一度感染すると、何度も再発を繰り返すことが多いヘルペスにお悩みではありませんか?
ヘルペスの治療方法や再発防止のための治療法はいくつかありますが、再発頻度の高い方の治療法として特に注目されているのが「PIT療法」です。
本記事ではPIT療法の効果やメリット、従来の治療法や再発抑制療法との違いについて詳しく解説します。日々の生活に影響を与えるヘルペスに、より効率的に対処できる方法を探っていきましょう。
目次
PIT療法・再発抑制療法・通例療法の治療法を比較
ヘルペスの治療にはいくつかの選択肢があり、それぞれアプローチが異なります。
治療法は、以下の3種類に分けられます。
- ・通例療法:発症時の一般的な対症療法
- ・PIT療法:再発の予兆や初期症状に応じて患者自身の判断で内服ができる治療法
- ・再発抑制療法:長期の内服を続けることで再発を防止する治療法
(※「通例療法」という名前の治療法はありませんが、一般的な治療法について便宜上このように表現しています)
ここではそれぞれの治療法の特徴や違いを紹介します。
通例療法の治療法
通例療法はいわゆる一般的な対症療法で、ヘルペスが発症した際に症状を軽減するための治療法です。
ヘルペスウイルスが活発化し、痛みやかゆみ・水泡などが現れた患者が医療機関を受診し、診断を受けて抗ウイルス薬を処方されることで治療が開始します。
症状の軽減と治癒期間の短縮を目的としており、早期に受診して投薬を開始できれば早期に症状を抑えることができます。
再発の予防には適していませんが、症状が出た際に迅速に対応できれば早期の症状緩和が期待できます。
通常、抗ウイルス薬の内服や塗り薬が処方され、症状に応じた治療が行われます。通例療法は再発の頻度が少ない患者や、初期症状の自己判断が難しい患者に適しています。
ただし、症状が発生・悪化してからの治療開始となるため、受診が遅れると治癒までの期間が長くなる可能性がある点は要注意です。
PIT療法の治療法
PIT療法は「Patient Initiated Therapy」の略で、あらかじめ処方された薬剤を初期症状に基づき患者自身の判断で服用する治療方法です。海外のヘルペス治療では「1 day treatment(ワンデイトリートメント)」と呼ばれ、標準的な治療法となっています。
ヘルペスを繰り返す方の約8割は、ヘルペス再発の予兆を感じて判断できるといわれています。そのため、抗ウイルス薬をあらかじめ携帯しておき、再発のサインを感じたらすぐに服用することで初期症状での対処ができ、水泡の出現など症状の進行を防ぐことが期待できます。
実際に症状が出た時に医療機関の受診を待つ必要がないため早期に対処できること、忙しくて受診が難しい方でも対処しやすいことが特徴です。PIT療法は特に、頻繁に再発する患者にとって有効な治療法として注目されています。
再発抑制療法の治療法
再発抑制療法は、ヘルペス症状の再発が年に6回以上あるような場合など、特に頻繁に再発を繰り返す患者に対して適応される治療法です。
再発の予兆を感じてから内服をするPIT療法とは違い、再発抑制療法は、長期的(半年~1年)に毎日抗ウイルス薬を服用し続けることでヘルペスの再発自体を抑制する方法です。薬を毎日一定量服用することでウイルスの活性化を抑え、再発のリスクを大幅に軽減します。
再発の頻度が非常に高い患者や症状が重い患者に適用されることが多く、再発を繰り返す患者にとっては生活の質を維持するための有効なアプローチとなります。
また、再発が抑制されることで周囲の人への感染リスク軽減にもつながります。
PIT療法・再発抑制療法・通例療法のメリット・デメリットを徹底比較
前述のとおり、ヘルペスの治療法には、「通例療法」「PIT療法」「再発抑制療法」の三つがあります。
各治療法にはそれぞれ特徴があり、患者の状態やライフスタイルによって適した方法が異なります。
ここでは、それぞれの治療法のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
通例療法のメリットとデメリット
<メリット>
- ・医師の診断を受けられるため、適切な治療が受けられる
- ・症状の程度に応じた処方が可能である
- ・症状が出てから治療を開始するため、不要な薬の服用を避けられる
<デメリット>
- ・急な発症時、すぐに受診できない可能性がある
- ・受診のたびに時間や費用がかかる
- ・症状が出てからの受診となるため、治療開始が遅れる可能性がある
- ・症状が悪化してからの治療となった場合、回復に時間がかかる
