不眠症に悩んでいて睡眠薬を検討している時、「睡眠薬は体に負担がかかる?」「癖になる?」「副作用が心配」など不安も多いことでしょう。
本記事では、睡眠薬の副作用・効果について種類別比較し、わかりやすく解説します。
副作用を正しく理解して選択し、安心して治療にのぞみましょう。
目次
睡眠薬の副作用リスクは昔より低減されている
睡眠薬の開発は目覚ましい発展を遂げています。
昔は、危険度が高い劇薬もありましたが、そのような薬は現在ほとんど使用されていません。研究開発を重ねて、より副作用や危険度の少ない新薬も出ています。
睡眠薬のタイプと副作用を理解して安全な治療をするために大切なこと
睡眠薬の副作用や危険度は昔より低減されているといっても、大前提として守ってほしい事があります。
安全な治療をするために、大切なことは以下の通りです。
・必ず医師の診断のもと、用法用量を守って内服する
用法用量を守らなかったり自己判断で薬の増減をしたりする行動は、危険リスクが高まります。
・気になった点や、症状の変化があれば必ず医師に相談する
副作用の疑い、効果が感じられない、または効果が強すぎる時は薬の増減・種類の変更等の検討が必要です。
・自己判断で薬を減らしたり中止にしたりしない
自己判断で減薬や中止をしてしまうと、離脱症状(禁断症状)が発症する恐れがあります。減薬または中止は、医師の指示のもと慎重に行う必要があります。
睡眠薬の作用メカニズムにより副作用リスクが違う
睡眠薬には作用メカニズム別に大きく分けて2種類あり、それぞれ副作用リスクが異なります。どのように分類されるのか、見てみましょう。
脳機能抑制型睡眠薬
このタイプの睡眠薬は、脳の活動全体を抑制することで眠りを誘います。脳の活動を強制的にシャットダウンするようなイメージです。
そのため即効性があり、ストンと眠りに落ちる感覚があります。
具体的には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が該当します。
脳内のGABA(ギャバ)という神経伝達物質の働きを増強することで、神経の活動を抑制します。GABAは脳の興奮を抑える役割を担っており、その作用を強めることで脳全体が鎮静され、眠気や催眠効果が現れます。
生理的睡眠促進型睡眠薬
睡眠薬の歴史としては新しいタイプの薬です。脳の特定の神経伝達経路に作用し、本来人間が持っている、眠くなる仕組みをサポートすることで自然な眠りを促します。
脳の機能を抑制するのではなく、調整するイメージです。
具体的には、以下の通りです。
オレキシン受容体拮抗薬
覚醒を維持する神経伝達物質(オレキシン)の受容体(Orexin-1、Orexin-2)に結合し、オレキシンの働きをブロックすることで、覚醒状態から睡眠状態への移行を促します。
メラトニン受容体作動薬
脳内で自然に分泌される睡眠ホルモン(メラトニン)と同様の働きをすることで、睡眠・覚醒のリズムを調整し、眠気を誘います。
【種類別】睡眠薬の副作用を徹底比較
現在、不眠治療の主流となっている睡眠薬の副作用を種類別に解説、徹底比較します。
脳機能抑制型(神経活動を抑制、強制的に脳の活動を抑える薬)と、生理的睡眠促進型睡眠薬(体内の睡眠・覚醒リズムに働きかけて自然な眠りを促す薬)の効果や副作用、違いを確認しましょう。
【種類別】睡眠薬の効果と副作用一覧
種類 | 睡眠薬 | 主な薬品製剤名(薬品名) | 副作用 | 効果 |
脳機能抑制型 | ベンゾジアゼピン系睡眠薬 | 作用時間別超短時間型/短時間型/中間型/長時間型※詳細は下記の別表参照 | 長期間服用すると効果が薄れる耐性や依存性、急に中止すると離脱症状(禁断症状)の恐れあり※作用時間別副作用は下記の別表参照 | ・強い催眠効果・入眠困難改善・熟眠障害改善・抗不安・筋弛緩・抗けいれん※作用時間別効果は下記の別表参照 |
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬 | 作用時間別超短時間型/短時間型※詳細は下記の別表参照 | 長期間服用すると効果が薄れる耐性や依存性、急に中止すると離脱症状の恐れはあるが、ベンゾジアゼピン系より少ない※作用時間別副作用は下記の別表参照 | ・入眠困難改善・熟眠障害改善※作用時間別効果は下記の別表参照 | |
生理的睡眠促進型 | オレキシン受容体拮抗薬 | スボレキサント(ベルソムラなど)レンボレキサント(デエビゴなど) | ・依存性、耐性、離脱症状等の危険リスクは低い・悪夢/睡眠時異常行動/翌朝の眠気の持ち越しの可能性あり | ・入眠困難改善・中途覚醒改善・早朝覚醒改善・熟眠障害改善 |
デュアルオレキシン受容体拮抗薬 | ダリドレキサント(クービビックなど) | ・依存性、耐性、離脱症状等の危険リスクは低い・オレキシン受容体拮抗薬よりも副作用のリスクは低い | ・入眠困難改善・中途覚醒改善・早朝覚醒改善・熟眠障害改善 | |
メラトニン受容体作動薬 | ラメルテオン(ロゼレムなど) | ・依存性や耐性、離脱症状のリスクは非常に低い・副作用リスクはほぼない | ・体内の覚醒、睡眠リズムの改善(体内時計を健やかに整える) | |
漢方薬 | 抑肝散/酸棗仁湯/加味帰脾湯/半夏厚朴湯など | ・依存性や耐性、離脱症状のリスクは非常に低い・ごくまれに原材料に対するアレルギー反応あり | ・精神的なストレス、感情の浮き沈み等の改善・緊張や不安を静める・胃腸の不調や血行の改善 |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬一覧
睡眠薬 | 作用時間 | 主な薬品製剤名(薬品名) | 副作用 | 効果 |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬 | 超短時間型 | トリアゾラム(ハルシオンなど) | 健忘・睡眠時の異常行動(即効性があるため、入眠までの記憶がない、中途覚醒時の行動を覚えていないなど) | ・入眠困難改善・強い催眠効果・抗不安・筋弛緩・抗けいれん |
