糖尿病治療で使われる治療薬の効果や副作用を解説!市販・処方の使い分けも

目次

糖尿病の治療薬は数多く存在しています。「どの薬がいいのだろう?」「効果の高い治療薬はどれ?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

今回は、市販・処方の糖尿病治療薬の効果・副作用を解説します。

基本は食事療法と運動療法

糖尿病には主に、インスリンを産生できずに高血糖状態になる「1型」と、生活習慣や遺伝、インスリンの働きが悪くなるなどさまざまな理由で発症する2型糖尿病があります。糖尿病患者のほとんどは2型と言われています。

1型糖尿病の治療ではインスリン注射が必須となりますが、2型糖尿病の場合、治療の基本となるのは食事療法と運動療法です。摂取カロリーを適正にし、週3日以上の適度な運動を行うことで、血糖値をコントロールして症状を緩和していきます。合併症もなく症状が軽度であれば、治療薬を使用しなくても問題はありません。

糖尿病で治療薬が必要になるケース

食事療法と運動療法の継続が2型糖尿病の治療の基本ですが、血糖値が十分にコントロールできない場合は、治療薬を用いた薬物療法も並行して行わなければなりません。

使用する治療薬は病態によって決められ、一般的には飲み薬から処方されます。治療薬を使用しているのにまだ血糖値がコントロールしきれない、そのような場合はインスリン注射が検討されます。

一方、1型糖尿病の場合は体内でインスリンを作れず、血糖コントロールができません。そのため、インスリン注射による薬物療法が必須となります。インスリン注射を継続していけば、食事や運動の制限も厳しくなくなります。

【市販】糖尿病の治療薬3選

糖尿病予防や治療に効果が期待できる市販薬を紹介します。

アライ

「アライ(一般名オルリスタット)」は大正製薬が製造販売を行う、18歳以上の肥満の人を対象にした内臓脂肪減少薬です。脂肪分解酵素であるリパーゼの働きを抑え、食事で摂取した脂質を体に吸収されにくくする作用があります。

食事や運動による生活改善を行うことで、内臓脂肪が減少する効果を期待できます。臨床試験では、2型糖尿病の発生率を大幅に減少させられたとのことです。

糖解散

「糖解散(とうかいさん)」は摩耶堂製薬株式会社が販売する生薬製剤です。バクモンドウ・カッコン・ジオウ・カロコンなど10種類の生薬が配合されています。

服用することで血糖を緩やかに下げる効果や口渇、頻尿、多尿など、糖尿病における諸症状を改善する働きが期待できます。すでに医師の治療を受けている方や妊婦、高血圧の診断を受けた人は、服用前に医師や薬剤師に相談が必要です。

スラピット

「スラピット」は原沢製薬工業株式会社が販売する市販薬です。紅花油を主体にした錠剤で、脂質代謝異常の改善を目的としています。

糖尿病性コレステロール血症の改善効果も期待できます。医師の治療を受けている方や薬などでアレルギー症状が出た方は、医師や薬剤師に相談してから服用を検討しましょう。

【処方】糖尿病の治療薬8選

病院で処方される糖尿病の治療薬について解説します。

αグルコシダーゼ阻害薬

炭水化物の分解酵素の働きを抑制して遅らせることで、腸内での糖の吸収をゆったりとさせて、食後の血糖値を抑える効果があります。このような効果があることから、食事直前に内服する治療薬です。

腸内に糖分が長くとどまることになりますので、お腹の張りやおなら、下痢などが出やすくなります。αグルコシダーゼ阻害薬の服用で低血糖になることはほぼありませんが、低血糖時の摂取にはブドウ糖でないと効果が出ないので注意しましょう。

速効型インスリン分泌促進剤(グリニド)

食事の直前に服用する薬です。服用から短時間で作用し、ごくわずかの間だけ膵臓を刺激することでインスリンの分泌を促進します。食後の血糖値を下げる効果が高い一方で、服用により低血糖になる可能性があるので注意が必要です。

ビグアナイト(メトホルミン)

肝臓から放出されるブドウ糖の量を抑える作用により血糖値を下げます。インスリンの効きを良くする作用もあり、相乗効果で血糖値コントロールを行いやすくする治療薬です。便秘や下痢などの腹部症状が出ることがあるため、最初は少ない量から始めて、様子を見ながら量を増やしていくことが多いです。単独の使用では低血糖になる可能性が少ないのも特徴です。

ただし、乳酸アシドーシスという副作用が出ることがあり、腎臓・肝臓・心臓が悪い方や、酒量の多い方への処方は避けられます。

チアゾリジン(ピオグリタゾン)

脂肪細胞に作用して小型化させることができ、大型脂肪細胞が出していた悪玉ホルモンを減らせます。そして小型脂肪細胞が出す善玉ホルモンの作用を高め、インスリンの効きを高めます。脂肪肝の改善効果もあります。

