ヘルペスは再発を繰り返す病気とわかっていても、水疱や赤み、痛みなどの症状が出るのは気が滅入ります。「ヘルペスの再発を抑えたい」「再発したヘルペスをすぐに治したい」そう思っている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ヘルペス再発のきっかけ、ヘルペスの再発の予防対策、再発したヘルペスをすぐに治せるPIT処方について解説します。
目次
ヘルペスが完治せず何度も再発する原因は?
ヘルペスは、現代の医学では完治することはできず、再発を繰り返す病気です。
ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス」というウイルスによって引き起こされます。このウイルスに感染してしまうと、完全に除去することはできません。ヘルペスウイルスは最初の感染から症状がなくなったあとも、神経節の中に潜んでしまいます。
そして免疫力が弱まったタイミングでまた、水ぶくれや赤み・痛みなどの症状が再発してしまいます。そのため、ヘルペスは完治することはなく、何度も再発を繰り返してしまうのです。
しかし、完治することはできませんが、再発の予防はできます。再発のきっかけとなる要因や予防法を知り、負担を減らすためにヘルペスの再発をコントロールしていきましょう。
ヘルペスの再発のきっかけ
ヘルペス初感染から回復後、ヘルペスウイルスは神経節に潜み、症状は抑えられます。これは、ヘルペスウイルスの活動が、人体の免疫機能によって抑えられているためです。このまま心身ともに健康な状態を継続できれば、免疫機能が働いて、再発することはありません。
しかし、たとえば以下のようなことがきっかけでヘルペスウイルスが活性化し、再発する可能性があります。
- 心身の疲労やストレス
- 睡眠不足が続く
- 風邪や発熱
- 季節の変わり目
- 唇の日焼け(紫外線の刺激)
- 歯科治療後
- 月経前
このようなタイミングは心身の健康を損ないやすく、それに伴って免疫力も低下しやすくなります。ヘルペスの再発を予防するためにも、疲労をためず病気にならないような生活習慣を身につけるとともに、免疫力アップを心がけるようにしましょう。
また、再発してしまった場合は、なるべく早く治療することも大切です。
ヘルペスの再発頻度・再発率
ヘルペスの再発頻度は、年に数回というケースが多いようです。毎月ヘルペスが再発して困る、という人もいます。また、免疫機能がうまく働いている人だと、数年単位でヘルペスが再発しないというケースもあります。
つまり、その人の生活習慣や食生活、年齢や体調などによって再発頻度は異なるわけです。ヘルペスウイルスの活性化を抑えて再発を防ぐためにも、日頃から規則正しい生活を心がけ、免疫力を高めることが大切です。

ヘルペスが再発した際の期間
ヘルペスが再発した際の、治癒までの期間は、おおよそ1週間から2週間程度かかるのが一般的です。
これはあくまで目安であり、個人の免疫力や体調、治療を開始するタイミング(特に初期症状での速やかな処置)によって変動します。早く対処できれば、1週間以内に治まることもありますし、重症化したり二次感染を起こしたりすると、2週間以上かかることもあります。
最も大切なのは、「ピリピリ」「チクチク」といった初期症状を察知したら、すぐに抗ヘルペスウイルス薬を使い始めることです。これにより、症状を軽くし、治癒までの期間を短縮できる可能性が高まります。
再発を繰り返すとどんな症状が出る?
