ラピフォートワイプは、原発性腋窩多汗症を治療するための薬であり、両脇の下に塗ることで気になる汗が抑えられます。
本記事では、ラピフォートワイプの効果や使い方、副作用について解説します。脇の汗でお困りの人は、ラピフォートワイプを使用することで改善を図りましょう。
この記事でわかること
- ラピフォートワイプは脇汗(腋窩多汗症)に対する保険適用の外用抗コリン薬
- 1日1回・1回使い切りのシート(ワイプ)タイプで、腋窩を拭くだけで使用できる
- 承認対象部位は腋窩のみ(手掌・足底への使用は承認対象外)
- エクロックゲルとは有効成分・剤形が異なり、副作用の出やすさや生活スタイルで選択が変わる
- おうち病院の多汗症外来でオンライン診察・処方相談が可能
目次
ラピフォートワイプとは
ラピフォートワイプとは、原発性腋窩多汗症を治療するための薬です。1回使い切りの拭き取りタイプであり、両脇の下に塗布することで、汗が抑えられます。
ラピフォートワイプの有効成分であるグリコピロニウムトシル酸塩水和物が、発汗を誘発するアセチルコリンの作用を阻害します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | グリコピロニウムトシル酸塩水和物 |
| 先発品名 | ラピフォートワイプ2.5% |
| 製造販売 | キッセイ薬品工業株式会社 |
| 分類 | 外用抗コリン薬(ムスカリン性受容体拮抗薬) |
| 保険適用 | あり(原発性腋窩多汗症) |
| 承認対象部位 | 腋窩のみ(手掌・足底への使用は承認対象外) |
| 剤形 | 1回使い切りシート(ワイプ)タイプ |
| 用法 | 1日1回、両腋に各1枚使用 |
2018年10月より、アメリカで販売されたラピフォートワイプは、2022年1月に日本でも厚生労働省より承認されました。
ラピフォートワイプで治療できる原発性腋窩多汗症とは
脇の多汗症は、原発性局所多汗症と続発性局所多汗症の2種類にわかれ、原発性腋窩多汗症は前者に該当します。
原発性局所多汗症とは、体温調節のために必要な量以上に脇の下に汗をかくことで、日常生活に支障を及ぼす疾患です。
発症の原因は、未だ解明されておらず、発汗を促す交感神経の興奮や遺伝子的要因などが原因とされています。
続発性局所多汗症とは、他の病気と合併して起こる疾患です。末梢神経障害や脳梗塞などが影響し、他部位で発汗できない場合に起こる代償性発汗や内分泌疾患、薬の副作用などが原因です。
ラピフォートワイプの効果・作用機序
ラピフォートワイプの有効成分であるグリコピロニウムは、エクリン汗腺のムスカリン性受容体(M3受容体)を選択的に遮断します。交感神経からエクリン汗腺へのアセチルコリンを介した発汗指令が届きにくくなることで、腋窩への過剰な発汗を抑制します。
グリコピロニウムは第4級アンモニウム構造を持つため、皮膚からの全身吸収が少なく局所的に作用しやすい特性があります。この特性により、内服抗コリン薬と比べて全身性副作用が起こりにくいとされています。
ラピフォートワイプの効果として、以下2つの国内試験にて有効性・安全性の評価がなされています。
- 原発性腋窩多汗症患者497名を対象とした国内試験
- 原発性腋窩多汗症患者377名を対象とした国内長期投与試験
なお、有効性・安全性評価に用いられた指標としては、HDSS(Hyperhidrosis disease severity scale)であり、多汗症疾患重症度評価度を指します。スコアの内容は以下の通りです。
- スコア1:発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- スコア2:発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- スコア3:発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- スコア4:発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
本試験における患者は、HDSSが3点以上であり、スコア3・4の患者が対象です。
原発性腋窩多汗症患者497名を対象とした国内試験
薬剤使用グループと使用しないグループでの比較試験を行い、ラピフォートワイプ1枚で両脇に1回ずつ拭い、28日間塗布した場合の有効性・安全性を評価しました。
その結果、以下の結果が得られています。
- HDSSが2段階改善し、両脇の発汗重量が半分以下に改善した患者の割合が41.1%
- HDSSが2段階改善した患者の割合が44.0%
- 両脇の平均発汗重量において、50%以上改善した患者の割合が89.9%
上記の通り、ラピフォートワイプの有効性・安全性が評価されています。
原発性腋窩多汗症患者377名を対象とした国内長期投与試験
1日1回、就寝前にラピフォートワイプ1枚を両脇に1回ずつ拭い、52週間塗布した場合の有効性・安全性を評価しました。
その結果、以下の結果が得られています。
- HDSSが2段階以上改善した患者の割合が、28週で60.5%、52週で64.3%
- 平均発汗量が50%以上改善した患者の割合が、28週で82.6%、52週で85.3%
