多汗症とは、普段の生活に支障をきたすほど、過剰に汗をかく疾患を指します。流れ落ちるほどの汗をかいてしまい、精神的な苦痛を感じている人もいます。
しかし、「どのような治療法があるかわからない」「どの治療を受ければいいの?」と頭を悩ませている方も多いかと思います。
そこで本記事では、多汗症の原因や治療法について解説します。
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多汗症の原因
人は「気温が高い」「運動などで身体を動かして熱くなった」「風邪で熱が上がった」など、何らかの要因で体温が上昇した際に、体温を適温に下げるために汗をかきます。汗をかくことは、体温維持のために必要な機能です。
何らかの原因により日常生活に支障をきたすほど、過剰に汗をかく疾患が多汗症です。
多汗症は発症原因が特定できない「原発性多汗症」と、ホルモンバランスの異常など原因が特定できる「続発性多汗症」があります。
ここでは、原因が特定可能な「続発性多汗症」に分類されている4つの原因をみていきましょう。
温熱性発汗
夏などの気温が高い時や、運動をして体の熱が上がった場合に、体温を適温に下げるために手のひらや足の裏以外の全身から汗をかくことを温熱性発汗と呼びます。
体温を下げるために、脳の中の体温調節中枢が汗を出すよう命令し、発汗が促されます。手のひらや足の裏以外の全身で発汗し、上昇した体温を下げていく機能です。
この際に、何らかの原因で発汗量の調整がうまくできないと多汗症を発症する場合があります。
精神性発汗
日常生活において、ストレスや強い不安、緊張、興奮などを感じた場合に起こる発汗が精神性発汗です。誰にでも起こる発汗であり、手のひらや足の裏、脇などの限定された部位で汗をかきます。
この精神的発汗が原因で、多汗症になることがあります。恐怖やストレスによって発汗する場合、交感神経が優位になり、そのバランスが崩れることで多汗症を発症するという仕組みです。
更年期障害
更年期障害によりエストロゲンが減少し、汗の量をコントロールする自律神経のバランスが崩れることもまた、多汗症の原因の1つです。
原因・症状共に多汗症と類似しているものとして、内分泌代謝発汗が挙げられます。
内分泌代謝発汗は更年期障害の症状の1つであり、多汗症と判別しにくいため、更年期障害を患っている方で大量の汗にお悩みの場合、医師に相談されることをおすすめします。
神経障害の影響による発汗
糖尿病などの影響で自律神経に障害が起き、その影響で汗腺のコントロールが難しくなり発汗異常が起きることによって、多汗症を発症することがあります。
発汗には自律神経が大きく関わっているため、自律神経失調症などでも、大量の発汗が現れることがあります。
薬による多汗症治療
多汗症の治療方法には、薬を用いるものとそれ以外の方法があります。ここでは、薬を使った多汗症治療について解説します。
内服薬
多汗症の内服薬として、抗コリン剤が有効とされています。抗コリン剤は、神経伝達物質のアセチルコリンの作用を抑える働きをする薬です。
唯一保険適用のある内服薬が、「臭化プロパンテリン」です。その他にも「オキシブチニン」や「コハク酸ソリフェナシン」があります。発汗を抑える一方で、涙・唾液・胃酸などの他の腺からの分泌を抑制するため、口の渇き、排尿障害などの副作用が現れることがあります。
※関連記事:多汗症の内服薬・外用薬のそれぞれの特徴は?混同されがちな症状も解説
外用薬
多汗症の外用薬として、よく用いられるのが「塩化アルミニウム」です。汗腺の細胞に作用し、発汗を抑制します。軽症から重症に至るまで全ての患者さんに対して有効とされています。
ただし、効果は一過性なので継続的な治療が必要です。副作用として、肌の腫れや赤みが現れることがあります。症状が出た場合は容量や使用頻度などを見直す、炎症を抑える薬を服用するといった対処を行います。
※関連記事:多汗症の内服薬・外用薬のそれぞれの特徴は?混同されがちな症状も解説
漢方薬
多汗症の薬として漢方薬を用いることもあります。漢方で止汗作用のある主な成分は黄耆です。代表的な薬は「補中益気湯」「黄耆建中湯」「桂枝加黄耆湯」「防已黄耆湯」などになります。
ただし、汗の種類やタイプによって治療薬は異なるため、実際に服用する際は漢方専門医のアドバイスを受けてから服用しましょう。
