新型コロナウイルス感染症の飲み薬とは?種類・効果などを解説

目次

新型コロナウイルス感染症にかかった際は、飲み薬を処方される場合があります。

飲み薬の効果やメカニズム、適用の条件などはさまざまです。事前に薬の情報を理解しておくことで、納得感を持って治療を受けることができます。

本記事では、新型コロナウイルス感染症の飲み薬の種類や効果などについて詳しく解説します。

コロナにかかったときに飲み薬は必要?

新型コロナウイルス感染症は、症状が軽度の場合は飲み薬を服用しなくても改善する可能性があります。これは、人の体に備わっている免疫機能がウイルスを排除するためです。

咳や発熱などの症状が現れている場合は、咳止めや解熱剤などの飲み薬を処方される場合があります。これらの薬は新型コロナウイルスを排除するものではなく、あくまでも症状を和らげるためのものです。

そのため、服用したからといって、早く治癒するわけではありません。しかしながら、咳や発熱は体力を奪われるため、処方された薬は指示どおりに飲むことが大切です。

コロナにかかったときの飲み薬の種類

コロナにかかったときに使用する飲み薬は、重症度に応じて使い分けます。重症度と使用する薬については以下のとおりです。

コロナの飲み薬の種類や効果などについて詳しく見ていきましょう。

抗ウイルス薬

抗ウイルス薬とは、ウイルスの複製を防ぐ作用を持つ薬のことです。ウイルスは複製され続けることで体内で増加します。これを防ぐことで免疫機能によるウイルスの排除を促すことができます。

抗ウイルス薬の種類について詳しく見ていきましょう。

レムデシビル

レムデシビルは、新型コロナウイルス感染症の重症化を抑制するための治療薬として使用されています。人工呼吸や酸素投与が必要なほどに重症化した場合にレムデシビルを投与しても、大きな効果は期待できないとされています。

症状がそれほど進行していない段階で投与することで、症状の早期改善が期待できます。

低酸素血症のある肺炎患者を対象にした研究において、投与期間が5日間と10日間で効果・副作用に差がなかったとされています。そのため、原則としては5日間の投与が推奨されています。ただし、患者の状態や症状に応じて、医師が投与期間を判断します。

モルヌピラビル

モルヌピラビルは、重症化リスクのある人に投与される抗ウイルス薬です。

中等症Ⅱ以上の患者に対する有効性は確認されておらず、症状が現れてから速やかに投与を開始することが重要です。症状が現れてから6日目以降に投与を開始した場合における有効性は認められていません。

モルヌピラビルを処方できる重症化リスクのある人とは、下記に1つでも該当する人のことです。

・61歳以上

・活動性のがんにかかっている(免疫抑制または高い死亡率を伴わないがんを除く)

・慢性腎臓病

・慢性閉塞性肺疾患

・肥満(BMI30以上)

・心不全、冠動脈疾患または心筋症

・糖尿病

・ダウン症

・多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等

・コントロール不良のHIV感染およびAIDS

・肝硬変のような重度の肝臓疾患

・臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植を受けた後

ニルマトレルビル/リトナビル

ニルマトレルビルとリトナビルは、重症化リスクがある人に対して投与される抗ウイルス薬で、中等症Ⅱ以上の患者に対する有効性は確認されていません。

また、発症から6日以上が経過してから投与した場合の有効性は認められておらず、症状が現れてから速やかに投与を開始する必要があります。

エンシトレルビル

エンシトレルビルは、高熱や強い咳や咽頭痛などが見られた場合に投与を検討する抗ウイルス薬です。有効性については、症状が現れてから3日以内に投与を開始することを推定されています。

また、重症化リスクがある軽症の患者に投与した結果、重症化を抑制できるとのデータはありません。また、中等症Ⅱ以上の患者に対する有効性も認められていません。

なお、塩野義製薬株式会社が小児を対象とした国内第3相臨床試験を開始したことを2023年6月29日に公表しました。

参照元:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸の 国内第3相臨床試験開始について ‐ 6歳以上12歳未満の小児を対象とした臨床試験を開始 ‐| 塩野義製薬

