口唇ヘルペスの治療法は?使用する薬や治療のポイントを解説

口唇ヘルペスは放置すると重症化したり跡が残ったりする恐れがあるため、早めに医療機関を受診して治療を開始することが大切です。しかし、治療で使用する薬や過ごし方の注意点について気になる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、口唇ヘルペスの治療法や使用する薬、治療を効率的に進めるためのポイントなどについて詳しく解説します。

口唇ヘルペスの治療法

口唇ヘルペスは、症状が軽い場合は抗ヘルペス薬(アシクロビル、ビダラビンなど)の塗り薬を使用します。

ただし、市販の抗ウイルス成分を含む塗り薬を使用すると、薬剤に対する抵抗性を持つウイルスが発生するリスクが指摘されています。そのため、市販の塗り薬ではなく、医療機関を受診しなければ入手できない処方薬を使用することが大切です。

口唇ヘルペスの治療で使用するのは、塗り薬と飲み薬です。それぞれの種類や効果などについて詳しく見ていきましょう。

塗り薬

塗り薬は、患部に塗ることで単純ヘルペスウイルスの増殖を抑えます。医療機関では、次の成分を含む塗り薬を処方されます。

アシクロビル

アシクロビルは、口唇ヘルペスの原因である単純ヘルペスウイルスの増殖を抑える抗ウイルス成分です。通常、発病初期に近いほど期待できる効果が高まるため、なるべく早く使用を始めることが求められます。

7日間使用しても改善が見られない場合や悪化する場合には、他の薬剤を検討します。

ビダラビン

ビダラビンは、単純ヘルペスウイルスの増殖を抑える抗ウイルス成分です。ビダラビンを含む塗り薬は、1日1回塗布します。アシクロビルと同じく発症して間もない頃に塗り始めるのが効果的です。

飲み薬

飲み薬は、成分が血液によって全身に運ばれて作用するため、塗り薬よりも高い効果が期待できます。口唇ヘルペスの治療で使用する飲み薬について詳しく見ていきましょう。

アシクロビル

アシクロビルは、単純ヘルペスウイルスの増殖を抑える抗ウイルス成分です。アシクロビルの飲み薬は、200mgを1日5回服用します。

塗り薬と同じく、症状が現れて間もない頃に服用することで高い効果が期待できます。

バラシクロビル

バラシクロビルは、単純ヘルペスウイルスの増殖を抑える抗ウイルス成分です。飲み薬では、1回に500mgの錠剤を1錠服用します。一般的には1日に2回服用し、通常5日間続けます。

点滴静注

口唇ヘルペスの治療には、一般的には塗り薬や飲み薬を使用しますが、以下の場合は点滴静注でアシクロビルやビダラビンを投与します。

・初感染でなおかつ重症化している

・免疫不全の基礎疾患がある

・アトピー性皮膚炎とカポジ水痘様発疹症を合併している

点滴静注は消化を介さずに血液中へ直接投与するため、飲み薬よりも素早く効果が現れます。点滴静注は自宅では行えず、入院もしくは通院が必要です。

口唇ヘルペスの治療後に再発はする?

口唇ヘルペスの原因である単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると三叉神経という神経に潜伏します。そして、次のような要因で免疫機能が低下したときに再び活性化し、口唇ヘルペスを再発させます。

・体力の低下

・日焼け

・生理前

・歯科治療後

・免疫を抑えるステロイドや抗がん剤の使用

三叉神経に潜伏する単純ヘルペスウイルスを体内から完全に排除する方法は確立されていないため、何度でも口唇ヘルペスが再発する可能性があります。

口唇ヘルペスの治療のポイント

口唇ヘルペスの治療を効率的に進めるために、次のポイントを押さえましょう。

早期治療を心がける

 口唇ヘルペスは、初期の段階で治療を始めることが重要です。

初期症状としては、違和感やムズムズ感、ピリピリ感、チクチク感などがあります。この段階で抗ウイルス薬を服用すると、ヘルペスの症状が早く改善することが期待できます。

治療が遅れると、症状の改善に時間がかかるだけでなく、ウイルスが周辺の皮膚に広がり、症状が悪化する可能性が高まります。

体調管理に努める

 疲労やストレス、睡眠不足など、口唇ヘルペスの発症や悪化のリスク要因とされているものに注意してください。

十分かつ良質な睡眠や栄養バランスの取れた食事、ストレスケア、適度な運動などで体調管理に努めましょう。また、ストレスの原因を遠ざけたり、労働時間を見直したりして、体調を崩しにくい生活習慣へ改善することも大切です。

重症化に注意する

口唇ヘルペスは、重症化するとヘルペス性角膜炎を発症する恐れがあります。これは、単純ヘルペスウイルスが眼の粘膜に感染することによって視力障害を引き起こす病気です。治療が遅れると視力に重大な支障をきたすことがあるため、眼の症状がある場合は速やかに眼科医に相談しましょう。

また、カポジ水痘様発疹症にも注意が必要です。単純ヘルペスウイルスが周囲に広がり、水疱やただれを引き起こすことがあります。特に小児に発症しやすく、発熱やリンパ節の腫れを伴うことが特徴です。重症化すると入院が必要となることもあるため、悪化していると感じた場合は速やかに医師に相談しましょう。

初めてかかったときは医療機関を受診する

初めて口唇ヘルペスの症状が現れた場合、医療機関を受診することが重要です。口角炎や手足口病、カンジダ症など、口唇ヘルペスの症状と似た病気と鑑別し、適切な治療を受けなければなりません。があります。

自己判断せずに医療専門家に相談することで、適切な治療方法やケアのアドバイスを受けることができます。

自己判断で手持ちの薬を塗らない

口唇ヘルペスの可能性が高いからといって、自己判断で手持ちの薬を塗ることは避けるべきです。

特にステロイド剤には免疫抑制作用があり、患部に塗るとウイルスの増殖を促してしまい、口唇ヘルペスの症状を悪化させる可能性があります。

口唇ヘルペスの治療には、抗ウイルス薬を使用します。しかし過去に別の病気で処方された抗ウイルス薬を塗っても効果は期待できません。症状を悪化させたり、副作用を引き起こしたりする可能性があるため、まずは医師に相談しましょう。

時間がなくて通院できない方には、おうち病院「オンラインヘルペス外来」

口唇ヘルペスは、飲み薬や塗り薬を中心とした薬物療法で治療します。重症化のリスクが高い場合は、点滴静注で抗ウイルス成分を投与することもあります。口唇ヘルペスはなるべく初期の段階で治療を始めることで早期改善が期待できるため、速やかに医療機関を受診しましょう。

しかし、仕事や家事、育児、介護など、さまざまな事情で医療機関を受診する時間を確保できない方もいらっしゃいます。そのような方には、おうち病院「オンラインヘルペス外来」をおすすめします。

自宅にいながら口唇ヘルペスの診察を受けられるだけではなく、薬剤師からの連絡に対応するだけで薬を近くの薬局で受け取ることができます。

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