糖尿病の薬で起こる代表的な副作用とは?副作用が出たときの対処法も解説

目次

糖尿病の治療において薬の投与はとても効果的です。食事療法や運動療法が治療の基本ではあるものの、薬物療法は投与後すぐに血糖値を下げることができます。しかしその一方で、糖尿病の薬には低血糖をはじめとした副作用があるため、注意が必要です。

今回は、糖尿病の薬で起こる代表的な副作用、薬ごとの副作用、副作用が出たときの対処法について解説します。

糖尿病の薬で起こり得る副作用

糖尿病の治療の基本となるのは食事療法と運動療法です。しかし、症状によってはそれだけだと十分に血糖値をコントロールできません。その場合、薬物療法も併せて行います。

薬の使用は血糖値を下げやすく、糖尿病治療において効果的です。しかし、投薬が原因となり、副作用が起こる可能性もあります。以下で、糖尿病の薬で起こり得る「低血糖」「体重の増加」について解説します。

低血糖

低血糖は、糖尿病の治療で薬を使用する際に最も起こりやすい副作用です。低血糖とは、血糖値が正常値を下回る状態のことで、投薬の効果が過剰に出てしまって起こることがあります。

低血糖の症状としては、冷や汗や顔面蒼白、動悸などです。低血糖状態が続くと、意識障害やけいれんを起こすこともあり危険です。

糖尿病の薬により低血糖が起こる原因はさまざまですが、食事量の変化やタイミングのズレにより引き起こされることはよくあります。

たとえば、食欲がなく食事を抜いてしまう・少なくしてしまうと、想定したエネルギー量を摂取できません。そのため、薬が効きすぎてしまい低血糖になることがあります。また、薬の飲み忘れによりいつもと違うタイミングで薬を使用してしまった場合も、血糖コントロールがうまくいかずに、低血糖になることがあります。

体重の増加

体重増加も糖尿病の薬の代表的な副作用です。

糖尿病の薬は多くの種類がありますが、SU薬やチアゾリジン薬には体重を増加させる副作用があります。

SU薬は一般的な投与であれば副作用が起こることはありません。しかし、食事療法や運動療法が適切に行われず、エネルギーが過剰になっている状態で投与してしまうと、体重増加する可能性が高まります。そのような条件下で投与すると、脂肪細胞がインスリン過剰状態となり、脂肪細胞が肥大化して体重が増えてしまうのです。

チアゾリジン薬は少量投与では体重増加することはありませんが、大量に投与すると小型の脂肪細胞が多く作られることから、体重増加の副作用が起きる可能性があります。

薬の飲み合わせにも注意

糖尿病の薬とその他の薬の飲み合わせが悪く、症状が悪化したり副作用が出たりします。

たとえば、花粉症の治療薬である副腎皮質ステロイドは血糖上昇作用があるため、糖尿病の症状が悪化する恐れがあります。

また、市販薬の服用で副作用が強く出ることもあります。中でも解熱鎮痛剤や総合風邪薬に含まれているアスピリンは、血糖値を下げる作用があるため、低血糖リスクを高める恐れがあります。

処方薬でも、一部の消炎鎮痛薬や血圧降下薬は相性が悪く、低血糖の副作用が出ることがあるので注意が必要です。必ず医師・薬剤師に、糖尿病治療で薬を処方されていることを伝えるようにしましょう。

糖尿病の薬ごとの副作用

糖尿病の薬は多くの種類があり、血糖値を下げるのに役立ちます。しかし、低血糖をはじめとした副作用があるため注意が必要です。ここでは、糖尿病の薬ごとの副作用を紹介します。

スルホニル尿素剤

膵臓に作用してインスリンの分泌を促し、グルカゴンの分泌を抑制することで血糖値をコントロールする薬です。

血糖値を下げる力が強いため、低血糖を起こす可能性が高いので注意が必要となります。他にも、赤血球が破壊されることで起きる溶血性貧血や光線過敏症、胃腸障害などの副作用が起きることもあります。

ビグアナイド剤

主に肝臓に作用し、ブドウ糖の放出を抑える作用があります。また、インスリンの働きを良くする作用もあり、血糖値を下げます。

食欲不振・悪心・嘔吐・下痢・便秘といった消化器に関する副作用が起きることがあります。また、まれですが乳酸アシドーシスという副作用を起こすことがあり注意が必要です。低血糖も起こり得ます。

α-グルコシダーゼ阻害剤

小腸に作用して、糖の吸収を遅らせることで食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。

お腹の張りや放屁、便秘などの副作用があります。低血糖も起こる可能性があり、インスリン・SU薬・グリニドを併用している場合は低血糖がなかなか改善しない恐れがあるため、注意が必要です。

