放置すると危険?「浮腫症状」の原因と今すぐできる対策法を解説

浮腫症状に悩むあなたへ。

その症状が長引いたり頻繁に起こったりしていませんか?「むくみなんてよくあること」と対処をせずに過ごしている方も多いかもしれませんが、実はそこに重篤な病気や遺伝性の病気が隠れていることがあります。

本記事では、浮腫の原因や関連疾患、症状チェック方法をご紹介します。

浮腫症状はなぜ起こる?

浮腫はなぜ起こるのか、体内の仕組みと考えられる原因についてご紹介します。

自分の症状に当てはまるか考えてみてください。

浮腫が起こる仕組み

浮腫症状が起こる仕組みは主に3種類あります。

詳細は以下の通りです。

血管やリンパ管からの水分漏れ

体内の細胞や血管の中には、「間質液」と呼ばれる液体が存在します。これは血液中の水分が血管からにじみ出て作られます。

しかし、なんらかの理由で血管が傷ついたり炎症が起きたり血管壁が緩むと、この間質液が過剰に漏れ出し停滞しやすくなります。

また、体内の老廃物を回収する役割があるリンパ管の働きが滞ると、間質液が多くなり浮腫が発生します。

血液循環の停滞

心臓から出された血液は、動脈を経由して全身に酸素と栄養を届け、静脈を通して心臓に戻っていきます。

この循環がスムーズにいかない場合に、浮腫が起こります。

体内の塩分と水分バランスの乱れ

塩分の過剰摂取等により血液中の濃度が上昇すると、体が濃度を薄めようと水分を保つ働きを行います。

それにより浮腫が発生します。

浮腫が起こる理由

浮腫(むくみ)は、体内の水分バランスが崩れることで引き起こされる症状です。

その原因は多岐にわたり、健康な状態でも起こる一時的なものから生命の危機に関わる重大なものまで様々です。

浮腫がおこる理由は以下の通りです。

一過性のもの

生理現象により一時的に浮腫みます。寝て起きれば治っているようなものです。誰でも、朝より夕方は足などがむくみがちです。

自律神経の乱れ

生活習慣、食生活の乱れや、過度なストレス、疲労蓄積により、自律神経が乱れ、体内の代謝機能や血行不良を起こして浮腫が起こる場合があります。

女性ホルモンの影響

月経周期や、妊娠・出産・更年期等に影響して女性ホルモンが大きく変動することで身体が浮腫みやすくなる場合があります。婦人科系の疾患の可能性もあります。

薬の影響によるもの

内服中の薬の影響により浮腫が起こる場合があります。内服した直後に浮腫症状が表れた場合等は、処方した医師に相談して薬の変更を相談します。

病気のサイン

一時的な大きな心配のいらない浮腫に比べ、深刻な病気のサインとして浮腫症状が表れている場合があります。よく症状を観察してチェックしてみましょう。チェック項目は後ほど解説します。

足の症状については、以下の記事でも詳しく解説されています。

「足むくみ原因女性」記事と相互リンク

主な浮腫症状と予想される病気

主な浮腫症状と予想される病気について解説します。

自身の症状と照らし合わせてみてください。

足首や足の浮腫症状

足首や足の浮腫症状でよくあるのは、一過性のあまり心配のいらない浮腫症状です。

長時間の同じ姿勢、例えば1日中立ち仕事、1日座りっぱなしのデスクワークなどにありがちです。夜自宅でケアをして、充分に休むことで回復します。仕事中も時々軽いストレッチなどで身体を動かすことで予防できます。

また、狭い場所での長時間移動のバスや飛行機などに乗車した後、足や体を動かして改善するのであれば心配ないですが、重い症状であればエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)になっている可能性があり、受診が必要です。

顔がむくんでしまう

顔がむくんでしまうのは、アルコールや不摂生が影響している場合があります。

飲酒により、体内はアルコールを分解しようとして追い付かず、水分バランスを崩すことがあります。睡眠不足や夜更かしは自律神経を乱れさせ、血行不良を引き起こします。前日に飲みすぎた場合や寝不足の時に浮腫むというのは、多くの方が経験しているでしょう。

また、女性特有のホルモンバランスの乱れ、月経周期などから来る浮腫みもこの症状が多くあります(下肢も浮腫むこともあります)