通例療法は医師の診断を受けてからの対処となるため、必要以上の治療をせずに済み、症状に応じて適切な治療が受けられるメリットがあります。
その反面、仕事や育児などの都合で時間が取れず受診が難しい場合、発症のタイミングが夜間や休日などの場合には、迅速な受診・服薬が難しくなります。
PIT療法のメリットとデメリット
<メリット>
- ・初期症状が出た時点で判断し、即座に治療を開始できる
- ・症状の悪化を防ぎ、治癒期間を短縮できる
- ・病院に行く時間を確保できなくても自己対処できる
- ・日常生活への影響を最小限に抑えられる
<デメリット>
- ・初期症状の判断を患者自身が行う必要がある
- ・薬を常に携帯する必要がある
- ・誤って服用してしまう可能性がある
- ・定期的に医療機関を受診し、薬を処方してもらう必要がある
ヘルペス再発の予兆は、水疱ができる数時間から2~3日前に現れることが多いとされています。
ヘルペスの再発には自覚しやすい症状も多いため、薬を準備しておき早々に症状を察知して服薬を開始することができます。それにより、水泡の出現などの悪化を防ぎ、症状の緩和や治療期間の短縮をすることができます。
ただし、自己判断での内服となるため確実な判断は難しく、実際には必要のなかった服薬をしてしまう可能性もありますので、その点はご注意ください。
再発抑制療法のメリットとデメリット
<メリット>
- ・長期的な再発予防効果が期待できる
- ・再発頻度を大幅に減少させることができる
- ・症状が出る前に予防できるので、生活の質が向上する
- ・計画的な治療が可能
<デメリット>
- ・毎日の服薬が必要なため、忘れずに継続する必要がある
- ・長期間の薬剤服用が必要なため、副作用のリスクがある
- ・薬剤耐性が生じる可能性がある
- ・症状がなくても薬を服用し続けるため、心理的負担が大きい場合がある
再発頻度が高い患者にとって、再発リスクを大幅に軽減できることは大きなメリットであり、日常生活を送るうえでの安心材料につながります。
その反面、内服による副作用や薬剤耐性が生じるリスクがあります。また、毎日内服を続けるため心身の負担もあり、地道に継続していく習慣づくりが必要になってきます。
PIT療法・再発抑制療法・通例療法それぞれの対象者は?
ヘルペスの治療法は、症状や再発頻度、患者のライフスタイルに応じた選択が大切です。
ここでは、「通例療法」「PIT療法」「再発抑制療法」の対象となるのはどのようなな患者か、それぞれどのような患者に適しているかを詳しく解説していきます。
発症する前に、自分にはどの治療法が望ましいのか選択肢を確認しておきましょう。
通例療法の対象者
通例療法は、医師の指導のもとで治療が進められるため、特に初感染者や症状が重い患者にとって安心して治療を受けられる方法となります。
■初感染が疑われる患者:
初感染時には、他の疾患の症状との判別が難しい可能性があります。ヘルペス感染を疑う症状が現れた場合にはできるだけ早く受診しましょう。
■再発頻度が低く(年に1〜2回程度)、再発時に受診が可能な患者:
再発が少なく、発症時に受診できる環境がある方は、通例療法で充分に対処できます。
■初期症状の自己判断が難しい患者:
ヘルペスの初期症状は人によって異なるため、自分で判断が難しい場合、医師の診断を受けてからの治療が安心です。
■症状が重度の患者:
重い症状の場合、迅速な医療介入が求められます。ヘルペスかどうかに関わらず、辛い症状のときは早急に医療機関を受診しましょう。
PIT療法の対象者
PIT療法では、初期症状が出た時点で自ら判断して迅速に治療を開始できます。症状の悪化を防ぐことができるため、日常生活への影響を軽減したい患者にとって効果的な手段となります。
また、多忙でなかなか通院の時間を作れない患者にとっても、大いに助かる治療法でしょう。
■年間3回以上再発する患者:
再発が頻繁な場合、迅速な服薬開始は症状の進行を防ぐために有効です。
なお、処方されるお薬によっては、再発回数が年3回未満でも処方できるものもあります。
■初期症状(ピリピリ感、かゆみなど)を自己判断できる患者:
初期の予兆をすぐに察知し、適切に対応できる場合にはPIT療法が適しています。
■自分の再発のパターンを把握している患者:
再発のタイミングや症状の特徴を理解している場合、PIT療法は非常に自己管理しやすい有効な方法です。
■仕事や生活の都合上、すぐに医療機関を受診するのが難しい患者:
忙しいスケジュールの中でも、自己管理で治療を進められるのは大きな利点です。
再発抑制療法の対象者
再発抑制療法は、頻繁に再発を繰り返している患者にとって効果的な治療法です。再発リスクを低減することで、長期間にわたって生活の質を維持・安定させることにつながります。