- 両脇の平均発汗量は、28週で-102.74mg/5分、52週で-100.18mg/5分
1年間投与試験を継続することで、ラピフォートワイプの有効性・安全性が評価されています。
用法・使い方
ラピフォートワイプを使用する際は、以下の流れに沿って1日1回、利用します。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① パッケージを開封する | 開封時に薬液が飛散して目や他の部位につかないよう注意する |
| ② 腋窩を拭く | 内側の面でゆっくりと腋窩全体を1回拭く。何度もこすり塗りしない |
| ③ 乾燥させる | 塗布後はよく乾かしてから衣類を着用する |
| ④ 使用後の注意 | 使用後は手をよく洗う。目・口・傷・湿疹・炎症のある部位に触れないよう注意 |
脇を清潔な状態にする
脇をタオルなどで拭き、清潔かつ乾いた状態にしてください。準備ができたら、ラピフォートワイプを開封します。このとき、薬液が飛散し、目に入らないように注意しましょう。
ワイプで脇を拭く
ワイプを広げ、脇を一拭きし、薬を塗ってください。同じワイプで片方の脇に対しても薬を塗りましょう。薬を塗る際は、ゴシゴシこすらないようにしてください。
万が一、脇に皮膚炎や湿疹、傷などがある場合は使用を控えましょう。また、脇以外への使用はできません。
廃棄する
廃棄する際は、お子様などが誤って触れることがないよう、ビニール袋などに入れて廃棄してください。万が一、薬液が目に入った場合は、水でしっかり洗い流す必要があります。
手を洗う
使用後は速やかに手を洗い、薬を落としましょう。洗う前に、薬液がついた手で目を触ることがないように注意してください。
使用上の注意点:
- 傷・湿疹・炎症がある部位には使用しない
- 腋窩以外の部位(手掌・足底・顔面等)には使用しない
- 1日1回を超えて使用しない
効果の発現と持続
継続して使用することで、数日〜1週間程度で発汗の抑制効果を実感する方が多いとされています。使用を中断すると効果は徐々に薄れます。効果が感じられない場合や副作用が気になる場合は、自己判断で使用量を変更せず医師に相談してください。
副作用および禁忌
副作用
| 副作用の種類 | 内容 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 塗布部位の皮膚症状 | 炎症・発赤・かゆみ・湿疹 | 比較的よく見られる |
| 目の症状 | 散瞳・視力低下・かすみ目・眼の乾き | まれ(開封時の飛散に注意) |
| 口渇 | 口が乾く | まれ(全身吸収による) |
| 排尿困難 | 尿が出にくくなる・または頻尿 | まれ |
外用薬のため全身性副作用は内服薬と比べて起こりにくいとされていますが、皮膚からの吸収により散瞳などがまれに発現することがあります。
禁忌・使用できない方
下記に該当する場合は、処方前に必ず医師に伝えてください。
| 禁忌・注意事項 | 内容 |
|---|---|
| 閉塞隅角緑内障 | 眼圧上昇リスクがあるため使用禁忌 |
| 前立腺肥大による排尿障害 | 尿閉悪化リスクがあるため使用禁忌 |
| 重症筋無力症 | 抗コリン作用が病態を悪化させる可能性があるため使用禁忌 |
| 他の抗コリン薬との併用 | 相加的に抗コリン副作用が増強する可能性があるため注意 |
| 傷・湿疹・炎症のある腋窩 | 皮膚からの吸収が増加して副作用が出やすくなるため使用しない |
その他、使用にあたり注意が必要な方
上記以外にも、以下の人がラピフォートワイプを使用する際に注意が必要です。
- 妊婦:治療上の有益性が、危険性を上回ると判断される場合にしか使用できません。
- 授乳婦:治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討しなければなりません。
- 小児:9歳未満の小児などを対象とした臨床実験を実施していないため、9歳未満の小児は使用できません。
薬価・費用
ラピフォートワイプは、保険適応の薬です。1包(14日分)の薬価は3割負担で1,100円、1包(28日分)の場合は、3割負担で2,200円です。
(※薬剤費のみの計算であり、その他の費用は加算されておりません)
ラピフォートワイプを使用するための判断基準
ラピフォートワイプを使用するべきか否かは、以下の診断基準を用いて判断可能です。
- 発症が25歳以下である
- 左右対称性に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 週1回以上の多汗のエピソードがある
- 家族歴がみられる
- それらにより日常生活に支障をきたす
明らかな原因がない状態で脇に過剰な発汗が6カ月以上認められ、上記2項目以上が該当する場合はラピフォートワイプが必要です。
オンラインでラピフォートワイプを処方してもらう ―「おうち病院 多汗症外来」という選択肢
おうち病院 オンライン多汗症外来の特徴
おうち病院では、多汗症(手汗・顔汗・脇汗・足汗)に対応したオンライン診療を提供しています。「汗が気になるため人との接触をなるべく避けたい」「忙しくて通うのが難しい」といった方には、おうち病院がとても便利です。「病院に行くほどのことでもない」と思いがちな悩みでも、医師に相談することで治療の選択肢が広がります。
