インフルエンザの処方薬の種類は?服用方法や注意点について解説

インフルエンザの処方薬の種類は多岐にわたります。効能効果や副作用、使い方や予防投与の有無など、種類によってさまざまです。

本記事を読み、それぞれの違いを理解しておくことで、自身や家族などがインフルエンザになった際に迅速に治療が進めやすくなるでしょう。

インフルエンザに感染した場合は、医師に相談した上で適切な薬を選び、適切な治療を続けましょう。

インフルエンザの処方薬の種類

おもなインフルエンザの処方薬の種類は以下のとおりです。それぞれ剤形や使用する回数が異なります。どの薬を服用するか、医師に相談した上で選びましょう。

薬剤名タミフルアビガンラピアクタイナビルリレンザゾフルーザシンメトレル
薬の種類内服薬内服薬静脈注射役吸入薬吸入薬内服薬内服薬
期間・回数1日2回、5日間1日1回、5日間1日1回、連日投与1回で完了1日2回、5日間1回で完了1日1回〜2回
特徴インフルエンザA型・B型に有効新型または再興型インフルエンザに有効インフルエンザA型・B型に有効インフルエンザA型・B型に有効インフルエンザA型・B型に有効インフルエンザA型・B型に有効インフルエンザA型に有効
副作用倦怠感や眠気など吐き気嘔吐など下痢や吐き気など下痢や蕁麻疹など倦怠感や眠気など頭痛や嘔吐など便秘や下痢など
予防投与1日1回、7〜10日間なしなし1日1本、2日間1日1回、7〜10日間1回なし

タミフル

タミフルとは、オセルタミビルリン酸塩と呼ばれる成分を配合したインフルエンザ治療薬です。インフルエンザA型・B型に有効であり、治療だけでなく、予防効果が期待できます。

慢性呼吸器疾患を治療中の方や65歳以上の方は、同居している方がインフルエンザに感染した場合、予防目的でタミフルの服用が可能です。

タミフルには、カプセルとドライシロップの2種類があります。カプセルは薄い黄色と灰色をしており、1日2回、5日間服用することでウイルスの増殖を防止できるのが特徴です。

ドライシロップは水に溶かして飲めるタイプです。カプセルを飲み込むのが苦手な子どもなどに有効ですが、苦味があるため、嫌がる子もいます。

苦味が気になる場合は、アイスやヨーグルト、オレンジジュースなどに混ぜて飲むことで苦味が緩和されます。

インフルエンザ治療目的の場合、成人は1錠を1日2回、5日間服用します。一方で、インフルエンザ予防目的の場合、1錠を1日1回、7〜10日間服用する必要があります。

タミフルのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・倦怠感
  • ・眠気
  • ・食欲不振
  • ・腹痛
  • ・吐き気
  • ・不眠

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・肝機能障害
  • ・腎機能障害
  • ・肺炎
  • ・アナフィラキシー

アビガン

アビガンとは、新型または再興型インフルエンザ(かつて世界的規模で流行したインフルエンザであって、その後流行することなく長期間が経過しているもの)の治療薬です。薬の効果は、日本では確認できていないものの、海外ではインフルエンザに対する効果が確認されています。

アビガンを服用する1日目は、1回8錠を1日2回飲む必要があります。2〜5日目は、1回3錠を1日2回、合計5日間服用しなければなりません。

1日目の初回の服用から2回目の服用までは4時間以上の間を空けておきましょう。もし途中で症状が改善しても、途中で服用をやめず、最後まで服用し続けてください。

アビガンのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・吐き気
  • ・嘔吐
  • ・腹痛
  • ・湿疹
  • ・そう痒症

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・アナフィラキシー
  • ・肺炎
  • ・急性腎障害
  • ・肝機能障害
  • ・意識障害

ラピアクタ

ラピアクタとは、インフルエンザA型・B型に有効な注射液です。成人の場合、300mgを15分以上かけて単回点滴静注します。

合併症などによって重症化するおそれのある患者さんでは、1日1回600mgを15分以上かけて単回点滴静注します。(症状によっては連日反復投与可能)

小児の場合は、1日1回10mg/kgを、15分以上かけて単回点滴静注するのが特徴です。(症状によっては連日反復投与可能)

ラピアクタのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・下痢
  • ・吐き気
  • ・嘔吐
  • ・腹痛
  • ・発疹
  • ・めまい
  • ・不眠
  • ・血管痛

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・アナフィラキシー
  • ・肺炎
  • ・急性腎障害
  • ・肝機能障害
  • ・白血球・好中球・血小板減少

特に腎機能障害患者さんや妊婦、授乳婦や小児などは、利用する際に注意しなければなりません。

イナビル

イナビルとは、インフルエンザA型・B型に有効な治療薬です。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物と呼ばれる成分を配合した吸入薬であり、インフルエンザウイルスの増殖を防止します。

イナビルはインフルエンザの治療だけでなく、予防目的でも使用できます。特にインフルエンザの感染リスクが高い濃厚接触者の場合、予防投与が可能です。

イナビルを使用する際は、プラスチックの吸入容器に含まれる粉末を吸う必要があります。

インフルエンザの治療時は、成人または10歳以上の子どもの場合、40mg(2容器分)を1回吸入しなければなりません。

一方で、インフルエンザの予防時は、2容器を2日間に分けて吸入する場合があります。

イナビルのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・下痢
  • ・蕁麻疹
  • ・胃腸炎
  • ・吐き気
  • ・嘔吐
  • ・腹痛
  • ・口内炎
  • ・食欲減退

