無理なく治療できるおすすめの肥満症の薬・種類・効果・副作用を解説

健康診断で体重を指摘されたなどにより、「最近太ったかな・・・」と悩んでいる方へ。

もしそれが、たんなる「肥満」ではなく「肥満症」かもしれない場合、自己流ダイエットではなく専門家の指導が大切です。病院での栄養指導や薬物療法を受けるなど、早急に治療を開始すると良いでしょう。

本記事では、肥満症の方の保険適用となる治療薬について詳しく解説します。ぜひ治療の検討をする際の参考にしてください。

もしかして「肥満症」かも?正しい知識で自分を知ろう

すでに、医師から肥満症と診断されている場合を除き、自分はどの様な状態かを知るには、判断材料を知る必要があります。自分の状況や数値と照らし合わせて見てください。

肥満と肥満症の違い

「肥満」はたんに体重が多すぎる状態、つまり体格を表す言葉です。「肥満症」は、その体重過多が原因で健康に悪影響を及ぼしている状態、あるいは将来的に健康障害を引き起こすリスクが高いと判断される状態を指す「病気」の診断名です。

肥満度を知るには、BMI(Body Mass Index)という国際的な指標が用いられます。

日本肥満学会の基準では、BMIが25以上を「肥満」と定義しています。

<BMI計算式>
BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

参照元:BMI|健康日本21アクション支援システム Webサイト 厚生労働省

また、腹囲(ウエスト周囲)の基準値が男性85cm,女性90cm以上でメタボリックシンドロームとの診断基準となります。

参照元:メタボリックシンドロームの診断基準|健康日本21アクション支援システム Webサイト 厚生労働省

肥満症と診断される場合の主な症状

BMIが25以上かつ、合併症を引き起こしているか、将来的にそのリスクが高い場合に「肥満症」と診断されます。

下記の合併症があげられます。

  • 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症・痛風
  • 冠動脈疾患
  • 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患
  • 月経異常・女性不妊
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
  • 肥満関連腎臓病

参照元:肥満と肥満症|健康日本21アクション支援システム Webサイト 厚生労働省

自己流ダイエットはもう卒業!「肥満症治療薬」という新たな選択肢

肥満症の可能性がある場合は、肥満症治療薬という新たな選択肢があります。様々な合併症リスクを低減するためにも、治療開始をおすすめします。

間違ったダイエットによる偏った食生活は、栄養不良を引き起こし、骨密度の低下、月経が止まる、貧血など様々な健康被害に繋がる可能性があります。

また、極端に食べないなど無理なダイエットでは、筋肉量が減少し基礎代謝が低下するため、体脂肪が蓄積しやすくかえって太りやすい体質になります。

参照元:若い女性の「やせ」と健康・栄養問題|健康日本21アクション支援システム Webサイト 厚生労働省

【種類別】肥満症治療薬の効果・副作用・費用

では、実際に肥満症治療薬とは、どのような薬なのでしょうか。効果、副作用、費用を理解しておきましょう。

肥満症治療薬|GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は、もともと私たちの体にあるホルモンGLP-1と似た働きをして血糖値の調整を補う薬です。

脳の食欲中枢に作用して食欲を抑え、胃の排出を遅らせて満腹感を高めます。

もともと2型糖尿病の治療薬として開発された薬でもあります。

主な薬品詳細

薬品名(一般名)ウゴービ(セマグルチド)チルゼパチド(ゼップバウンド
投与方法週1回皮下注射(自己注射)
保険適用条件高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病を有する肥満症の方
費用2.4mg=11,009円/キット ※1[3割負担の場合]4週間分13,210円[自由診療の場合]44,036円(医療機関により異なります)10mg=8,999円/キット  ※2[3割負担の場合]4週間分10,799円[自由診療の場合]35,996円(医療機関により異なります)
効果・食欲の抑制・満腹感の持続・血糖値の改善
副作用吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲不振、低血糖、まれに急性膵炎、胆石症、胆嚢炎

※1: 2.4mgを週1回注射×4週間分で計算。
※2: 10mgを週1回注射×4週間分で計算。

いずれも、診察料・検査料・処方箋料等は計算に含まず。

参照元1:医療用医薬品 : ウゴービ (ウゴービ皮下注0.25mgSD 他)
参照元2:医療用医薬品 : ゼップバウンド (ゼップバウンド皮下注2.5mgアテオス 他)

