この記事では、口唇ヘルペスの市販の飲み薬と市販薬を使うときの注意点などについて詳しく解説します。
目次
口唇ヘルペスの飲み薬は市販されていない
口唇ヘルペスの治療に用いる飲み薬は市販されていません。飲み薬を使いたい場合は、病院やクリニックで診察を受けて、診断のうえで処方箋を発行してもらう必要があります。処方箋を持って薬剤師がいる薬局やドラッグストアに行くことで、飲み薬を受け取れます。
なお、塗り薬には市販薬と処方薬があります。また、自身で海外から口唇ヘルペスの飲み薬を個人輸入し、自分で使用することは可能です。ただし、本当に口唇ヘルペスかどうかや、飲み薬を使うべきかどうかなどは自分では判断できないため、まずは医療機関を受診することが大切です。
口唇ヘルペスに効く市販の塗り薬
口唇ヘルペスへの効果が期待できる市販の塗り薬は上記の通りです。それぞれの特徴や効果、用法用量などについて詳しく見ていきましょう。
アラセナS 2g
分類ː第1類医薬品
有効成分ːビダラビン
タイプː軟膏
口唇ヘルペスの原因であるヘルペスウイルスの増殖を抑えるビダラビンが含まれています。また、ワセリンが基剤のため、患部を保護しつつ有効成分を浸透させることができます。早期に使用することで悪化を抑えるタイプの薬で、違和感が生じてから5日以内に使用を開始することが重要です。
アラセナSクリーム
分類ː第1類医薬品
有効成分ːビダラビン
タイプːクリーム
口唇ヘルペスの再発時に使用することを目的としており、口唇周りにピリピリ、チクチク、違和感などを感じた場合に早めに塗布することが推奨されています。使用するタイミングの目安は、毎食後と就寝前です。
アクチビア軟膏 2g
分類ː第1類医薬品
有効成分ːアシクロビル
タイプː軟膏
アシクロビルは、口唇ヘルペスウイルスに対して効果がある成分で、口唇ヘルペスの再発時に使用することが推奨されています。口唇周りにピリピリ、チクチク、違和感などが感じられた場合に、早めに塗布しましょう。
アシクロビル軟膏α 2g
分類ː第1類医薬品
有効成分ːアシクロビル
タイプː軟膏
アシクロビルは口唇ヘルペスの症状を緩和するのに効果的な成分で、再発時の症状を軽減するのに使用されます。ピリピリ、チクチクなどの違和感を感じた場合、1日に3〜5回、適量を患部に塗布します。
5日間ほど使用しても症状が改善しない場合、または悪化する場合は、他の病気の可能性があるため、使用を中止して医師に相談してください。
ヘルペシアクリーム2g
分類ː第1類医薬品
有効成分ːアシクロビル
タイプːクリーム
ヘルペシアクリームは、口唇ヘルペスの再発治療に効果的な成分とされています。クリームタイプの製品で、塗りやすくなっています。5日間ほど使用しても改善が見られない場合は、使用を中止して医師に相談しましょう。
ヒフールAC 2g
分類:第1類医薬品
有効成分:アシクロビル
タイプː軟膏
1g中にアシクロビルが50mg含まれており、ヘルペスウイルスの増殖を抑える作用があります。ピリピリやチクチクなどの違和感を感じたら、早めに塗布することが推奨されています。
医療機関で処方される口唇ヘルペスの飲み薬
医療機関では、口唇ヘルペスの症状によっては飲み薬が処方されます。年齢や体質、現在服用している薬などに応じて、処方する薬を判断します。医療機関で処方される口唇ヘルペスの飲み薬について詳しく見ていきましょう。
ファムビル(ファムシクロビル)
ファムビルは、ファムシクロビルを主成分とする口唇ヘルペスの飲み薬です。ヘルペスウイルスの増殖を抑えることで、症状の早期改善や進行抑制を実現します。
1回に250mgの錠剤を1錠服用します。1日に3回、食事と一緒に服用することが一般的で、通常は5日間程度続けます。
バルトレックス(バラシクロビル)
バルトレックスは、バラシクロビルを主成分とする口唇ヘルペスの飲み薬です。ヘルペスウイルスの増殖を抑えることで症状を改善します。
通常、1回に500mgの錠剤を1錠服用します。1日に2回服用することが一般的で、治療期間は通常5日間です。
ファムビル(ファムシクロビル)
ファムビルは、ファムシクロビルを主成分とする口唇ヘルペスの飲み薬です。ヘルペスウイルスの増殖を抑えることで症状を改善します。初期症状が出現した場合に患者自身の判断のもとで服用を開始します。
通常、1回4錠(合計1000mg)を1日2回、1日間のみ服用することで効果が期待できます。服用のタイミングは、1回目は初期症状が現れたとき、2回目はその12時間後です。あくまでも早期服用による改善を目指す薬のため、すでに悪化した口唇ヘルペスには十分な効果が現れない可能性があります。
口唇ヘルペスの市販薬を使うときの注意点
