コロナの治療法とは?重症度との関係や自宅療養のポイントを解説

目次

新型コロナウイルス感染症の治療法は、重症度によって異なります。また、治療薬を使用せずに治癒するケースもあるように、一貫して同じ治療を行うわけではありません。治療法について基礎知識を身につけておくと納得感を持って治療を受けられるでしょう。

本記事では、コロナの治療法の重症度との関係や自宅療養のポイントなどについて詳しく解説します。

コロナの治療法

新型コロナウイルス感染症に有効な特効薬は存在しません。感染症の治療においては、ウイルスや細菌に対する特効薬がある場合もありますが、コロナに関しては開発されていないのが現状です。

コロナの治療法は、感染者の症状を軽減し重症化を予防することに焦点を当てています。多くの薬がコロナの症状を和らげたり重症化を抑えたりする目的で用いられています。中には一般に流通しておらず、一定の条件を満たした場合に限り厚生労働省が医療機関に提供する薬もあります。

知っておきたいコロナの重症度

コロナの重症度は、軽症・中等症Ⅰ・中等症Ⅱ・重症の4段階に分類されます。それぞれの状態は次のとおりです。

・軽症……発熱や咳などの症状がある、呼吸困難や肺炎などはない

・中等症Ⅰ……呼吸困難、肺炎があるものの、酸素投与を行う程度までには至らない

・中等症Ⅱ……肺炎があり、酸素投与が必要

・重症……人工呼吸器による対応や集中治療室での処置が必要

重症度に応じて治療法が異なる

コロナの治療法は、重症度によって異なります。軽症の場合、一般的には自宅療養で治癒が期待できます。対症療法として、咳止めや解熱剤などを使用することもあるほか、ケースによっては市販薬で対応しても問題ありません。

ただし、慢性腎臓病や肥満など重症化リスクが高い患者は入院の対象になる可能性があります。

中等症の場合、通常は入院したうえで酸素療法や炎症を抑える薬の使用などの処置を受け、重症の場合は人工呼吸器の使用や集中治療室での処置などが必要です。

コロナの治療薬

コロナの治療薬には、抗ウイルス薬や中和抗体薬、免疫抑制薬などさまざまな種類があります。それぞれの薬については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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種類効果
抗ウイルス薬ウイルスの複製を防ぐムデシビルやニルマトレルビル/リトナビル、エンシトレルビルなど
中和抗体薬ウイルスの増殖や感染の進行を抑えるカシリビマブ、イムデビマブ、ソトロビマブ、チキサゲビマブ、シルガビマブなど
免疫抑制薬免疫系の過剰な反応や炎症を抑えるデキサメタゾンやバリシチニブ、トシリズマブなど

これらの治療薬を適切に処方されたい方は、おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」を活用して自宅でお気軽に受診してみてください。

コロナの治療薬の種類について基礎知識を詳しく紹介します。

抗ウイルス薬

抗ウイルス薬とは、ウイルスの複製を防ぐ薬のことです。抗ウイルス薬は、中等症Ⅰ以上の患者に使用します。

新型コロナウイルス感染症に使用する抗ウイルス薬には、レムデシビルやニルマトレルビル/リトナビル、エンシトレルビルなどがあります。

中和抗体薬

中和抗体薬は、抗体を体内に注入することでウイルスの増殖や感染の進行を抑える薬です。発症から長期間経過していない、重傷リスクのある軽症の方、中等症Ⅰの方に使用します。年齢や重症化リスクなどさまざまな条件を満たした場合に用いられます。

なお、安定的な供給が困難であるため一般に流通しておらず、厚生労働省の許可のもとで医療機関に提供されています。中和抗体薬には、カシリビマブ、イムデビマブ、ソトロビマブ、チキサゲビマブ、シルガビマブなどがあります。

免疫抑制薬

免疫抑制薬は、免疫反応を抑制することにより、免疫系の過剰な反応や炎症を抑える薬です。中等症II以上の方に投与するものであり、デキサメタゾンやバリシチニブ、トシリズマブなどがあります。

コロナの治療薬の安全性

治療薬は、世界中で行われた治験を通じて有効性と安全性が確認されたものです。新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に対応するため、既存の薬剤や新たに開発された薬剤の治療効果を評価するための研究と試験が短期間で集中的に行われました。

短期間で承認を得たからといって、安全性の判断の基準を引き下げたわけではないため、他の治療薬と同様に一定の安全性が認められています。

コロナの後遺症の治療法

新型コロナウイルス感染症の症状が改善した後に、疲労感や筋肉痛、筋肉痛、関節痛、睡眠障害、集中力の低下など、さまざまな後遺症に悩まされている方がいます。

後遺症のメカニズムについて解明されていないため、治療法は確立されていません。現状では、後遺症の症状を和らげることを目的とした対症療法が行われています。

新型コロナウイルス感染症の後遺症の対処法は医療機関によって違いがみられますが、主に次のような対応が取られています。

免疫異常と炎症の制御

新型コロナウイルス感染症の後遺症は、免疫異常と炎症によるものです。また、過剰な活性酸素による酸化ストレスも関連しているといわれています。そのため、免疫異常と炎症を抑えつつ抗酸化力を高めるために、ビタミンCやビタミンD、グルタチオンなどの摂取を推奨しています。

