遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療法|発作時の対応から予防策まで

目次

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、発作時(急激な浮腫症状が表れ症状が重い時)の治療と発作を起こさないための長期的な治療の2つを進めていく事が重要になってきます。

本記事では、発作時の対応から日頃の予防策まで、治療方法について解説します。最適な治療法を知って上手に症状をコントロールしましょう。

遺伝性血管性浮腫(HAE)とは

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、Hereditary angioedemaと言い、遺伝子の変異が原因で血液の中にある機能が低下し、皮膚や粘膜に繰り返し浮腫が生じる疾患です。血管が腫れているわけではありません。

体の様々な部分に、2、3日持続する浮腫症状を繰り返します。


皮膚(手足、顔面、生殖器など)に浮腫症状が表れると、「蕁麻疹」や「アレルギー反応」と間違えられやすく発見が遅れることもあります。


また、喉や腹部に浮腫症状が表れるなどの発作を起こすと、命に関わる危険をともなう場合があります。

遺伝性血管性浮腫の主な症状と原因

主な症状と原因について解説します。これらの症状は、浮腫がひいても繰り返し症状が表れるのが特徴です。

部位症状
皮膚(顔、手足など)・痛みを伴うことが多く、数日間続く
腹部(消化器官)・突然激しい腹痛、嘔吐、下痢など・腸閉塞のような症状を起こすこともあり
気道(喉や舌)・呼吸困難を引き起こし、命に関わる緊急事態もあり


主な原因は、補体系、血液凝固系、線溶系、カリクレイン・キニン系など多くの体内反応を調節する重要なタンパク質であるC1エステラーゼ阻害因子(C1インヒビター)。このC1インヒビターの欠損です。

血管の透過性が異常に増加し、皮膚や粘膜に一過性の浮腫が発生します。

通常の浮腫と遺伝性血管性浮腫の違い

通常の浮腫は、静脈不全、心不全、腎不全、肝疾患などの病気や、感染、アレルギー反応、怪我によるものなどが原因で引き起こされます。食事での塩分摂取過多や長時間立ちっぱなし、座りっぱなしなどでもなることがあります。

一方、遺伝性血管性浮腫は、遺伝子の働きの中で生まれつき欠損している部分がうまく機能しないために起こるものです。なんらかのきかっけで急激に浮腫を引き起こし、激しい痛みを伴うものや命の危険に関わる症状があります。

そのため、遺伝性血管性浮腫の治療では、発作時の緊急対処の治療と、長期的な治療の二本柱が必要になります。

遺伝性血管性浮腫の発作時の治療

遺伝性血管性浮腫の発作時の治療について解説いたします。

症状が出た時や出そうなときに使用し、様子を見ておさまったらその薬は中断します。

主な治療方法は以下の通りです。

遺伝性血管性浮腫の発作時の治療方法

  • C1インヒビター製剤を用いる治療法
  • ブラジキニン受容体阻害薬を用いる治療法

ここからは、それぞれについて詳しく説明します。

C1インヒビター製剤を用いる治療法

遺伝性血管性浮腫の原因となっているのは、遺伝子の欠損から来るC1インヒビターの機能低下や不足です。それを補うため、C1インヒビターを外から補充する治療法です。


C1インヒビター製剤の補充は、医療機関で静脈注射または点滴してもらう薬です。腫れの主な原因であるブラジキニンの生成を抑える働きが期待できます。

数時間様子を見て、症状が改善されない場合は、追加で投与してもらいます。

ブラジキニン受容体阻害薬を用いる治療法

浮腫の主な原因となっているブラジキニンの働きを抑える薬が、ブラジキニン受容体阻害薬です。

ブラジキニン受容体阻害薬は、皮下注射する薬です。医療機関で注射の仕方のトレーニングを受けることで、医療機関に行かなくても、自宅にて自分で注射する事も可能な薬です。