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ボツリヌス注射
患部に直接「ボトックス(ボツリヌス菌)」を注射します。注射により、神経伝達物質のアセチルコリンの作用を抑える働きを抑えます。エクリン汗腺の発汗が抑制されるため、汗の量を大幅に減少できる治療法です。
注射の効果は限定的であるため、効果を持続させるには定期的な注射が必要となります。
薬以外の治療方法
多汗症の治療には薬を使わないものもあります。ここでは、薬以外の治療法について解説します。
イオントフォレーシス
手のひらや足の裏などを水の入った容器に浸し、微弱の電流を流す治療方法です。10~20mAの電流を1回あたり20~30分流します。これを8~12回行うと手や足の汗の量が減少します。
治療を持続させるには、その後も定期的に通院が必要になります。また、脇の多汗症への効果は期待できません。
交感神経遮断術
交感神経遮断術とは、全身麻酔で胸部の交換神経節の切り取りや焼き切りを行う手法です。手のひらの多汗症への有効率はほぼ100%とされています。
ただし、副作用として、施術後に胸・背中・太もも、お尻などから発汗する代償性発汗が見られます。
汗腺除去手術
脇の多汗症に有効とされるのが汗腺除去手術です。皮膚を切開し、アポクリン汗腺を除去して脇からの汗を止めます。
交感神経遮断術と同様、副作用として、施術後他の部位から発汗する代償性発汗が現れます。
高周波・マイクロ波治療
高周波やマイクロ波を脇に当て、汗腺を熱で破壊する治療法です。多汗症の原因となるエクリン汗腺と同時に、わきがの原因であるアポクリン汗腺も破壊します。
破壊された汗腺の機能は再生しません。そのため、一度の施術で半永久的な効果が得られます。
多汗症治療でも保険適用は受けられる
多汗症治療の中には、保険適用できるものとできないものがあります。症状や治療方法により保険適用の有無は異なるため注意が必要です。
ここでは、保険適用される主な例についてみていきましょう。
薬での治療
医師から重度の「原発性腋窩多汗症」と診断された場合は、保険適用でボトックス治療が可能です。「原発性腋窩多汗症」は原因が不明な多汗症であり、局所的な発汗が6ヵ月以上続いているうえで、次の項目に2つ以上該当する場合は「原発性腋窩多汗症」である可能性が高いです。
- 25歳未満で発症している
- 睡眠時は汗をかかない
- 家族に発症者がいる
- 日常生活に支障がでるほど発汗がある
- 発汗によって困る場面が1週間で一回以上ある
内服薬としては、抗コリン剤(プロ・バンサイン)が保険適用です。脇の多汗症の場合は、保険適用の外用薬として「エクロックゲル」や「ラピフォートワイプ」があります。
その他の治療方法でも保険が適用される場合がある
重度の多汗症と診断されて手術を行う場合も保険適用の対象となります。軽度の場合には、自由診療としての取り扱いになるケースがあることも把握しておきましょう。
まずは受診して自分に適した治療法を把握しよう
多汗症には原因の分からない「原発性多汗症」と、原因が基礎疾患に由来する「継続性多汗症」があります。どこに汗をかくのか、軽度か重度か、どういった場合に汗をかくのかなど症状によって適切な治療方法は異なります。
そして、一言で多汗症と言っても「原発性多汗症」と「継続性多汗症」では治療の流れは異なります。汗のかきかたや汗の量、汗をかく部位など治療方針を決めるには様々な情報が必要です。
病院を受診し、自分の症状を医師に見極めてもらった上で、適切な治療方法を把握するとよいでしょう。
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まとめ
日常生活に支障をきたすほど汗をかく症状が多汗症です。多汗症には様々な症状があり、症状によって適切な治療方法が異なります。
大量に汗をかくことがコンプレックスとなり、医師の診断を受けるのもハードルが高いと感じている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、適切な治療方法を知るためには医師の診断が欠かせません。
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