ヘルペスの治療に新たな薬「アメナリーフ」が注目を集めています。従来のヘルペス治療薬とどのように違うのでしょうか?
この記事では、アメナリーフの効果や注意点、副作用など詳細を解説いたします。また、従来の薬との違いなどを比較しますので検討時の参考にしてください。
目次
注目の新薬「アメナリーフ」の特徴と効果
アメナリーフは、もともと帯状疱疹の治療薬でしたが、2023年2月24日から再発性の単純疱疹の治療にも使用できるようになりました。特徴や効果についてみてみましょう。
アメナリーフの特徴
アメナリーフの特徴は以下の4つです。
- 1日1回の服用
- 新しい作用メカニズムによる早期のウイルス増殖抑制
- 腎機能が低下している患者さんでも比較的安全
- 再発回数に制限なくPIT療法が可能
従来のヘルペス治療薬の多くは1日に複数回の服用が必要でしたので、1日1回のアメナリーフは飲み忘れが少なく、治療の継続がしやすいと言えます。
バルトレックスやファムビルなどの従来の抗ヘルペスウイルス薬とは異なる新しい作用メカニズムを持っています。これにより従来に比べ治癒までの期間を短縮できる可能性があります。
また、腎機能に影響がないため、高齢者や腎機能障害のある患者などにも投与可能です。
さらに、アメナリーフは、前もって薬を処方してもらいヘルペス再発時に患者自身の判断で内服する「PIT療法」にも対応しています。他の薬では、通常年に3回以上の再発を繰り返す患者さんが対象となることが多いのですが、アメナリーフでは、年間のヘルペス再発回数に制限なく使用できます。
アメナリーフの効果と対象の疾患
アメナリーフの効果は、帯状疱疹と単純疱疹の原因となるウイルスの増殖を早期に抑え、症状の進行を防ぐことです。初期段階での投与がより効果を発揮します。
対象となるのは、帯状疱疹と再発性単純疱疹(口唇ヘルペス又は性器ヘルペス)の患者で、症状の緩和が期待できます。
再発性単純疱疹の患者について、アメナリーフの添付文書によると、「単純疱疹(口唇ヘルペス又は性器ヘルペス)の同じ病型の再発を繰り返す患者であることを臨床症状及び病歴に基づき確認すること」「患部の違和感、灼熱感、そう痒等の初期症状を正確に判断可能な患者に処方すること」と定義されています。
また、口唇ヘルペス又は性器ヘルペス以外の病型に対する臨床試験は実施されていないとのことです。
参照元:アメナリーフ200錠添付文書
アメナリーフの薬価と患者負担額
アメナリーフの薬価と実際に支払う額について、表にまとめました。
※単純疱疹の場合(一般的な成人の処方を基準にした処方量で計算しています)
薬品名 | 薬価 | 病名 | 投与方法 | 合計金額 | 3割負担 |
アメナリーフ錠200mg | 1148.7円/1錠 | 帯状疱疹 | 1回400mg(2錠) 1日1回×7日間 | 16081.8円 | 4825円 |
再発性 単純疱疹 | 1200mg(6錠)を食後に1回 | 6892.2円 | 2068円 |
※上記は病院での受診料・薬局での調剤技術料、薬学管理料等など諸費用を含みません。
また、アメナリーフのジェネリック(後発薬品)は、新薬のためまだありません。
アメナリーフは新薬のため、他の薬より高めの薬価となっています。薬は開発に多大な時間と費用がかかっているため、発売当初は特許期間中であり、先発医薬品として高めの価格設定となる傾向があります。
参照元:アメナリーフ200錠添付文書
「アメナリーフ」はヘルペス再発に悩む患者におすすめ
アメナリーフの効果や特徴を前述してきました通り、繰り返すヘルペス症状に悩む方へおすすめしたい薬です。
ヘルペスが再発するメカニズムと、なぜアメナリーフが良いのか検証していきましょう。
なぜヘルペスは再発するの?
