浮腫の原因と治療薬|見逃してはいけない重大な病気のサイン

浮腫には様々な原因があり、原因によって治療方法は異なります。また原因となっているのが病気の場合、その病気を治療する事により、浮腫症状が改善されることもあります。

本記事では、浮腫の原因別の治療薬と、見逃してはいけない重大な病気のサインについて解説していきます。

まずは原因を知った上で治療しましょう。

浮腫の主な症状と原因

浮腫(ふしゅ)とは、体内の余分な液体が上手く排出されずに組織に溜まっている状態を指します。一般的には浮腫み(むくみ)と言います。

その原因は、生活スタイルや食習慣によるもの、体質、ホルモンバランスなど、さほど心配のいらないものから、内臓疾患、血管の機能不全など、深刻な病気によるものもあります。

「一過性の浮腫」と「病気による浮腫」の違い

長時間の立ち仕事、長時間座位のデスクワーク、栄養不足など、日常生活が影響する浮腫は一過性の浮腫です。

生活改善や考えられる原因を取り除くことで症状は和らぎますが、病気による浮腫の場合は治療が不可欠です。

浮腫の症状から予想される病気

浮腫症状から予想される病気についてまとめました。浮腫以外の症状も合わせてチェックしてみましょう。

浮腫の症状から考えられる病気

主な症状考えられる病気
下肢や足首の浮腫、動悸、息切れ、疲労感、倦怠感、体重増加心疾患
顔や下肢の浮腫、尿中のタンパク漏出、疲労感、食欲低下、吐き気、貧血、不整脈腎疾患
腹水、下肢の浮腫、黄疸、倦怠感など肝臓疾患
顔・体の浮腫、体重増加、疲労感、倦怠感、冷えなどクッシング症候群・更年期障害
全身の浮腫、まぶたや顔の浮腫、かすれ声、皮膚の乾燥、抑うつ症状、認知機能の低下、徐脈、月経異常など甲状腺機能低下症
片側の足に浮腫が表れる(まれに両足に現れる)徐々に皮膚が硬くなるリンパ浮腫
アレルゲンに反応して局所的な浮腫または蕁麻疹などを引き起こすアレルギー
赤みや熱感、痛みを伴うことが多い蜂窩織炎:ほうかしきえん、リンパ管炎、リンパ節炎など
体の一部に急激に浮腫が表れる。蕁麻疹やかゆみを伴うことがある。急激な腹痛、呼吸困難があるケースも。血管性浮腫

【症状別】浮腫の治療薬の種類

症状別・病気別に、浮腫に対応する治療薬を紹介します。

内臓疾患による浮腫の治療薬

心疾患、腎疾患、肝硬変等の内臓疾患の場合は、以下の治療薬を使用します。

  • ・利尿薬:体内の余分な水分の排出を促し浮腫を軽減する薬
  • ・アルドステロン拮抗薬:体内の塩分と水分の再吸収を減少させる薬
  • ・血管拡張薬:血管を広げることで血圧を下げ、心不全や高血圧の治療に役立つ
  • ・ACE阻害薬:特に高血圧や心不全の治療で、血管を広げて血流を改善する