口唇ヘルペスは、症状の程度によっては市販薬でも改善が期待できます。しかし、口唇ヘルペスだと思ったら市販薬を使用すればよいとは限りません。次の注意点を理解したうえで、市販薬を正しく使いましょう。
用法用量を守る
口唇ヘルペスの塗り薬は、適量を指に取って口唇ヘルペスの発疹や患部に薄く塗ります。塗る前に手をよく洗い、清潔にすることが大切です。
また、薬のラベルや説明書に記載されている使用頻度を守りましょう。通常、1日数回、一定の時間間隔を空けて塗布します。
用法用量を守ることによって、薬の効果が最大限に発揮され、症状が早く改善する可能性があります。反対に用法用量を守らないと、薬の効果が十分に発揮されなかったり副作用が強く現れたりする恐れがあるため、市販薬を使用する際はラベルや説明書の内容に従うことが大切です。
他の薬剤を併用するときは医師・薬剤師に相談する
他の薬剤を併用する場合、口唇ヘルペスの市販薬を使用する前に医師や薬剤師に相談することが重要です。他の薬剤と市販の口唇ヘルペス薬を併用することで、相互作用が生じる可能性があります。これは、薬物同士が互いの効果を増強または減弱させ、予期せぬ副作用を引き起こしたり効果が十分に現れなくなったりするものです。
医療機関を受診し、今使用している薬を医師に伝えれば、相性を考慮して薬を処方してもらえます。また、処方された後に新たに薬を飲む場合も医師や薬剤師に相談しましょう。
なお、飲み薬には処方箋が必要なため、薬剤師に相談した結果、飲み薬の変更が必要であることがわかった際には、医療機関を受診する必要があります。
悪化した場合や改善しない場合は医療機関を受診する
口唇ヘルペスはウイルス感染症であり、症状が悪化する可能性があります。特に、感染が広がってしまった場合や合併症が生じた場合、早急な処置が必要です。症状がひどくなる前に専門医の診察を受けましょう。
また、市販薬を使用した結果、皮膚のかゆみや腫れ、発疹などが生じた場合は薬剤アレルギーの可能性があるため、速やかに使用を中止して医師に相談してください。
その他、口唇ヘルペスの再発が続く場合は、医師に相談してより効果的なケア方法の指導を受けたり飲み薬をもらったりすることをおすすめします。
初めて発症した場合は医療機関を受診する
口唇ヘルペスに初めて感染した場合は、医療機関を受診しましょう。口唇ヘルペスだと思っていても、実際には異なる疾患の可能性があります。市販薬を使用した結果、症状が悪化する可能性もあるため、まずは医師の診断を受けることが大切です。
口唇ヘルペスを初めて発症した場合、症状が重症化する前に治療を開始することが望ましいです。抗ウイルス薬や抗炎症薬などを使用することで、症状の改善が期待できます。
また、口唇ヘルペスは他の人にうつる可能性があるため、診断を受けたうえで感染を広げないための対策方法についてアドバイスを受けましょう。
副作用が現れたときは使用をやめる
口唇ヘルペスの市販薬を使用中に副作用が現れた場合、直ちに使用を中止しましょう。副作用の程度や現れ方には個人差があります。
主な副作用は、かゆみや発疹、かぶれ、腫れなどです。副作用が現れる箇所は薬を塗ったところのみの場合が多いものの、吐き気や頭痛、めまいなどの症状が現れる可能性もあります。塗ったところだけに現れたうえに症状が軽度の場合は、薬の使用を中止して様子を見てもよいでしょう。
しかし、めまいや頭痛などの症状が現れたり、かゆみや腫れなどがひどかったりする場合は、医師の診察を受けることが大切です。
購入できるのは薬剤師がいる薬局・ドラッグストアのみ
口唇ヘルペスの塗り薬を購入できるのは、薬剤師がいる薬局・ドラッグストアに限ります。これは、口唇ヘルペスの塗り薬がすべて第一類医薬品に該当するためです。
医薬品の効果や副作用などに応じて、複数のランクに分類されています。第一類医薬品は医薬品の中で最も厳格な規制が適用されており、誤った使用が健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、薬剤師からの質問に回答し、適正使用であると判断された場合にのみ購入できます。また、用法用量や現在使用している薬との相性、その他の注意点などについても説明を受けなければなりません。
第一類医薬品は他の薬とは異なり、レジ裏のように立ち入れない場所に保管されています。そのため、薬局やドラッグストアの薬剤師に口唇ヘルペスの塗り薬を購入したい旨を伝える必要があります。
口唇ヘルペスの症状・原因
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。単純ヘルペスウイルスには、口唇ヘルペスを引き起こすHSV-1と、性器や下半身を中心にヘルペスを引き起こすHSV-2があります。
