「病院に行けば、市販薬よりよく効く便秘薬を出してもらえるのだろうか」——市販薬で思うように出ない方が、次に気になるのがこの点です。結論からお伝えすると、**医師が治療でまず使うことが多いのは、便に水分を集めてやわらかくする「浸透圧性下剤」(酸化マグネシウムなど)です。**効果が不十分なときには、処方でしか使えない新しいタイプの薬も選択肢になります。本ページでは、病院でもらう便秘薬の名前と特徴を一覧にし、市販薬との違いをご案内します。。
この記事の要点
- 医師が便秘の治療でまず使うことが多いのは、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤です。
- 効果が不十分なときは、リナクロチド(リンゼス)、ルビプロストン(アミティーザ)、エロビキシバット(グーフィス)など、処方でしか使えない薬が選択肢になります。
- 市販薬に多い刺激性下剤は、出ないときに使う(頓用)位置づけで、毎日の連用で効きにくくなることがあります。
- 処方薬と市販薬の違いは「強さ」ではなく、便秘のタイプや持病に合わせて選べる種類の多さです。
- 病院での浣腸や摘便は、便が詰まって出せない場合に限って行う処置です。
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目次
「医者がすすめる便秘薬」は一つではない
「医者がすすめる便秘薬」という言葉から、誰にでも効く一つの薬を想像される方もいるかもしれません。実際には、医師は便秘のタイプ(排便回数が少ないのか、出しにくいのか)、便の硬さ、年齢、腎臓の働き、ほかに飲んでいる薬、妊娠の有無などを確認したうえで薬を選びます。そのため、誰にでも同じように合う便秘薬があるわけではありません。日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023」では、生活習慣の見直しとともに浸透圧性下剤から始め、効果が不十分なら上皮機能変容薬や胆汁酸トランスポーター阻害薬を検討する流れが示されています。
病院でもらう便秘薬の名前一覧(8タイプ)
病院で処方される便秘薬は、はたらき方によって8つのタイプに分けられます。医薬品は一般名(成分名)を先に、主な商品名を括弧で示しています。お手持ちの薬の名前と照らし合わせてご覧ください。
| タイプ | 一般名(主な商品名) | はたらき | 主な特徴・注意点 | 市販薬 |
|---|---|---|---|---|
| ① 浸透圧性下剤(塩類) | 酸化マグネシウム(マグミット など) | 腸に水分を集め、便をやわらかくする | 治療の基本。腎臓の働きが低下している人・高齢者は、血液中のマグネシウム値の確認が必要 | 同成分あり |
| ② 浸透圧性下剤(糖類) | ラクツロース(ラグノスNF経口ゼリー) | 腸に水分を集める | ゼリー状。お腹の張り・ガスが出ることがある | 処方のみ |
| ③ 浸透圧性下剤(高分子化合物) | ポリエチレングリコール製剤(モビコール配合内用剤) | 水に溶かして飲み、便の水分を保つ | 量を調整しやすい。小児にも使われる | 処方のみ |
| ④ 上皮機能変容薬 | リナクロチド(リンゼス)、ルビプロストン(アミティーザ) | 腸の内側から水分の分泌を増やす | 下痢に注意。ルビプロストンは吐き気が出ることがあり、妊娠中は使えない | 処方のみ |
| ⑤ 胆汁酸トランスポーター阻害薬 | エロビキシバット(グーフィス) | 大腸に届く胆汁酸を増やし、水分分泌と腸の動きを促す | 食前に飲む。腹痛・下痢に注意 | 処方のみ |
| ⑥ 刺激性下剤 | センノシド(プルゼニド など)、センナ(アローゼン)、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン) | 大腸を刺激して動かす | 効果は強いが、連用で効きにくくなることがある。頓用の位置づけ | 同系統あり |
| ⑦ 坐薬・浣腸 | ビサコジル坐剤(テレミンソフト)、炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム坐剤(新レシカルボン坐剤)、グリセリン浣腸 | 直腸を刺激して排便を促す | 便が直腸まで来ているのに出せない「出しにくい」タイプに | 浣腸は同系統あり |