中和抗体薬

中和抗体薬は、発症から長時間が経過していない軽症の患者に投与することで、重症化の抑制を目的とした薬です。抗体を投与することで、ウイルスの増殖や感染の進行を抑えます。

厚生労働省の特例承認を受けている中和抗体薬は以下のとおりです。

・ロナプリーブ(成分名:カシリビマブ、イムデビマブ)

・ゼビュディ(成分名:ソトロビマブ)

・エバシェルド(成分名:チキサゲビマブ、シルガビマブ)」

エバシェルドは国内での使用が認められています。ただし、安定的な供給が難しいため、医療機関からの依頼に基づき、厚生労働省が無償で提供する運用となっています。

なお、中和抗体薬は、高齢者や糖尿病などの持病を持つ人、免疫不全を引き起こす薬を服用している人、肥満の人、妊婦などの重症化リスクがある人に適用されます。

中和抗体薬の種類について詳しく見ていきましょう。

カシリビマブ/イムデビマブ

カシリビマブとイムデビマブは、新型コロナウイルスの中でもオミクロン株に対する有効性が低い恐れがあるため、他の治療薬を使えない場合に投与を検討される薬です。

重症化リスクがあり、酸素投与を必要としない軽症から中等症Ⅰまでの患者に投与されます。高流量酸素または人工呼吸器管理を必要とする患者に投与すると、症状が悪化する恐れがありますので、要注意です。

新型コロナウイルス感染症の症状が現れてから速やかに投与する必要があるとされており、症状が現れてから8日目以降に投与した場合の有効性は認められていません。

ソトロビマブ

ソトロビマブは、重症化リスクがありかつ酸素投与を必要としない患者に投与されます。発症から時間が経っていない軽症例において、重症化を抑制する効果が期待できます。

中和活性が低いSARS-CoV-2の変異株に対しては、本剤の有効性が期待できない可能性があるとされています。そのため、最新の流行株情報やガイドラインを参考にして、投与するかどうか医師が判断します。

チキサゲビマブ/シルガビマブ

チキサゲビマブとシルガビマブは、新型コロナウイルスの中でもオミクロン株に対する有効性が低い恐れがあるため、他の治療薬を使えない場合に投与を検討される薬です。新型コロナワクチンの接種を推奨されない人や、免疫機能が低下しているためにワクチンの十分な効果を見込めない人に投与する意義が大きいとされています。

安定的な供給が難しいため、新型コロナウイルス感染症の発症抑制を目的とした投与の場合に限り、医療機関へ無償で譲渡する運用となっています。

投与対象者は、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児で、特定の薬を使用していたり疾患に罹患していたりしており、新型コロナウイルス感染症患者の同居家族や共同生活者などの濃厚接触者ではない人です。

免疫抑制薬

免疫抑制薬とは、体内の過剰な免疫反応を抑制する薬のことです。副腎皮質ステロイドの使用だけでは免疫反応や炎症反応を十分に抑えられない場合に併用が検討されます。

また、副腎皮質ステロイドの副作用を考慮して減量しなければならない場合にも使用されることがあります。

免疫抑制薬を使用すると感染症にかかりやすくなるため、手洗いうがいや人ごみを避けるなどの感染症対策をより徹底することが大切です。

免疫抑制薬の種類について詳しく見ていきましょう。

デキサメタゾン

デキサメタゾンは、重症または致死的状況に陥っている患者に投与することが推奨されている副腎皮質ステロイドです。致死的状況とは、急性呼吸窮迫症候群や敗血症性ショックが起きている状況などを指します。

単体で使用するのではなく、他の治療薬と一緒に投与することが推奨されています。

また、重症ではない患者に対して投与する必要性はなく、投与すると健康に悪影響が及ぶ恐れがあります。

バリシチニブ

バリシチニブは、日本国内では関節リウマチへの適応がある薬です。レムデシビルとの併用が可能です。入院後から3日以内で炎症マーカーが増加しており、人工呼吸管理や高流量酸素療法などを必要とする場合に投与します。

