便秘のときは何科に行けばいい?病院で処方される便秘薬の種類や受診タイミングの目安を解説

便秘の症状が長く続くとお腹の張りで苦しくなりますし、精神的にもつらくなってしまい、日常生活に支障が出てしまうものです。便秘はありふれた症状でありながら、「病院は何科に行けばいいのかわからない」「妊婦でも使える便秘薬はある…?」など疑問も多くあるものです。 そこで今回は、病院で処方される便秘薬の種類、便秘のときに行くべき診療科、便秘で病院を受診する際の目安について解説します。

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便秘の症状が長く続くとお腹の張りで苦しくなりますし、精神的にもつらくなってしまい、日常生活に支障が出てしまうものです。便秘はありふれた症状でありながら、「病院は何科に行けばいいのかわからない」「妊婦でも使える便秘薬はある…?」など疑問も多くあるものです。

そこで今回は、病院で処方される便秘薬の種類、便秘のときに行くべき診療科、便秘で病院を受診する際の目安について解説します。

便秘は大きく分けて慢性便秘症と急性便秘症がある

便秘は誰もが1度は経験したことがある症状ではないでしょうか。しかし一口に「便秘」といっても、症状は人それぞれで違います。たとえば、「3日くらい便が出ない」という方もいれば、「便通はあるが1ヶ月ほどスッキリと排便できていない」という方もいます。

実は、便秘はその期間や症状ごとに「急性便秘症」と「慢性便秘症」に分けることができます。以下で、それぞれどういう便秘なのか解説します。

急性便秘症

急性便秘症とは、その名の通り何らかの原因で急に排便が不調になってしまうもので、1度スッキリ排便できるとその症状は改善される便秘症状です。

急性便秘症になる原因はさまざまで、急な生活習慣の変化、仕事や勉強などによるストレス、旅行や出張などによる環境の変化、睡眠不足、暴食や過度のダイエットなどにより、胃腸が働きを弱めてしまいスッキリ排便できなくなってしまうのです。これらの原因を改善できれば、胃腸の働きも徐々に回復していき、便秘が解消されていきます。

急性便秘症の場合は、自分自身を見つめ直してみて、生活上の何らかの変化や問題がないかを見つけることが大切です。問題が解決されて原因が取り除かれれば、自然と戻りますので、気にしすぎることなく普段通りの生活を送るようにしてみましょう。

ただし、原因が特に思い当たらない場合は注意が必要です。腸閉塞や腸捻転などの病気が隠れているケースもあるためです。そのような病気がある場合は吐き気などがありますので、気になる場合は医師に相談してみましょう。

慢性便秘症

慢性便秘症診療ガイドライン2017」(日本内科学会)では「慢性便秘症の定義」にて、まず便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。そして、その状態が持続し「日常生活に支障が生じていれば便秘症と診断し、治療を行ってよい」としています。

つまり慢性便秘症とは、慢性的に便秘状態が持続し、日常生活に支障があることを指すわけです。

慢性便秘症になる原因としては食生活の乱れや運動不足、ストレスなどがありますが、こうしたさまざまな原因が胃腸の働きを弱めてしまい、排便が困難な状態が続いてしまうわけです。また、慢性便秘症の裏に病気や疾患など器質性の問題が隠れていることもあります。排便できずに悩んでいたら、実は大腸がんがあったり、女性の場合は子宮筋腫の影響が出ていたりして、慢性便秘症になることもあります。

気になる症状があれば、病院を受診するようにしましょう。

病院で処方される便秘薬

慢性便秘症は便秘状態が長く続き、お腹の張りや不快感などの症状が出て、日常生活に支障をきたす恐れがあります。そのため、薬を使ってなんとか改善できないかと思う方も多いことでしょう。

病院で処方される便秘薬にはさまざまなものがありますが、現在主流なのが「機械性下剤」「刺激性下剤」の2つのタイプです。それぞれどのような種類があって、どのような効果が期待できるのか解説します。

機械性下剤(非刺激性)

機械性下剤は非刺激性で、腸に直接刺激を与えて排便を促す薬ではありません。便の水分量を増やして柔らかくしたり、かさ増ししたりすることで便秘状態を改善する薬です。機械性下剤は成分の違いにより3つの種類に分けられます。

塩類下剤

マグネシウムを主成分にしたものです。腸の水分吸収を抑えて、便に水分をとどまらせることで便を柔らかくします。さらに腸管内の水分量が増え、ぜん動運動が促されて排便しやすくなります。習慣性がほとんどなく、長期間使用しても効果を得やすいのが特徴です。

代表的な塩類下剤の便秘薬に「マグミット」があります。

膨張性下剤

その名の通り膨張する特徴を持ち、腸管内にある水分や摂取した水を吸収することで便のかさを増やします。緩やかに作用するため、自然により近い排便が促されるのが特徴です。習慣性もないため安心できます。

代表的な膨張性下剤の便秘薬には「バルコーゼ」があります。

糖類下剤

塩類下剤のように便を柔らかくすることに加え、分解された成分により腸を適度に刺激してぜん動運動を促します。マグネシウムが入っていないため、高齢者や子供でも使えて、習慣性もなく安全性の高い薬です。