口唇ヘルペス(HSV-1)は、一般的に唇や口の周りに発症し、ピリピリ感、チクチク感、むずむず感、熱感、違和感、かゆみなどの症状を引き起こします。風邪や疲労、胃腸障害、ストレス、紫外線曝露、外傷などが原因で免疫機能が低下したり体力が低下した際に、ウイルスが活性化して発症します。
ピリピリ感やチクチク感などが現れてから半日程度で範囲が拡大し、患部が赤く腫れ始めることが通常です。2~3日後に小さな水ぶくれに変化し、この段階で感染力がピークに達します。
通常2週間ほどで、水ぶくれが破れてかさぶたができます。この段階で感染性はなくなり、皮膚組織も回復していきます。
口唇ヘルペスになったときの対応方法
口唇ヘルペスは、いかに適切に対応できるかが悪化するかどうかの分かれ道です。また、対応方法を誤ると、周りの人にうつしてしまう恐れもあります。口唇ヘルペスになったときは、次のように対応しましょう。
患部に触らない
単純ヘルペスウイルスは感染力が強いため、患部に触れた後はすぐに手を洗いましょう。石鹸と水を使用して、手に付着したウイルスを徹底的に取り除きます。触った手で他の部位や物品に触れると、そこに触れた人にうつしてしまう恐れがあるため、手洗い場まではなるべく周りのものに触れないことが大切です。
また、患部に触れたり指でかいたりすることは避けましょう。ウイルスは患部から指先に付着し、他の部位へ広がる可能性があります。
口唇ヘルペスができているところは肌のバリア機能が低下するため、唇を保護するためにリップクリームや保湿剤を使用し、乾燥から守りましょう。ただし、同じリップクリームを共用しないように注意してください。
タオルや食器を共用しない
口唇ヘルペスの水ぶくれに触れたタオルや衣類は、他の人と共用しないようにしましょう。感染のリスクを最小限に抑えるために、専用のタオルや洗濯バッグを使用し、洗濯時にも注意が必要です。
口からの感染リスクを避けるために、口唇ヘルペスが発症している期間中は、食器や飲み物の共用を避けましょう。食器は洗剤を使用して十分に洗浄し、よく乾かしてから使うことが大切です。
口唇ヘルペスは、赤ちゃんが感染すると脳にダメージが及ぶ可能性があるため、うつさないようにより一層注意しましょう。
水ぶくれを破らない
口唇ヘルペスの水ぶくれは破らないようにしましょう。水ぶくれの内容物にはウイルスが多く含まれており、破ることでウイルスが広がり、他の人に感染させる原因となります。水ぶくれは自然に破れるのを待ってください。痛みやかゆみが気になって触れてしまう場合は、薬でなるべく早く症状を和らげることが重要です。
休息を取る
口唇ヘルペスは、ストレスや疲労、風邪などによって体力を消耗し、免疫機能が低下した際に発症する傾向があります。そのため、口唇ヘルペスを発症した場合は休息を取ることが大切です。休息を取らなくても改善する可能性はあるものの、重症化のリスクが高まるため、可能な限り休息を取りましょう。
また、長期間に及ぶストレスは免疫機能に悪影響を与えるため、ストレスをなるべく避けることも大切です。そのうえで、ストレスを溜めないように趣味を楽しんだり休息を取ったりしましょう。その他、栄養バランスの取れた食事や適度な運動なども、体調を整えるために有効です。
口唇ヘルペスが再発した場合は、疲労やストレスが溜まっていることを疑い、生活そのものを見直すきっかけにするとよいでしょう。
市販薬が不安もしくは飲み薬がいい方は、医療機関へ
市販薬に不安がある場合、または症状が重症である場合は、医療機関を受診することが重要です。口唇ヘルペスの市販薬や飲み薬(処方薬)は、症状の軽減や治療に役立つことがありますが、適切な診断と治療を受けるためには医師の指導が必要です。
また、 市販薬を使用したにもかかわらず症状が悪化した場合も医師に相談しましょう。重症の口唇ヘルペスの場合、処方薬が必要となることがあります。
その他、口唇ヘルペスに加えて目のヘルペス、呼吸困難、発熱などの症状が現れた場合も、直ちに医師に相談しましょう。
受診する時間がない方には、おうち病院「オンラインヘルペス外来」
口唇ヘルペスは市販で対応する場合は飲み薬ではなく、塗り薬を使用することになります。市販薬よりも飲み薬などの処方薬の方が高い効果が期待できるため、症状に悩んでいる方は早めに医療機関を受診しましょう。
医療機関を受診したくても忙しくて受診できない方には、おうち病院「オンラインヘルペス外来」の利用をおすすめします。
自宅にいながら口唇ヘルペスの診察を受けることができ、処方箋もデータで発行され、自宅から近い薬局で薬を受け取れるため、忙しい方でも早期治療が可能です。
口唇ヘルペスは早期治療が早期改善の鍵のため、早く不快な症状から解放されたい方は、ぜひご利用ください。