様子を見て症状が改善されない場合は、6時間開ければ再度投与することが可能です。

遺伝性血管性浮腫の長期的な治療

遺伝性血管性浮腫の発作を起こさないように症状を管理する長期的な治療について解説いたします。普段の生活の中で取り入れます。

主な治療方法は以下の通りです。

遺伝性血管性浮腫の長期的な治療方法

  • C1インヒビター製剤を用いる治療法
  • 血漿カリクレイン阻害薬を用いる治療法

ここからは、それぞれについて詳しく説明します。

C1インヒビター製剤を用いる治療法

遺伝性血管性浮腫の発作時に投与するだけでなく、発作を起こさないように長期的に治療するのにも、C1インヒビター製剤が用いられます。

こちらは、発作時と違い皮下注射する薬のため、自分で注射する事が可能ですが、医療機関で注射の仕方のトレーニングを受ける必要があります。

通常は週2回ほど皮下注射します。

血漿カリクレイン阻害薬を用いる治療法

浮腫の主な原因であるブラジキニンの生成を抑える薬として、血漿カリクレイン阻害薬を用います。

経口薬(飲み薬)と皮下注射の2種類あります。


経口薬は、1日1回服用します。皮下注射する場合は、2週間に1回程度注射します。症状が安定していれば、月に1回程度で様子を見ます。


皮下注射は、自分で注射する事ができ、頻繁に医療機関を受診しなくても治療可能です。

ただし、医療機関で注射の仕方のトレーニングを受ける必要があります。

遺伝性血管性浮腫の最適な治療をうけるには

遺伝性血管性浮腫の最適な治療を受けるには、実際にどこへ受診すれば良いのか見てみましょう。

遺伝性血管性浮腫対応の専門外来で治療する

血管性浮腫に対応しているのは、主に内科か皮膚科です。


なかでも、遺伝性血管性浮腫は他の病気と間違えられやすいなど非常に難しい部分があるので、遺伝性血管性浮腫(HAE)の専門外来か、対応している医療機関を受診することをおすすめします。


また、原因が心疾患や内臓疾患、リンパ、アレルギーなどで、遺伝性ではない浮腫だとの診断であれば、それぞれの専門医を紹介もしてくれるでしょう。

オンラインクリニックで治療する

浮腫外来対応のオンラインクリニックを受診します。

医療機関での注射や点滴が必要な発作時は難しいですが、継続的な治療であれば内服薬と自分で打つ注射なので、受診も可能です。

注射はトレーニングを受ける必要があるので通院しないといけませんが、2回目以降の継続的な治療は通院のわずらわしさのないオンラインがおすすめです。

遺伝性血管性浮腫の長期的な治療なら、「オンライン血管性浮腫外来」

血管性浮腫、および遺伝性血管性浮腫の長期的な治療なら、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」がおすすめです。

血管性浮腫の知見が豊富な医師をお繋ぎします。

浮腫の症状がつらくて病院に行けない時、または仕事や家事・育児でなかなか通院できない時、浮腫外来が遠方で通院が困難な時などに、負担にならずにとても便利です。

スキマ時間にスマホなどからサッと予約、お時間になりましたらスマホかタブレット・PCなどからオンラインで受診できますので、空き時間でサッと受診が完了します。

適切な治療を受けて日常生活を快適にすごそう

遺伝性血管性浮腫は、適切な治療を受けることが大切です。

遺伝性血管性浮腫は、万が一腹部や気道の浮腫による突然の発作が起きた場合、命に関わる危険性があります。

また、周囲が別の病気と勘違いしやすい症状もありますが、自分が遺伝性血管性浮腫だとわかっていて周囲に伝えることができれば、適切な治療を受けることができます。

発作を予防するためにも長期目線での継続的な治療は非常に重要です。普段の生活の中で症状管理をしていくことで、ある程度発作をコントロールできるようになります。

判断が難しい症状ですので医師に相談し、しっかりと浮腫の原因を突き止め適切な治療を受けて、日常生活を快適に過ごしましょう。