コロナ後遺症の治し方|乗り越えるための生活改善ヒントを解説

コロナの後遺症に悩む方へ。

症状は様々ですが、倦怠感・疲労感で日常に支障をきたし、辛い方も多いのではないでしょうか?

本記事では、コロナの後遺症の主な症状と治し方について解説します。

合わせて、生活の中でできる生活改善のヒントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

新型コロナウイルスの後遺症とは

新型コロナウイルス感染症の後遺症(以下コロナ後遺症)とはどのようなものを指すのでしょうか。

その定義と、患者の割合等を見てみましょう。

コロナ後遺症の定義

コロナ後遺症は、罹患後症状、ロングCOVIDとも呼ばれており、WHO(世界保健機関)では、名称を「post COVID-19 condition(long COVID)」としています。

コロナ感染後ウイルスが消失し症状も回復してきたにも関わらず、他に原因が不明で、何らかの症状が発生している状態のことを指します。

明確な定義は「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる」としています。

同じ症状が、感染初期から続く場合もあれば、回復後に再発する場合もあります。また、回復した後新たな症状が表れる場合もあります。

参照元:新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

コロナ後遺症の重症度

コロナ後遺症の症状例は、医療機関への相談だけでも、50以上と様々です。

年齢や既往歴・持病、コロナの重症度、ワクチン接種の有無などの患者の状況に関わらず、後遺症は発症します。

若い世代や持病がなく健康な方でも後遺症と無縁とは限らず、コロナに感染したすべての方に起こりうる病気です。

後遺症の重症度も人によって異なり、コロナ感染前ほど回復していないものの生活にあまり支障がない方から、社会復帰がままならないほどに重症で苦しんでいる方まで、様々な症例が報告されています。

通常は、数ヶ月から半年くらいで改善されますが、症状が落ち着いたり悪化したり波がある患者もいるため、経過観察と体調管理が非常に重要です。

コロナ後遺症の罹患(かかる)率

厚生労働省の発表によると、コロナ中等症(呼吸困難が見られ、入院を必要とするレベルの症状)以上の日本人を対象として時系列での肺機能と画像を研究する「厚生労働科学特別研究事業横山班報告」において、コロナ感染時に入院した患者のその後のデータ研究があります。

図の通り、退院3ヶ月後は、筋力はおよそ50%、その他の症状も20~30%の低下が報告されています。

6ヵ月後になると、ほとんどの症状がその半分以下になりますが、注目すべきは9ヶ月後、10ヵ月後です。徐々に減っているものの、大幅な減少には至っていません。

グラフ, 棒グラフ

自動的に生成された説明

引用元:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント第3版 2023,10

なお、これは入院患者データであり自宅療養をしていた患者を含まないため、正確なデータがではありません。後遺症に関するデータは実際のところ研究が難しく、明確にするのは難しいと言われています。

しかし、実際に今コロナ後遺症に苦しむ方は、長期的に症状が続く可能性があることを覚えておきましょう。

コロナの発症時に速やかに受診し適切な治療をすれば、後遺症の発症リスクを極力抑えられる可能性があります。

現在、コロナ治療薬の主流となっている抗ウイルス薬「ゾコーバ」は、発症後72時間(3日)以内に服用すれば、コロナの重症化を防ぎ、辛い症状が出る期間を短縮してくれるとされています。

そしてその「ゾコーバ」は、後遺症も軽減されるとの研究発表があります。

「ゾコーバ」を開発した塩野義製薬は引き続き研究を進め、23年9月に「ゾコーバが新型コロナの後遺症を抑制する効果があると臨床試験(治験)で確認した」と発表しています。

今後も、後遺症を主な対象とした研究をあらためて実施し、さらに詳しく調べると示しています。

参照元:塩野義製薬と大阪大学、コロナ治療薬「ゾコーバ」の後遺症への効能研究 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

つまりは、コロナに感染した疑いがある時、すぐに受診して早期発見・早期治療をすることができれば、その時の症状の緩和だけでなく、後遺症まで抑制してくれるであろうことが、現在のコロナ治療法としてわかっているということです。

