腫れと浮腫の違いを解説!知っておきたい症状の見きわめ方

腫れと浮腫は、似た症状ですが少し違います。 原因も考えられる病気も異なるので、その症状に隠れた重病を見逃さないためにも違いをしっかり把握する事が大切です。 本記事では、腫れと浮腫の違いを解説するとともに、症状の見極め方と予想される病気について解説します。

目次

腫れと浮腫は、似た症状ですが少し違います。

原因も考えられる病気も異なるので、その症状に隠れた重病を見逃さないためにも違いをしっかり把握する事が大切です。

本記事では、腫れと浮腫の違いを解説するとともに、症状の見極め方と予想される病気について解説します。

腫れと浮腫の基本的な違いと見極め方

腫れと浮腫の基本的な違いと見極め方を解説します。

腫れと浮腫の違い

腫れ:

腫れは医学用語で(腫脹:しゅちょう)と呼ばれ、炎症や怪我をした部分を治すために、患部に血液の量が増加して膨張している状態を指します。

治そうとして免疫反応が働き、血液が集まって腫れます。

浮腫:

見た目は腫れている状態ですが、体の中で使われている水分が正しく循環、排出されずに体内にとどまってしまう状態です。

血管には小さな穴から体液が体内の細胞に行き渡るようにできていますが、病気や炎症を治すため、多量に血管の外に送り出すようにすることがあります。

しかし、その機能が欠損して必要以上に体内の細胞に漏れ出し、それらが体内にたまってしまうことで発生します。

腫れと浮腫の見極め方

腫れと浮腫は、以下の2つの方法で見分けることができます。

1.指で押す:

指で患部を押してみましょう。くぼんで跡がついたら、むくんでいる(浮腫)状態です。

水分を含んでいるためです。腫れの場合は成分が血液のため、押すとくぼむということはありません。

2.炎症の原因となる症状があるか観察する:

骨折や怪我、虫刺されなどがないか、観察します。また、炎症症状も合わせて観察します。

腫れは患部に熱を持ち、赤くなって痛みを伴うのが特徴ですが、浮腫はそれらを伴わないことが多いです。

腫れと浮腫の症状の違い

腫れと浮腫の症状の違いと、症状から予想される病気について詳しく解説します。

腫れと浮腫の症状比較

腫れと浮腫は原因が違うため、症状にも違いがあります。具体的に症状を比較してみましょう。

症状・条件腫れ浮腫
怪我などの炎症部分あるなし
患部に熱を持つなし
痛み痛みがある病気によってはある
赤み赤く腫れる病気によってはある
腫れる場所炎症部分全身または局部
指で押すとくぼむなしくぼんで跡がつく
(病気による)

よく患部を観察し、どのような症状か見てみると、腫れなのか浮腫なのか、見分けをつけることができます。

予想される病気

腫れと浮腫の症状は、体からのサインです。受診の参考として、症状別に予想される病気についてまとめました。

主な症状予想される病気
腫れ・顔、手足、喉などのかゆみや発疹・気道の場合は呼吸困難・食物、薬、虫刺され、化学物質等のアレルギー反応
・局所的な腫れと発熱や痛み・細菌やウイルス感染の疑い(ヘルペスなど)・関節炎、骨折・打撲など怪我
・顔の蝶形紅斑、赤い発疹・発熱・自己免疫疾患
(免疫系の異常による自己攻撃)全身性エリテマトーデス(SLE)
浮腫・足や足首の浮腫・息切れ、疲労・体重増加・心不全・高血圧・心筋梗塞・心筋症
・顔や下肢の浮腫・尿中のタンパク漏出・体重増加・腎不全(ネフローゼ症候群)・糖尿病、高血圧、慢性腎炎など
・腹水・下肢の浮腫・黄疸・倦怠感など・肝硬変慢性肝炎(B型・C型肝炎)・アルコール性肝疾患・非アルコール性脂肪性肝炎など
・体重増加・顔、体の浮腫倦怠感・悪寒・ホルモンバランスの乱れ・異常・クッシング症候群・甲状腺機能低下症・更年期障害
ステロイド、ACE阻害薬、抗うつ薬などを服用していて浮腫が見られる・薬の副作用の可能性
・体の一部に急激に浮腫・蕁麻疹やかゆみ・2~3日で腫れはひくが繰り返すことがある・血管性浮腫・血管の壁から多くの体液が血管の外に染み出ることによる浮腫の可能性※後発性と遺伝性があるが見分けがつきにくい

