健康診断で血圧が引っかかる原因は?リスクや対策を解説

健康診断で血圧が引っかかる原因がわからず、お悩みの人がいるのではないでしょうか。

原因がわからないと、適切な対処ができず、改善につながりません。

本記事では、健康診断で血圧が引っかかる原因、リスクや対策を解説します。

健康診断のときに高血圧で引っかかる原因は?

高血圧とは、最大血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、もしくは最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上の場合を指します。高血圧になると、手足のむくみや息切れ、動悸などの症状が現れます。

高血圧のおもな原因は以下の通りです。

  • ・遺伝
  • ・ストレス
  • ・生活習慣
  • ・加齢
  • ・疾患

専門医に相談の上、原因に応じて正しい治療方法を選択し、高血圧を治療しましょう。

遺伝

高血圧には、原因なく起こる本態性高血圧と、なんらかの原因で血圧が高くなる二次性高血圧の2種類があります。本態性高血圧の場合、生活習慣だけでなく、遺伝が関係して起こる可能性があります。遺伝因子が高血圧に起因する割合は30〜70%と言われています。

ストレス

ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、血圧が上がりやすくなるとされています。特に社会的・心理的なストレスを抱えると、発症するリスクが2倍以上高まる可能性があります。

生活習慣

食塩の摂り過ぎは、高血圧になるリスクを高める1つの要因です。摂取した食塩の影響により、塩分濃度が高くなった血液を薄めるため、血管に水分が集まります。そのため、1回で押し出す血液量が増加し、血圧が高くなるおそれがあります。

加齢

年を重ねると、血管の弾力性が低下し、血管が収縮しにくくなります。そのため、強い圧力をかけて血液を流そうとする作用がはたらき、血圧が高くなる可能性があります。

特に、心臓が収縮して血液を送り出す際の最大血圧(収縮期血圧)が高くなるため、注意しておく必要があるでしょう。

疾患

甲状腺機能障害や原発性アルドステロン症などの疾患が原因となり、二次性高血圧(なんらかの病気が原因となって起こる高血圧)が起こる可能性があります。また、合併症で腎機能の低下が起きる場合も、高血圧が進行するとされています。

健康診断のときに低血圧で引っかかる原因は?

低血圧とは、最大血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下、最低血圧(拡張期血圧)が60mmHg以下の状態を指します。男性より、子どもや女性に多く見られる疾患です。

低血圧になると、食欲不振や頭痛、めまいや立ちくらみなどが起こります。

低血圧のおもな原因は以下の通りです。

  • ・遺伝
  • ・疾患

さまざまな疾患や遺伝因子が原因となり、低血圧が起こる可能性があります。原因に応じて適切な治療を行いましょう。

遺伝

低血圧の人のほとんどが、原因なく起こる本態性低血圧であるとされています。本態性低血圧の場合、遺伝因子が関係している場合が多いと言われています。

疾患

なんらかの病気がきっかけで低血圧になる場合があります。原因となるおもな疾患は以下の通りです。

  • ・呼吸器疾患:慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症、肺梗塞
  • ・内分泌疾患:甲状腺機能低下症、下垂体疾患、アジソン病
  • ・神経疾患:糖尿病性神経症、ギランバレー症候群
  • ・薬物性:向精神薬、麻酔薬、利尿薬
  • ・その他:脱水、出血

低血圧を改善するには、原因となる疾患を治療する必要があります。

高血圧や低血圧を放置するリスク

高血圧や低血圧を放置すると、さまざまな疾患が起こるおそれがあります。最悪の場合、重篤な健康被害が生じ、死に至ることもあるため、早期治療が大切です。

高血圧を放置するリスク

高血圧を放置すると、以下の疾患が生じる可能性があります。

  • ・心疾患
  • ・脳血管障害
  • ・高血圧性網膜症
  • ・腎不全

いずれの疾患も、放置すると死亡リスクが高まります。健康的な生活を送るためにも、早期治療を行いましょう。

心疾患

高血圧により、血管の状態が悪くなると、心臓にも負担がかかります。その結果、高血圧によって起こる高血圧性心疾患が生じる可能性があります。

特に注意すべきなのは、心肥大です。高血圧を放置し、動脈硬化が進行すると、心臓の左心室に負担がかかります。負担がかかると、心臓の壁が肥大し、心不全に発展して死に至る場合もあります。

