体の卵子がどのような状態か知りたい、老化によって妊娠できるかどうか不安、どのように検査すればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。卵子は実際に老化によって質が低下していきます。
そこで、今回は卵子が老化する原因や影響、老化を防ぐための対策についてみていきましょう。
目次
卵子の老化とは
卵子の素となる原子卵胞に関しては、生まれた時に卵巣の中にあります。また、思春期の時点で30〜40万の卵子が存在するものの、閉経前には1,000前後まで自分の年齢と同じく年を重ねており、数も減少していきます。
そのため、どれだけ見た目が若いとしても、自身の年齢と同じだけ老化が進んでいることは知っておきましょう。
卵子が老化する原因とは
卵子が老化する主な原因は、閉経を迎える準備に入るためです。閉経を迎える準備は、卵巣機能が低下していく生理現象で、35歳程度を目安にその準備が始まるとされています。
卵巣機能が低下した場合、卵子の数や質は低下し、老化卵子と呼ばれます。老化卵子の発生は自然現象であるため避けられません。年齢を重ねるたびに、ダメージが蓄積され老化していきます。
酸化ストレスも老化の原因となるため、それぞれの項目をみていきましょう。
・タバコ
喫煙年数や本数にもよるものの、タバコの喫煙者は、卵子の質が悪くなるため、妊娠を望む場合は禁煙しましょう。自分だけでなくパートナーも禁煙が必要といえます。タバコの副流煙は有害物質を含んでおり、卵子の質を下げるリスクがあるためです。
・不規則な食事
卵子の老化を予防するためには、添加物に気をつけて、糖化ストレスのない食事を心掛けましょう。糖化ストレスは、卵子を老化させる原因の一つで、食べ物から摂取した過剰な糖がタンパク質と結びつくことで変性する反応のことです。 糖化ストレスを抑えるためには、糖分を多く含む食べ物を控えましょう。
・やせすぎと肥満
標準体型の人よりもやせ型の人は妊娠しにくいとされています。また、肥満は排卵機能に悪影響を与え、無排卵や無月経の原因ともなります。急激なダイエットなども卵子に対して影響を与えてしまう点は知っておくとよいでしょう。
・精神的ストレス
精神的なストレスを感じた場合、活性酸素が発生し、体が酸化ストレスにさらされるため、卵子の老化を早めます。そのため、場合によってカウンセリングなどと併用して、対策を行っていく必要もあります。
・睡眠不足・睡眠障害
睡眠不足も活性酸素を増やす原因となります。卵子の質を良い状態に保つには、質の良い睡眠が欠かせないといえるでしょう。卵子の発育を促し、傷の修復に必要とされる成長ホルモンは脳から睡眠時に分泌されています。 質の良い睡眠をとるために食事は就寝の3時間前までに済ませる、寝る前のカフェインはさけるなどの対策を心掛けましょう。 場合によっては、処方箋などによる治療が必要となるケースもあります。
・運動不足
運動不足が続くと筋肉量の低下、血流の流れが悪くなるため、血行障害などのさまざまな弊害が出てきます。運動不足の状態では、卵子の質を良い状態に保てません。 そのため、毎日の生活に少しずつでも運動を取り入れることが大切です。
卵子が老化することによる影響
卵子は老化していない場合、きれいな円形であるものの、老化が進行すると楕円形やいびつな形をした卵子が多くなります。
受精しても細胞分裂しにくくなることに加え、胚の成長が止まるケースも少なくありません。胚の質が低下し、着床しにくくなるため、妊娠率も低下する点は知っておきましょう。
卵子が老化する過程で、遺伝子が何かの要因でダメージを受けてしまった場合、胎児の染色体異常が起きる割合が高くなるとされています。そのため、自然に流産する確率が20代〜30代前半では10〜15%程度、30代後半以降では20〜40%程度まで上がります。
無事に出産できた時でも、染色体異常が原因で起こる先天性疾患を発症するリスクが上がります
卵子の質は確認できない