新型コロナウイルスの後遺症の主な症状

ここで、あらためてコロナ後遺症の、様々な症状について触れておきます。

当てはまる症状があるか参考にしてください。

種類主な症状
全身症状倦怠感・疲労感・関節痛・筋肉痛・筋力低下・しびれ
五官系味覚障害・嗅覚障害
呼吸器症状咳・痰・呼吸困難・胸の痛み・息切れ
心臓・血管系動悸・頻脈・浮腫
消化器症状吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・食欲不振・体重減少
生殖器系性欲減退・射精障害・PMS・月経不順
精神神経症状記憶障害・集中力低下・睡眠障害・頭痛・抑うつ
その他抜け毛

本当にコロナ後遺症なのか見極めが大切

様々な症状が表れるコロナ後遺症ですが、本当に後遺症なのか判断が難しい場合があります。

多くの病気がそうであるように、病気の回復期は大きなダメージを受けた後なのですぐに元気というのは難しく、回復まで時間を要します。例えば、大きな手術の後や高熱を出した直後は療養が必要です。

それと同じように、コロナも数週間から1,2カ月で回復する見込みです。

しかし、長引くまたは悪化するのがコロナ後遺症です。

そのため前述の通り、コロナ後遺症は少なくとも2ヶ月以上持続している場合とWHOが定義しているのです。

しかし、辛いのであれば早めに医師に相談することをおすすめします。

後遺症と断定できなくても、体調に合わせて対処療法と生活の中でのリハビリ等、医師の指示のもと適切な処置を行えるためです。

また、回復期の不調なのか、後遺症か、別の病気かの判断も早く正確に出来る可能性があります。

ここで、コロナ後遺症と混同しやすい病気としては、以下の3つが考えられます。

  • ・コロナの再発
  • ・二次的な感染による別の病気
  • ・コロナの再感染

ひとつずつ説明します。

  • ・コロナの再発:

コロナが一見治ったと思われたものの、実際は抗ウイルス薬で一時的に治まっていただけで、再発してしまうケースです。抗ウイルス薬を止めたら、潜んでいたウイルスが再び活性化して、症状をぶり返すのです。

  • ・二次的な感染による別の病気:

コロナの感染により免疫力が低下し、別のウイルスか細菌に感染して、別の病気を発症しているケースです。

  • ・コロナの再感染:

感染したコロナウイルスと違うタイプのコロナウイルスに改めて感染してしまったケースです。

コロナの場合、一度かかると抗体が出来て半年くらいは同じコロナにかからないと言われています。しかしウイルスは刻一刻と別のタイプに変異を遂げているため、持っている抗体とは別のものに感染します。または同じタイプでも抗体が消えてきていれば再感染します。

以上の事から、後遺症の疑いがある時は、別の病気の可能性もあり、自己判断では難しいと言えます。

【医療編】新型コロナウイルスの後遺症の治し方

コロナ後遺症の治し方を医療の観点から解説します。

薬物療法

症状に応じて薬を処方する対処療法や経過観察を行います。

医師の指示のもと適切に行います。

治療に関しては、適切な治療をするためにも、本当にコロナ後遺症なのか見極めが大切です。

前述の通り、再発の可能性や二次的な感染による別の病気の可能性、再感染の可能性も念頭に置きます。これらの可能性がなく、原因が不明な場合に、後遺症との判断になります。

リハビリ

コロナ後遺症との診断であれば、長期的なリハビリが必要になります。

通常は、時間の経過とともに自然に回復できるのですが、コロナ後遺症は、人によっては回復まで長い時間を要するからです。

徐々に体力を回復させ、日常生活を取り戻すために、リハビリを行います。

疲労感・倦怠感や筋力低下が著しい方は、少しずつ軽い運動から始めていきます。

理学療法士・作業療法士がリハビリ計画を立てる場合があります。

また、呼吸が浅い、呼吸困難、といった症状がある患者は呼吸リハビリを行います。

心理的サポート

うつ等の心理的症状に関するサポートを受けます。

コロナ後遺症と心疾患の因果関係は解明されていませんが、少しでも抑うつ症状や、不安障害(過度の心配や不安による精神疾患)が和らぐよう働きかけることで、コロナ後遺症の回復を目指します。カウンセリングや認知行動療法などがあります。