ただし、むくみ、急激な体重増加などの副作用があることから、心不全がある方は注意が必要です。

スルホニル尿素(SU)剤

前述の「速効型インスリン分泌促進剤(グリニド)」とは異なり、スルホニル尿素(SU)剤は膵臓を長時間刺激してインスリンを出させます。長時間作用することから、血糖値も半日~1日程度下げることも可能です。

ただし、薬が効きすぎるため低血糖リスクもあるので注意が必要です。睡眠中に低血糖になると、かなり危険です。空腹時の冷や汗、ドキドキなど低血糖の症状が感じられる場合は、速やかに医師に相談しましょう。

DPP-4阻害薬

血糖値が高いときのみインスリン分泌を促す作用を持つ、インクレチンというホルモンを体内で分解されにくくする治療薬です。

本来分解されやすいインクレチンの濃度が長時間高まることで、インスリン分泌が促進されて血糖値を下げやすくなります。低血糖リスクが少なく安全性が高いため、高齢者でも使用しやすいのが特徴です。

SGLT2阻害薬

余分な糖を尿と一緒に排出させる作用がある糖尿病の治療薬です。水分とともに糖分も排出しますので、消費カロリーが高まり体重減少も期待できます。糖尿病かつ肥満である場合は、相乗効果が期待できるでしょう。

心臓や腎臓にも良い影響があることもわかっています。そのため、一部のSGLT2阻害薬は心不全や慢性腎臓病の治療に使用されることもあります。

ただし、尿を多く排出することで水分・ミネラルも失われやすいです。脱水や骨粗鬆症などには注意しましょう。

インスリン注射

インスリン注射はインスリンがほとんど出ていない、薬物療法をしても血糖値が思うように下がらない、肝臓・腎臓の機能が悪いといったケースで使用されます。また、膵臓を守るために、早い段階でインスリン注射を使用するというケースもあります。

インスリン注射には血糖値全体を抑える中間型・持続型の基礎インスリンと、食後の大きな血糖値上昇を抑える速攻型の追加インスリンがあります。どのインスリン注射を使用するかは、血糖値の推移や患者の状況により決定します。

糖尿病治療の市販薬と処方薬の違い

糖尿病治療の市販薬と処方薬にはさまざまな違いがあります。

価格でいえば、市販薬の方が安い傾向にあります。しかし、処方薬は保険が効きますので、そこまで高いわけではありません。また、治療薬の中には比較的安価なものもあります。

効果については、処方薬の方が圧倒的に効果を感じられます。市販薬は薬効成分を多く配合できませんので、服用しても血糖値が下がったと実感しにくいかと思います。特に漢方の場合はじわりと効果が出るものであり、どちらかといえば健康増進の目的で服用することになるでしょう。

副作用については、どちらもないわけではありません。ただ、処方薬は効果が高い分、副作用も出やすいかもしれません。糖尿病の治療薬の代表的な副作用として低血糖があります。頻繁に低血糖の症状が出てしまう場合は、医師に相談しましょう。

糖尿病治療の市販薬と処方薬はどう使い分ける?

では、糖尿病治療の市販薬と処方薬はどのように使い分けたら良いでしょうか。以下で、そのポイントや注意点を解説します。

症状の重症度によって使い分ける

糖尿病治療の市販薬と処方薬は、症状や目的に応じて使い分けると良いかもしれません。

前述の通り、市販薬は比較的安価で入手しやすいですが、効果を実感しにくい傾向にあります。そのため、どちらかといえば、健康増進や軽度の糖尿病改善、糖尿病予防といった目的での使用がおすすめです。

病院で糖尿病と診断されたのであれば、効果の高い処方薬を使用しましょう。血糖値を下げる効果が高く、患者ごとの病態に合わせて処方されることから安全性も高いためです。血糖値が思うように下がらない場合は治療薬を変えるなど、相談しながら決めていけるというメリットもあります。

自己判断は危険

糖尿病の薬物療法を自己判断で進めることは危険です。たとえば、「血糖値が下がった気がしないので薬を多く服用する」「飲み忘れて時間が空いてしまったけどとりあえず服用する」といった自己判断は、重篤な副作用を引き起こす恐れがあります。

また、「調子が良いので飲むのをやめる」など、自己判断で糖尿病の治療薬の使用を止めるのも厳禁です。体調はその日によって異なります。糖尿病は治療しなければじっくりと進行していきますので、勝手に薬物療法を止めれば、症状が悪化するかもしれません。

そういったリスクがありますので、糖尿病の治療で疑問・不安・トラブルなどがあれば、必ず医師に相談するようにしましょう。

糖尿病の治療薬の処方なら、おうち病院「オンライン診療」

糖尿病の薬物療法(治療薬)には、大きく分けて内服薬と注射薬があります。細かく見てみるととても種類が多く、それぞれ違った作用によって血糖値を下げてくれます。食事療法や運動療法で思うように血糖値がコントロールできないのであれば、医師と相談して薬物療法も並行して行ってみましょう。

市販薬と異なり、病院では症状に合わせて必要と判断される効果の高い治療薬が処方されますので、安心して糖尿病治療を進められます。

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