あなたの腫れ、その原因は?考えられる病気とその対処法を解説

腫れの原因はいくつかあります。腫れと似た症状でむくみ(浮腫:ふしゅ)もあります。たかが腫れではなく病気のサインかもしれません。

本記事では、症状別に考えられる病気について解説します。

また、どのように行動すべきか、その対処法も合わせて紹介するのでぜひ参考にしてください。

腫れの主な原因

腫れの原因はいくつか考えられますが、その中で代表的なものを紹介します。

炎症

体に炎症が起こっているのが原因の腫れです。


虫刺されや怪我による腫れ、アレルギー、なんらかの感染症がその例です。

虫刺されは虫の毒に皮膚細胞が反応している状態、怪我は外傷、打撲、内出血、骨折等が原因でパンパンに腫れることがあります。

私たちの体は、炎症を起こす事があると、血管の透過性が亢進する物質を生成します。

血管の透過性亢進とは、血管がいつもより「すきま」が大きくなり、水分や栄養分が血管の外へ漏れ出て行くことです。


通常、血管の壁には小さなすきまがあり、水分や栄養分が血管の中から外の細胞にしみていく仕組みがあります。それにより私たちの体の隅々まで栄養が運ばれます。とても小さい穴のようなもので、必要なものを必要な分だけしみ出て行くように普段は調整されています。

しかし、怪我や病気など何らかの理由があると、体は治そうとしてこのすきまを大きくする働きがあります。これが、血管の透過性が亢進するということです。

血管のスキマが大きくなると、たくさんの水分や栄養分が怪我や炎症を起こした部分に集まっていきます。そのため、腫れたり赤くなったりすることがあります。

病気

痛風・リウマチ・おたふくかぜ・蕁麻疹などの病気が原因で患部が腫れることがあります。かゆみや痛みをともなう症状もあります。

心疾患や内臓疾患などの病気により、体の中の水分を正常に排出できず水分がたまってしまっているケースでは、いわゆるむくみ(浮腫)が見られます。

遺伝性または病気やケガが原因で、血管から水分と栄養分が大量に染み出て患部に集中してしまう血管性浮腫もあります。

詳しい症状と病気については、下記で解説します。

そもそも腫れではなくむくみ(浮腫)かも

腫れと混同しがちなのが、むくみ(浮腫)の症状です。

前述した、心疾患や内臓疾患から来る病気が原因の体中に水分がたまるむくみや、立ちっぱなし、座りっぱなしによるエコノミー症候群といわれる下半身のむくみなどがわかりやすい事例としてあげられます。

下記の解説では腫れの症状だけでなく、むくみ(浮腫)についても解説いたします。

腫れは体からのSOS?考えられる原因と病気

腫れや浮腫は、体からのSOSかもしれません。

腫れや浮腫の症状で考えられる原因と、予想される病気について解説します。

全身的な腫れの原因となる病気

全身の腫れを引き起こす原因となる病気について、以下の表にまとめました。
命に関わる重病のこともありますので、当てはまる場合は直ちに医療機関へ受診しましょう。

全身的な腫れの原因となる病気主な症状
自己免疫疾患(免疫系の異常による自己攻撃)全身性エリテマトーデス(SLE)・全身の臓器や組織に炎症が起こる。・顔の蝶形紅斑、関節痛、疲労、発熱、腎炎など。
心不全高血圧、心筋梗塞、心筋症など・心臓の機能低下により体液が体内に溜まり、浮腫が生じる。・足や足首の浮腫、息切れ、疲労、体重増加など。
腎不全(ネフローゼ症候群)糖尿病、高血圧、慢性腎炎など・腎臓の機能低下により体液が体内に溜まり、浮腫が生じる。・顔や下肢の浮腫、尿中のタンパク漏出、体重増加など。
肝硬変慢性肝炎(B型・C型肝炎)、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎など・肝臓の機能低下により体液が体内に溜まり、浮腫が生じる。
・腹水、下肢の浮腫、黄疸、倦怠感など。
ホルモン異常クッシング症候群、甲状腺機能低下症など・ホルモンバランスの乱れからくる浮腫。・体重増加、顔・体の浮腫、倦怠感、寒がるなど。
薬の副作用・ステロイド、ACE阻害薬、抗うつ薬など、薬が引き金となり浮腫をおこす