| ⑧ その他 | 膨張性下剤:カルメロースナトリウム(バルコーゼ)/漢方:大黄甘草湯・麻子仁丸 など/整腸剤:酪酸菌(ミヤBM)など | 便のかさを増やす、腸内環境を整える など | 補助的に使われることが多い | 同系統あり |
※ 医療用麻薬(オピオイド)による便秘には、ナルデメジン(スインプロイク)という専用の薬があります。 ※ ヒマシ油(小腸刺激性下剤)は、現在の便秘治療ではほとんど使われません。
表のうち②〜⑤は、市販では手に入らない薬です。市販薬を試しても改善しない場合に、受診することで選択肢が広がる理由はここにあります。どの薬をどの順番で使うかは、「慢性便秘症の薬|ガイドライン2023に沿った使い分けと治療の流れ」で詳しく解説しています。
処方薬と市販薬は何が違うのか
「処方薬のほうが強い」と思われがちですが、実際の違いは強さではありません。違いは、選べる薬の種類と、誰が選ぶかにあります。主な違いを次の表にまとめました。
| 比べる点 | 処方薬 | 市販薬 |
|---|---|---|
| 選べる薬の種類 | 上の8タイプすべて。②〜⑤は処方でしか使えない | 主に刺激性下剤、酸化マグネシウム、膨張性下剤、漢方、整腸剤 |
| 選び方 | 医師が便秘のタイプ・持病・併用薬を確認して選ぶ | 自分で選ぶ(薬剤師に相談できる) |
| 費用 | 健康保険が適用(診察料がかかる) | 全額自己負担 |
| 向いている人 | 便秘が続いている、市販薬が効かない・量が増えている、持病や飲んでいる薬がある | 一時的な便秘を短期間だけ整えたい |
一時的な便秘であれば、市販薬を短期間使う方法で十分なこともあります。一方で、市販の刺激性下剤を毎日使っていて、効きにくくなってきた場合は、処方薬への切り替えを相談するタイミングです。市販薬の選び方は「便秘薬の市販薬|タイプ別の選び方と、処方薬に切り替える判断基準」、切り替え方は「便秘薬が効かない|6つの原因と、刺激性下剤からの切り替え方」で解説しています。
病院で浣腸や摘便はしてもらえる?
便が直腸で硬くなって出せない場合(便塞栓)には、病院でその場で便を出す処置を行うことがあります。ただし、これは便が詰まっている場合に限った対応で、便秘で受診したら必ず行うものではありません。主な処置は次の3つです。
- グリセリン浣腸:肛門から薬液を入れ、直腸を刺激して排便を促す
- 坐薬:直腸で溶けて排便を促す
- 摘便:医師・看護師が、指で硬い便をかき出す
浣腸はすぐに効果が出る一方で、腸を傷つけるおそれや、使ったあとに血圧が下がることがあります。そのため、自己判断で繰り返し使うことは勧められません。強い腹痛や嘔吐を伴う場合は、浣腸をせずに医療機関を受診してください。処置が必要な場合は、内科・消化器内科・肛門科などの対面の医療機関を受診します。
妊娠中・授乳中の便秘薬
妊娠中は、使える便秘薬が限られます。たとえばルビプロストン(アミティーザ)は、妊娠中または妊娠の可能性がある方は使えません。市販薬の中にも妊娠中の使用に注意が必要なものがあるため、自己判断で使う前に、かかりつけの産婦人科にご相談ください。
こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】
処方薬を試すべきかどうか迷っている方は、いまの薬の使い方を一度振り返ってみてください。当てはまる項目を数えてみてください。
□ 市販の便秘薬を1か月以上使っているが、状態が変わらない
□ 市販薬の量が、使い始めたころより増えている
□ 刺激性下剤を、ほぼ毎日使っている
□ 薬を飲まないと、ほとんど出ない
□ 便秘薬でお腹が痛くなる、または下痢になりやすい
□ 腎臓の病気がある、またはほかに飲んでいる薬が多い
□ 便秘のことを、まだ一度も医師に相談したことがない
2つ以上当てはまる場合は、一度医師にご相談ください。便秘のタイプに合った処方薬に切り替えることで、薬の量を増やさずに済むことがあります。なお、血便や体重減少などの警告症状がある場合は、当てはまる数にかかわらず受診をご検討ください。受診先は「便秘は何科?消化器内科・内科の選び方と、病院で受ける診察・検査」をご覧ください。
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「処方薬を試してみたいが、通院の時間が取れない」という方にも、「おうち病院 オンライン診療」という選択肢