ヘルペスが再発するのは、感染すると治療で症状が治まっていても、完全に治癒するわけではないためです。ヘルペスウイルスは、表だった症状が治まった後、身体の中で潜伏し静かに身を潜めています。そして何らかの原因により再び活動するのです。
再発までのメカニズムは以下の通りです。
1.初感染
ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜から侵入し、増殖して炎症や水疱などの症状を引き起こします。
2.神経節への潜伏
症状が治まると、ウイルスは神経線維を通って近くの神経節まで移動し、そこで遺伝子だけを残して静かに潜伏します。この状態ではウイルスはほとんど活動せず、免疫細胞からも攻撃を受けにくい状態です。
3.再活性化
何らかのきっかけがあると、潜伏していたウイルスが再び活性化し、神経線維を通って元の感染部位(皮膚や粘膜)へと移動・増殖します。
4.再発
再び移動してきたウイルスが、皮膚や粘膜で炎症や水疱などの症状を引き起こします。この際、初感染時よりも症状が軽いことが多いですが、同じ部位に繰り返し症状が出ることが特徴です。
再発を防ぐには初期段階で症状を抑えるPIT療法が鍵
従来の治療法である、症状が出現してから受診して、薬を処方してもらう対症療法では、ヘルペスができてから数時間・数日が経過しすでに症状が進行してしまっている場合もありました。
アメナリーフをはじめとする抗ヘルペスウイルス薬は、初期段階で服用しヘルペスウイルスの増殖を抑えます。そこで初期段階での服用が不可欠ですが、早い段階で医療機関を受診できる患者はそう多くはいません。
そこで、PIT療法というあらかじめ薬を処方し、再発症状の初期段階で患者自身が判断して服用する、備える治療法が生まれました。
患者自身が、「ピリピリ」「チクチク」「ムズムズ」などの違和感を自覚症状として把握していれば、すぐにそのタイミングで服用することで水疱や発赤など皮膚症状が出るのを抑えることが可能です。
アメナリーフ常備でQOLの向上へ
アメナリーフは原則6時間以内の処方が効果を発揮します。早ければ早いほど良いでしょう。そのため、アメナリーフを常備しておくことで、タイミングを逃さずに日常生活を送る中で服用することが可能になります。
これにより、ヘルペスの症状が緩和され、水疱や発赤を抑えられるのが最大のメリットと言えます。
再発の症状が出たタイミングですぐに病院へ行くのが困難な方にはおすすめの治療法です。これらは、QOL(生活の質)の向上につながることでしょう。
アメナリーフと従来のヘルペス治療薬を比較
アメナリーフは従来の薬と作用メカニズムが違う新薬です。類似するヘルペスの治療薬は、主にバルトレックス、ファムビルです。
それぞれにどのような違いがあるのか、比較してみましょう。
アメナリーフ、バルトレックス、ファムビルを比較
アメナリーフ、バルトレックス、ファムビルを、それぞれ作用メカニズムや投与回数、副作用などを表にまとめました。
アメナリーフ | バルトレックス | ファムビル | |
有効成分 | アメナメビル | バラシクロビル | ファムシクロビル |
ジェネリック (後発医薬品) | なし | バラシクロビル錠 | ファムシクロビル錠 |
作用機序 (作用メカニズム) | ヘルペスウイルスのDNA複製に必要なヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を阻害 | ヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼを阻害 | ヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼを阻害 |
再発性への治療 | PIT療法(再発性単純疱疹) | 再発抑制療法 (再発性性器ヘルペス) | PIT療法(再発性単純疱疹) |
再発性の対象患者 | とくになし | 年間6回以上の再発 | 年間3回以上の再発 |
通常の投与回数 | 1日1回 | 1日2回 | 1日3回 |
再発抑制での 投与回数 | 初期症状時に1回 | 1日1回を毎日服用 | 初期症状時に2回 2回目は12時間後 |
