この記事でわかること
- クービビック(ダリドレキサント)の作用メカニズムと、従来の睡眠薬との違い
- 入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒に対する期待される効果と主な副作用
- 他のオレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ/デエビゴ/ボルズィ)との比較ポイント
- 服用してはいけない人・注意が必要な人(禁忌・慎重投与)
- 主治医/心療内科・睡眠外来/オンライン診療、それぞれの処方を受ける方法と選び方

目次
クービビックの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | ダリドレキサント塩酸塩 |
| 商品名 | クービビック錠25mg/クービビック錠50mg |
| 分類 | オレキシン受容体拮抗薬(DORA) |
| 適応 | 成人の不眠症 |
| 用法 | 就寝30分前、起床予定時刻の7時間以上前に服用 |
| 発売日(日本) | 2024年12月 |
| 製造販売元 | 塩野義製薬株式会社(開発元:IDORSIA Pharmaceuticals) |
| 処方区分 | 処方箋医薬品(市販なし) |
| 保険適用 | あり (薬価:25mg: 57.30円 / 50mg: 90.80円) |
クービビックはどんな睡眠薬?
クービビックはまだ歴史の浅い新薬です。日本では、2024年12月に発売されました。
海外では、スイスのイドルシア ファーマシューティカルズ社によって開発され、アメリカで2022年1月に、ヨーロッパで2022年4月に承認され、「QUVIVIQ」の商品名で販売されていました。
一般名・分類・適応
クービビックの一般名はダリドレキサントで、オレキシン受容体拮抗薬(DORA:Dual Orexin Receptor Antagonist)に分類されます。覚醒促進機能がある神経ペプチド(脳内の神経伝達物質)の結合と活性を阻害します。これにより自然な眠りへと働きかけます。
成人の不眠症に対して適応があり、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒といった症状の改善が期待できます。
オレキシンとは?
オレキシンは、脳内で覚醒状態を維持する神経伝達物質の一種です。日中はオレキシンが活発に働くことで覚醒が保たれ、夜間にその働きが自然に弱まることで眠気が生じます。不眠症の方は、夜になってもオレキシンの働きが適切に低下せず、入眠や睡眠維持が難しくなっていると考えられています。
従来の睡眠薬との作用の違い
ベンゾジアゼピン系(BZ系)やZ薬(非BZ系)と呼ばれる従来の睡眠薬は、脳の鎮静を強めることで眠りを誘います。一方、クービビックをはじめとするオレキシン受容体拮抗薬は、覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えることで、より自然な睡眠に近づけることを目指します。オレキシン受容体拮抗薬としての既存薬品に比べて半減期が短く、作用メカニズムが異なるため、悪夢や翌朝への持ち越し効果(翌朝の眠気やふらつき・頭痛・日中の活動の著しい低下)や依存性の傾向も従来薬と異なることが報告されています。
メリット
- 自然な睡眠をサポート
- 依存性・耐性が低い
- 翌朝への持ち越し効果が少ない
デメリット
- 効果の発現に時間がかかる場合がある
- 人によっては効果が充分に得られない場合がある
- 報告は少ないものの、他の睡眠薬と同様に副作用のリスクがある
参照元:添付文書|クービビック錠25mg・クービビック錠50mg
クービビックはこんな人に検討されています
次のような方は、クービビックが選択肢の一つになる可能性があります。
- 入眠困難に悩んでいる方 — 覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えるため、寝つきの悪さに悩む方に効果が期待できます。
- 中途覚醒・早朝覚醒に悩んでいる方 — 睡眠維持にも作用し、夜中に目覚める・朝早く目覚めるといった症状の改善が期待できます。
- 従来の睡眠薬の依存性・耐性に不安がある方 — BZ系の副作用・依存が気になる方の選択肢になり得ます。
- 翌朝の眠気・ふらつきを避けたい方 — 半減期が約8時間と短く、翌朝への持ち越しが起きにくいと報告されています。
- 高齢の方(医師と相談のうえ) — ふらつき・転倒リスクを抑えたい高齢の方が検討する選択肢の一つです。
- 認知機能への影響を気にされる方 — 従来の睡眠薬と比べて認知機能への影響が少ない可能性が示唆されています。
- 他の睡眠薬で十分な効果が得られなかった方 — 作用機序の異なるDORAへの切り替えが検討できます。
クービビックと他の睡眠薬の違い(比較表)
クービビックと、共通点のある類似品の睡眠薬との違いを表にまとめました。比較してみてください。
いずれの薬も、脳内で覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシンの働きを阻害することで、睡眠を促します。オレキシン受容体には1型(OX1R)と2型(OX2R)があり、それぞれの薬の作用メカニズムに少し違いがあります。