リンパ系の問題による浮腫の治療薬

手術やガン治療が影響している場合が多く、治療薬はあまり用いません。リンパドレナージ(手で行う医療的なマッサージ)など、日々のケアを行います。

アレルギー・薬剤の副作用による浮腫の治療薬

アレルギーを抑える薬を用います。

糖質コルチコイドは、炎症性疾患やアレルギー、自己免疫疾患の治療に役立ち、アレルギー反応による浮腫の治療に用いられます。

薬の副作用が予想される場合は該当する薬を止めます。

血管の機能不全による浮腫の治療薬

血管の機能不全により浮腫を、血管性浮腫と言います。

利尿薬や血管拡張薬、アレルギー症状を抑える薬などで治療し、なかなか改善されない場合は遺伝性血管性浮腫と考えられます。

遺伝性血管性浮腫には他と違う治療薬が必要

遺伝性血管性浮腫は、他とは違う治療薬が必要です。遺伝性血管性浮腫の治療薬について見てみましょう。

遺伝性血管性浮腫と他の浮腫との違い

遺伝性血管性浮腫は、血管の機能をつかさどる遺伝子の働きの中で、生まれつき欠損している部分があり機能不全を起こしている病気です。

急激に浮腫を引き起こす発作があり、激しい痛みを伴うものや命の危険に関わる症状があります。

そのため、遺伝性血管性浮腫の治療では、発作時の緊急対処の治療と、長期的な治療を進めていきます。

それ以外の浮腫は、遺伝性ではない一過性の血管性浮腫や、心不全、腎不全、肝疾患などの病気が原因の浮腫、感染症、アレルギー反応、怪我によるものなどが原因で引き起こされます。

遺伝性血管性浮腫の発作時の治療薬

遺伝性血管性浮腫の発作時に使用する治療薬は以下の通りです。

C1インヒビター製剤:

遺伝性血管性浮腫の原因は、遺伝子の欠損から来るC1インヒビターの不足、機能低下です。そのためC1インヒビターを外から補充します。

C1インヒビター製剤の補充は、医療機関で静脈注射または点滴してもらう薬です。

数時間様子を見て、発作が静まらなければ、追加で投与してもらいます。

ブラジキニン受容体阻害薬:

ブラジキニン受容体阻害薬は、浮腫の主な原因となっているブラジキニンの働きを抑える薬です。皮下注射します。

医師から注射の仕方を指導してもらうと、自宅で注射する事も可能です。

様子を見て症状が改善されない場合は、6時間後再度投与することが可能です。

遺伝性血管性浮腫の発作をおさえる治療薬

発作を起こさないための継続的な治療の薬です。

発作時に投与するだけでなく、長期的な治療にも、C1インヒビター製剤が用いられます。
こちらは、皮下注射する薬のため、医師の指導を受ければ自分で注射する事が可能です。

■C1インヒビター製剤

通常は週2回ほど皮下注射します。

■漿カリクレイン阻害薬

飲み薬と皮下注射があります。

飲み薬は、1日1回服用します。皮下注射する場合は、2週間に1回程度注射します。症状が安定していれば、月に1回程度で様子を見ます。

皮下注射は、医師の指導を受ければ自分で注射する事ができます。

浮腫の治療薬はどこで受け取れる? 

浮腫の治療薬について、実際にどこで処方箋がもらえるのか解説します。

浮腫対応の専門外来で治療する

まずは内科か浮腫外来を受診しましょう。

血管性や内臓疾患、婦人系、アレルギー系によっても受診する科は違ってきますが、原因がわからない場合は内科か浮腫外来をまず受診します。

オンラインクリニックで治療する

内科や浮腫外来の、オンライン外来枠があるクリニックか、オンライン専用クリニックの浮腫外来を受診します。

オンライン受診で処方箋をもらい、お近くの薬局薬店で受け取れる気軽さが便利です。

ただし、遺伝性血管性浮腫の場合、自宅での皮下注射治療に伴う医師の注射のトレーニングが必要です。

血管性浮腫の治療薬なら、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」

遺伝性血管性浮腫の治療約なら、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」がおすすめです。

具体的な症状を踏まえて、浮腫に関する知見の豊富かつ最適な医師とお繋ぎします。

多忙で時間がとれない方も、待たされることなく受診が可能で通院のわずらわしさがありません。ネットで空き時間をサッと予約し好きな場所から受診できます。

また、血管性浮腫専門の医師が担当しますので、安心していただけます。

浮腫の原因を見極め適切な治療を

浮腫は、原因と予想される病気を見極め、適切な治療を受けることが大切です。

ホームケアでは解決できない病気が隠れている可能性もあります。重大な病気のサインを見逃さず、疑わしい場合は、ただちに受診して医師に相談しましょう。