また、冠動脈(心筋へ血液を送る役割を担う脈)が詰まる冠動脈心疾患も注意が必要です。これらの心疾患は心筋梗塞や心不全、狭心症などのリスクを高めるため、早期治療が必要です。

脳血管障害

高血圧を放置すると、血管が硬くなり、脳に栄養や酸素が行き渡りにくくなります。そのため、脳に深刻な影響が生じ、脳卒中が引き起こされる可能性があります。

脳卒中には脳出血や脳梗塞、くも膜下出血が含まれます。いずれも発見が遅れると、命の危険につながります。

高血圧性網膜症

高血圧を放置すると、網膜の出血や白い斑点、むくみなどが起こる高血圧症網膜症が起こります。

高血圧症網膜症が進行すると、網膜剥離が起こり、視力低下だけでなく失明につながるリスクがあります。

腎不全

高血圧により、動脈硬化が進行すると、ろ過機能が低下します。機能が衰えると、腎不全や腎硬化症などの疾患へつながる可能性があります。

これらの疾患にかかると、体内の老廃物が排出できなくなり、人工透析による治療が必要になるでしょう。状態が悪化するほど、血圧が高くなるため、早期治療が必要です。

低血圧を放置するリスク

低血圧を放置すると、以下の状態になる可能性があります。

  • ・低血糖
  • ・線維筋痛症

いずれも日常生活に支障が出る可能性があります。症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

低血糖

低血糖になると、脳に影響が及び、ふらつきやめまいなどが起こります。また、記憶障害や認知障害、発汗やけいれんなども起こりうるでしょう。

線維筋痛症

線維筋痛症になると、全身に痛みが生じ、疲労感が続く可能性があります。進行すると、慢性疲労症候群や筋痛性脳症が起こり、睡眠障害や疼痛などが起こるおそれがあるでしょう。

血圧が引っかかった際の検査方法

健康診断で血圧が引っかかった場合、臓器がどのぐらいの影響を受けているかを確認しなければなりません。そのための手段として、以下の検査を行う必要があります。

  • ・心電図:心肥大や虚血、不整脈の有無を調べる
  • ・胸部レントゲン:心肥大や心不全の有無を調べる
  • ・心エコー:心肥大や心機能、弁膜症を調べる
  • ・尿検査:腎臓への負担や腎臓病の有無を調べる
  • ・血液検査:脂質異常症や糖尿病の有無を調べる
  • ・脈波伝播速度:全身の動脈の柔軟性を評価し、動脈硬化の進行具合を調べる

いずれも内科や循環器内科などを標榜している医療機関で受診できます。血圧の結果に応じて、適切な検査を受け、自身の健康状態を確認しておきましょう。

高血圧や低血圧を治療する方法

高血圧や低血圧を治療する方法を解説します。それぞれに該当する人は、適切な方法で治療していきましょう。

高血圧を治療する方法

高血圧を治療するために、生活習慣を改善しても血圧がなかなか下がらない場合、降圧薬を服用しなければなりません。おもな降圧薬は以下の通りです。

  • ・利尿薬:血管から食塩と水分を抜き、血圧を下げる
  • ・β遮断薬:心臓の過剰な作用を抑制し、血圧を下げる
  • ・カルシウム拮抗薬:血管を拡張し、血圧を下げる
  • ・ARB・ACE阻害薬:血管を収縮させる体内の物質を阻害し、血圧を下げる

注意しなければならない点は、副作用が起こりうる点です。服用後、めまいや立ちくらみ、蕁麻疹などのアレルギー症状が起こる可能性があります。これらの副作用が起きた際には、必ず医療機関を受診し、専門医に相談しましょう。

低血圧を治療する方法

低血圧を治療するためには、昇圧剤を服用しなければなりません。昇圧剤には、心臓から出る血液量を増加させて血圧を上げる作用と、血管を収縮させて血圧を上昇させる作用の2つがあります。

