花粉症の治療で処方されるお薬の種類は?市販薬との違いや使用する上での注意点を解説

くしゃみ・鼻水・鼻詰まり、春先を中心に花粉症のつらい症状でお困りの方は多いのではないでしょうか。花粉症の症状を緩和するためには、なるべく早くお薬による治療を行うことが大切です。 ただ中には「処方薬と市販薬どっちがいい?」「処方薬にはどのようなものがある?」という疑問を持っている方もいることでしょう。 そこで今回は、花粉症治療における処方薬と治療薬の違い、処方薬の種類、処方薬を使用する上での注意点について解説します。

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くしゃみ・鼻水・鼻詰まり、春先を中心に花粉症のつらい症状でお困りの方は多いのではないでしょうか。花粉症の症状を緩和するためには、なるべく早くお薬による治療を行うことが大切です。

ただ中には「処方薬と市販薬どっちがいい?」「処方薬にはどのようなものがある?」という疑問を持っている方もいることでしょう。

そこで今回は、花粉症治療における処方薬と治療薬の違い、処方薬の種類、処方薬を使用する上での注意点について解説します。

部位ごとの花粉症の症状

花粉症は、アレルゲンである花粉が皮膚や粘膜につくことで引き起こされるアレルギー性疾患で、主に鼻や目に症状が現れます。人によっては、皮膚や全身に症状が出るケースもあります。

以下では、鼻や目に起こる花粉症の症状について解説します。

鼻の症状

アレルゲンである花粉が鼻の粘膜につくと、アレルギー誘発物質が放出されます。そのアレルギー誘発物質が神経や血管を刺激することで、鼻にくしゃみ、鼻水、鼻詰まりといった症状を引き起こします。

・くしゃみ

アレルギー誘発物質により知覚神経が刺激され、それがくしゃみの中枢に伝わります。そして、鼻の粘膜についた花粉を取り除くために、くしゃみが起こります。風邪のときのくしゃみと違い、連続して発生して回数が多いのが特徴です。

・鼻水

くしゃみと同様に、鼻の粘膜についた花粉を取り除くため、鼻水が出ます。出る鼻水は、サラッとして透明であることが特徴です。

・鼻詰まり

花粉が付着することで、鼻の粘膜にある細胞から化学物質が多く放出され、血管を刺激します。その結果、血管が広がったり粘膜が腫れたりすることで鼻詰まりが起きます。

目の症状

アレルゲンである花粉が目につき、アレルギー誘発物質が放出されることで、神経や血管を刺激して、目のかゆみや充血、涙などの症状が引き起こされます。花粉症において目の症状は、鼻の症状と同様に多くの人が悩まされるものです。

・目のかゆみ

アレルギー誘発物質によって知覚神経が刺激され、目やまぶたなどに炎症が起きることでかゆみを生じます。かいてしまうと、結膜や角膜を傷つける恐れがあります。また、炎症をさらに強くさせてしまい、かゆみが増しやすくなります。

・目の充血

アレルギー誘発物質により刺激されると、血管が拡張して結膜炎を起こします。そのため、目が赤く充血してしまいます。

・涙

異物である花粉を取り除くため、涙が出やすくなります。

花粉症の処方薬と市販薬の違い

花粉症の治療薬には、病院を受診して入手する処方薬とドラッグストア等で販売している市販薬があります。どちらも花粉症の症状を抑えるためのお薬ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

処方薬と市販薬の違いについて解説します。

成分の違い

一般的に処方薬と市販薬では含有している成分に違いがあります。

市販薬の場合、誰もが病院に行かなくても症状を緩和できることを目的としています。そのため、基本的に幅広い成分が含まれています。たとえば、鼻詰まりだけを抑えるのではなく、くしゃみや喉の痛みなど、花粉症のさまざまな症状をできる限り幅広く緩和できるように作られているのです。

一方、処方薬は医師が診察を行って原因を特定し、その症状をピンポイントで治療または緩和するのが目的で作られています。そのため基本的には、1つの薬に1つの薬効成分が含まれています。

たとえば、花粉症の症状全体を短期的にとりあえず抑えたいということであれば、市販薬でもよいかもしれません。目や鼻などに強く出ている症状を、花粉症シーズン通して長期的に抑えたいのであれば、処方薬の方が向いているといえます。

効果の強さの違い

市販薬と処方薬の場合、一般的には効果の強さに違いがあります。

市販薬は処方薬と比べて成分の量が抑えられていることが多く、効果も弱い傾向にあります。前述の通り、市販薬はさまざまな症状を幅広く緩和することを目的としています。そのため、特定の症状が強く出ているケースでは効果を感じにくいことがあります。