処方薬に興味があっても、平日の日中に通院する時間を取るのは簡単ではありません。「便秘くらいで半休を取るのは」と、受診を先延ばしにしている方も多いと思います。警告症状がなければ、オンライン診療で医師に相談し、保険診療で処方薬を受け取る方法もあります。ここでは、おうち病院のオンライン診療で処方できる薬と、対面受診をお願いするケースをご案内します。
おうち病院の特徴
おうち病院の内科では、スマートフォンのビデオ通話で医師が問診し、必要に応じて保険診療で便秘薬を処方します。主な特徴は次のとおりです。
✅ 診察するのは、全員が女性医師です
在籍する医師はすべて女性医師です。排便の回数や便の状態など、対面では話しにくいことも、自宅から相談できます。医師の専門・経歴は「医師紹介」でご覧いただけます。
✅ 予約時に医師を選べます
予約日時を選ぶときに「医師フィルター」で医師を絞り込めるため、同じ医師に続けて相談することもできます。
✅ 時間通りに診察が始まり、丁寧に診察します
予約した時間に診察が始まります。診察時間は目安5〜15分で、事前の問診票をもとに診察します。
✅ 平日・土日祝日も、朝6時〜深夜0時まで受診できます
仕事や家事のあと、夜の時間帯にも受診できます。
✅ 薬は、自宅への配送か近くの薬局で受け取れます
自宅配送の「おくすりおうち便」か、全国8,200店舗以上の連携薬局から選べます。
受診費用の目安(保険適用)
便秘の診察は保険診療の対象です。診察料とシステム利用手数料を合わせた費用の目安は次のとおりです。正確な金額は、予約画面でご確認いただけます。
| 項目 | 初診 | 再診 |
|---|---|---|
| 診察料(3割負担) | 1,000〜1,200円 | 800〜900円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 | 1,100円 |
| 合計の目安 | 約2,100〜2,300円 | 約1,900〜2,000円 |
処方できるお薬(すべて保険診療の対象です)
便通異常症診療ガイドライン2023で治療の基本とされる浸透圧性下剤から、効果が不十分なときに使う新しいタイプの薬まで、便秘の治療に用いる薬をひととおり処方できます。市販では手に入らない薬も含まれます。なお、厚生労働省の指針により、初診のオンライン診療では、持病や飲んでいる薬などの情報が十分に分からない場合、8日分以上の処方などに制限がかかることがあります。どの薬を何日分処方するかは、診察のうえで医師が判断します。
| 分類 | 主な薬剤(一般名/商品名) | 市販での入手 |
|---|---|---|
| 浸透圧性下剤(塩類) | 酸化マグネシウム(マグミット など) | ○ 市販あり |
| 浸透圧性下剤(糖類) | ラクツロース(ラグノスNF経口ゼリー) | × 処方のみ |
| 浸透圧性下剤(高分子化合物) | ポリエチレングリコール製剤(モビコール配合内用剤) | × 処方のみ |
| 上皮機能変容薬 | リナクロチド(リンゼス)、ルビプロストン(アミティーザ) | × 処方のみ |
| 胆汁酸トランスポーター阻害薬 | エロビキシバット(グーフィス) | × 処方のみ |
| 刺激性下剤 | センノシド(プルゼニド など)、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン) | ○ 市販あり |
| 坐薬・浣腸 | ビサコジル坐剤(テレミンソフト)、グリセリン浣腸 など | ○ 市販あり |
| 漢方薬 | 麻子仁丸、潤腸湯、大建中湯 など | ○ 市販あり(用量が異なる場合あり) |
おうち病院 オンライン診療への受診の流れ
予約から薬の受け取りまでは、次の5つのステップで進みます。初めての方も、スマートフォンだけで手続きできます。
- おうち病院のトップページから内科を選び、受診を予約
- 事前問診に回答(排便の回数・便の状態・使っている市販薬・服用中の薬など)
- ビデオ通話で医師が診察(5〜15分ほど)
- 処方薬を薬局で受け取る、または自宅に配送
- 経過を確認し、薬の量や種類を調整
⚠ オンライン診療ではなく、対面での受診をお願いするケース
次のような場合は、大腸内視鏡などの検査や処置が必要になることがあるため、対面での受診をご案内しています。オンライン診療では、触診や検査、浣腸・摘便などの処置は行えません。
- 血便がある、便が細くなった、排便の習慣が急に変わった
- 意図しない体重減少がある、発熱や強い腹痛を伴う
- お腹にしこりを触れる、50歳以上で新たに便秘になった
- いきんでも出ない、指で押さないと出ないなど、便が直腸にあるのに出せない