おうち病院の特徴
✅ 自宅から受診できる
診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。手汗・顔汗・脇汗・足汗の悩みを対面で話すことへの心理的なハードルも軽減できます。
✅時間通りに診察が始まる
予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能
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おうち病院では診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「化粧が崩れる」「人前での汗が恥ずかしい」といった具体的な悩みを落ち着いて相談できます。
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受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし
受診費用の目安(保険適用)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 診察料(保険適用・初診) | 1,000〜1,200円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 |
| 合計目安 | 約1,900〜2,400円 |
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。
おうち病院 多汗症外来への受診の流れ
- おうち病院の多汗症外来ページから予約
- 事前問診票に回答(症状の部位・発汗の程度・日常への影響・試した市販品など)
- ビデオ通話で医師と診察(約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
- 処方薬を薬局に受け取りに行く、または自宅に配送してもらう
丁寧なサポートとアフターサービスも付いており安心して利用できるので、ぜひこの機会に「おうち病院 オンライン多汗症外来」利用してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ラピフォートワイプはどのような多汗症に使えますか?
A. ラピフォートワイプ(グリコピロニウムトシル酸塩)は承認対象部位が腋窩のみであり、脇汗(腋窩多汗症)の治療に使用される保険適用の外用薬です。手汗(手掌)・足汗(足底)への使用は承認対象外となります。複数部位の多汗症には内服薬のプロバンサインが、手掌多汗症にはアポハイドローションが選択肢となります。
Q. ラピフォートワイプの使い方(用法)を教えてください。
A. 1日1回、1回使い切りのシートで腋窩を拭きます。開封時に薬液が飛散して目や他の部位につかないよう注意し、内側の面でゆっくりと腋窩全体を1回拭きます(何度もこすり塗りしない)。塗布後はよく乾かしてから衣類を着用し、使用後は手をよく洗います。用法・用量の詳細は処方する医師の指示に従ってください。
Q. ラピフォートワイプの主な副作用は何ですか?
A. 最もよく見られるのは塗布部位の皮膚炎症・発赤・かゆみ・湿疹です。外用薬のため全身性副作用は内服薬と比べて起こりにくいとされていますが、開封時の薬液飛散による散瞳、皮膚からの吸収による口渇などがまれに発現することがあります。傷・湿疹・炎症のある部位には使用しないことが重要です。
Q. ラピフォートワイプとエクロックゲルはどう違いますか?
A. どちらも腋窩多汗症に対する保険適用の外用抗コリン薬ですが、有効成分と剤形が異なります。ラピフォートワイプはグリコピロニウムトシル酸塩の1回使い切りシート、エクロックゲルはオキシブチニン塩酸塩のゲル剤(チューブまたはポンプ式)です。携行性を重視する場合はラピフォートワイプが使いやすい場合があります。どちらが適しているかは副作用の出やすさや生活スタイル等を踏まえて医師が判断します。
Q. 緑内障や前立腺肥大がある場合でもラピフォートワイプは使えますか?
A. 閉塞隅角緑内障・前立腺肥大による排尿障害がある方はラピフォートワイプの禁忌に該当するため、原則として使用できません。これらの疾患がある場合は、処方前に必ず医師に伝えてください。医師が症状・状態を確認したうえで、代替の治療法を検討します。
Q. 脇汗がひどい場合、何科を受診すればいいですか?
A. 皮膚科・内科・多汗症専門外来が対応しています。おうち病院の多汗症外来ではオンラインで受診でき、保険適用の処方薬(エクロックゲル・ラピフォートワイプ・プロバンサイン等)の相談・処方が可能です。続発性多汗症(全身疾患が原因のケース)が疑われる場合は、対面での精密検査が必要になることがあります。
Q. おうち病院でラピフォートワイプを処方してもらえますか?
A. おうち病院の多汗症外来では、腋窩多汗症(脇汗)の診察・処方に対応しています。オンライン診察のうえ、医師が適切と判断した場合にラピフォートワイプの処方が可能です。エクロックゲルとラピフォートワイプのどちらが適しているかも、診察のなかで確認できます。診察の結果、症状や状況によっては対面専門医への紹介となる場合もあります。