ただし、敗血症ショックのように重篤な感染症の患者に投与すると症状が悪化する恐れがあります。

トシリズマブ

トシリズマブは、関節リウマチをはじめとする膠原病に使用される薬です。国内外において新型コロナウイルスに対する有効性の検討が重ねられています。人工呼吸管理や体外式膜型人工肺の導入が必要な患者などに対して投与します。

ただし、重篤な感染症を合併している患者に投与すると症状が悪化する可能性もあります。

コロナの飲み薬を服用するときの注意点

コロナの飲み薬を服用する際は、医師の指示に従う必要があります。間違った方法で服用すると効果が現れなかったり、副作用が強く現れたりすることが懸念されます。

コロナの飲み薬を服用するときの注意点について詳しく見ていきましょう。

最後まで飲みきる必要がある

コロナ感染症に対する治療薬を処方された場合、その薬は最後まで飲みきる必要があります。

薬の効果が現れる期間が研究によって明らかになっており、それに応じて処方する薬の量を決めます。そのため、症状が改善したからといって途中で服用をやめると、症状が悪化したり再発したりする恐れがあります。

また、すべての薬を飲みきっても症状が改善しないからといって、別の病気に対して処方された薬を服用してはいけません。効果がないばかりか、症状の悪化を招く可能性もあります。過去にコロナで受診した際に処方された薬についても同様です。

用法用量を守る

薬を服用する量やタイミングについても、医師の指示に従う必要があります。薬の効果は、研究によって確立された量とタイミングを守ってこそ、正しく現れるものです。1日3回の服用が必要であるのに1日飛ばしで服用すると、十分な効果が現れない恐れがあります。

また、食前に飲むべき薬を食後に飲むと、吸収が妨げられて効果が低下することがあるように、食事との関連にも注意が必要です。そのほか、量については患者の年齢や体重などに応じて決められるため、副作用が恐いからといって量を減らしたり、効果を感じられないからといって増やしたりしてはいけません。

飲み合わせに注意する

コロナの治療薬を服用する際は、他の薬やサプリメントとの飲み合わせに注意が必要です。

異なる薬物や成分が体内で相互作用を起こす可能性があるため、適切な服用スケジュールや組み合わせを守ることが重要です。効果が増強されて副作用が現れやすくなったり、効果が低くなったりする場合があります。

現在、服用している薬、サプリメント、健康補助食品など、日々の食事を除く口にしているものをすべて医師に報告しましょう。医師は薬物の相互作用を踏まえて、薬を処方します。場合によっては、現在使用している薬やサプリメントを一時的に中止することを検討する必要もあります。

また、他の薬に対するアレルギーや過敏症がある場合、コロナ治療薬においても同様の可能性があるため、飲めない薬についても医師に伝えることが大切です。

副作用が現れた際はすぐに医師・薬剤師に相談する

副作用が現れた場合、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。副作用は治療薬の効果が現れることで結果的に生じる反応であり、完全に防ぐことは困難です。

副作用が現れた際に適切に対処することが健康への影響を抑えることにつながります。

医師や薬剤師には、具体的な症状や現れたタイミング、頻度などについて詳しく説明しましょう。副作用の詳細を踏まえ、薬の減薬や変更などを提案してくれます。

呼吸困難のように重篤な副作用が現れた場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

コロナの飲み薬を自宅で処方してほしい方は、おうち病院「オンライン発熱外来」

発熱などコロナを疑う症状が見られた際は、早めに医療機関を受診することが大切です。

しかし、コロナは5類(従来の2類と比べて就業制限や外出自粛の要請などがない分類)に以降したとはいえ、まだまだ人との接触は避けたいところでしょう。さらに、未だ発熱時の診療を受け入れていないクリニックも多く存在するのが現実です。また、忙しくて受診する時間がない方も多いのではないでしょうか。

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