神経機能の回復

神経機能に問題が起きているために後遺症が現れると考えられています。神経機能を回復させるために、神経伝達物質の材料であるタンパク質、ビタミンB群、鉄など、さまざまな栄養を補給すべきとされています。

漢方

新型コロナウイルス感染症の後遺症には、漢方薬も活用されています。体の調子を整える作用があり、西洋医学の薬よりも高い効果を得られる場合もあります。ただし、漢方の効果については個人差が大きいため、必ずしも後遺症が改善するとは限りません。

コロナにかかったときの自宅療養のポイント

新型コロナウイルス感染症にかかったものの、重症化リスクがないうえに軽症であれば自宅療養を指示されます。

しかし、軽症といえども適切に過ごさなければ症状が悪化する恐れがあるため、自宅療養の方法について確認しておきましょう。

食料を5~7日分用意する

軽症といっても、発熱がない、高熱がある、倦怠感が強いなど、症状には個人差があります。発症後5日を経過し、症状が軽快してから24時間が経過するまでは外出しないことが推奨されているため、5~7日分は食料を用意しておきましょう。

食欲や胃腸の調子にも個人差がありますが、比較的食べやすいうどんやシリアルなどを主食とし、保存性に優れた缶詰やインスタント食品、菓子類、スポーツ飲料、経口補水液などを用意してください。

市販の解熱剤は使用してもよい

自宅療養中は、市販の解熱剤を使用しても問題ありません。ただし、他の薬を服用している方、妊娠中・授乳中の方、高齢者、十二指腸潰瘍や腎機能低下などの治療中の方、薬剤アレルギーの既往歴がある方、高熱や激しい痛みなどがある方は、事前に医師や薬剤師に相談することが大切です。

薬が不足したときは医療機関に相談

処方された薬や市販薬が不足したときは、医療機関に相談しましょう。症状が重くて病院に行くのが辛い、病院に行く時間が取れない方はオンライン診療という方法もあります。

ただし、オンライン診療はどの医療機関でも行っているわけではありません。最寄りの医療機関がオンライン診療を行っていない場合は、「オンライン発熱外来」を利用しましょう。

希望の日時でオンライン診療を受けることができるうえに、薬局へ処方箋をFAXで送信し、その後に自宅へ薬を郵送してもらうことも可能です。

パルスオキシメーターがレンタルできる

自宅療養中は、パルスオキシメーターのレンタルも検討しましょう。パルスオキシメーターは、血液中の酸素飽和度を計測する機器です。呼吸によって酸素を十分に取り込めているかどうかがわかります。

毎日2回、朝・夕の体温測定と同じタイミングで測定してください。測定の結果、95を下回っている場合は医療機関に相談しましょう。

コロナの療養解除の条件

令和5年5月8日以降、法律に基づいた外出自粛は求められないため、外出自粛については個々の判断に委ねられます。

ただし、発症後5日を経過し、なおかつ症状が軽快してから24時間は外出を控えることが推奨されています。さらに10日間が経過するまではマスクの着用およびハイリスク者との接触を控えることも推奨されています。

ハイリスク者とは、慢性の呼吸器疾患や心臓疾患、腎臓病、肝臓病の方、インスリンや内服薬での治療を受けている糖尿病の方、免疫機能が低下する病気の方、重症心身障害のある方などです。

処方された薬は最後まで飲みきる

コロナの治療において大切なのは、処方された薬を最後まで飲みきることです。症状が軽くなったからといって飲むのをやめると、症状が悪化する恐れがあります。また、抗ウイルス薬のように、病気のメカニズムに作用する薬については、処方された薬を飲みきらなければ十分な効果を得られません。

症状が悪化してから服用を再開しても十分な効果を得られず、薬が不足することになる恐れがあります。また、早く治したいからといって、一度に過剰な量の薬を服用することもしてはいけません。効果が高くなるわけではないうえに、副作用が現れるリスクが高まります。

副作用が現れた際はすぐに医師・薬剤師に相談する

コロナの治療薬の副作用が現れた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。副作用を放置したり薬を飲み続けたりすると、さらに強い副作用が現れる恐れがあります。また、自己判断で減量したり薬を変更したりしてはいけません。

医師は、副作用の種類や程度、飲み合わせなどさまざまな情報をもとに薬の減量や変更を検討します。さらなる副作用や症状の悪化などを防ぐためにも、副作用が現れた際はまず医師や薬剤師に相談しましょう。

おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」ならすぐに受診可能

発熱の受け入れ病院は未だ少なく、あるいは逼迫している状況です。だからといって自己判断で自宅療養を続けると、症状が悪化する恐れがあります。

このような場合、オンライン診療を行っている医療機関に相談する方法がありますが、新型コロナウイルス感染症の5類(就業制限や外出自粛の要請などがなく、従来の2類よりも規制が緩和されている分類)への移行によってオンライン診療を取りやめている医療機関も少なくありません。

最寄りの医療機関がオンライン診療を行っていない場合は、おうち病院「オンライン発熱・コロナ外来」を利用しましょう。24時間いつでも任意の日時でオンライン診療を受けられ、早ければ即日薬を処方可能のため、素早い診断・治療が可能です。