一度ヘルペスウイルスに感染すると、ウイルスは神経節に潜伏し、体調が崩れた時などに再活性化して症状が再発します。この再発時のヘルペスは、初回感染時と比べて、比較的軽い症状の場合が多く、発熱やリンパ節の腫れなどの全身症状を伴うことは稀です。
ほとんどの場合は、唇やその周囲の決まった場所に「ピリピリ」「チクチク」「ムズムズ」「ジンジン」といった違和感が生じ、その後水ぶくれや赤みの症状が出ます。
この初期症状を自分で察知しやすいため、その段階で抗ウイルス薬を使い始めることで、症状の悪化を防ぎ治癒を早めることが可能です。
再発しても市販薬は効かないため要注意
実は、ヘルペス再発に対処する市販薬も、ドラッグストアなどで購入できます。
ヘルペスの再発は、初期症状で違和感を察知したらすぐに処置したいものですが、通院できない時はドラッグストアで購入したり、いつでも対処できるように自宅に常備したりといった方もいるかもしれません。
しかし、市販薬は症状を和らげることを目的としており、ヘルペスを完全に治すものではありません。そのため市販薬では、治癒を早めるにはやや効果が期待できないため注意してください。
頻繁に再発したり、症状が重かったりする場合は、医療機関での処方薬をおすすめします。
ヘルペスの再発に効果的な薬
ヘルペスの再発は、体内に潜伏しているヘルペスウイルスが再活性化することで起こります。
治療には、出来るだけ早い段階でこのウイルスが増殖するのを抑えることが不可欠です。再発の兆候を感じたらすぐに内服する抗ウイルス薬が効果的です。
主な処方薬とその特徴は以下の通りです。
ヘルペスの再発に効果的な薬一覧
製剤名 | 薬品名 | 剤形 |
アシクロビル | アシクロビル | 内服薬・外用薬 |
バラシクロビル | バルトレックスバラシクロビル | 内服薬 |
ファムシクロビル | ファムシクロビル | 内服薬 |
アメナメビル | アメナリーフ | 内服薬 |
アシクロビルは通常1日に数回服用しなければならないのに比べ、バラシクロビルでは体内での吸収率が高まり1日2回、ファムシクロビルでは1日1回、アメナメビルでは再発の予兆時に1回服用するだけとなっています。
ヘルペス再発の予防対策
ヘルペスの再発を予防するためには、免疫力を高めることがポイントです。免疫力が高ければヘルペスウイルスの活動が抑えられるため、痛み・腫れ・赤みなどのヘルペスの症状は出てきません。逆に健康が損なわれると免疫力が落ちてしまい、ヘルペスウイルスが活性化してヘルペスが再発しやすくなります。
以下で、日常で心がけたいヘルペス再発の予防対策を紹介します。
規則正しい生活
心身の疲労やストレスがある、風邪をひいて熱がある、といったタイミングは免疫力が落ちてヘルペスが再発しやすくなります。ヘルペスの再発を予防するためにも、規則正しい健康的な生活を送りましょう。
たとえば、早寝早起きを習慣づけると心身のバランスが整いやすく、免疫力も高まりやすいです。また、休息は免疫力を高めるのに最も重要なポイントです。睡眠時間をしっかり確保することはもちろん、質の高い睡眠を心がけましょう。
食事や運動
バランスの良い食事や適度な運動も、ヘルペスの再発予防に効果的です。
食事は1日3食、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。中でもヘルペスの再発抑制にはリジンという栄養素が効果的とされています。肉・魚介類・乳製品・大豆などに多く含まれていますので、毎回の食事に取り入れるのもおすすめです。
運動は軽く汗をかく程度のものでかまいません。ウォーキングやジョギング、スイミングなどご自身で継続しやすいものを行ってみましょう。逆に激しすぎるスポーツは体力が落ちてしまい、免疫力が低下する恐れがあるので注意してください。
ストレスを溜め込まない
ストレスはヘルペス再発の引き金になりやすいため、ストレスをためないようにしましょう。過度なストレスは禁物です。
「ヘルペスが再発したらどうしよう」という不安や緊張もストレスとなるので、あまり神経質に考えないようにしましょう。