局所的な腫れの原因となる病気

局所的な腫れを引き起こす病気について、以下の表にまとめました。
突然命に関わるほどの発作が起こる可能性もありますので、当てはまる場合は直ちに医療機関へ受診しましょう。

局所的な腫れの原因となる病気具体的な原因主な症状
アレルギー反応・食物アレルギー、薬物アレルギー、虫刺されなどが引き金となる。
・腫れがひくまでの期間はアレルギーの種類による。・食べ物アレルギーであれば1日程度で収まり、薬物アレルギーは4週間続く事もある。・虫刺されは虫によるが、1日~1週間程度。
・顔、手足、喉などが腫れ、かゆみや発疹を伴うことが多い。
感染症細菌やウイルス感染による局所的な炎症・細菌やウイルスに感染したことが原因で炎症が生じる。
・感染症が改善に向かうと腫れもひく。通常5日間~週間程度。・蜂窩織炎や膿瘍は局所的な腫れを引き起こし、発熱や痛みを伴う。
血管性浮腫病気やケガにより血管の壁から多くの水分、栄養分が血管の外に染み出る・体の一部に急激に腫れを起こす。・蕁麻疹を伴う事が多い。
・通常2~3日で腫れはひく・原因となった病気やケガが良くなると症状は出ない。
遺伝性血管性浮腫遺伝子異常により欠損または機能不全・皮膚の深部や粘膜、体内に急激に腫れを起こす。・特に腹部や喉の腫れは命に関わる恐れもあり、注意が必要。
・喉の腫れは気道をふさぎ呼吸困難におちいることもある。・蕁麻疹や痛みを伴わない。
・通常2~3日で腫れはひくが、繰り返し症状が表れる場合がある。

腫れの原因を早めに知って適切な治療を

たかが腫れではなく、重大な病気のサインかもしれません。

腫れの原因をできるだけ早く突き止めて、適切な治療を受けることが大切です。

自己判断せず腫れの原因を早めにつきとめよう

腫れは、重大な病気や発作のある病気の可能性もあるということで、なかなか病院に行けず後回しにしてきた場合は、早めに受診しましょう。


病気の早期発見は、早期治療に繋がり、悪化を防ぐかもしれません。適切な治療を受けることで症状の緩和や完治が期待できるでしょう。


また、病気によっては完治はせずとも命の危険をともなう発作を防ぎ、症状のコントロールをする事も可能です。


そのためにも、自己判断はせず、腫れの原因を早めに突き止めることをおすすめします。

遺伝性血管性浮腫は難病指定

血管性浮腫の疑いがある場合、ただちに受診しましょう。


血管性浮腫は、発作を静める治療のほか、発作を起こさないための長期的な治療をしていく必要があります。早ければ早いほど悪化せずに済みます。

血管性浮腫の中でも、遺伝性血管性浮腫は国の指定難病です。

特定の病気にかかっている方の医療費の負担を軽くするために国で設けられた、「小児慢性特定疾病」と「指定難病」の医療費助成制度があります。

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、国によって「小児慢性特定疾病」と「指定難病」に指定されています。小児慢性特定疾病は18歳未満、指定難病は18歳以上で、原発性免疫不全症候群に含まれています。

そのため、遺伝性血管性浮腫と診断された場合、ただちにお住まいの自治体へ申請し、条件が当てはまれば医療費助成制度を受けることができます。

長期的な治療には患者さんの負担は決して軽くはないですが、この制度を利用できればかなり助かるのではないでしょうか。

「遺伝子異常によらない血管性浮腫」と「遺伝性血管性浮腫」

血管性浮腫には、「遺伝子異常によらない血管性浮腫」と「遺伝性血管性浮腫」があります。遺伝子異常によらない血管性浮腫は、後天性血管性浮腫と呼びます。

症状はほぼ同じであり、その判断は医師でも難しいと言われています。

通常は家族内に遺伝性血管性浮腫の患者がいるかどうかを確認します。家族内に患者がいる場合には遺伝性血管性浮腫の可能性が濃厚です。また、血液検査等で診断することもあります。