しかし、花粉症のお薬の場合はやや事情が異なります。たとえば、アレグラやアレジオンといった薬局でも購入できる花粉症薬は、処方薬と同量の成分が含まれています。そのため、効き目としては違いがないといえるでしょう。また、市販薬では成分含有量が少なく効果が抑えられているものもあるため、選択肢の幅は広い傾向にあります。

ただし、処方薬の場合は病院で問診や検査を受けた上で、症状に合ったお薬が処方されます。そのため、病院を受診して処方薬をもらった方が、より効率よく花粉症の治療を進めやすいでしょう。

コストや手軽さの違い

市販薬と処方薬では、コスト面や入手の手軽さに違いがあります。

花粉症の市販薬は、ドラッグストアでも気軽に購入できます。しかし、ジェネリック医薬品は選べませんので、やや割高になることが多いです。

一方、処方薬は通院して処方箋をもらうことで入手します。そのため通院の手間がかかり、気軽に入手することはできませんが、花粉症は継続的にお薬を服用することになりますので、長期的に考えた場合はジェネリック医薬品も選べる処方薬の方がお得になる可能性があります。

花粉症の治療で使用される処方薬の種類

花粉症で病院を受診した場合、症状に応じて内服薬・点鼻薬・点眼薬が処方されます。
以下で、花粉症の治療で使用されるそれぞれの処方薬の種類や特徴について解説します。

内服薬

花粉症治療で使われる内服薬には、「抗ヒスタミン薬」、「ステロイド薬と抗ヒスタミン薬の合剤」、「抗ロイコトリエン薬」、「漢方薬」などがあります。

以下で、それぞれの内服薬の特徴を簡単に解説します。

抗ヒスタミン薬

花粉などのアレルゲンが粘膜等に付着すると、細胞からヒスタミンという物質が放出されます。そのヒスタミンがH1受容体と結合することで、くしゃみや鼻水といったアレルギー症状を引き起こします。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの作用を抑えてH1受容体との結合を抑制し、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を抑えます。服用後、比較的早い段階で効果を発揮するのが特徴です。

ステロイド薬と抗ヒスタミン薬の合剤

抗ヒスタミン薬とともに、抗炎症作用の強いステロイドを合わせたものです。他の内服薬を使用しても症状が抑えられないケースで用いられます。副作用が出やすいことから、短期間の服用が望ましいとされています。

抗ロイコトリエン薬

ロイコトリエンは、鼻詰まりや鼻粘膜の炎症を誘発する物質です。抗ロイコトリエン薬は、このロイコトリエンの作用を抑えて、鼻詰まりを改善します。抗ヒスタミン薬と併用することが多く、眠気などの副作用が少ないとされています。

漢方薬

花粉症の治療では漢方薬も用いられることがあります。たとえば、小青竜湯は眠気などの副作用が少なく、仕事で車を運転するような人に好まれます。

ただし、麻黄が含まれているため高血圧の人や高齢者の方には向いていません。持病がある方や高齢者の場合は、苓甘姜味辛夏仁湯など麻黄が含まれていないものがおすすめです。

点鼻薬

点鼻薬とは鼻腔内や全身に薬を投与するものです。アレルギー性疾患である花粉症治療の場合は局所的に使用します。以下で、花粉症治療に使われる「局所ステロイド点鼻薬」と「血管収縮性点鼻薬」を解説します。

局所ステロイド点鼻薬

ステロイドの効果により、鼻腔内の炎症を抑えてくしゃみ・鼻水・鼻詰まりといった鼻の症状を緩和します。体内に吸収されにくく、吸収された場合もすぐに分解されるため、副作用が起きにくいのが特徴です。

血管収縮性点鼻薬

花粉による刺激を受けると、血管が拡張して鼻腔内が腫れてしまい鼻詰まりが起きます。血管収縮性点鼻薬は、一時的に血管を収縮させることで、腫れを抑えて鼻詰まりをよくするお薬です。使用後すぐに効果を感じますが、連続して使い続けると効果が薄れやすくなります。

逆に血管が拡張し続けてしまって鼻詰まりが悪化することもあるため注意が必要です。血管収縮性点鼻薬を使う場合は、医師の指示に従うことが大切です。

点眼薬

点眼薬とは目薬のことで、薬液を点眼することで諸症状を抑えます。花粉症の治療では、「抗ヒスタミン点眼薬」「抗アレルギー点眼薬」「ステロイド点眼薬」が使われます。

以下で、それぞれの特徴や効果について解説します。

抗ヒスタミン点眼薬

抗ヒスタミン点眼薬は、目に入った花粉によって放出されたヒスタミンの作用を抑えることで、かゆみや充血といった花粉症の症状を緩和する点眼薬です。即効性はなく、点眼時にややしみることがあります。

