高血圧は生活習慣病で、高齢者を始めとして多くの日本人が発症する病気です。医療機関にて血圧が高い、高血圧であると診断されたものの「どうやって治療すればいいのだろうか?」と疑問に思っている方も多いことでしょう。
今回は、高血圧の種類とその違い、治療のポイントを解説します。
高血圧の治療は種類によって異なる
高血圧は「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の二種類あり、それぞれで治療方針が異なります。
本態性高血圧は、原因がはっきりしないものです。日本人の高血圧のほとんどが、この本態性高血圧といわれています。本態性高血圧は二次性高血圧との対比で便宜的に「一次性高血圧」と呼ぶこともあります。
二次性高血圧は何らかの疾患または薬剤の副作用などが原因で発症する高血圧です。
それぞれ発症する原因には違いがあり、治療方針も異なります。
以下で「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の原因と治療法について詳しく解説していきます。
二次性高血圧とは
二次性高血圧は、何らかの病気や薬剤の副作用などにより引き起こされる高血圧です。後述する本態性高血圧とは異なり、血圧を上昇させる要因がはっきりしています。
そのため、生活習慣の改善や薬物療法だけでなく、原因となる疾患を治療することが大切です。
二次性高血圧の原因
二次性高血圧の原因にはさまざまなものがあります。たとえば、腎臓疾患やホルモン分泌の異常、睡眠時呼吸障害、薬剤の副作用などです。
二次性高血圧の治療を進めるためには、診査診断により原因となる疾患等を明らかにすることが大切です。適切な治療を行うためにも、まずは病院で医師の診察を受けましょう。
二次性高血圧の治療
二次性高血圧は何らかの疾患等が原因で発症する高血圧症であるため、治療では根本原因を治すことが必要です。また、血圧を現状よりも下げることを目的に、薬物療法や生活習慣の改善なども行われます。
以下で、二次性高血圧におけるそれぞれの治療方針について解説します。
①原因疾患の治療(例:腎臓疾患、副腎腫瘍等)
二次性高血圧の治療でメインとなるのは、原因疾患の治療です。診査診断により原因疾患を明らかにし、それを治すことで血圧を下げていきます。
二次性高血圧の原因として多い疾患は、腎臓疾患や副腎腫瘍、ホルモン分泌の異常、睡眠時呼吸障害などです。これらの疾患を、投薬や外科手術により治療します。
また、薬剤の副作用により二次性高血圧が引き起こされている場合は、原因と考えられる薬剤の使用をやめることで様子を見ます。
②薬物療法(例:利尿剤、降圧剤等)
二次性高血圧におけるメインの治療は、原因を取り除くことですが、それと並行して現状の血圧を下げるために、薬物療法として利尿剤や降圧剤等を使用することもあります。
ただし、二次性高血圧の場合、降圧剤等を使用しても効果がないケースもあります。
③生活習慣の改善(食生活や運動習慣の改善等)
二次性高血圧による血圧上昇を抑えるため、食事や運動など生活習慣の改善等を行う場合もあります。
食事においては、血圧を高めてしまう塩分を控えめにするのが基本です。それとともに、血圧上昇を抑えやすい食物繊維やカリウムを積極的に摂取します。脂肪やカロリーの高いものを控えることも意識しましょう。
運動においては、1回30分程度で週に3~5回ほどの有酸素運動を行います。適度な運動により体内の余分な塩分や老廃物が排出されることで、血圧上昇を抑えやすくなります。
本態性高血圧とは
本態性高血圧とは、発症の原因が明らかではない高血圧症です。高血圧のほとんどが本態性高血圧に該当するといわれています。
治療の基本となるのは食事や運動などの生活習慣の改善です。基本の治療だけで効果が不十分である場合や、リスクの高い高血圧の場合は降圧剤等による薬物療法が行われます。
以下で、本態性高血圧の原因や治療について解説していきます。
本態性高血圧の原因
前述の通り、本態性高血圧は発症の原因がはっきりしていません。これは原因がわからないという意味ではなく、さまざまな要素が絡んで発症する多因子疾患であるという意味です。
本態性高血圧の原因として考えられるのは、食塩の過剰摂取、肥満、喫煙・過度の飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的素因などがあります。これらが組み合わさり、本態性高血圧を引き起こすと考えられています。
本態性高血圧の治療
本態性高血圧は、患者の状態によってさまざまな治療が検討されます。