インスリン抵抗性改善剤

インスリン受容体の感受性を高めることで、インスリンの効きをよくして血糖値をコントロールしやすくする薬です。

副作用としては、むくみや貧血、体重増加などがあります。また、膀胱がんと関連があるのではないかと懸念されています。低血糖については、インスリン分泌を刺激する作用がないため、単体の使用であれば起きにくいとされています。

インスリン分泌促進剤

膵臓に短時間だけ作用し、インスリンの分泌を促すことで血糖値の上昇を抑えます。

スルホニル尿素剤(SU薬)と同様に、低血糖の副作用が出ることがあるため注意が必要です。また、心筋梗塞や肝機能障害などの副作用が現れることがあります。異常があればすぐに医師に相談しましょう。

インスリン注射

体内で不足しているインスリンを補うことで、血糖値を下げる効果があります。

インスリン注射で最も起こりやすい副作用は低血糖です。注射量が多い場合は副作用発生リスクが高まります。インスリン注射は患者本人が注射するものですので、十分に注意しながら使用しましょう。

糖尿病の薬で副作用が出たときの対処

糖尿病の薬は血糖値を下げる効果が高いので、血糖コントロールもしやすくなります。その一方で、低血糖をはじめとした副作用が出る恐れもあります。これは、糖尿病の薬物療法を行っている方ならば誰もが抱えているリスクです。

糖尿病の薬で副作用が出た際にどのような対処をすればよいのか、以下で解説します。

安静にする

糖尿病の薬を投与後、体調の変化・異常を感じたら、まずは安静にしましょう。焦ってしまうと自分の状態を客観的に把握できなくなり、適切な対処ができずに症状を悪化させる危険性があるためです。

もし安静にしている状態で落ち着きそうであれば、そのままゆっくりしましょう。低血糖でブドウ糖が必要であるならば速やかに服用します。もし、低血糖以外の副作用が出た場合は、病院に連絡して医師に指示を仰いでください。

ブドウ糖を持ち歩く

糖尿病の薬の副作用で最も起きやすいのは低血糖です。低血糖になると目眩や動悸、冷や汗をかくなどの症状が出ます。軽度であればそのままで落ち着く場合もありますが、症状を悪化させないためにも速やかに対処することが望ましいです。

低血糖の対処法として最も効果的なのがブドウ糖の摂取です。糖尿病で投薬治療を行っているのであれば、日頃からブドウ糖を持ち歩くようにしましょう。

コンパクトで持ち歩きやすいのはチョコやラムネです。もし手元にない場合は、自動販売機で清涼飲料水を購入しましょう。カロリーゼロのドリンクでなければ、ペットボトル半分~1本でブドウ糖を十分に摂取できます。

事前に周囲の人へ知らせる

糖尿病の薬の副作用である低血糖を繰り返すと、軽度の低血糖時に症状を感じにくくなってしまう可能性があります。無自覚性低血糖状態が続き、時間の経過とともに症状が進んで、意識障害になることもあり得ます。意識を失ってしまうと、自力ではどうすることもできず、命を落としてしまうかもしれません。

そうした事態を避けるためにも、事前に家族や職場の人へ低血糖になって意識を失う可能性があることや、対処法について理解してもらいましょう。

医師に相談する

薬は効果の高いものほど副作用も出やすい傾向にあります。逆にいえば、多少の副作用であれば、薬が効いている証拠でもあります。とはいえ、あまりに強い副作用が出てしまうと、仕事やプライベートに影響してしまうものです。

「副作用が辛い」「何度も低血糖になって大変」という場合は、医師に相談してみてください。本人の病態を確認した上で、他の糖尿病治療薬や投薬量への変更などを提案してくれることでしょう。

服薬量を減らすのは危険

糖尿病の薬の副作用が辛いからといって、服薬量を減らすのは危険です。

医師が患者の状態を見た上で、適切だと判断される種類・量が処方されています。服薬量を減らせば、副作用が起こる可能性は減りますが、その分だけ薬効も減少します。効果が減るということは、血糖値も十分にコントロールされにくくなるということです。

糖尿病症状の悪化につながりますので、服薬量を自己判断で減らすことは絶対にやめましょう。

糖尿病の薬の副作用がつらいなら、おうち病院「オンライン診療」

糖尿病の治療は食事療法・運動療法が基本で、それのみで血糖値がコントロールできれば副作用は気にする必要はありません。しかし、薬物療法を行うのであれば、薬の効果や飲み方はもちろん、副作用についてもしっかり理解することをおすすめします。

糖尿病の薬の副作用の中でも低血糖は起こりやすく、気分もかなり悪くなりますが、薬について理解し副作用リスクを把握していれば、トラブルが起きても対処できるので安心です。とはいえ、糖尿病の薬の副作用は低血糖以外にもさまざまなものがあります。軽度なものであっても、副作用のある中で病院を受診するのは大変なことです。

副作用でつらいとお感じでしたら、おうち病院「オンライン診療」を利用してみてください。

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