■年間6回以上再発する患者:
高頻度で再発を繰り返している場合、定期的な薬の服用により再発リスクを大幅に低減できます。
■再発による生活の質の低下が著しい患者:
再発が頻繁に起こると日常生活に大きな支障が生じるため、その影響を軽減するための治療が効果的です。
■感染への不安やストレスが大きい患者:
再発の不安やそれに伴うストレスが強い場合、再発を抑制できることで日常の安心にもつながります。
■周囲への感染リスクを低減したい患者:
発症時の唾液や水泡などに触れると感染リスクがあります。再発を防ぐことで、同居している家族やパートナーなど身近な人への感染予防にもなります。
PIT療法・再発抑制療法・通例療法の処方薬の違い
ヘルペス治療では基本的に抗ウイルス薬が処方され、薬物療法による治療が行われます。
ここではヘルペス治療に用いられる通例療法、PIT療法、再発抑制療法の各治療法において、標準的に用いられる薬剤の特徴や違いについて詳しく解説します。
薬剤の種類や用法・用量などについて確認していきましょう。
通例療法の処方薬
通例療法ではヘルペス症状出現後、医師の診断に基づき抗ウイルス薬が処方されます。主に以下の薬剤が処方されます。
<内服薬>
- ・アシクロビル
- ・バラシクロビル
- ・ファムビル
<外用薬(塗り薬)>
- ・アラセナ
- ・ゾビラックス
これらの薬剤は発症後のヘルペスウイルスの増殖を抑制し、症状の重症化を防ぎ治癒期間を短縮します。
内服薬は通常5日間の服用が必要です。1日の内服回数が多いファムシクロビルやアシクロビルと比べると、バラシクロビルは1日2回服用で済むため、頻繁な内服が難しい方にも服薬継続がしやすくなります。
水泡などの症状に応じて外用薬が処方されることもあり、内服薬と外用薬を併用しながら患部の症状緩和を図ります。
PIT療法の処方薬
PIT療法では再発の兆候を感じた時点で速やかに治療を開始できるよう、事前に薬が処方されます。
主に処方される薬剤は以下の通りです。
- ・ファムビル
- ・アメナリーフ
PIT療法の薬剤は、ヘルペスの初期症状が現れてから6時間以内に服用を開始することが重要です。
ファムビルは間隔を空けて2回の服用、アメナリーフは1回のみの服用で、その後の悪化がなければ治療を完了できます。アメナリーフは空腹時に服用すると吸収が低下し効果が弱まる恐れがあるため、食後に内服する必要があります。
患者自身が判断して、速やかに治療を始められることで症状の悪化を防ぎ、治癒期間を短縮する効果が期待できます。年に3回以上再発する患者に適しており、生活への影響を最小限に抑えられる利点があります。
再発抑制療法の処方薬
再発抑制療法ではヘルペスの再発を予防するため、毎日継続して抗ウイルス薬を服用します。主な薬剤は以下の通りです。
- ・バラシクロビル
- ・アシクロビル
薬剤を毎日服用することでウイルスの再活性化を防ぎ、再発が起きないよう発症を抑制します。
通常、6ヶ月から1年間の服用継続が必要となります。年間6回以上再発する患者に推奨される治療法で、再発頻度を大幅に減少させる効果が期待されます。副作用のリスクは比較的低いとされていますが、長期服用のため定期的な経過観察が重要です。
妊娠中でも使用できるため、出産時の新生児への感染リスク軽減のために処方されることがあります。患者の週数や状態に応じて、医師と相談しながら適切な投与期間を決定します。
PIT療法や通例療法を検討しているが受診する時間がない方は、おうち病院「オンラインヘルペス外来」へ
ヘルペスの治療において、PIT療法は再発初期に素早く対応できる効果的な方法です。
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再発頻度が非常に高い方は再発抑制療法が必要になるのですが、このレベルになると、オンライン診療での対応が難しく、対面受診でしっかり検査をしてもらう必要があります。
高頻度で再発を繰り返している方の場合、生活習慣の改善を含めた総合的なアプローチが必要な可能性があります。
そのため、何度も繰り返す再発に悩まされている方には、対面での受診と併せておうち病院「オンライン医療相談」「オンラインサプリ相談」「オンライン栄養療法外来」のご利用がおすすめです。
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再発時の不安に備えながら生活の質を高めるために、おうち病院「オンラインヘルペス外来」を上手に活用していきましょう。