このように、腫れと浮腫にも様々な症状と予想される病気があります。腫れや浮腫以外の様々な症状も判断材料にいれながら、参考にしてください。

腫れと違う?その症状、遺伝性血管性浮腫かも

腫れていると思ったら、遺伝性血管性浮腫だったという場合もあります。症状を知り、正しい行動を取りましょう。

「通常の血管性浮腫」と「遺伝性血管性浮腫」の違い

血管性浮腫には一般的なものと遺伝性のものがあります。症状はほぼ同じで一見わかりにくいですが少し違いがあります。

下記に表でまとめてみましたので、疑わしい場合は症状をよく観察してみてください。

通常の血管性浮腫遺伝性血管性浮腫
主な症状・顔、手足など、体の部位に浮腫を引き起こす・蕁麻疹を伴うことがある・体の部位または体内に浮腫を引き起こす・蕁麻疹を伴わない・気道が腫れると呼吸困難に陥る・消化管が腫れると、突然の吐き気、嘔吐、けいれん性の激しい腹痛などを引き起こす
発症時期・中高年になってから発症するケースが多い・通常は幼少期から10代のうちに発症する
原因・がんや自己免疫疾患など、特定の病気によるもの・生まれつき免疫系のタンパク質の欠損によるもの
期間・腫れは通常2~3日でひく・数日たって浮腫がおさまっても、繰り返し症状が表れる
改善方法・原因と思われた要因が解決されると改善される・症状を鎮めることはできても完治はしない

指定難病の遺伝性血管性浮腫

遺伝性血管性浮腫は難病に指定されています。

指定難病とは、医療費助成制度を受けられる、国が指定した特定の病気のことです。


指定難病は18歳以上で、18歳未満は小児慢性特定疾病と言います。

遺伝性血管性浮腫と診断されたら、お住まいの自治体へ申請し医療費助成制度を受けて、治療費の負担を軽くしましょう。

腫れと浮腫を見極め、適切な治療を

前述したように、腫れや浮腫は様々な病気のサインである可能性があります。適切な治療を受けるためにも、早めの受診をおすすめします。

様々な症状をよく観察して見極め、予想される病気に当てはまりそうなら、ただちに医療機関へ受診しましょう。

浮腫の疑いなら何科で受診できる? 

腫れではなく浮腫であれば重大な病気が潜んでいる可能性があります。実際にどの科へ受診すれば良いのか解説します。

一般的なクリニックで治療する

腫れは皮膚科の場合が多いですが、浮腫の場合は内臓疾患や血管によるものが多いので、まずは内科が良いでしょう。診断の結果別の専門医の受診が必要であれば、紹介してもらえます。

オンラインクリニックを受診する

内科や浮腫外来クリニックのオンライン外来、またはオンライン専用クリニックの浮腫外来を受診します。

血液検査や触診が必要な場合は通院が必要ですが、2回目以降の処方箋と経過観察など、継続的な治療ならこちらがおすすめです。

(※ただし、遺伝性血管性浮腫の場合、自宅での皮下注射治療に伴う医師の注射のトレーニングが必要です)

血管性浮腫なら、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」

血管性浮腫の長期的な治療なら、浮腫専門の医師が担当する、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」がおすすめです。

具体的な症状を踏まえて、浮腫に関する知見の豊富かつ最適な医師とのオンライン診療が可能です。

多忙で時間がとれない、病院が遠い、などの理由で通院がおっくうでも通院しなくてすむうえ、待たされることがありません。

ネット環境さえあれば、あなたの空き時間を予約し好きな場所から受診できます。

病気が隠れているかも!?腫れと浮腫の違いを見きわめよう

腫れと浮腫では病気の内容が違い、重大な病気が隠れていることもあります。違いを見極め、早めに受診をして正しい診断を受けましょう。

病気によっては、発作を伴い命に関わる危険性もあります。

判断が難しい症状もありますので、自己判断したり受診を後回しにしたりしないでください。早めに医療機関へ受診し、適切な治療を受けることが大切です。