短時間型 | ブロチゾラム(レンドルミンなど)/ エチゾラム(デパスなど) | ・健忘・睡眠時の異常行動(即効性があるため、入眠までの記憶がない、中途覚醒時の行動を覚えていないなど)・持ち越し効果(眠気)、倦怠感、ふらつき | ・入眠困難改善・熟眠障害改善・強い催眠効果・抗不安・筋弛緩・抗けいれん | |
中間型 | エスタゾラム(ユーロジンなど)/ ロラゼパム(ワイパックスなど) | ・持ち越し効果(翌朝の眠気)やふらつき、倦怠感のリスクが高まり、日中の活動に影響が出る恐れ・特に高齢者は、認知機能の低下やせん妄(意識障害)に注意 | ・熟眠障害改善・中途覚醒改善・早朝覚醒改善・強い催眠効果・抗不安・筋弛緩・抗けいれん | |
長時間型 | フルニトラゼパム(サイレースなど)/ クアゼパム(ドラールなど) | ・翌朝の眠気やふらつき、倦怠感が最も起こりやすく日中の活動へ大きく影響する恐れ・特に高齢者は認知機能の低下やせん妄、転倒のリスクが高まる | ・重度の不眠改善・催眠効果・抗不安・筋弛緩・抗けいれん | |
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬 | 超短時間型 | ゾルピデム(マイスリーなど) | ・服用後、すぐに就寝しないと、その間の記憶がない「前向性健忘」 が起こりやすい・入眠直前や睡眠中の奇異行動や夢遊病など、睡眠時随眠症の恐れ | ・入眠困難改善 |
短時間型 | エスゾピクロン(ルネスタなど)/ゾピクロン(アモバンなど) | ・持ち越し効果(翌朝の眠気)が、超短時間型より起こりやすい・ベンゾジアゼピン系と比べて筋弛緩の作用が低いため、ふらつき、倦怠感などは少ない | ・入眠困難改善・中途覚醒改善 |
副作用リスクの低い睡眠薬は?
睡眠薬の種類と効果・副作用を理解したところで、副作用リスクの低い睡眠薬について、より詳しく解説していきます。
自分の症状や求める効果によって、より適切な睡眠薬を選択するさいの参考にしてください。
すぐに眠りたい方は「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」
すぐに眠りたい、不眠症の症状が数日間続いていて、効果に即効性を求める方は、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(超短時間型・短時間型)がおすすめです。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は脳全体の活動を強制的に抑制するのに対し、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、より睡眠に関わる部分に関与します。
そのため、ベンゾジアゼピン系の効果である抗不安、筋弛緩、抗けいれんの作用は低く、ふらつきや転倒の副作用は極めて少ないです。また、連用すると耐性や依存性、離脱症状の恐れはあるものの、ベンゾジアゼピン系よりリスクは低いため、不眠症の治療薬として多く使用されています。
覚醒・睡眠リズムを整えたい方は「オレキシン受容体拮抗薬」「メラトニン受容体作動薬」
覚醒・睡眠リズムを整え、自然に健やかな睡眠を取り戻したい方は、オレキシン受容体拮抗薬、デュアルオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬がおすすめです。
これらは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬も、より副作用や危険リスクの低い睡眠薬として開発された、比較的新しい薬です。
効果を感じるまでには少し時間がかかり、緩やかに効きますが、人の体の生理的な仕組みに働きかけるため、体に優しいとされています。
オレキシン受容体拮抗薬・デュアルオレキシン受容体拮抗薬
オレキシン(覚醒を維持する神経伝達物質)の受容体に結合し、その働きをブロックすることで、覚醒から睡眠への意向を促します。
翌朝への持ち越しやレム睡眠状態(体は休んでいるが脳は活発に動いている時)の時の、悪夢や異常行動の副作用リスクがあるため、よりリスクの低い薬をと研究開発されたものが、デュアルオレキシン受容体拮抗薬です。
メラトニン受容体作動薬
睡眠ホルモン「メラトニン」と同じ働きをして、体内時計(概日リズム)を整えます。
副作用リスクを抑えて心の不安を静めたい方は「漢方薬」
副作用リスクを抑えながらも、脳の興奮や心の不安を静めたい方は、緊張を和らげ精神の安定をもたらしてくれる漢方薬がおすすめです。
イライラや心の浮き沈みを抑え、心の安定をサポートすることにより、安心して眠れる状態へと促します。また、冷えで眠れない方には、胃腸虚弱や血行の改善を促す事で健やかな睡眠へと導いてくれる漢方薬もあります。
副作用リスクはほとんどありませんが、ごくまれにアレルギー反応が出る事もありますので、原材料のチェック等は注意し、少しずつ試すと良いでしょう。
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代わりに、ラメルテオン(ロゼレム)やレンボレキサント(デエビゴ)など、より依存性の低い薬剤を中心に処方しています。
睡眠薬の副作用はタイプごとの違いを知って安心して眠ろう
睡眠薬は様々なタイプがあり、薬によって危険リスクも副作用も効果も様々だとわかりました。
睡眠薬の知識を正しく知って適切な治療をすれば、副作用のリスクは抑えられます。
タイプごとの違いを理解して、安心して眠れる日々を手に入れましょう。
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