多汗症治療の保険適用薬『プロ・バンサイン』の効果・副作用・注意点を解説

目次

プロ・バンサインは多汗症治療の保険適用薬です。

多汗症でお悩みだけど、「自費診療まではちょっと・・・」「外科治療は怖いな」とお考えの患者様におすすめです。

本記事では、プロ・バンサインの効果・副作用・薬価と注意点を解説します。

多汗症を治療中の方は、ぜひ参考にしてください。

プロ・バンサインとは? 

プロ・バンサイン(Pro-Banthine、一般名:プロパンテリン臭化物)は、抗コリン薬(抗ムスカリン薬)の一種です。

多汗症の治療薬として使用される保険適用薬です。

副交感神経系の一部をブロックすることで、過剰な汗の分泌や消化器官の活動を抑えます。そのため、夜尿症の治療にも使用されます。

多汗症治療としては、プロ・バンサイン単独で治療に用いることはまれで、外用薬との併用などで様子を見ます。

プロ・バンサインの効果

神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを妨げることで、過剰な発汗を抑える働きをします。これにより、手のひら、足の裏、脇の下、顔など、汗が出やすい部位の発汗が軽減される効果が期待できます。

特に、プロ・バンサインを摂取することで、緊張やストレスを伴う汗の分泌を抑える効果が期待できます。

発汗を抑えることができれば、過剰な発汗に伴う皮膚トラブルや日常生活に支障をきたす悩みも軽減する可能性があり、患者の生活の質(QOL)を向上させる効果が期待できます。

プロ・バンサインの薬価・費用

プロ・バンサインの処方は高いかどうか気になる方もいるでしょう。

プロバンサイン(15mg)の薬価は9.2円/錠です。

1回1錠、1日4回内服した場合は30日間で1,104円です。

多汗症に対する治療の場合は保険適用されますので、3割負担の患者の場合ですと、1ヶ月分(30日間)で、331.2円の薬剤費となります。

(※薬剤費のみの計算であり、その他の費用は加算されておりません)

多汗症とは

多汗症とは、どのような病気なのかここで改めて解説します。

単なる汗っかきとは違う、ということをご理解いただけるかと思います。

多汗症の症状と種類

人間の体は、暑い時や運動の後などの体温調節や、緊張で汗をかきますが、一般的な発汗に比べて、過剰に汗をかいてしまう疾患を「多汗症」と言います。

体温調節や緊張時だけでなく、思い当たる理由がなくても多量に汗をかき、衣類やタオルがビショビショになってしまう、ぽたぽた流れるほど汗をかくなどの症状があります。

多汗症には、全身に大量の汗をかく「全身性多汗症」と、体の一部に、局所的に大量の汗をかく「局所性多汗症」があります。

局所性多汗症の中には、手のひらに大量の汗をかく「手掌(しゅしょう)多汗症」、脇の汗の「腋窩(えきか)多汗症」、足の裏の「足蹠(そくせき)多汗症」、頭部や顔の場合の「頭部顔面(とうぶがんめん)多汗症」があります。

多汗症で受診する目安

多汗症の受診の目安として、以下の項目があります。

下記のような状態かどうか、チェックしてみましょう。

  1. なぜか原因不明の汗が大量に出る
  2. 大量の発汗は一時的ではなく、汗が止まらない
  3. 汗で服や靴がびっしょりになる
  4. 汗が原因でストレスを感じている
  5. 汗が原因で日常生活に支障をきたしている
  6. 過剰な発汗の症状が週1回以上ある

このような症状が1つでも当てはまったら「多汗症」の可能性がありますので、早めの受診をおすすめします。

プロ・バンサインの使い方

プロ・バンサインは内服薬であり、プロ・バンサインは、全身のどの部位に対しても有効とされています。

成人の場合で、通常1回1錠(プロパンテリン臭化物15mg)を1日3〜4回に分けて服用します。年齢や症状によって、医師の判断で用量は増減しますので、医師の指示にしたがって正しく服用しましょう。

プロ・バンサインの添付文書には「小児(15歳未満)への安全性は確認されていない」と明記されているため、子どもに対して処方することはまれです。

また、妊婦に対しては安全性が確立していません。授乳中の方は症状によって医師が判断します。

なお、前述のとおり、プロ・バンサインのみという処方ではなく、あくまでも他の治療と併用する補助的な役割が多いです。

プロ・バンサインを使用する上での注意点

プロ・バンサインを使用する上で注意すべき点を解説します。

当てはまるところがある方は、受診の際必ず医師に伝えてください。

服用が向いていない方

プロ・バンサインの服用が向いていない方は、以下の通りです。

  • ・服用できない方:

閉塞隅角緑内障・排尿障害のある前立腺肥大・重篤な心疾患・麻痺性イレウスの患者は、プロ・バンサインの投与の影響で重篤な副作用が起きる可能性があるため、投与することができません。

  • ・慎重にすべき疾患の方:

排尿障害のない前立腺肥大・甲状腺機能亢進症・うっ血性心不全・不整脈・潰瘍性大腸炎・開放隅角緑内障などの患者にも副作用のリスクがあるため、慎重になる必要があります。また、高温の環境でも汗をかきにくくなる可能性があり、体温が異常に上昇してしまうリスクがあります。高温の環境で長時間過ごさなければいけない仕事の方などには服用をおすすめできません。

予想される副作用

持病がない方であれば、重篤な副作用が起きることはほとんどありませんが、目のかすみ・口の渇き・頭痛・眠気などの軽い副作用が起こる可能性はあります。

内服治療中は、自動車の運転や機械の操作をするなどの危険な作業は、避けた方が良いでしょう。眠気があると危険です。

このような仕事をしている場合、診察の際に必ず医師に伝えてください。

また、発汗作用を抑える働きがあるため、体温調節機能が上手く働かなくなる恐れがありますので、ご注意ください。

飲み合わせに注意

この組み合わせは禁止、というものはありませんが、薬の効きすぎに注意が必要な組み合わせがあります。

  • ・三環系抗うつ剤のイミプラミン・アミトリプチリン
  • ・フェノチアジン系の抗精神病薬であるプロクロルペラジン・クロルプロマジン・ジエチルペラジン等
  • ・パーキンソン病治療薬のモノアミン酸化酵素阻害剤

上記3点と併用した場合、プロ・バンサインの効果が増強される恐れがあります。

  • ・強心薬であるジゴキシン


ジゴキシンの作用が増強される恐れがありますので、必ず診察時に医師に伝えてください。

お薬手帳やアプリで普段飲んでいる薬を把握の上しっかり管理し、医師や薬剤師に伝えられる状況を作っておくと良いでしょう。

プロ・バンサインの処方箋を受け取れる医療機関

プロ・バンサインはどこで処方されるか解説します。

検討している場合は参考にしてください。

皮膚科で処方される

主に皮膚科で処方されます。まれに多汗症専門外来があります。

場合により形成外科や内科などでも対応する場合があります。

多汗症治療は、通常皮膚科か形成外科ですが、初めは皮膚科が良いでしょう。

美容クリニックでレーザー治療等を行っているところもありますが、多汗症の保険適用治療なら、まずは皮膚科を受診するのをおすすめします。

オンライン多汗症外来で処方される

皮膚科・形成外科か多汗症専門外来でオンライン受診に対応しているところか、オンライン専用クリニックの多汗症外来を行なっているところで処方されます。

多忙でなかなか通院できない方はこちらが便利です。
オンラインの場合、実際の視診とは異なりますが、問診やカメラ画像等で症状を確認します。症状が強く表れた時の写真を撮っておく、日付と症状を記録しておくなどするとスムーズです。

プロ・バンサインの処方なら、おうち病院「オンライン多汗症外来」

多汗症の治療を検討していて、仕事や家事・育児で多忙でなかなか病院に行けない、または病院が遠くて面倒、などという方は、オンラインで便利に利用可能な、おうち病院「オンライン多汗症外来」がおすすめです。

通院しなくても、自宅など好きな場所で受診でき、プロ・バンサインの処方を受け取ることができます。

プロ・バンサインは、ご自宅へ送られてくるか、お近くの薬局薬店で受け取ることが可能です。

また、多汗症が恥ずかしいと感じている方でも、プライバシーが保たれるオンラインなら受診のハードルが下がるのではないでしょうか。

プロ・バンサインの処方を手軽に受けるにはオンラインが便利

プロ・バンサインの効果・薬価・副作用と注意点について解説しました。

プロ・バンサインは全身のどの部位にも適応でき、発汗作用を抑える効果があるとのこと。外用薬と併用して内服薬として処方される薬です。

プロ・バンサインの処方を検討しているなら、手軽に自宅で受診出来る、おうち病院「オンライン多汗症外来」は、便利にご利用いただけます。