副作用としては、頻脈や不整脈、興奮状態や不眠を引き起こす可能性があります。専門医に相談の上、服用しましょう。

健康診断で血圧が引っかからないようにするための対策

健康診断で血圧が引っかからないようにするためには、日々の生活習慣を改善することが重要です。

おもな対策は以下の通りです。

  • ・運動
  • ・食生活の改善
  • ・肥満の予防や改善
  • ・節酒
  • ・禁煙

上記は誰でも実践できる対策です。専門医に相談しながら、少しずつ実行していきましょう。

運動

毎日30分以上、または週180分以上の運動を行うことが望ましいとされています。たとえば、ジョギングやランニングなどのような有酸素運動がおすすめです。

ポイントは、ややきつい程度にすることです。きつい運動を継続すると、運動中に血圧が上がり過ぎてしまい、逆効果になります。体に負担がかかり過ぎないよう、軽め・短めの運動を心がけましょう。

運動時には、スクワットや腕立て伏せなどのレジスタンス運動や、ストレッチ運動を組み合わせると効果的です。また、日常生活の活動時に、階段を使うなどの工夫を行うとなお良いでしょう。

食生活の改善

食生活では、食塩の摂取量に関して、1日6g未満を維持することが望ましいとされています。本態性高血圧患者では、食塩の摂取量を1日1g減らすことで、平均1mmHg今日の最大血圧の低下が期待できます。

また、減塩対策としては、以下の対策がおすすめです。

  • ・外食や加工品を控える
  • ・低塩の調味料を使用する
  • ・過食を避ける
  • ・麺類の汁を残す
  • ・調味料をむやみに使用しない
  • ・果物の酸味や香辛料、香味野菜を組み合わせる

野菜や果物、多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取すると良いでしょう。一方で、飽和脂肪酸やコレステロールを避けることが望ましいとされています。

肥満の予防や改善

肥満の人は、ダイエットを行い、自己管理をする必要があります。個人差はありますが、3〜4kg減量すると、血圧の低下が期待できるとされています。肥満であるかを判断するための体格指数(BMI)を算出し、BMI25.0未満を目指して減量していきましょう。

BMIは、体重を身長の2乗で割って算出できます。急激に体重を落とすと、リバウンドや体調不良の原因になるため、長いスパンでBMI25.0未満の体重を維持してください。

節酒

アルコール量において、男性は20〜30mL/日以下、女性は10〜20mL/日以下を守ることが望ましいとされています。男性の場合、おおよそ日本酒1合・ビール中瓶1本・焼酎半合・ウィスキー/ブランデーはダブルで1杯・ワインは2杯が1日の適量とされています。

禁煙

自身が喫煙をしないようにするほかに、間接喫煙(受動喫煙)も避けることが望ましいとされています。喫煙者の人は、電子たばこを活用して、少しずつ禁煙習慣を身につけていきましょう。

健康診断で血圧が引っかかる人は「健診サポート」でご相談ください

高血圧、または低血圧を放置すると、さまざまな疾患のリスクが高まります。高血圧の場合は、心疾患や脳血管障害、高血圧性網膜症や腎不全などが起こります。

また、低血圧の場合は、低血糖や線維筋痛症などが起こるリスクが高まるでしょう。

治療しない状態を継続すると、病状が悪化し、死に至るケースもあります。

治療を検討している人がいる一方で、なかなか医療機関を受診できずに悩んでいる人がいます。また、そもそも受診すべき身体状態なのか判断できない人もいるかもしれません。

そんな人におすすめなのが、おうち病院「検診サポート」です。血圧の数値でお悩みの人が、自宅にいながら専門医に相談でき、さまざまなアドバイスが受けられます。

誰でも実践できる改善習慣や、日常生活を送る上で気をつけるポイントをわかりやすく説明してもらえます。医療機関に行く時間がない人や、いち早く専門家の意見が聞きたいと考える人におすすめのサービスです。

検診サポートは、スマホやPCで気軽に利用できるため、忙しい人でも隙間時間で利用しやすいでしょう。自身が健康的な生活を送るためにも、検診サポートを活用してみてはいかがでしょうか。