服用方法 | 食後 | 食前または食後 | 食前または食後 |
腎機能の影響 | 比較的少ない | あり (腎機能に応じて減量が必要) | あり (腎機能に応じて減量が必要) |
主な副作用 | 薬疹(紅斑、 湿疹、 発 疹等)、頭痛、頭重、めまい、 しびれ感、下痢、吐き気/嘔吐、腹痛など | 頭痛、腎障害、腹痛、下痢、腹部不快感、吐き気、肝機能障害、アナフィラキシーショック、意識障害など | 頭痛、傾眠、めまい、吐き気/嘔吐、下痢、腹痛、便秘、口渇、腎機能障害、肝機能障害など |
適応症 | 単純ヘルペス、帯状疱疹 | 単純ヘルペス、帯状疱疹、水痘 | 単純ヘルペス、帯状疱疹 |
薬価 | 1148.7円/1錠 | 145.4円/1錠 | 221.2円/1錠 |
薬価をなるべく抑えたい場合は、ファムビル等の選択肢もありますが、腎機能に影響が少ない事などから、アメナリーフがおすすめの患者もいるでしょう。
最適な処方は、再発の年間の頻度、ヘルペスの症状、他の疾患など患者の状態により、医師が判断します。
アメナリーフを検討する前に知っておくべき注意点
アメナリーフを検討する場合、その前に知っておきたい注意点がありますので、確認してみましょう。
参照元:アメナリーフ錠200mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典
アメナリーフに副作用はある?
アメナリーフは、比較的重篤な副作用は少ないとされていますが、どの薬もそうであるように、100%ないとは言い切れません。
ごくまれではありますが、報告されている副作用として以下のものがあります。
過敏症 | 多形紅斑(皮膚に赤い発疹や浮腫ができる症状)薬疹(紅斑、 湿疹、 発疹等) |
精神神経系 | 頭痛、頭重、めまい、 しびれ感 |
腎臓 | 腎機能数値の異常 |
血液 | 赤血球・白血球・血小板等の数値の異常 |
肝臓 | 肝機能異常 |
消化器 | 下痢、軟便、胃炎、腹部不快感、腹部膨満、腹痛、吐き気/嘔吐、味覚異常(口の中の乾燥感・異物感・唾液過多・味覚異常など)、口内炎 |
循環器 | 高血圧、動悸 |
アメナリーフを服用できない患者
アメナリーフを処方できない患者の決まりがあります。以下確認し、該当する恐れのある方は、受診時に必ず医師へあらかじめ伝えましょう。
アメナリーフの成分である、アメナメビルおよび添加剤成分に対し、過敏症の既往歴のある患者(過去にアレルギー反応、アナフィラキシーショックなど)には投与できません。
<添加剤>
ヒプロメロース、クロスカルメロースナトリウム、 クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、 ケイ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、 タルク、マクロゴール、酸化チタン、三二酸化鉄
また、併用禁忌(併用しないこと)として、「本剤の成分に対しリファンピシン(結核やその他の細菌感染症を治療するための重要な抗生物質)を投与中の患者にはアメナリーフを投与しないこと」とされています。
アメナリーフの服用には注意が必要な患者
服用には注意が必要な人が明示されています。確認のうえ、該当する恐れのある方は、処方してもらう前に医師へ必ずあらかじめ相談しましょう。
1.合併症・既往歴等のある患者
2.免疫機能の低下を伴う患者
悪性腫瘍や自己免疫性疾患など免疫機能の低下を伴う患者
3.妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性は、服用リスクより治療が優先と判断される場合のみ服用が可能ですが極力避けるべきとされています。医師の判断が必要なため、PIT療法は行えません。服用せず受診しましょう。動物実験(マウス)において胎盤に移行することが報告されています。
4.授乳婦
妊婦同様、基本的に避けるべきです。服用の中断か母乳育児の中止を検討しましょう。動物実験(マウス)において母乳に移行することが報告されています。