甲状腺機能低下症、クッシング症候群の可能性もあります。

全身に浮腫症状が表れる

全身に浮腫症状が表れている場合、心臓や腎臓の機能低下が疑われ、心不全や腎不全等の可能性があります。

心不全では、心臓のポンプ機能が低下することで体内の水分バランスが崩れて浮腫が起こります。腎不全では老廃物の排出が滞り、体内に水分がたまり浮腫が表れます。

この場合、体重増加や顔色等にも影響します。心不全では顔色が青紫(チアノーゼ)になり、腎不全では顔色が黒ずむ傾向にあります。

腹部が膨らむ

腹部が膨らむ症状の場合、肝臓の機能障害が主な原因です。

肝硬変や慢性肝炎が疑われます。それらはアルブミン(血中に必要なタンパク質)の産生が低下することで、腹水(お腹に水がたまってしまう症状)が表れます。

他には、腹部の膨満感もあります。また、顔色が黄色くなる「黄疸」や浅黒くなるなどの症状が表れるのが特徴です。

肝臓疾患の場合、血液中の毒素や余分な水分を体外に排出する機能も低下するため、下肢の浮腫症状も現れます。

体の一部の急激な浮腫症状

身体の一部(局所)に急激に浮腫症状が表れる場合、薬の副作用による浮腫、血管性浮腫・遺伝性血管性浮腫の疑いがあります。

薬の副作用は内服直後に浮腫が表れることが多いので、思い当たる場合はただちに内服を中止して、処方した医師に相談し薬の変更を検討します。思い当たらない場合は血管性浮腫・遺伝性血管性浮腫の可能性があります。

下記にセルフチェック項目も解説しますので、不安な方は確認してみてください。

複数の症状が同時に発生する人もいる

複数の症状が同時に発生する人もいます。

前述した、肝臓機能の低下の場合も、腹部に水がたまる腹水と下肢の浮腫が表れます。

また、血管性浮腫では、手足や口等、全身の局所に突然浮腫が表れるほか、体内の喉や気道で浮腫を起こして呼吸困難に陥ったり、消化器官に浮腫を起こして下痢や嘔吐、激しい腹痛を伴ったりすることもあり、人によって症状は様々です。

ひとつの症状だけではなく、いろいろな不調の症状が見られる場合は注意が必要です。

今すぐできる浮腫症状のセルフケア

浮腫症状が長く続く場合、症状改善のためのセルフケアが重要となります。

ここでは、浮腫の原因となる事柄を避け、日常生活の中でできる対処法を紹介します。

生活リズムを整える

むくみは自律神経の乱れが影響している場合が多いです。

まずは規則正しい生活を心掛けましょう。生活リズムをできる限り整えます。就寝と起床はなるべく毎日同じ時間に、食事時間も同じにします。夜更かし朝寝坊は禁物です。

朝、カーテンを開け、朝陽をあびる事で体内時計がリセットされ、自律神経が整いますので、ぜひ朝陽をあびることを意識してみてください。

また、過度の飲酒はさけ、適量を楽しむ程度にしましょう。喫煙は控えることをおすすめします。

食生活の見直し

塩分の取りすぎには注意すると同時に、水分はしっかりとります。

水を飲むと浮腫むというのは間違いで、水分が不足すると体内の水分バランスが乱れるのです。利尿作用の強いカフェイン(緑茶・紅茶・コーヒーなど)を飲んださいは、普通の水や白湯も摂取することをおすすめします。

腸を整えればむくみ改善となるので、腸内環境を整える食生活も意識しましょう。栄養バランスのとれた食事を心がけます。

浮腫対策には、カリウムを豊富に含む食材がおすすめです。

(例)バナナ、キウイ、オレンジ、トマト、ほうれん草、さつまいも、海藻類、豆類、乳製品、ナッツ類など

軽い運動やストレッチを取り入れる

血液やリンパの流れ、体内水分調節には適度な筋肉も必要です。

女性に冷え性や浮腫みが多いのは、男性より筋肉が少ない方が多いためです。軽い運動で代謝をあげましょう。ウォーキングやストレッチなどはおすすめです。

またデスクワークの方は、仕事中も可能な限り1時間に1回程度立ち上がってストレッチをする、足の屈伸やスクワットをするなど工夫をします。スタンディングデスクも良いかもしれません。筋肉を動かすことを意識し、適度な運動で筋肉の働きを活発にします。

体を冷やさない

身体を冷やしてしまうと、自律神経の乱れを生じ、浮腫症状のきっかけとなる場合があります。

冷え性の方は、むくみ体質の場合が多いです。前述した筋肉量も影響しますが、入浴や温かい飲み物、服装等で温活をぜひ取り入れてみましょう。

シャワーですますより浴槽でじっくり体を温めるのが基本です。また、冷たい飲み物ばかりではなく、体が温まるホッとドリンクや、生姜や根菜などを取り入れた体が温まる食材を意識して取るのも良いでしょう。