社会復帰できない焦りからますます落ち込んでしまう悪循環にならないよう、じっくり取り組んでいきます。

代替医療

患者の症状によっては、漢方薬や針治療・マッサージなどが医療の補完的な役割を果たす事があります。

特に漢方は、症状によって治療に取り入れるクリニックもあります。

例えば、頭痛や微熱、食欲不振、不眠等に働きかけてくれる漢方薬が処方されるケースがあります

【生活編】新型コロナウイルス感染症後遺症の治し方

次に、症状を和らげるための生活改善のヒントをお伝えします。できるところから試してみてください。

バランスのとれた食事

栄養バランスの良い食事を取りましょう。抗酸化作用があり免疫力を高めるビタミンやミネラル、免疫系を強化し体の修復を助けるたんぱく質などを積極的に取りましょう。

消化器系のダメージがあって食欲がない方も、のど越しの良い、消化の良いものをなるべく食べられると良いでしょう。

充分な睡眠

良質な睡眠を充分にとりましょう。睡眠障害で悩む方は、医師に相談しましょう。

場合によっては、睡眠導入剤の力を借りる場合があります。

また、自分でもリラックスできる寝室等の環境の工夫にも努めます。
照明は暖色にして、落ち着いた雰囲気にするのがベターです。
アロマを炊くのも良いでしょう。ラベンダーやカモミール、スイートオレンジ、ヒノキなどが入眠効果がありおすすめです。

  • 入眠する2時間前からスマホをいじらない
  • 夕方(16:00くらい目安)以降はカフェインを摂取しない(コーヒーが好きならカフェインレスを選ぶなど)

・朝は朝陽をあびて体内時計をリセットする
といった工夫も寝付きを良くしてくれます。

ストレスをためない

ストレスは極力ためないようにしましょう。

アロマを炊く、好きなことやリラックスできることを見つけるなども、後遺症緩和に役立ちます。
少し動けそうな方は、負担にならない範囲で少し散歩などしてみるのも気分転換になります。

残念ながら、コロナ後遺症に理解を示さない周囲の言葉に、さらにストレスをためてしまう場合があります。

相手は特に深く考えず、例えば「いつまでも寝てないで動いてみたら」とか「病は気から。寝てばっかりいると治らないよ」など。

心無い言葉には気にしないのが一番ですが、家族や職場の人には、理解してもらうよう自分の状況を伝えていく事も大切です。

無理をしない

思うように体が動かない、仕事に行けない、などで焦ってしまう方もいるかもしれません。しかし、焦っては逆効果です。

無理をしてはいけません。

人間の体は、回復すれば自然に動きたくなるものです。少しの動きで疲れてしまううちは、まだ治っていないのです。

仕事と治療の両立や、テレワーク、時短勤務から徐々に復帰するなどの方法も今はありますので、辛い時は我慢せず職場に相談しましょう。同様に家族にも理解してもらいましょう。

参照元:新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

新型コロナウイルス感染症の後遺症の疑いがあるなら病院へ

コロナ後遺症が辛い時は、実際にどこへ受診すれば良いのか解説します。

発熱・コロナ外来、コロナ後遺症外来

病院やクリニックのコロナ・発熱外来またはコロナ後遺症外来を受診します。

コロナ・発熱外来には後遺症に対応しているか確認が必要です。

なお、後遺症外来は厚生労働省のWebサイトからも確認できます。

参照元:各都道府県における新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関を掲載しているWEBページ一覧|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

オンラインクリニック

通常のクリニックのオンライン対応窓口またはオンライン専用クリニックのコロナ外来またはコロナ後遺症外来を受診します。

後遺症の継続治療なら、経過観察と薬の処方箋が主なので、外出しないですむオンラインが便利でおすすめです。

新型コロナウイルス感染症の後遺症なら、おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」

コロナの後遺症にお悩みなら、おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」がおすすめです。

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薬はお近くの薬局薬店でお受け取りいただけます。

おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」なら後遺症にも対応しています。

辛い後遺症の症状は無理せず病院へ

コロナ後遺症について、症状から治療法まで解説しました。

様々な症状があり、軽症もあるが重症もある、またその症状は後遺症ばかりではなく、再発や二次感染、再感染の疑いもあります。

辛いコロナ後遺症の症状は、後遺症と断定できなくても、適切な治療をするためにも早めに受診しましょう。