いずれにしても専門医の正しい医師の診断が大切です。

遺伝性血管性浮腫遺伝子異常によらない(後天性)血管性浮腫
原因・遺伝性疾患の一種。・C1インヒビター(免疫系の一部を構成している補体系のタンパク質の1つ)の欠損または機能不全を引き起こす疾患。・リンパ腫や骨肉腫等、特定のがんや自己免疫疾患、皮膚筋炎などによりC1インヒビターが欠損して発生。・病気によって欠損して機能不全を引き起こす
主な症状・顔、唇、舌、手や足の甲、性器など体の部位が腫れる。・腫れは通常1~3日でひく。(※どちらも歯科治療やウイルス感染、ホルモンバランス、ストレス、特定の食品や薬等に反応して誘発されることがある)

見分けがつきにくく主な症状が似ていますが、明確な違いもあります。

遺伝性血管性浮腫遺伝子異常によらない(後天性)血管性浮腫
発症する時期成人前、主に小児期に発症成人以降に発症する事が多い
蕁麻疹伴わない伴う事が多い
浮腫の患部境界がわかりにくい境界がわかりやすい
浮腫の再発繰り返す原因となった病気が完治すると浮腫の症状は表れない
家族の既往歴同一家計内で、遺伝性血管性浮腫の人がいる同一家計内で、遺伝性血管性浮腫の人がいない

それぞれ治療法が異なるため、自身がどちらの浮腫にかかっているのか、把握しておきましょう。

よく分からない方は、一度受診することをおすすめします。

腫れの原因を探るには、どこへ受診すればいいの?

腫れの原因を探るには、どこへ受診すればいいのか疑問に思う方もいらっしゃると思います。

何科へ行けばいいのか解説いたします。

浮腫外来で治療する

腫れは、浮腫外来、または皮膚科や内科で受診できます。

血管性浮腫の可能性がわからない時などは、まずは内科や皮膚科がおすすめです。アレルギーや内臓疾患が原因の場合、その専門医を紹介してくれるでしょう。

しかし、腫れや浮腫症状が重く、血管性浮腫の可能性がある場合は、浮腫専門外来へ受診することをおすすめします。

オンラインクリニックを受診する

通常の内科や皮膚科クリニックの浮腫に対応するオンライン診療か、オンラインクリニックの浮腫外来を受診します。

問診での診断にはなりますが、症状やいつどのように腫れて何日くらいでおさまったか、どんな症状かなどの記録があれば診断できるでしょう。細かな記録や患部を撮影した画像は、オンラインでも対面でも診察のさい非常に役立ちます。

ただし、遺伝性血管性浮腫か遺伝性でない血管性浮腫かどうか血液検査をする場合は通院が必要です。

診断が降りた後の継続的な治療では、通院のわずらわしさのないオンラインがおすすめです。

継続的な治療は、内服薬と自分で打つことが可能な皮下注射です。(注射の仕方は医師からトレーニングを受ける必要があります)

遺伝性血管性浮腫なら、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」

血管性浮腫、および遺伝性血管性浮腫の長期的な治療なら、血管性浮腫の知見が豊富な医師が担当すおうち病院「オンライン血管性浮腫外来」がおすすめです。

具体的な症状を踏まえて、浮腫に関する知見の豊富かつ最適な医師とのオンライン診療が可能です。

仕事や家事・育児などで忙しくて通院時間がとれない時、浮腫外来が近所になくて通院が遠方になり面倒な時などに、負担にならずにとても便利です。

スキマ時間にスマホなどからサッと予約、お時間になりましたらスマホかタブレット・PCなどからオンラインで受診できますので、空き時間でサッと受診が完了します。

また、腫れや浮腫の症状がつらい、または恥ずかしくて人前に出たくないなどの理由で病院に行けない時、オンラインなら人目を気にする必要がありません。

腫れの治療と予防には、まずは原因を知る事が大切

腫れ症状で考えられる病気は様々です。まずは腫れの原因を突き止め、適切な治療を受けしょう。

遺伝性血管性浮腫だった場合、万が一腹部や気道の浮腫による突然の発作が起きると、命に関わる危険性があります。

また、自分や周囲が別の病気と勘違いしやすい症状もありますが、血管性浮腫だとわかっていれば、自分も周囲も適切な対応をすることができます。

症状が疑わしい場合、診断は早ければ早いほど良いでしょう。発作の対応だけでなく、発作を予防するための、長期目線での継続的な治療は非常に重要です。普段の生活の中で症状管理をしていくことで、ある程度発作をコントロールできるようになります。

判断が難しい症状ですので自己判断したり、医療機関へ行くのを後回しにしたりせず、医療機関へ受診し、しっかりと腫れの原因を突き止めることが大切です。