5.小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していないため服用できません。
6.高齢者
一般に、生理機能が低下しているため、慎重な判断が必要です。
アメナリーフを用いた治療を相談可能な病院
アメナリーフはどこで処方してもらえるのでしょうか。PIT療法の相談も含めて、受診すべき診療科目について解説しますので、参考にしてください。
皮膚科で相談する
皮膚科は、ヘルペス治療では最も一般的な診療科です。ヘルペスの診断と治療を専門としており、ヘルペスの初感染においても、再発性においても安心できる専門家でしょう。単純疱疹・帯状疱疹どちらも受診可能です。
また、PIT療法についての相談や薬の質問などにも答えてくれるでしょう。
気を付けたいのは、アメナリーフは新薬のため医療機関によっては取り扱っていない場合があることです。治療方針や導入している薬等には、病院によって違いがあります。新薬の導入に積極的な病院もあれば、慎重な病院もあります。
アメナリーフを希望するさいは、受診予約の前に電話やメール等で確認しておくと良いでしょう。
内科で相談する
ヘルペス治療は内科でも行うことができます。
特に、再発性のヘルペスで症状が比較的軽い場合や、かかりつけの内科医がいる場合は、内科医を受診するのも良いでしょう。
ヘルペスは、表面上にあらわれている症状は皮膚ですが、ウイルスに感染して発病する、体の内部で起こっていることです。再発性は特にストレスや自律神経の乱れなど、体の中のことが影響を及ぼします。
かかりつけ医の場合、あなたの体調を一番理解してくれているはずです。
婦人科・産婦人科で相談する
性器ヘルペスの場合、女性は婦人科、男性は泌尿器科を受診しましょう。
また、妊娠している可能性のある方や妊娠中、授乳中の方はヘルペス患部の位置に関わらず、産婦人科か婦人科へ受診しましょう。
アメナリーフは抗ヘルペスウイルス薬であり、妊婦や授乳に影響することを明示しており、服用を避けるべきとしています。抗ヘルペスウイルス薬ではなく、別のアプローチでの治療を提案してくれるでしょう。
オンラインヘルペス外来で相談する
近年は、オンライン外来もずいぶん増えてきて、環境もどんどんよくなっています。
ヘルペス治療の相談に、オンライン受診という新しい選択肢もあります。
特に症状が比較的軽い場合や、初診ではなく再発性の場合で、ご自身で症状をよく理解している場合は、オンラインがおすすめです。
それらの相談や処方も可能です。ベストなタイミングで素早く服用して、症状の悪化を未然に防ぎたいなら、検討しても良いかもしれません。
時間がなくて通院できない方には、おうち病院「オンラインヘルペス外来」
口唇ヘルペスは、飲み薬や塗り薬を中心とした薬物療法で治療します。重症化のリスクが高い場合は、点滴静注で抗ウイルス成分を投与することもあります。口唇ヘルペスはなるべく初期の段階で治療を始めることで早期改善が期待できるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
しかし、仕事や家事、育児、介護など、さまざまな事情で医療機関を受診する時間を確保できない方もいらっしゃいます。そのような方には、「おうち病院 オンラインヘルペス外来」をおすすめします。
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「口唇ヘルペスの治療を受けたいけれど受診が難しい」という方はぜひ「おうち病院 オンラインヘルペス外来」をご利用ください。
ヘルペスの再発は初期症状での対応が鍵。アメナリーフ常備という新たな選択肢を
アメナリーフは、初期症状の段階で自分の判断でサッと飲めば、ヘルペス症状の進行を食い止めることが期待できる薬です。
再発の症状として、初期段階での違和感を自分で察知しているなら、PIT療法に向いているかもしれません。
また、多忙で病院になかなか通院できない、時間をとって通院するのが面倒といった通院に困難を感じている方、恥ずかしくて通院したくないと感じている方は特にオンライン受診がおすすめです。
ヘルペスの再発に悩むなら、「アメナリーフ常備」という選択肢を、オンライン受診で相談してみてはいかがでしょうか。