服装も特に足腰回りやお腹周りを冷やさないよう留意します。

過度なストレスや疲労をためない

過度なストレスや疲労が蓄積すると、浮腫を引き起こすことがあります。

ストレス管理と充分な休息を意識しましょう。

ストレスといっても、ネガティブなストレスだけではなく、ポジティブなストレスもあります。

例えば、旅行や引っ越し、結婚、就職、進学などの門出でワクワクしている場合もです。人はストレス0の生活は不可能に近いです。しかし、ゆったりと過ごせる、リラックス、リフレッシュできる時間を持つことが重要です。

慢性的な浮腫症状は病気が隠れている?セルフチェックしてみよう

セルフケアをしても改善されない場合、浮腫が一過性のものではなく、病気が原因となっている可能性があります。

浮腫症状チェック1.指で患部を押す

指で患部を推してくぼみができ、後が残るか残らないものかである程度見分けがつきます。そのポイントを表にまとめました。

全身/局所くぼみと跡考えられる病気
全身性浮腫指で押してくぼみ、跡が残る心疾患・腎疾患・肝臓疾患など
跡が残らない甲状腺機能低下症
局所性浮腫指で押してくぼみ、跡が残るエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)
跡が残らない血管性浮腫、遺伝性血管性浮腫

浮腫症状チェック2.セルフ診断チェックリスト

以下のような症状がみられた場合、遺伝性血管性浮腫が疑われます。

  • 突然の皮膚や粘膜の腫れ(特に顔面、手足)
  • じんましんを伴わない腫れ
  • 激しい腹痛や嘔吐、下痢の繰り返し
  • のどの腫れによる呼吸困難を経験したことがある
  • 症状が2〜5日程度で自然に消失
  • 押してみてくぼみ跡が残らないむくみ
  • 家族に同様の症状が出たことがある
  • 10歳から20歳代の間に初めて症状が現れた
  • 抜歯などの歯科治療、外科手術、ストレス、月経などを機に発作が出現したことがある

これらの症状が1個でも当てはまる場合は、医療機関での診断を受けることをおすすめします。

放置すると危険!判断が難しい時は医療機関へ相談するのがおすすめ

判断が難しい時や、上記で思い当たる場合は、重大な病気が隠れている可能性もあるので、ただちに受診しましょう。

放置すると、浮腫が慢性化する、隠れていた病気が進行する、などのリスクが高まります。特に遺伝性血管性浮腫の症状が疑われる場合、早急に医療機関を受診することが重要です。

適切な治療を受けないと生命を脅かす状態に陥る可能性があるため、症状が疑われる場合には、放置せず速やかに受診しましょう。早期診断と適切な治療により、症状のコントロールと生活の質の向上が期待できます。

浮腫症状を相談できる病院

浮腫症状の相談には、適切な医療機関を選ぶことが重要です。

皮膚科・形成外科・循環器科・循環器内科・血管外科・浮腫専門外来の受診をお勧めします。

遺伝性血管性浮腫の疑いがある場合、浮腫に詳しい医療機関や科を受診できることが望ましいですが、身近で適切な受診先が見つからない場合、まずは内科を受診し、そこから詳しい専門医を紹介してもらうのもひとつの方法です。

多忙で受診が困難な場合や、近隣で専門医が見つからない場合にはオンライン診療が便利です。オンラインでも循環器科、循環器内科、血管外科、内科、オンライン専用クリニックの浮腫外来などがあります。

ただし初診や緊急時は対面での診療や検査が必要な場合もあるため、事前に診察の要件を確認しましょう。

浮腫症状でお悩みなら、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」

頻繁に起こる浮腫症状にお悩みの場合、自己判断やセルフケアだけでなく、専門的な医療機関を受診しましょう。

とはいえ、多忙な方にとって通院自体が負担となることも多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのが、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」です。

おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」は、通院不要で自宅で受診可能です。待ち時間なくオンラインで受診ができ、処方薬も配送または近隣薬局で受け取りが可能です。

ただし触診や血液検査・点滴・注射など、医師による直接的な検査や処置はオンラインでは行えません。

オンライン診療は、主に継続的な治療や経過観察に適しています。

浮腫症状が続くなら医療機関を受診しよう

浮腫には様々な原因と症状があります。さほど心配のいらない生理現象から、病気のサインが隠れているものまでありますので、ご自身の症状をよく観察してチェックしてみてください。

もし、症状に不安がある場合や浮腫症状が長引く場合、適切に医療機関を受診して治療を行うことも大切です。

浮腫みはよくあることと軽視されがちですが、中には遺伝性血管性浮腫など重大な病気が隠れていることがあります。後回しにせず早めに医療機関を受診し、早期発見と早期治療につなげましょう。

多忙な方や通院が困難な方は、おうち病院「オンライン血管性浮腫外来」の利用も検討してみてください。