| 薬品名 | クービビック | ボルズィ | ベルソムラ | デエビゴ |
|---|---|---|---|---|
| 有効成分/一般名 | ダリドレキサント | ボルノレキサント | スボレキサント | レンボレキサント |
| 分類 | オレキシン受容体拮抗薬 | オレキシン受容体拮抗薬 | オレキシン受容体拮抗薬 | オレキシン受容体拮抗薬 |
| 日本での発売 | 2024年12月 | 2025年11月 | 2014年 | 2020年 |
| 作用メカニズム | OX1RとOX2Rの両方を阻害 | OX2R選択性が高い | OX1R・OX2Rの両方を阻害(やや弱い) | OX2Rへの阻害作用が強い |
| 主な効果 | 入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒の改善 | 入眠困難・中途覚醒の改善 | 入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害 | 入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒の改善 |
| 効果発現時間 | 比較的早い | 比較的早い | 服用後1〜1.5時間 | 服用後約1.3時間 |
| 半減期 | 約8時間 | 約19時間 | 約12時間 | 約30時間 |
| 翌朝への持ち越し | 少ない | 少ない | 残る可能性あり | 残る可能性あり |
| 主な副作用 | 眠気、頭痛、めまい | 眠気、頭痛 | 眠気、頭痛、めまい、悪夢、ふらつき | 眠気、頭痛、めまい、悪夢、金縛り、ふらつき |
どの薬を選択するかは、本人の希望も考慮されますが、最終的には患者さんの症状・既往歴・併用薬などを総合的に踏まえて医師が判断します。
ベンゾジアゼピン系・Z薬との違い
ハルシオン・マイスリー・アモバン・ユーロジン・ドラールなどのベンゾジアゼピン系(BZ系)や非BZ系(Z薬)は、即効性に優れる一方、長期使用による依存性・耐性・翌朝の眠気・ふらつき・認知機能への影響が課題とされてきました。クービビックを含むオレキシン受容体拮抗薬は、これらのリスクが相対的に低いことが報告されています。
メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)との違い
ロゼレム(ラメルテオン)は体内時計に働きかけて睡眠を促す薬剤で、依存性がほぼないとされています。ただし効果の実感までに数週間かかることがあり、入眠潜時の改善度合いは個人差があります。クービビックは比較的早く効果発現が期待できる点で使い分けがなされます。
クービビックを取り入れる前に知っておきたい注意点
クービビックを取り入れる前に、知って欲しい注意点があります。順番に把握していきましょう。
クービビックの服用にあたっての注意点
クービビックの服用にあたっての注意点は以下の通りです。
- 効果の発現には個人差があります。全ての不眠症の方に効果があるわけではありません。
- 効果を実感するまでに時間がかかる場合があります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ハルシオンなど)のような即効性はないことがあります。
- 副作用のリスクはゼロではありません。他の睡眠薬に比べてリスクは低いですが、眠気・頭痛・めまいなどが報告されています。
- 医師の診断と処方が必要です。必ず医師の診察を受け、適切な診断と処方に基づいて使用する必要があります。自己判断での薬の量の増減や中止・変更は危険です。
以上を理解したうえで、医師と相談の上服用してください。
クービビックの服用には注意が必要な方と投薬できない方
クービビックを投薬できない患者と注意が必要な患者について、添付文書をもとに解説します。
必ず受診の際、医師に伝えるようにしましょう。
禁忌(投薬できない患者)
- 本剤の成分である、ダリドレキサント塩酸塩および添加剤に対し、過敏症の既往歴のある患者(アレルギー反応が出たことのある患者)
<添加剤>
D-マンニトール、結晶セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、グリセリン、タルク、酸化チタン、黒酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄
参照元:電子添文 | クービビック錠25mg・錠50mg | 塩野義製薬 医療関係者向け情報
- 重度の肝機能障害のある患者
また、併用できない薬(併用禁忌)もあるため、受診時はおくすり手帳を見せるなどして現在服用中の薬を医師に報告しましょう。
注意が必要な患者
- ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者
- 中等度及び重度の呼吸機能障害(閉塞性睡眠時無呼吸及び中等度以下の慢性閉塞性肺疾患患者を除く)を有する患者
- 閉塞性睡眠時無呼吸及び慢性閉塞性肺疾患患者
- 脳に器質的障害のある患者
- 軽度または中等度肝機能障害患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性、授乳婦
- 小児等
- 高齢者
クービビックはどこで手に入る?
