの方
- 新型コロナウイルスの検査を受けた、診断されたなどの方
項目に該当しない場合でも、最終的な献血可否の判定は当日の採血現場の医師に総合的に判定されます。
4. 献血のメリット
献血のメリットは以下の3つです。
- 血液検査が無料で受けられる
- 健康診断ではわからない項目が把握できる(併用できる)
- 血液中の異常値が把握できる
この中でも脂質や白血球・赤血球の数量は、献血における血液検査でも把握できます。 健康診断と併用した場合、体内の血液の状態を詳しく知ることができます。
また、場合によっては献血と同時にB・C型肝炎や梅毒検査など行い、異常があった場合にお知らせするサービスもあるため、利用してみましょう。生化学検査と血球計算検査では検査できる項目が異なることから、サービス利用時はよく説明を聞くことが大切です。
献血でわかる項目は以下のようなものが代表的です。
・ALB(アルブミン)
血清蛋白の50%以上を占める物質。栄養のバランスが崩れると値が減少する
・CHOL(コレステロール)
血液中の脂質の1つ。多くなるほど、動脈硬化のリスクが高まる
・WBC(白血球)
免疫機能として働く物質。細菌による感染症では増加、ウィルスによる感染症では減少する傾向がある。
5. 献血の流れ
献血は赤十字血液センターや献血バスで行えます。以下で具体的な順番をみていきましょう。
1.受付
受付を行う際は顔写真、生年月日、氏名が揃っている書類を用意しましょう。例えば、パスポート、運転免許証、マイナンバーカードなどがあれば問題はありません。毎回準備する必要はないものの、初めて献血を行う場合は必要になります。
2.問診表の記入
問診票を記入後、血圧・体温測定、採血当日の体調などを調べます。問診結果で問題が無かったとしても体調不良の場合、貧血となる可能性もあるため、採血を行わないケースも想定されるでしょう。
加えて、ヘモグロビンの量や血液型もこの段階で判別します。
3.採血実施
全血献血(200ml・400ml)か成分献血(血小板成分献血・血漿成分献血)を行います。献血にかかる時間は10~90分で、成分献血の方が長い点は知っておきましょう。体への負担を考慮する場合は、成分献血の方が負担が軽いといえます。
4.休憩
水分を取ったうえで10分以上の休憩を行いましょう。この間に、体調不良やめまい、吐き気などがある場合はすぐに近くの職員に相談することが大切です。
5.終了
献血終了時は、献血カードを渡されます。また、次回献血を行う際は献血カードによって本人確認が行えるようになります。次回の献血が可能な日付もわかるため、受ける際の目安にしてみましょう。
献血後は、めまいや気分が悪くなるのを防ぐために、激しい運動や2時間以内の入浴はさけることをおすすめします。
6. まとめ
献血は手軽にうけられる検査の1つです。無料で受けられるだけでなく、検査項目は健康診断の項目とも重複することから、自分の血液の状態を知ることができます。
しかし、献血は誰でも受けられるものではなく、様々な条件をクリアしなければなりません。健康状態と照らし合わせたうえで行うことをおすすめします。
そして、献血によって自分の血液の状態を知っても、相談できる場所がない・相談しにくいといった場合はオンラインを活用して相談するサービスを活用してみましょう。
また、血液の状態から「今すぐ診察を受けたい」「処方箋をすぐに発行してほしい」方はオンライン診療を活用してみてください。