好きなことや趣味に没頭する、リラックスする時間を持つこともおすすめします。適度な運動が、ポジティブな気持ちや健やかな睡眠を導いてくれて、ストレスをあまり溜めない体に変えてくれることもあります。
自分にとって、どんな事がストレス発散やリフレッシュに繋がるか、探してみてください。
過度に紫外線を浴びない
過度の紫外線を浴びると、皮膚の免疫力が低下します。免疫力が低下すると、ヘルペス再発の引き金になることがあります。夏のアウトドアでのスポーツやレジャーの後に症状があらわれる症例がよくあります。
そのため、強い紫外線を浴びないよう注意しましょう。
夏場の外出の際には、日焼け止めや日傘・帽子・サングラスなどで対策をしましょう。
UVカットの服なども効果的です。
外出しない日でも、家事をする方は、洗濯物を干す時やベランダや庭に行くとき、注意しましょう。
また、7、8月のいわゆる真夏だけではなく、4、5、6、9、10月も強い紫外線の日もあるため、対策が必要です。
ヘルペスウイルスの感染を防ぐ
ヘルペスの感染を、家族やパートナーへ広げないように注意しましょう。
口唇ヘルペスの症状が出ている時は、スキンシップ、例えばキスやほおずりなどで感染する可能性があります。性器ヘルペスでは、性行為で感染する恐れがあります。
そのため、スキンシップは控えパートナーと話し合い病気を理解してもらう必要があります。
また、食事・飲み物のシェアやタオル・食器の共有をしないようにしてください。
同居するパートナーや家族にも理解してもらい、自分専用にします。
ヘルペスの水疱が破裂している場合、そこにウイルスがたくさん存在し感染力が非常に強いため、患部はしっかりガーゼ等で保護しましょう。
早めに治療する
もしヘルペスが再発してしまったら、早めに治療しましょう。できるだけ早く治療すれば、症状が出る期間が短くなりやすいためです。
ヘルペスは水疱や肌の赤みなどの症状が出る前に、かゆみやピリピリとした刺激を肌の内側に感じる前駆症状が出ることが多いです。これはヘルペスウイルスが活性化し始めた合図であり、この段階でウイルスの活性化を抑える薬を使用すれば、症状を抑えやすくなります。もし前駆症状を感じたら、なるべく早くお薬による治療を行いましょう。
ヘルペスの再発に対する新しい治療法「PIT処方」
再発を繰り返すヘルペスの新しい治療法としてPIT処方というものがあります。PIT処方とはどのようなものなのか、以下で詳しく解説します。
PIT処方とは
PIT処方とは、医師からあらかじめ処方されているお薬を、初期症状に基づいて患者自身の判断で服用開始するという比較的新しい考え方の治療法です。PITとは「Patient Initiated Therapy」の略で、日本語にすると「患者主導療法」となります。
PIT処方を活用すれば、ヘルペス再発の前駆症状があった段階で速やかにお薬を使用できるため、症状の悪化を防いだり、症状を速やかに改善させたりしやすくなります。事前に処方されているため、病院に行く手間が省けるのもPIT処方のメリットです。
PIT処方の対象となる人
PIT処方の対象になる人は、以下のすべての項目に当てはまる方です。
- 再発性の単純疱疹である
- 同じ病型の再発頻度が年3回以上である
- 再発の初期症状(前駆症状)を自分で判断できる
単純疱疹とはヘルペスのことで、ヘルペスは再発頻度が年に数回ある人が多いです。
また、ヘルペスはその前兆として、肌の内側にかゆみを感じる、ピリピリした刺激があるといった特有の前駆症状があり、ヘルペスによる症状を経験した多くの人は判断できることでしょう。そのため、ヘルペスの再発で悩んでいる人のほとんどはPIT処方の対象になると考えられます。
ただし、上記を満たしていても以下の方はPIT処方の対象外となりますのでご注意ください。
- 妊娠している、妊娠の可能性がある
- 授乳中である
服用方法
PIT処方の場合、お薬を2回服用することで治療が完結します。ただし、前駆症状が出てからすぐ、目安としては6時間以内に服用を開始するのが条件です。2回目の服用は、1回目の服用から12時間後くらいを目安に服用しましょう。詳しくは、医師・薬剤師にご確認ください。
あらかじめお薬を処方してもらう