カウンセリングを通して食事・運動などの生活習慣をヒアリングし、血圧を上昇させる要因が確認されれば、それを改善するために指導します。
また、血圧レベルが高い、合併症を発症する恐れがある、糖尿病や生活習慣病を患っている、年齢が高い、などのケースでは薬物療法も行われます。
以下で、本態性高血圧の治療についてより詳しく解説していきます。
①薬物療法(例:降圧剤)
高血圧の薬物療法では、血圧を下げる効果のある降圧剤を投与します。
・血管拡張剤:血管を拡張することで、血圧の上昇を抑えます。
・利尿剤:尿量を増やすことで血液量を減らし、血圧の上昇を抑えます。
・神経遮断薬:血管の緊張をほぐし、心臓への負担を抑えます。
・血圧に関連する物質を抑える薬:レニンやアンジオテンシンなど、血圧に関与する物質の作用を抑えることで、血圧上昇を防ぎます。
このように薬物療法では、さまざまな降圧剤により血圧を低下させます。1種類の降圧剤で目標血圧まで低下しきらない場合は、医師の判断により作用の異なる降圧剤を組み合わせることもあります。
②生活習慣の改善(食事療法・運動療法)
血圧を下げることを目的に、医師の指導のもとで食事や運動など生活習慣の改善を行います。
食生活においては、特に塩分量が重要です。塩分を摂取すると血圧が上昇することがわかっていて、味の濃い食生活を送っている人ほど高血圧になりやすい傾向にあります。そのため、高血圧の治療では塩分を制限することが重要です。また、塩分の排出を促す食物繊維やカリウムの多い食材を意識して摂取することも求められます。
運動においては、1回30分程度、週に3~5回の有酸素運動をすることが望ましいとされています。筋肉トレーニングなど、息を止めて力を入れる静的な運動は、血圧を瞬間的に高める恐れがあるため向いていません。ウォーキングやランニング、水泳などの動的な有酸素運動を継続して行うことが大切です。
③ストレスマネジメントやリラクゼーション療法等のストレス緩和技法の導入
ストレスも本態性高血圧を発症させる原因の一つと考えられています。そのため、高血圧の治療では、ストレスの管理も重要です。
ストレスは日常生活のさまざまな場面で感じるものです。それを溜め込んでしまうことは高血圧以外にも、うつの発症などさまざまなリスクがあります。
そうしたリスクを回避するためには、ストレスと向き合い、適切にコントロールすることや休息や、趣味などを通してストレスを解消することが大切です。ストレスマネジメントやリラクゼーション療法などにより、ストレスを緩和していきましょう。
④適量な減量、禁煙等の生活習慣改善
喫煙や過度の飲酒、肥満なども本態性高血圧の原因となります。こうした習慣を見直すことも高血圧の治療では大切です。
タバコは高血圧だけでなく、さまざまな疾患につながるものです。禁煙外来などを活用し、禁煙を目指しましょう。
アルコールは適量であれば、ストレスの解消などにつながると考えられますが、過度の飲酒は高血圧を引き起こします。おつまみの食べ過ぎによる過剰塩分摂取や肥満にもつながるため、飲みすぎないようにしましょう。
高血圧が改善しないなら薬による治療の検討を
高血圧、特に本態性高血圧の治療では食事療法や運動療法が基本となります。しかし、それらは生活習慣の改善によりじっくり血圧を落としていく治療法です。
そのため、症状が重く合併症リスクの高い高血圧の場合は、食事・運動療法だけでなく、薬物療法もあわせて行います。降圧剤を適切かつ継続的に服用すれば、合併症リスクを抑えられますので医師の指導のもと、正しく実施していきましょう。
オンライン高血圧外来で高血圧の治療薬を受け取る方法
降圧剤は血圧を下げる効果があるため、リスクの高い高血圧治療では欠かせません。しかし、1種類の降圧剤だけでは目標数値にまで下がらないこともあり、症状によっては複数種類の降圧剤を服用する場合もあります。
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高血圧治療を適切に継続し、健康的に生活するためにも、ぜひおうち病院オンライン高血圧外来をご活用ください。
まとめ
高血圧は原因のはっきりしている二次性高血圧と、原因がはっきりしない本態性高血圧があります。二次性高血圧については、原因を取り除けば症状が改善しますが、本態性高血圧は多因子疾患であり、血圧をコントロールすることが治療の基本的な考え方です。
食事療法や運動療法等による生活習慣の改善、降圧剤により血圧を下げる薬物療法などで、うまくコントロールしていきましょう。