代表的な糖類下剤の便秘薬には「モニラック」があります。

刺激性下剤

大腸または小腸に直接刺激を与えることで、腸のぜん動運動を促して排便させる便秘薬です。下剤としての効果は機械性下剤よりも高い傾向にありますが、継続的に使用すると効きにくくなるので注意が必要です。

大腸刺激性下剤

大腸へ作用するもので、大腸の働きが弱りがちな高齢者に向いているとされます。代表的な大腸刺激性下剤の便秘薬には「プルゼニド」「アローゼン」などがあります。

小腸刺激性下剤

小腸を刺激するもので、食中毒などのケースを除いて、現在は下剤としてほとんど使われません。代表的な小腸刺激性下剤の便秘薬には「ヒマシ油」があります。

坐薬

肛門から挿入し、直腸に作用する薬です。即効性があるものの、自然な排便感はないため使用には注意が必要です。代表的な坐薬の便秘薬には「新レシカルボン坐剤」などがあります。

妊娠中・授乳中は医師にご相談を

妊娠中や授乳中はホルモンバランスが変化する影響で、便秘になりやすいタイミングです。そもそも女性は腹筋が弱いなどの理由から、男性よりも便秘になりやすいとされ、特に妊娠中は、半数近くの方が便秘になるともいわれています。

「便秘はつらいけど、便秘薬を飲んだら赤ちゃんに影響しそう…」と思われる妊婦さんは多くいらっしゃいます。もちろん、安易に市販薬を服用するのは避けるべきです。しかし、マグネシウムを主成分とする便秘薬であれば刺激や副作用が少なく安全に使用できます。

妊娠中・授乳中に慢性便秘症でお悩みなら、まずはかかりつけの医師に相談してみてください。

便秘薬を処方してくれる診療科

慢性便秘症で悩んでいて処方薬で改善したいものの、どこの診療科に行けばいいのかわからない方は多いのではないでしょうか。一般的には、胃腸科・内科・消化器科などで便秘の診察を行っています。

しかしたとえば、妊婦さんの場合は産婦人科で相談した方が、母体やお腹の赤ちゃんのためにはよいと考えられます。また、慢性便秘症の場合、便秘以外の他の病気が隠れている可能性もあります。その場合はかかりつけの医師にまずは相談してみるのもよいかもしれません。

慢性便秘症はお腹の張りも苦しく大変ですから、無理をせずに受診できるところに相談してみてください。

便秘薬以外の治療・改善方法

病院での慢性便秘症の治療法・改善法には便秘薬以外にも、浣腸や整腸剤があります。以下でそれぞれの特徴を解説します。

浣腸

浣腸は、肛門近くの直腸で便が硬くなって便秘になるケースで行われる医療行為です。肛門から浣腸器を用いて肛門へ直接薬液を注入し、腸を刺激します。腸に刺激を与えるため即効性が高く残便感なく排便できますが、血圧低下などのリスクもあります。

整腸剤

整腸剤は腸内環境を整えて善玉菌を増やすことで、便秘・下痢の症状を改善するものです。継続的に服用することで腸内環境が整うものなので、浣腸のような即効性はありません。その代わり、副作用や身体への負担がなく、健康維持のために日常的に服用し続けられます。

便秘で病院を受診するタイミング

便秘になったとき、いつ病院を受診したらいいのか迷う方は多いことでしょう。慢性便秘症は長い期間ずっと苦しい状態が続いてしまうものですから、できれば早いタイミングで行きたいものです。以下で受診するタイミングの目安を解説します。

まずは運動・食事の見直しを

便秘が長く続いているなと感じたら、まずは生活習慣を見直してみましょう。

慢性便秘症は、運動不足や乱れた食生活が原因となることが少なくありません。たとえば、デスクワークでほとんど歩くことがない方ならば、腹筋が弱ってしまいいきみにくくなり、血行が悪くなって胃腸の働きが弱っていて便秘になっているのかもしれません。

他にも、無理なダイエットで食事量が少ない、偏った食事で野菜をほとんど食べないといった場合、便秘になりやすいものです。

まずはこうした悪習慣を見直して、便秘対策のために生活習慣の改善を継続的に行ってみましょう。

目安は1ヶ月以上

便秘の症状は個人差があるため一概にはいえませんが、1週間程度であれば病院を受診せずに様子を見てもよいとされています。しかし、便が出ない・出てもスッキリしないという状態が1ヶ月以上続いている、または便秘のせいで日常生活に支障をきたしている、ということであれば病院を受診しましょう。

前述の通り、胃腸科・内科・消化器科などを受診するのが一般的ですが、かかりつけ医がいればそちらでも大丈夫です。

便秘以外の症状があればすぐ受診を

便秘症状とともに、吐き気・嘔吐・便に血が混じっている・便の色や太さが極端に変わった・便が出ていないのに体重が減った、など明らかに異常な症状があれば、すぐに病院を受診しましょう。

このような症状がある場合は、便秘の裏に病気が隠れているかもしれないためです。

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長く続く慢性便秘症はお腹の張りなどの身体の症状だけでなく、精神的にもつらくなるものです。早く改善したいと思っているものの、「仕事で忙しい」「症状がつらい」などの理由で受診できない方も多いことでしょう。そうなると症状が余計につらくなりますし、慢性便秘症が長期化してしまいます。

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