口唇ヘルペスは再発を繰り返す可能性が高いため、初期症状について確認しておくことが大切です。初期段階で対処すれば、治癒にかかる時間が短くなる可能性があります。また、間違った対応は症状の悪化や周りの人にうつすリスクを高めるため、正しい対処法についても確認が必要です。
本記事では、口唇ヘルペスの初期症状や対処法などについて詳しく解説します。
目次
口唇ヘルペスの初期症状
口唇ヘルペスの初期症状は、水ぶくれができる前に現れます。唇やその周りにピリピリやヒリヒリといった痛みや違和感、かゆみ、熱感などが現れた場合は、口唇ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルスが再び活動を始めたことを示します。
口唇ヘルペスの症状の経過
口唇ヘルペスの症状の経過を知っておくことで、ストレスを軽減できるでしょう。口唇ヘルペスは、次のような経過をたどります。
1.ピリピリやチクチクする
再発時には水ぶくれが出現する前に、口唇ヘルペスの再発の兆候が現れます。唇やその周りに痛みや違和感、かゆみほてりなどが生じた場合は警戒が必要です。
2.赤みや腫れが現れる
半日程度で赤みを帯びた腫れが生じ、単純ヘルペスウイルスの増殖が活発化します。この段階ですでに周りの人にうつるリスクがあるため、気になるからといってむやみに手で触れないようにしましょう。
3.水ぶくれができる
1~3日後には赤みを帯びた腫れの部分に水ぶくれができます。水ぶくれは、ウイルスを多量に含むため、つぶしてはいけません。なお、再発時には初感染時よりも小さい水ぶくれができる傾向があります。
水ぶくれがつぶれてしまった場合も、手で触れないようにしましょう。細菌による二次感染が起きて、改善までにより長い時間がかかるおそれがあります。
4.かさぶたができる
水ぶくれはかさぶたへと変化し、数日から2週間程度かけて改善していきます。かさぶたが乾くにつれてひび割れて出血することがありますが、かさぶたにはウイルスが含まれている場合があるため、気になるからといってむやみに剥がしてはいけません。
口唇ヘルペスの初期症状への対応「再発抑制療法(PIT療法)」
再発抑制療法(PIT療法)は、あらかじめ処方された薬を口唇ヘルペスの前兆が現れた段階で使用し、悪化を抑える治療法です。日本では、PIT療法を保険適用で受けることができます。PIT療法を受けられるのは、以下すべてを満たした人です。
- ・再発性の口唇ヘルペス
- ・同じ病型の再発で、なおかつ再発の頻度が年3回以上
- ・再発した際に初期症状を自己判断できる
PIT療法で使用する薬や流れについて詳しく見ていきましょう。
使用する薬
単純疱疹や帯状疱疹に対して有効な抗ヘルペスウイルス薬であるファムビルを処方することが一般的です。日本では、単純疱疹の場合、発症後に通常1回1錠(250㎎)、1日に3回、5日分を処方されることが一般的です。
流れ
まずは、PIT療法の条件を満たしていることを確認するために、医療機関で診断を受けます。ファムビルの適応症およびPIT療法の条件を満たしていることを確認できれば、ファムビルが処方されます。
かゆみ・痛み・ほてりなどの初期症状が現れたら、6時間以内にファムビルを4錠服用しましょう。ただし、必要な錠数はファムビルの容量で異なるため、医師の説明に従って服用してください。
1回目の服用から12時間後を目安として、ファムビルを同量服用します。
注意点
ファムビルは副作用が起こりにくい薬ですが、腹痛や頭痛、めまい、軟便などが見られる場合があります。また、腎機能障害がある方、高齢者の方については処方が可能かどうか慎重な見極めが必要です。妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は服用できません。
飲み合わせについては、ベネシッド(尿酸排泄促進薬)との服用を避ける必要があります。
さらに詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:単純ヘルペスの再発抑制療法(PIT療法)とは?方法・使用する薬・メリットなどを解説
口唇ヘルペスの初期症状が現れたときのNG行動
口唇ヘルペスの初期症状が現れた際に間違った行動をとると、症状の悪化や二次感染、治癒が遅くなるなどトラブルにつながるリスクが高まります。
口唇ヘルペスの初期症状が現れたときのNG行動について詳しく見ていきましょう。
気になるからといって手で触る
初期症状が出ている段階では、すでに感染性が高まっています。手で触ることで、ウイルスが他の部位に広がるだけではなく、周りの人にうつしてしまう可能性があります。
患部を触らないようにし、手で触れた場合は手を丁寧に洗うことが大切です。なお、口唇ヘルペスを触れた手で性器に触れると、性器ヘルペスを発症する恐れがあります。パートナーに感染させないよう注意しましょう。
グラスやタオルを周りの人と共有する
口唇ヘルペスの人がグラスやタオルを使用すると、それらにウイルスが付着する可能性があります。周りの人とグラスやタオルを共有することで口唇ヘルペスをうつすおそれがあるため注意しましょう。