肥満症治療薬|SGLT2阻害薬

腎臓での糖の再吸収を阻害し、余分な糖を尿と一緒に体外へ排出させることで血糖値を下げる薬です。血糖降下作用に伴い、体重減少効果も期待できるため、肥満症を合併する2型糖尿病患者さんに多く用いられます。

ただし、2型糖尿病の診断がない場合、肥満症の単独治療としては保険適用されません。

主な薬品名(一般名)

  • フォシーガ(ダパグリフロジン)
  • カナグル(カナグリフロジン)
  • ジャディアンス(エンパグリフロジン)
  • スーグラ(イプラグリフロジン)
  • ルセフィ(ルセオグリフロジン)
  • デベルザ(トホグリフロジン)

効果と副作用

投与方法1日1回1錠経口(内服)
保険適用条件2型糖尿病(肥満症単独治療は適用外)・一部心疾患・腎臓病
効果・血糖値の低下・体重減少・心疾患や腎機能悪化のリスク低下(一部の薬剤)
副作用性器感染症、尿路感染症、頻尿、多尿、口渇、ケトアシドーシス(血中のケトン体濃度が上昇した状態。極端な糖質制限などで発生)、低血糖

費用

1日1錠あたり約160円×30日分

[3割負担の場合]
約1,440円

[自由診療の場合]
約4,800円(医療機関により異なります)

※薬品によりわずかな差があるため、平均的な金額をおおよそで算出しています。
※いずれも、診察料・検査料・処方箋料等は計算に含まず。

参照元:商品一覧 : SGLT2阻害薬

肥満症治療薬|漢方薬

漢方は直接的な治療薬ではなく、体質改善を目指す薬です。効果を実感するまでには、時間がかかる可能性があります。

主に処方される漢方薬

漢方薬名防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)大柴胡湯(だいさいことう)
対象患者比較的体力があり、お腹周りに脂肪が多い便秘がちな方比較的体力があり、脇腹からみぞおち周辺が張って苦しく便秘がちな方
効果発汗、利尿、便通を促し、余分な熱や水分、脂肪の排出を助けるストレスによる食欲亢進を抑え、肝臓の働きを助ける
副作用胃部不快感、下痢、動悸、発疹、まれに肝機能障害など吐き気、下痢、食欲不振、まれに肝機能障害など
費用[3割負担の場合]1カ月分:800円~1,000円[自由診療の場合]1カ月分:4,000円~6,000円程度
(医療機関により異なります)
[3割負担の場合]1カ月分:1,500円~2000円[自由診療の場合]1カ月分:6,000円~18,000円程度
(医療機関により異なります)

※メーカーにより値段が異なるため、おおよそで算出しています。
※いずれも、診察料・検査料・処方箋料等は計算に含まず。

参照元1:商品一覧 : 防風通聖散エキス
参照元2:商品一覧 : 大柴胡湯エキス

肥満症治療薬を使用する上での重要な注意点

肥満症の薬物療法を検討する時、注意すべきことを押さえておきましょう。

医師とよく相談して指示を守りましょう

肥満症治療薬は、必ず医師の診断に基づき、適切な条件(BMI、合併症の有無など)を満たした場合に処方されます。また、薬の効果や副作用、体重の推移などを総合的に判断し、医師が継続または中止を決定します。自己判断での使用は危険です。

医師とよく相談して、指示を守ることが大切です。

服用中は医師の指示に従い、体調の変化や副作用など、気になる症状があれば速やかに相談してください。

また、薬物療法は、あくまで食事療法や運動療法を補完するものです。薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善を継続することが最も重要です。