クービビックは処方箋医薬品のため、ドラッグストアや通販では購入できません。処方を受けるには以下のいずれかの方法があります。
主治医に処方してもらう
最初のステップは、主治医への相談です。現在服用中の薬の効果・副作用・体調を具体的に伝え、クービビックへの変更を希望する場合はその理由を具体的に伝えましょう。これまで処方されていた薬とクービビックの違いや、それぞれの副作用なども詳しく確認し、疑問点や不安を解消してから切り替えを検討してください。
心療内科・精神科・睡眠専門外来で処方してもらう
クービビックは2024年12月に発売された新薬のため、医療機関によってはまだ取り扱っていない場合があります。受診前に電話やWeb問い合わせフォームから、クービビックの処方が可能かを確認しておくことをおすすめします。現在通院している病院でクービビックの処方箋を出さない場合は、別の心療内科・精神科をセカンドオピニオンとして活用する方法、あるいは睡眠専門外来を受診する方法もあります。
オンライン不眠外来(睡眠外来)で処方してもらう
近年は、自宅から受診できるオンライン診療サービスも増えています。多忙な方、通院が難しい方、プライバシーを重視したい方にはオンライン診療が現実的な選択肢です。オンライン専用のクリニックでは24時間受付していて、スキマ時間で予約・受診できる場合もあります。また、オンラインクリニックは全国の大手薬局薬店と提携していることが多く、新薬を確保できる可能性が高い点もメリットです。
クービビックの処方を相談したいなら「おうち病院 オンライン不眠症外来」に
「睡眠薬を処方してもらいたいが、病院に行く時間がない」「今飲んでいる薬を変えたい(例:翌朝の眠気が気になる)」「クービビックやボルズィについて医師に相談したい」—そのような方は、おうち病院のオンライン診療をご検討ください。
不眠症の治療相談や薬の処方には、「おうち病院 オンライン不眠症外来」がおすすめです。
受診費用の目安(保険適用)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 診察料(保険適用・初診) | 1,000〜1,200円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 |
| 合計目安 | 約1,900〜2,400円 |
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。
おうち病院の特徴
✅時間通りに診察が始まる
予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込めます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能
✅ 女性医師が15分かけて丁寧に診察
おうち病院では診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「市販薬との違い」「どの処方薬が合っているか」なども落ち着いて確認できます。
✅受診場所と薬の受け取り場所を分けられる
受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは自動送信され、全国8,200店舗の薬局で受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし
受診の流れ:
- 予約 — 公式サイトまたはアプリから希望日時を選択
- 問診票の記入 — 症状・既往症・ご希望等について入力
- オンライン診察 — 医師がこれまでの経緯を確認し、治療方針を説明
- 処方・配送 — 処方が決まり次第、患者様の指定した連携薬局での受取りかおくすりおうち便で自宅にお届け
- 定期フォロー — 月1回以上の診察で経過確認・薬の調整
〔おうち病院の処方方針 -依存性の低い薬剤を中心とした処方-〕
おうち病院では、患者さんの安全を考慮し、依存性の高いベンゾジアゼピン系睡眠薬(ユーロジン、ドラール、ハルシオンなど)の処方は原則行わない方針をとっています。代わりに、クービビック(ダリドレキサント)、ボルズィ(ボルノレキサント)、ロゼレム(ラメルテオン)やデエビゴ(レンボレキサント)など、依存性の低い薬剤を中心に処方しています。
クービビックは自然な眠りへとサポートしてくれる睡眠薬(まとめ)
クービビック(ダリドレキサント)は、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害に効果が期待できる、オレキシン受容体拮抗薬です。日本では2024年12月に発売されたばかりの新薬ですが、副作用が比較的少ないと報告されており注目されています。類似薬のベルソムラ・デエビゴと比較して半減期が短いため、朝まで持ち越さないメリットが確認されています。
朝への持ち越しによる眠気や日中の活動への弊害、悪夢や頭痛等で悩んでいる方、睡眠薬での副作用が心配な方は、まずは医師に相談し、新薬「クービビック」という新たな選択肢も検討してみましょう。通院が難しい方は、おうち病院 オンライン不眠症外来でも医師にご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q. クービビックは保険適用ですか?薬価はいくらですか?
