高血圧は血圧が高い状態がずっと続いてしまう病気で、放置すると動脈硬化を引き起こします。さらに、動脈硬化が原因となり、さまざまな恐ろしい合併症を発症させる恐れもありとても危険です。
高血圧を予防・改善し、命に関わる恐ろしい合併症を発症させないようにしましょう。
今回は、高血圧の合併症が引き起こされる原因、6つの主な合併症、そして高血圧の合併症を防ぐ予防策を解説します。
目次
高血圧の合併症の原因
高血圧は血管に圧力がかかり、動脈硬化を引き起こすものです。また、高血圧の場合、脳卒中や心筋梗塞などのさまざまな合併症を引き起こす恐れも高まります。
なぜ高血圧だと合併症を引き起こしやすいのか、その理由は動脈硬化により血流が滞ってしまうことにあります。血流が滞ると、各臓器に酸素や栄養が行き届かなくなったり、重要な部分で血管が破裂したりするリスクが高まります。
そのため、高血圧状態が続くと、合併症を引き起こしやすいのです。
高血圧の6つの合併症
高血圧の合併症にはさまざまなものがあります。ここでは主な6つの合併症について解説します。
・脳血管疾患
・心臓疾患
・肝臓疾患
・高血圧網膜症
・血管疾患
・認知症
それぞれ詳しく見ていきましょう。
脳血管疾患
脳血管疾患は、高血圧の合併症として最も恐ろしいものの一つです。脳血管の動脈硬化が進行すると、血栓ができやすくなって血流が滞ったり、血管に強い圧力がかかって破裂したりします。
「脳梗塞」は、脳に酸素や栄養が行き届かなくなることで、組織が壊死してしまい、麻痺・しびれなどの症状が出るものです。「脳出血」は、脳の血管に強い圧力がかかって破裂し、組織内で出血するものです。ある日突然起こり、これまで感じたことのないような激しい頭痛に襲われます。
心臓疾患
心臓疾患も高血圧の合併症で代表的なものです。
高血圧状態が続くと、心臓はずっと強い圧力で血液を身体中に送り続けることになります。そのため、心臓に負荷がかかって肥大化し、最終的に心臓の働きが悪くなってしまいます。
以下のような症状があります。
・狭心症:血管が狭くなりすぎて、心臓に十分な血液を送れなくなる症状
・心筋梗塞:心臓の血管である冠動脈が詰まってしまい、心筋が壊死してしまう症状
・心不全:高血圧などの影響で心臓の働きが弱まり、全身の臓器に血液を十分に送れなくなった状態により発生する息切れ・むくみなどの症状
腎臓疾患
高血圧は腎臓にも影響し、合併症を引き起こします。
腎臓は血液をろ過して、体内の老廃物などを尿として排出する機能を持つ臓器です。高血圧によって動脈硬化が進行すると、それにあわせて腎機能も低下する「腎硬化症」が引き起こされます。
腎硬化症がさらに進行すると「腎不全」となり、生命維持のために人工透析が必要になります。
高血圧網膜症
高血圧は目の合併症を引き起こす恐れがあります。
「高血圧網膜症」は高血圧の影響により、網膜が損傷してしまう病気です。網膜の出血や白い斑点、むくみなどが起こります。自覚症状はほとんどありませんが、放置すると網膜剥離が引き起こされる恐れがあり、とても危険です。
視力の低下や物が歪んで見えるなどの症状もあります。
血管疾患
高血圧により動脈硬化になると、全身の血管にさまざまな合併症が引き起こされます。
特に、以下のような合併症が有名です。
・閉塞性動脈硬化症:
手足の動脈が詰まる・狭くなることが原因で発症します。外気は冷えていないはずなのに、手先・足先が異常に冷えたり、筋肉が痛んだりといった症状があります。進行すると、手足に潰瘍ができて壊死する恐れもある病気です。
・大動脈瘤:
全身の中で最も太い血管である大動脈の壁が膨らんでしまうものです。初期の自覚症状はありませんが、膨らみ(瘤:りゅう)が大きくなると胸や背中が痛みだしたり、強い息苦しさを感じたりします。膨らみが破裂した場合、血液が全身に行き届かなくなるため、一気に命を落とす危険性があります。
認知症
血管性認知症も高血圧の合併症の一つです。