卵子の老化は年齢を重ねたことによる自然現象であるため、自覚症状は起こりません。卵子の老化は実年齢に比例することは分かっているものの、医学的にみても卵子の質は確認できない点に注意が必要です。
しかし、卵子の数は検査によって確認できるため、老化がどの程度進んでいるのか医師と相談しつつ、今後の方針を決めることは可能です。
卵巣や卵管の状態は検査が可能
卵巣や卵管の状態は超音波検査、AMH検査、子宮卵管造影検査などによって知ることができます。それぞれの検査の特徴をみていきましょう。
・超音波検査
超音波は、ものに当たると反射する性質をもっています。超音波検査はその性質を利用し、卵巣や子宮の様子に関して、モニターに映し出す検査です。この検査を行うことで、卵巣については卵胞の発育状態、腫瘍の有無を確かめます。
子宮については、形状及び子宮筋腫・子宮内膜ポリープの有無、子宮内膜の状況の確認が可能です。
・AMH検査
血液検査の1種で、卵巣にどの程度の卵子が残っているか知るためのものです。卵子の数によって閉経が起きることから、妊娠したい場合に卵子の数は大事な要素だといえます。
ちなみに、AMHの値は妊娠の確率を示すものではなく、あくまでも現在の個数を客観的に示し、今後どうしたいかを決める要素として有効な指標となるものという認識である点に注意しましょう。
・子宮卵管造影検査
子宮の形状や卵管が通っているかどうかを調べる検査です。子宮内に造影剤を注入し、卵管へ流れるのを待った後にX線で撮影し、画像を確認します。
超音波用の造影剤を使用し、超音波卵管造影の検査を実施している施設もあります。検査を実施すれば、卵管や卵巣の状態の確認が可能です。
不妊治療でも老化した卵子は対処できない
肌は施術である程度対処できるものの、卵子に関しては施術による増加などは見込めません。つまり、一度老化した卵子に対しては、不妊治療の技術では対処できないといえます。
卵子のエイジングケアを売りにしているさまざまな商品が出回っているものの、こうした商品に根拠はないため注意しましょう。
卵子の老化を防ぐための対策
年齢の老化を止めることができないように、卵子の老化も止めることはできません。しかし、質の良い卵子を保つことは可能です。
そのため、次のような生活習慣を意識しましょう。
- 栄養バランスを考えた食事をとる
- 質の良い睡眠を確保する
- 喫煙は避ける
- 身体を冷やさない
- 定期的に運動を行う
- ストレスを溜めすぎない
卵巣の中で過剰な活性酵素の影響で、染色体異常が発生するため、30代後半からの妊娠率が下がります。そのため、生活習慣を改めるなど卵巣と卵子の抗酸化力を高めることが重要です。
漢方薬も活用できる
漢方薬には妊活におけるエイジングケア、つまり妊娠力の低下を抑える可能性を高められます。漢方薬の役割は、直接卵子に働きかけて質を良くするものではなく、体の力を十分に発揮できるように整えることです。
漢方でいう「腎」は、生命力の維持だけでなく、身体の成長・発育・老化、さらには生殖能力をコントロールしているとされています。女性では28歳で腎の中の腎性という物質が不足し、妊孕力が低下します。その不足分を補うのに漢方薬が有効で、特に動物性の漢方薬が有効と考えられています。
生活習慣を見直し、医師の判断を仰ぎつつ、漢方薬を活用してみましょう。
まとめ
卵子は年齢とともに老化が進みます。また、不規則な食事や精神的ストレスなどの要因で酸化ストレスが増えることも原因です。老化することで、胚の質が低下し、着床しにくくなるため、妊娠率の低下は避けられません。
無事に出産ができた場合でも、染色体異常が原因で起こる先天性疾患を発症するリスクが上がります。卵子の老化に自覚症状はなく、卵子の質は数値で表せません。
また、不妊治療でも一度老化した卵子には対処できないため、老化を予防する対策を取ることが重要です。妊活におけるエイジングケアが期待できるため、医師の判断を仰ぎながら漢方薬を活用していくことも検討してみてください。