帯状疱疹で漢方薬はどう使う?帯状疱疹後神経痛の痛みは取れる?西洋薬併用時の注意点も

帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬や痛み止めなどの西洋薬が処方されます。しかし、水ぶくれなどの症状が改善した後も続く帯状疱疹後神経痛の場合、西洋薬ではいまいち効果を実感できない方も多いようです。

そういった方に注目されているのが漢方薬です。漢方薬を用いることで、身体の内側から健康にして問題を取り除き、帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげることができるかもしれません。

今回は、帯状疱疹で使われる漢方薬、漢方薬による帯状疱疹治療の考え方、西洋薬・漢方薬を併用する際の注意点を解説します。

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帯状疱疹で使われる漢方薬

漢方において帯状疱疹の急性期には「利水(代謝機能を高める)」と「清熱(炎症等を鎮める)」が必要であると考えられています。そのため、以下のような漢方薬が処方されることがあります。

・五苓散:代謝を高めて体内に溜まった余分な水分を排出する
・柴苓湯:体内の免疫反応を調整して炎症を和らげる
・黄連解毒湯:身体を冷やして熱を取り、炎症を鎮めて皮膚炎を緩和する
・越婢加朮湯:熱感や強い赤みのある湿疹、皮膚炎などを緩和する

急性期であるものの「寒証(冷えている、生理機能が低下している)」であると判断される場合は、以下のような漢方薬が処方されることがあります。

・麻黄附子細辛湯:体力虚弱や悪寒がある場合の神経痛を緩和する
・桂枝加朮附湯:身体が冷えると悪化するような症状に適し、神経痛などを改善する

また、帯状疱疹後神経痛(PHN)は、東洋医学的には自律神経の過亢進や中枢神経系の興奮、炎症のストレスや体内の熱が冷めずに痛みが続いていることで引き起こされると考えられます。そのため、前述の柴苓湯、五苓散、麻黄附子細辛湯や以下のような漢方が処方されることがあります。

・当帰四逆加呉茱萸生姜湯:冷えなどで引き起こされる痛みの緩和
・当帰湯:身体を内側から温め、神経痛などの痛みを和らげる
・補中益気湯:胃腸の働きを高めることで全身のエネルギーを回復させる
・十全大補湯:胃腸機能を高めて気・血の生成を促して全身状態を整える
・抑肝散:子供の夜泣きに使われていたが、現在は大人の神経症状緩和に使用されている

西洋薬による帯状疱疹治療の考え方

西洋医学では帯状疱疹の治療をする上で、ウイルスの活性化や増殖を抑えることを優先的に行います。そのため、症状が出たらなるべく早い段階で抗ウイルス薬を使用し、ウイルスを抑えていきます。症状が重いケース、加齢や病気・薬剤などの理由により明らかに免疫力が低下しているケースでは、抗ウイルス薬を点滴投与することもあります。

神経痛のような痛みに対しては、症状の度合いに応じて痛み止めを用いて緩和させます。末梢神経に作用するビタミンB12の内服も行われます。夜も眠れないほどに強い痛みが続くケースでは、神経ブロック注射を行って痛みを緩和することもあります。

また、帯状疱疹特有の帯状の皮膚症状については、塗り薬を中心に使用して治していきます。水ぶくれが破れて深い傷ができるなど、より重い皮膚症状ではケーベンクリームのような強い塗り薬を使用することもあります。

漢方による帯状疱疹治療

漢方は東洋医学的な考えで、身体の内側からアプローチして病気の諸症状を改善していきます。症状や体質は患者ごとに異なるため、それに合わせた漢方を使用することが大切です。

また、西洋薬と上手に併用することで、特に急性期においては、よりスムーズに治療を進められる可能性があります。

以下では、漢方による帯状疱疹治療における考え方や流れを解説します。

初期の治療

漢方では帯状疱疹の初期(急性期)の治療においては、炎症や浮腫を抑えることを第一に考えます。浮腫を取るためには、代謝を良くして免疫力を高める漢方を処方し、水分の排出を促します。そして皮膚症状を緩和するために、炎症を鎮める作用のある漢方を処方します。