感染を防ぐためには個人用のグラスやタオルを使用し、他人との共有を避けることが大切です。また、プールやサウナ、温泉のように、人と接触することが多い場所へは行かない方がよいでしょう。
キスをする
口唇ヘルペスはキスをすることで相手にうつる可能性があります。口唇ヘルペスの部分を避ければよいとの考え方もありますが、無意識に患部に手で触れることで周りにウイルスが広がっていることも考えられます。
感染を防ぐために、口唇ヘルペスが完治するまではキスは避けましょう。
関連記事:ヘルペスの初期症状とは?現れたときの対処法や日常の注意点
口唇ヘルペスの初期症状が見られたときに意識すること
口唇ヘルペスの初期症状が見られた際は、次のように対応しましょう。
再発の場合はなおさら早く相談する
口唇ヘルペスの再発症状が現れた場合、早めに医師に相談しましょう。再発抑制療法(PIT療法)が受けられる可能性があります。
再発の初期に治療を開始することで、症状の軽減や期間の短縮が期待できます。再発頻度が高い方や初期症状を判断できる方は特に注意が必要です。
PIT療法を受けるための条件について改めて解説します。
- ・再発性の口唇ヘルペス
- ・同じ病型の再発で、なおかつ再発の頻度が年3回以上
- ・再発した際に初期症状を自己判断できる
上記に当てはまる場合は、PIT療法の適用にならないか医師に確認しましょう。
関連記事:単純ヘルペスの再発抑制療法(PIT療法)とは?方法・使用する薬・メリットなどを解説
不規則な生活を改善する
口唇ヘルペス初期症状が見られた場合、不規則な生活を改善することが重要です。
不規則な生活は、口唇ヘルペスの再発を引き起こすリスクを高めます。十分な休息や規則正しい生活によって免疫機能が良好に保てるようになれば、再発しにくくなります。
十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事、適度な運動などを心がけましょう。
感染対策に注力する
口唇ヘルペス初期症状が現れたら、感染を防ぐ対策が重要です。手洗いを徹底し、他者との直接的な接触を避けましょう。マスクを着用することで無意識に患部に触れてしまうリスクを軽減できます。また、周りの人との物の共有を避け、感染を広げないよう配慮することが大切です。
ストレス発散を心がける
口唇ヘルペス初期症状が現れたら、ストレス発散が重要です。過度なストレスは再発を促進する可能性があるため、リラックス法や趣味、運動によってストレスを解消させましょう。マインドフルネスや深呼吸、瞑想などのリラックス法を日常的に実践することで、心身の安定を図ることができます。
また、趣味やアクティビティを通じて気分転換を図り、楽しみを見つけることも重要です。運動はストレス解消に効果的であり、心と体のバランスを良好に保つことができます。
ライフスタイルに合わせて長期間続けられるストレス管理方法を見つけましょう。
強い紫外線を多量に浴びないようにする
口唇ヘルペスは、強い紫外線を浴びることによって再発リスクが高まります。そのため、日頃から強い紫外線を避けて過ごしましょう。真夏のビーチ、炎天下での外出、レジャーなどは強い紫外線を浴びるため、口唇ヘルペスの再発リスクが高まる可能性があります。
対策としては、日差しの強い日には帽子や日傘を使用し、紫外線から皮膚を守りましょう。また、日焼け止めクリームを正しく塗ることも大切です。日焼け止めクリームは汗で流れ落ちてしまうため、こまめに塗り直しましょう。
これらの対策をしても、強い紫外線が降り注ぐ中を日常的に出歩くと、口唇ヘルペスの再発リスクは高まります。買い物はなるべく夕方以降に行う、運動は早朝にするなど、強い紫外線を浴びないよう工夫しましょう。
関連記事:ヘルペス再発の予防対策とすぐに症状を抑える治療法を解説
受診する時間がない方は、おうち病院「オンラインヘルペス外来」
口唇ヘルペスの初期症状が現れた段階で治療を開始すれば、症状の悪化のリスクを軽減できる可能性があります。また、早期に改善することで、口唇ヘルペスによる生活や仕事への影響を抑えられるでしょう。
違和感や痛み、ほてりなどの初期症状が現れた場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。しかし、忙しくて医療機関を受診する時間を確保できない方も多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのが、おうち病院「オンラインヘルペス外来」です。
スマホやパソコンなどを用いてオンライン診療を受けることができるため、初期症状が出た段階で治療を開始できます。また、PIT療法も受けられるため、再発したときのために備えて薬の処方を受けておきたい方にもおすすめです。
薬は自宅から近い薬局で受け取れるため、自宅から一歩も出ることなく治療を完結できます。
口唇ヘルペスは早期発見・早期治療によって影響を抑えられるため、速やかに医療機関を受診することが大切です。この機会に、おうち病院「オンラインヘルペス外来」をぜひ利用してみてください。