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・気管支攣縮
  • ・呼吸困難
  • ・アナフィラキシー
  • ・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
  • ・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
  • ・多形紅斑

リレンザ

リレンザとは、インフルエンザA型・B型に有効な治療薬です。ザナミビル水和物と呼ばれる成分を含む吸入薬であり、インフルエンザが体内で増殖するのを防止します。

有効成分が含まれる白い粉末を、専用の吸入器に入れて吸入します。5歳以上から服用可能であり、インフルエンザの感染リスクが高い濃厚接触者に対しては予防することも可能です。

インフルエンザ治療の場合、1日2回を5日間、1回につき2ブリスター服用します。インフルエンザ予防の場合、1日1回を10日間、1回につき2ブリスター服用します。

リレンザのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・発疹
  • ・下痢
  • ・悪心
  • ・嘔吐
  • ・蕁麻疹
  • ・頭痛
  • ・口渇
  • ・食欲不振

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・気管支攣縮
  • ・呼吸困難
  • ・アナフィラキシー
  • ・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
  • ・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
  • ・多形紅斑

ゾフルーザ

ゾフルーザとは、インフルエンザA型・B型に有効な治療薬です。インフルエンザウイルスを作るために必要な酵素(キャップ依存性エンドヌクレアーゼ)を阻害し、インフルエンザウイルスの増殖を抑えます。

ゾフルーザ錠20mgの場合、成人及び12歳以上の小児(80km未満)では20mg錠2錠を服用します。12歳未満の小児では、20mg錠1錠を服用するのが特徴です。

ゾフルーザのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・下痢
  • ・吐き気
  • ・発疹
  • ・蕁麻疹
  • ・頭痛
  • ・嘔吐
  • ・そう痒
  • ・血管性浮腫

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・アナフィラキシー
  • ・虚血性大腸炎
  • ・出血(血便・鼻出血・血尿)
  • ・腹痛

シンメトレル

シンメトレルとは、インフルエンザA型に有効な治療薬です。インフルエンザ以外にも、パーキンソン症候群や脳梗塞後遺症における意欲低下・自発性低下の改善が見込めます。

成人の場合、1日100mgを1〜2回に分けて服用します。なお、症状や年齢に応じて適宜用量は調整しなければなりません。

ただし、高齢者及び腎障害のある患者さんでは投与量の上限を1日100mgとします。

シンメトレルのおもな副作用は、以下のとおりです。

  • ・便秘
  • ・下痢
  • ・食欲不振
  • ・吐き気
  • ・嘔吐
  • ・口渇
  • ・立ちくらみ
  • ・血圧低下
  • ・発疹

また、稀に起こる重篤な副作用としては、以下が挙げられます。

  • ・悪性症候群
  • ・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
  • ・視力低下を伴うびまん性表在性角膜炎・角膜浮腫様症状
  • ・心不全
  • ・肝機能障害
  • ・腎障害

 

インフルエンザの市販薬と処方薬の違い

医療用医薬品(処方薬)と一般用医薬品(市販薬)の大きな違いは薬の効力です。市販薬に比べて、処方薬のほうが薬の効き目は強いです。

処方薬は、ある程度の副作用を想定しつつ、薬の効き目を重視して作っています。一方で、市販薬は、安全性を重視し、副作用を抑えるようにしています。

インフルエンザに関するよくある質問

インフルエンザに関するよくある質問をまとめました。以下の質問内容を確認し、治療や予防に活用しましょう。

  • ・インフルエンザのときに市販薬を使っても問題ない?
  • ・病院に行くタイミングは?
  • ・子どもで使えるインフルエンザの処方薬は?
  • ・インフルエンザの処方薬は48時間経過すると使えない?

あらかじめ薬の使い方を知っておくことで、インフルエンザに感染した際に迅速に対応しやすくなるため、把握しておきましょう。

インフルエンザのときに市販薬を使っても問題ない?

アセトアミノフェンであれば問題ありません。一方で、それ以外の特定の市販薬の場合、インフルエンザ脳症に感染するおそれがあるため、注意が必要です。

病院に行くタイミングは?

38度以上の高熱や関節の痛みがあるなどの場合、医療機関を受診したほうがよいでしょう。

子どもでも使えるインフルエンザの処方薬は?

タミフルは、37.5kg以下の小児にも使用可能な処方薬です。

インフルエンザの処方薬は48時間経過すると使えない?

使えます。成人において、48時間以降の投与でも呼吸器症状が短縮された報告があります。

インフルエンザかもしれないとお悩みの方は「オンライン発熱・コロナ外来」を利用しよう

自身が「インフルエンザかもしれない」と思っても、仕事などで多忙な毎日を送っていると、放置しがちです。

その結果、知らないうちに症状が悪化したり、他人がインフルエンザウイルスに感染する原因を作ったりするおそれがあります。

このような事態を防ぐためにも、おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」を利用することをおすすめします。

おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」は、日々忙しい方であっても、利用しやすいサービスです。自宅や出先でも、スマホさえあれば、専門の医師の診察が受けられます。

インフルエンザの治療薬もお近くの薬局で受け取ることが可能なため、病院にわざわざ行く必要はありません。

健康的な毎日を送るためにも、おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」を気軽にご利用ください。