これは、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害が起こり、その後遺症が残ったために引き起こされる認知症です。脳の一部が萎縮して起こるアルツハイマー認知症の次に多い認知症のタイプであり、高血圧の方は注意すべき合併症といえます。
高血圧の合併症の予防策
高血圧の合併症は命に関わるものが多くあるため、できる限り防ぎたいものです。そのためには、高血圧を予防・改善することが大切です。ここでは、高血圧の合併症を防ぐための対策について解説します。
食事療法を行う
高血圧の原因となるのは塩分や肥満、ストレスなどがあります。そのため、食事療法は高血圧の予防・改善の基本となります。
食生活でまず気をつけたいこと、それは減塩です。塩分は血圧上昇と関係があるといわれ、適切に減塩することで、降圧効果があるとされています。
減塩するためには、食事量を多く摂りすぎないこと、塩だけでなく旨味・香り・酸味などで味付けをすること、素材の旨味を引き出すことが大切です。また、料理の品数や食事量が多いと、塩分を摂りすぎてしまいやすいので注意が必要です。
他にも、野菜や果物を積極的に摂取する、コレステロールの摂取を抑えるといったことも食事療法では大切です。
運動療法を行う
食事療法とともに、高血圧の改善に効果的とされるのが運動療法です。
適度な運動をすると体内で血圧を上げる物質が抑えられ、下げる物質が働くようになるとされています。また、汗をかくことで余分な塩分を排泄でき、血圧を下げやすくなるのです。肥満解消効果もあるため、間接的にも高血圧予防・改善に効果が期待できます。
運動療法は1回30分程度で週3~5回程度の運動を行うのが効果的です。きつすぎる運動というよりも、ウォーキングやランニング、水中運動や水泳などの適度な有酸素運動が良いとされています。無理をせず、自分に合った継続しやすい運動を行いましょう。
その他気をつけたいこと
喫煙や過度の飲酒、ストレスなどの影響で高血圧状態が続きやすくなります。合併症を引き起こさないためにも、禁煙やアルコール量を抑える、ストレスは適度に解消するなどの試みが大切です。
タバコについては医療機関にて保険診療にて禁煙治療を受けられますので、ぜひ検討してください。
高血圧が改善しないなら合併症を防ぐために薬の処方を
高血圧の予防・改善の基本となるのは、食事療法や運動療法です。健康的な食事や適度な運動を続けていけば、高血圧は改善されていき、合併症のリスクも低くなっていくことでしょう。
しかし、リスクの高い高血圧の場合、食事療法や運動療法だけでは症状の改善や合併症リスクを抑えることは困難です。そのような場合は、投薬により血圧を下げることが必要になります。
将来の健康を守るためにも、なるべく早い段階で医療機関を受診しましょう。
「オンライン高血圧外来」で高血圧の合併症の改善・予防
高血圧は生活習慣と深い関わりがあり、恐ろしい合併症を引き起こす恐れがあるため、治療は継続することがとても大切です。
しかし、「病院へ行く時間が確保できない」「薬をもらうだけなのに病院へ行くのは面倒」という方もいることでしょう。そうした場合に活用したいのが「オンライン高血圧外来」です。
「オンライン高血圧外来」は自宅に居ながら、ネットを通して医師の診察を受けられるサービスです。
早朝・夜間でもスマホやパソコンで気軽にビデオ通話にて医師の診療を受けられます。大薬局チェーンと連携しているので最短で当日中に薬を受け取ることも可能です。
恐ろしい高血圧の合併症を引き起こさないためにも、うまく活用して将来の健康を守りましょう。
まとめ
高血圧は動脈硬化を引き起こし、それが原因となって脳や心臓、その他全身にさまざまな合併症を発症させる恐ろしい病気です。生活習慣と関わりが深い病気なので、食生活に気を配り、適度な運動をして高血圧を予防・改善していきましょう。
ただし、リスクの高い高血圧と診断される場合は、必ず投薬治療が必要です。食事・運動療法とあわせてお薬での治療も継続しましょう。