これらに当てはまる場合の受診先は、消化器内科・内科が目安です。いきんでも出ないなど、便を出す機能の問題が疑われる場合は、肛門科や消化器内科で直腸・肛門の状態を確認します。オンライン診療の問診でこれらのサインが見つかった場合も、対面の医療機関をご案内します。
あわせてお読みください
便秘の記事は、知りたいことに合わせていくつかに分かれています。ご自身の状況に近いものからお読みください。
- 便秘症の全体像を知りたい方へ → 慢性便秘症とは?便秘との違い・診断の目安・治療の全体像
- 薬の使い分けを知りたい方へ → 慢性便秘症の薬|ガイドライン2023に沿った使い分けと治療の流れ
- 市販薬を使っている方へ → 便秘薬の市販薬|タイプ別の選び方と、処方薬に切り替える判断基準
- 薬が効かなくなってきた方へ → 便秘薬が効かない|6つの原因と、刺激性下剤からの切り替え方
- 受診先で迷っている方へ → 便秘は何科?消化器内科・内科の選び方と、病院で受ける診察・検査
- 費用が気になる方へ → 便秘で病院にかかる費用|保険適用の内訳と、市販薬との比較
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この記事の監修
本記事は、おうち病院 医師チームが監修しています。医師チームは、産婦人科・皮膚科・内科などを専門とする医師で構成され、全員が女性医師です。記事の内容は、公的機関や学会のガイドラインをもとに医師が確認しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 医者がすすめる便秘薬は何ですか?
A. 一つに決まっているわけではありません。多くの場合、まず酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤から始め、効果が不十分なら、リナクロチド(リンゼス)やエロビキシバット(グーフィス)など処方でしか使えない薬を検討します。便秘のタイプや持病によって、選ぶ薬は変わります。
Q. 病院でもらう便秘薬の名前を教えてください。
A. よく使われるのは、酸化マグネシウム(マグミット など)、ラクツロース(ラグノスNF経口ゼリー)、ポリエチレングリコール製剤(モビコール)、リナクロチド(リンゼス)、ルビプロストン(アミティーザ)、エロビキシバット(グーフィス)、センノシド(プルゼニド など)、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)などです。どの薬が合うかは、便秘のタイプや持病によって異なります。
Q. 病院の便秘薬は市販薬より強いのですか?
A. 「強い」というより、選べる種類が多いことが違いです。市販薬は刺激性下剤が中心ですが、処方では腸に水分を集める薬や、処方でしか使えない新しいタイプの薬を、便秘のタイプに合わせて選べます。
Q. 便秘で病院に行くと、浣腸をされますか?
A. 便が詰まって出せない場合に限り、浣腸や摘便などの処置を行うことがあります。多くの場合は、問診・診察と飲み薬の処方です。
Q. 酸化マグネシウムを飲むときの注意点は?
A. 腎臓の働きが低下している方や高齢の方は、血液中のマグネシウムが高くなることがあり、定期的な確認が必要です。一部の抗菌薬や骨粗しょう症の薬などと一緒に飲むと、効果に影響することがあります。服用中の薬は、医師・薬剤師に伝えてください。
Q. 処方の便秘薬は、オンライン診療でももらえますか?
A. 警告症状がなければ、オンライン診療で医師が問診し、保険診療で処方を受けられる場合があります。酸化マグネシウムのほか、リナクロチド(リンゼス)やエロビキシバット(グーフィス)など処方でしか使えない薬も、医師の判断で処方の対象になります。初診では処方日数に制限がかかることがあり、検査や処置が必要なときは対面での受診が必要です。
参考文献・出典
この記事は、次の資料をもとに作成しています。医療情報は改訂されることがあるため、最新の内容は各資料でご確認ください。
- 日本消化管学会 編「便通異常症診療ガイドライン2023—慢性便秘症」南江堂、2023年
- ケアネット「慢性便秘症ガイドライン改訂、非専門医向けに診療フローチャート」
- 各薬剤の添付文書(PMDA 医療用医薬品 情報検索)
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月策定、令和8年4月一部改訂)