肥満症治療薬を使用できない方、または注意が必要な方

肥満症治療薬を使用できない方、注意が必要な方は以下の通りです。

薬の種類使用できない方注意が必要な方
GLP-1受容体作動薬・薬の成分にアレルギーがある方
・1型糖尿病の患者、または糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
・前昏睡の状態の患者
・甲状腺髄様癌の既往歴がある方
・妊娠中または可能性のある女性、および授乳中の女性
・重度の胃腸障害のある方
・膵炎の既往歴がある方
・低血糖を起こすリスクが高い方
・高齢者
SGLT2阻害薬・薬の成分にアレルギーがある方
・重症ケトーシス、糖尿病性昏睡
・前昏睡の患者
・重度の腎機能障害のある方
・妊娠中または可能性のある女性、および授乳中の女性
・脱水を起こしやすい方
・高齢者
漢方薬・薬の成分にアレルギーがある方
・体力が極端に虚弱な方
・胃腸が弱く下痢をしやすい方
・発汗傾向が著しい方
・高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能亢進症などの持病がある方
・妊娠中または可能性のある女性、授乳中の女性
・他の下剤や漢方薬(特に「麻黄」や「甘草」「大黄」を含むもの)を服用している方
・高齢者

参照元1:医療用医薬品 : ウゴービ (ウゴービ皮下注0.25mgSD 他)
参照元2:医療用医薬品 : ゼップバウンド (ゼップバウンド皮下注2.5mgアテオス 他)
参照元3:商品一覧 : SGLT2阻害薬
参照元4:商品一覧 : 防風通聖散エキス
参照元5:商品一覧 : 大柴胡湯エキス

肥満症の治療薬を処方してもらえる医療機関

肥満症治療薬の処方可能な、肥満に関する相談ができる医療機関は、基本的に内科です。

必要に応じて生活習慣病外来・肥満症外来やダイエット外来を紹介されることもあります。管理栄養士の栄養指導を伴う場合もあります。

また、近年では、オンラインクリニックの肥満外来やダイエット外来も増え、対応可能になりました。

多忙でなかなか通院できない、または恥ずかしくて通院したくない、という方には、オンラインが向いています。自宅など好きな場所で診察をうけられるため、時間の調整もしやすく誰にも見られる心配はありません。

肥満症薬の処方なら「おうち病院Privateシリーズ きっちり向き合う肥満症改善外来」

肥満や過体重は、高血圧・糖尿病・脂質異常症など、さまざまな生活習慣病のリスク因子となります。運動や食事に気を配っているつもりでも、加齢やホルモンバランスの変化、ストレスなどの影響で、思うように体重が落ちないと感じている方も多いのではないでしょうか。

そのような方には、医師の継続的な診察とサポートを受けながら、医療的介入(薬物治療)と生活習慣の見直しを組み合わせた治療が推奨されます。
「他サービスのように、お薬の処方だけで終わりでは不安…」そんな声に応えるのが、「おうち病院Privateシリーズ きっちり向き合う肥満症改善外来」です。

「おうち病院 きっちり向き合う肥満症改善外来」なら、
1回30分の診察時間を確保:患者様の背景や課題を丁寧にヒアリングし、きめ細かい治療方針を提案
リバウンド防止にも対応:体重減少後も、生活習慣改善の継続支援あり
平日・土日祝すべて対応:朝8時〜夜22時まで診察可能
診察後、薬はご自宅に配送:通院不要で治療継続がしやすい
予約時間ぴったりに診察開始:出社前、会議の合間、就寝前など、スキマ時間で受診可能

「きっちり向き合う肥満症改善外来」では、自宅にいながら専門医の診察を受け、必要なお薬は自宅へ配送されます。忙しい方でも、医療の力を味方につけて無理なく継続できる環境を整えています。

なお、初回受診時には医師が正確に状態を把握するため、「健康診断書」または「体重計測結果の画像」のご提出が必要です。ご予約の前にご用意いただくようお願いいたします。

本気で体重改善に取り組みたい方、自己流のダイエットに限界を感じている方は、
ぜひ「おうち病院 きっちり向き合う肥満症改善外来」での診察をご検討ください。

肥満症は薬で治療できる!自己流ダイエットではなく医師へ相談しよう

肥満症と診断された場合、保険適用の薬で治療できることがわかりました。

ダイエット市場にあふれる広告や情報により、間違った方法を行うと危険を伴います。健康被害リスクが予想されるため、自己流ダイエットではなく、医療機関での治療を行いましょう。

「健康診断で指摘された」「肥満症と診断されていないがBMI値がボーダーライン」など美容目的というより緊急性が高い場合は、一度相談してみてはいかがでしょうか。