身体が冷える場合は、内側から温める作用のある漢方を用いて対処します。

長期化・慢性化したとき

急性期が過ぎた後は、漢方では体力の回復や免疫力の向上を目指していきます。帯状疱疹はつらい痛みや皮膚症状があり、場合によっては夜も眠れないことがあります。そんな治療期間によって疲れた身体を癒やすことは、日常生活へスムーズに戻るために大切なことです。

漢方では、患者の体質に合わせて胃腸機能を活性化するような薬を使用します。食欲を取り戻させることは、東洋医学において気・血の生成を促し、体力を回復させるのに大切であると考えられているためです。漢方では、気・血を生成させ、身体の内側から免疫力の向上・創傷治癒をサポートしていきます。

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹の皮膚症状が治まったものの、神経痛のような痛みが残る、帯状疱疹後神経痛(PHN)に悩まされる方は少なくありません。患者によって身体の状態や症状に違いがあるため、問題の特定が困難です。そのため、特定の疾患に強い薬理作用を持つ西洋薬では治療が難しいことも珍しくありません。

一方、漢方は患者の状態を診た上で、身体の内側からアプローチして免疫力を高めるなどして治していきます。そのため、問題の特定が難しい帯状疱疹後神経痛などでは漢方の方が改善しやすいケースがあります。

たとえば、帯状疱疹後神経痛では、患部に痛みとともに冷えがあることが少なくありません。漢方ではそうしたケースは寒湿痺証であると考えます。痺証とは、経絡が病邪によって塞がれてしまい、気血が妨げられることで痛みが出るものです。寒湿は寒さや湿気・余分な水分が合わさった病邪です。

つまり、漢方的には、寒湿邪を取り除くことで気血が滞りなく流れ、痛みが取れると考えるわけです。寒湿邪を取り除くには、身体を温めたり生理機能を高めたりする作用のある漢方が用いられます。また、胃腸機能を高めて気血の生成を促し、免疫力を向上させることも併せて行うことが多いです。

帯状疱疹治療で西洋薬・漢方薬を併用する場合の注意点

帯状疱疹の治療で西洋薬と漢方薬を併用してもいいのか、と疑問を感じる方もいることでしょう。基本的に、両者は併用しても問題はないと考えられます。しかし、服用するタイミングにおける症状や体調によっては、問題が生じる場合もありえるので注意が必要です。

そもそも、西洋薬・漢方薬に限らず2種類以上の薬を併用する場合、薬効が期待通りに現れなかったり、薬効が増強されてしまったりなどの現象が起きる可能性があります。そのため、複数の薬を併用する場合は、必ず医師・薬剤師に確認することが大切です。

また、帯状疱疹の治療では、早い段階でウイルスの増殖を抑えることが重要になります。早期に抗ウイルス薬を使用できれば、治癒期間が短縮されたり、症状が軽くなったり、後遺症が少なくなったりなどが期待できるためです。そのため、急性期においては西洋薬の使用を優先する方がよいとも考えられます。

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逆に、慢性期や病後については漢方によってじっくりと身体の内側から改善していける漢方が向いていることもあります。

いずれにせよ、自己判断ではなく、医師・薬剤師に相談して自分に合った治療を進めるようにしましょう。
なお、お時間のない方は、おうち病院「オンラインヘルペス外来」で帯状疱疹の診療も可能ですので、ぜひご利用ください。

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帯状疱疹は症状に合わせて適切に薬を使用して治療を進めることが大切です。特に帯状疱疹は神経痛のような痛みや赤みや水ぶくれなどの皮膚症状があるため、つらく感じやすいものです。しっかり治すためにも、継続してお薬を使うようにしましょう。

とはいえ、仕事などで忙しく病院へ行く暇がない、という方もいるかもしれません。薬の継続使用ができなければ治癒期間が長引きますし、後遺症のリスクも高まります。

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