PIT処方は前述の通り、前駆症状が出たらすぐに、あらかじめ処方されたお薬を服用する必要があります。そのため、事前にお薬を処方してもらうことはもちろんですが、お薬を携帯しておくように意識することも大切です。そして違和感があればなるべく早く服用し、2回目の服用が終わったら病院を受診して、次のお薬を前もって処方してもらいましょう。
ヘルペスの再発を防ぐなら「再発抑制療法」
ヘルペスの再発を事前に防ぐなら「再発抑制療法」という新しい選択肢があります。
頻繁に繰り返すヘルペスに対して、従来の治療では症状が出てから通院して処方してもらうしか方法はありませんでした。ヘルペスの治療は、再発症状の初期の段階で、なるべく早く抗ウイルス薬を内服(または塗布)することが重要です。
しかし、その兆候を感じた時に、サッと病院に通院して処方薬をもらえる患者さんはそう多くはないでしょう。
そこでおすすめなのが、この再発抑制療法です。この治療法であれば、再発抑制の薬を内服中は、再発する心配はほとんどありません。
再発抑制療法とは
再発抑制療法とは、特に頻繁に再発を繰り返す患者や、症状が重い患者に対して適応される治療法です。
長期的(半年~1年)、毎日抗ウイルス薬を服用し続けることで、ヘルペスの再発自体を抑える治療方法です。
再発の兆候を感じてから患者自身の判断で内服をするPIT処方とは違い、再発抑制療法は、薬を毎日一定量服用することでウイルスの活性化を抑えることが可能です。これにより再発のリスクは大幅に下がります。
再発を繰り返す患者にとっては、再発が日常生活に支障をきたし、大きなストレスとなるため、この治療法は患者のQOL向上に大きく貢献します。
再発抑制療法の対象となる人
再発抑制療法の対象となる人は、以下の患者です。
再発の頻度が非常に高い患者
最も典型的な対象は、再発の頻度が極めて高い患者です。年間6回以上の再発を繰り返す口唇ヘルペス・性器ヘルペスの患者が基準の目安とされています。
症状が重い、または長引きやすい患者
再発の頻度だけでなく、一回あたりの症状が重い場合も対象となることがあります。
毎回水ぶくれが広範囲に広がる、痛みが非常に強い、症状が治まるまでに非常に時間がかかる(2週間以上かかる)、潰瘍が深く、治りにくいなどの場合です。
その他、医師が特に必要と判断した場合
患者の個々の状況や持病などを総合的に判断し、医師が再発抑制療法の必要性を認めた場合に、治療が検討されることがあります。
服用方法
再発抑制療法の服用方法は、毎日継続して、ある一定期間抗ウイルス薬を内服します。
主な薬剤は、バルトレックス・バラシクロビル・アシクロビル(小児のみ)です。
通常、1日1回500mgを1年間、毎日の服用継続が基本となります。
薬剤を毎日服用することでウイルスの再活性化を防ぎ、再発を抑制します。これにより、再発頻度を大幅に減少させる効果が期待されます。服用中に、再発しない健康な身体づくりを目指し、免疫力を高めます。
副作用のリスクは比較的低いとされていますが、長期服用のため耐性が生じる可能性もゼロではなく、定期的な経過観察が重要です。
口唇ヘルペスの再発でお困りなら、おうち病院「オンラインヘルペス外来」
口唇ヘルペスの再発を防ぐためには、健康を維持して免疫力を高めておくことが大切です。しかし、仕事で忙しい、寝不足が続いている、季節の変わり目で風邪をひいたということは誰にでもあります。困ったことに、そうしたタイミングで口唇ヘルペスは再発してしまいます。
口唇ヘルペスは痛みがあるだけでなく、肌の赤みや水疱など見た目が悪くなるといった問題もあります。できる限り早く症状を抑えるためには、お薬を使って治療することが大切です。しかし、すぐに病院に行けない、お薬を切らしているという方もいることでしょう。そういった方におすすめなのが、「おうち病院 オンラインヘルペス外来」です。
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また、PIT処方にも対応していますので、再発後の治療をスムーズにしたい方は、「おうち病院 オンラインヘルペス外来」を利用して、あらかじめお薬を処方しておいてもらうことができるので、とても便利です。