A. クービビックは2024年12月に日本で発売され、保険適用の処方薬として扱われます。薬価は25mg錠 57.30円・50mg錠 90.80円で、3割負担の場合の自己負担額は、30日分処方として、25mgで約516円、50mgで約817円が目安です(薬価のみの計算)。実際の自己負担額は診察料・調剤料等により異なります。
Q. クービビックは市販されていますか?ドラッグストアで買えますか?
A. 市販されていません。クービビックは処方箋医薬品のため、ドラッグストアや通販では購入できません。医師の診察と処方箋が必要です。
Q. オンライン診療で処方してもらえますか?
A. オンライン診療でも処方可能なクリニックがあります。おうち病院 オンライン不眠症外来でも、医師の診察のうえで、処方を受けることができます。初診からオンラインで保険診療に対応しており、通院の難しい方にもご利用いただけます。
※実際の判断は診察時の患者様の状況を確認し、医師の判断によります。
Q. 効果はどれくらいで出ますか?
A. 服用後、比較的早いタイミングで効果が現れると報告されています 。ただし効果の出方には個人差があり、最適な睡眠リズムに整うまでに数日〜数週間かかる場合もあります。就寝30分前の服用と起床予定時刻の7時間以上前に服用することを守ってください。
Q. 翌朝の運転はしても大丈夫ですか?
A. 翌朝に眠気やふらつきが残る可能性があるため、翌朝の運転・機械操作・危険作業は原則控えてください。個々の体調によって差があるため、安全性が確認できるまでは運転を避け、気になる場合は医師に相談してください。
Q. 他の睡眠薬から切り替えることはできますか?
A. 可能な場合が多いですが、切り替え方法は薬の種類・服用期間・体調によって異なります。特にベンゾジアゼピン系を長く服用していた場合は、急な中止で離脱症状が出ることがあるため、必ず医師の指示に従って段階的に切り替えてください。
Q. 妊娠中・授乳中でも服用できますか?
A. 妊娠中・授乳中は慎重投与の対象です。服用の可否は医師の判断となります。妊娠の可能性がある方、授乳中の方は必ず受診時に伝えてください。
Q. 飲酒後に飲んでも大丈夫ですか?
A. アルコールとの併用は中枢神経抑制作用を強める可能性があるため、避けてください。飲酒した日は服用を控えるか、医師の指示に従ってください。
Q. クービビックで依存症になりませんか?
A. クービビックはベンゾジアゼピン系と異なる作用機序を持つため、依存形成のリスクは相対的に低いと報告されています。ただしリスクはゼロではないため、用量・服用期間は必ず医師の指示を守ってください。
Q. 効かないときはどうすればいいですか?
A. 効果の出方には個人差があり、全員に効くわけではありません。自己判断で増量・中止はせず、医師に相談してください。就寝・起床時刻、カフェイン、運動、就床前のスマホ使用など、生活習慣の見直しが必要な場合もあります。
引用元・参考資料
- 塩野義製薬「電子添文|クービビック錠25mg・クービビック錠50mg」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA):https://www.pmda.go.jp/
- 日本睡眠学会「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」:https://jssr.jp/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- IDORSIA Pharmaceuticals(開発元):https://www.idorsia.com/