抗アレルギー点眼薬

抗アレルギー点眼薬は、アレルギー誘発物質の働きを抑えて、花粉症における目の症状を抑える点眼薬です。即効性があるため、すぐに症状を改善したいケースで有効です。

また、眼科において、抗ヒスタミン薬を投与する前に、主訴(自覚症状のうち中心的なもの)となるかゆみや充血などを取り除く目的で使われることがあります。

ステロイド点眼薬

炎症を抑える作用のあるステロイドの点眼薬です。他の薬を使ったものの花粉症における目のかゆみや充血、涙などの症状が治まらない場合に用いられます。花粉症の症状を抑える高い効果が期待できる一方で、長期間の使用は危険とされています。

目の免疫力低下や眼圧上昇、緑内障や白内障といった副作用があるためです。ステロイド点眼薬は、医師の指示に従って適切に使うようにしましょう。

花粉症の治療で処方薬を使用する際の注意点

花粉症は適切に処方薬を使用すれば症状を緩和できます。しかし、正しく使用しないと症状を悪化させることもあるため注意が必要です。以下で、花粉症治療に処方薬を使用する場合の注意点を解説します。

早いタイミングで使用する

多くの病気は、何らかの症状が出てから治療を行うものです。しかし、花粉症の場合はその症状が出る前から病院での治療を行えます。

早いタイミングから始める花粉症の初期療法には、さまざまなメリットがあります。たとえば、アレルゲンとなる花粉が飛散する2週間ほど前からお薬で治療を始めると、症状が軽くなったり、症状が出る期間が短縮されたりします。さらに、花粉飛散量が最も多い時期でも、お薬の量を多くしすぎる必要がなくなり、副作用も抑えやすくなります。

昔と違って現代は、花粉の飛散開始時期が正確にわかるようになってきました。そのため、花粉症の初期治療も行いやすく、その効果をより高めやすくなっています。花粉症の治療で処方薬を使うなら、症状を軽くするためにも、早いタイミングで始めてお薬を継続的に使用するようにしましょう。

自己判断でやめない

花粉症は飛散する花粉の量によって症状の度合いも変化します。たとえば、雨などが降って花粉があまり飛んでいないタイミングだと、くしゃみや鼻水などの症状もあまり出ないかもしれません。だからといって、処方薬の服用をやめてしまうと、花粉の飛散量が増えたタイミングで症状がこれまで以上に悪化する可能性が高まります。

花粉症のお薬は、毎日継続的に使用することで十分な効果が発揮されるものです。自己判断で使用を中断すると、症状をコントロールできなくなり、花粉のシーズンが終わるまでつらい思いをしてしまいます。医師の指示を守り、用法用量を守って花粉症の処方薬を使用しましょう。

日常の対策も大切

花粉症の症状を抑えるためには、処方薬の使用とともに日常の花粉対策も大切です。お薬と対策の相乗効果によって、花粉症の症状をより効果的に抑えられるようになります。

花粉対策をする場合、まずは花粉の飛散情報を確認しましょう。花粉飛散情報はTVやWebで調べることができます。Webであれば1週間先までの予報が掲載されていますので、平日から週末までの計画も立てやすくなるでしょう。傾向としては、雨上がりの晴れた日や腫れて湿度の低い日、風の強い日、そして昼間に花粉の飛散量が増える傾向にあるので、ぜひ覚えておきましょう。

外出時には花粉から目や鼻を守ることも、症状を抑えるのに効果的です。マスクやメガネを着用して、花粉がなるべく粘膜に触れないように心がけましょう。また、ウールなどのモコモコした素材は花粉が付着しやすいです。そのため、化繊や木綿など、表面がツルツルした素材の衣服を着用するのがおすすめです。

室内に花粉を持ち込まないことも花粉症対策につながります。髪の毛や衣服についた花粉は外でしっかり払う、マスクはすぐに捨ててメガネも汚れを落とすなどしましょう。そして、帰宅後はなるべく速やかに、うがい・手洗い・洗顔を行って、花粉を除去するように心がけてください。

このように、日常生活の中で気をつけていれば、花粉症の症状を抑えやすくなります。処方薬による治療と併行して、日常の対策も十分に行っていきましょう。

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花粉症の治療で使われる処方薬には、大きく分けて内服薬・点鼻薬・点眼薬があります。それぞれ特徴や効果、副作用などに違いがありますので、医師の指示を守って正しく使用しましょう。

早めに処方薬による治療を始め、継続的にお薬を使用し続ければ、花粉症の症状が効果的に抑えやすくなります。自己判断でやめたりせず、花粉の時期は処方薬を使い続けるようにしましょう。しかし、仕事や家事が忙しい・子育てや介護で家を空けられないなどの理由で病院の受診が難しい人もいることでしょう。処方薬が切れてしまうと、花粉症の症状を抑えられず、つらい思いをすることになります。

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