顔から大量の汗をかくことに悩んでいる方、もしかすると顔の多汗症かもしれません。
多汗症の場合、放置すると精神的なストレスによって症状が悪化する場合もあるため、早期に対策を始めることが大切です。また、医療機関では汗の量を抑える治療を受けることができます。
今回は、顔の多汗症の症状や原因、対策、治療法などについて詳しく解説します。
顔の多汗症とは
顔の多汗症は「顔面多汗症」とも呼ばれ、顔から大量の汗をかく病気です。
汗は体温を下げるために分泌されるものですが、辛いものを食べたりストレスを感じたりしたときにも分泌されます。
このうち、ストレスを感じたときに汗をかくことを「精神性発汗」といい、顔の多汗症はこれが悪化したものです。
顔の多汗症の症状
顔の多汗症の症状は、主に顔の汗腺から大量の汗が出ることです。頭皮から大量の汗が出る頭部多汗症と合併する方も少なくありません。
汗腺は、身体に必要なミネラルを吸収することで、通常さらさらとした汗を分泌しますが、顔の多汗症の方は汗腺の機能が低下しておりミネラルをうまく吸収できないため、ミネラルが混ざったベタついた汗が出ます。
ベタつきがあるために不快感が生じたり、メイクが崩れやすかったりなど日常生活に悪影響が及びます。また、大量の汗によって人目が気になり、コミュニケーションに支障をきたす方も少なくありません。さらに、大量の汗に対するストレスから汗の分泌が増加するという悪循環に陥る場合もあります。
顔の多汗症の原因
顔の多汗症には、病気や薬などが原因の「続発性」と、明らかな原因がない「原発性」があります。それぞれの原因について詳しく解説します。
続発性
自律神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れてさまざまな症状が現れる病態です。自律神経は交感神経と副交感神経で成り立っており、心身の状態に応じて適切にバランスを取ることで健全な心身が保たれます。
自律神経のうち、発汗に関わる交感神経が過剰に興奮することで多汗症にかかる場合があります。
更年期障害
40代前半~50代後半にかけて起きる「閉経」の前後5年間を「更年期」といいます。更年期障害とは、更年期に女性ホルモンのエストロゲンが大きく低下することで、心身にさまざまな症状が現れる状態です。
ホルモンバランスが崩れると自律神経のバランスも崩れてしまい、その結果、多汗症にかかることがあります。
糖尿病
糖尿病は、血糖値を適切な値へと整えるインシュリンの分泌が低下し、慢性的に高血糖状態が続く病気です。血糖値のコントロールが悪い状態が長期間持続すると、さまざまな合併症のリスクが高まります。
糖尿病の合併症の1つ「糖尿病神経障害」では、自律神経や末梢神経が刺激されることで顔から多汗症の症状が出るようになる場合があります。また、辛いものや熱いものを食べたときに汗が出る「味覚性発汗」が強くなることもあるようです。
原発性
自律神経のバランスの乱れ
続発性の多汗症と同じく、ストレスによって自律神経のバランスが乱れて交感神経が興奮状態となり、発汗の量が増加する場合があります。
自律神経失調症のように全身にさまざまな症状が現れていなくても、自律神経のバランスが崩れている可能性があるため、なるべくストレスを避けることが大切です。
運動不足
運動不足で汗をほとんどかかない状態が続くと、心臓から遠いところの汗腺の機能が低下し、動くことが多い顔の汗腺が活発に働いて、多汗症にかかる場合があります。
また、最適な気温に調整された環境に長時間滞在している場合も同様です。
生活習慣の問題
食生活の乱れや過度な飲酒、喫煙、睡眠不足など、生活習慣の問題も顔の多汗症の原因といわれています。
ストレスが溜まることで暴飲暴食や過度な飲酒に走り、体調が悪くなることで睡眠の質が低下するなど、行動それぞれが関連しています。
顔の多汗症の治療法
続発性の顔の多汗症は、原因となっている病気の治療や薬の変更によって改善が期待できます。
一方、原発性の場合は、内服薬や外用薬などで汗の分泌を抑えます。また、ボトックス注射で神経伝達物質のアセチルコリンを抑え、汗の分泌を抑えることも可能です。
症状によって選択する治療が異なるため、まずは医師に相談しましょう。
顔の多汗症の薬
顔の多汗症に対しては、保険適用の臭化プロバンテリン(商品名:プロバンサイン)を使用することが一般的です。オキシブチニン(商品名:ポラキス)、コハク酸ソリフェナシン(商品名:ベシケア)などを使用することもありますが、効果の個人差が大きいとされています。
そのほか、自律神経失調症に伴う多汗症に対しては、抗不安薬や抗コリン薬なども検討します。使用する薬は原因や身体の状態などで異なるため、まずは医師に相談しましょう。
顔の多汗症の対策
原発性の顔の多汗症は、次のように対策することで改善する可能性があります。
対策1.適度に運動する
心臓から遠い汗腺の機能を改善するために、適度な運動を始めることが大切です。
運動不足だと、急に激しい運動をすると身体に大きな負荷がかかるため、まずはウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などから始めましょう。時間がないときはヨガやストレッチなどで少しでも身体を動かしてください。
対策2.ストレスを溜めないようにする
自律神経のバランスを崩さないように、ストレスをこまめに解消することが大切です。
ストレス解消法には、良質かつ十分な睡眠、適度な運動、趣味を楽しむ、音楽を聴くなどがあります。自分に合ったストレス解消法を見つけることから始めましょう。
対策3.刺激の強い食べ物を控える
辛い食べ物や熱い食べ物は交感神経を刺激して発汗を促すため、なるべく控えることをおすすめします。
刺激の強い食べ物は胃に負担をかけます。胃の不調もストレスにつながり、多汗症の症状を悪化させる可能性があるため、なるべく身体に悪影響が及ばない食生活を心がけましょう。
対策4.首周りを冷やす
首周りを冷やすことで体温が下がり、暑さによる発汗を抑制できます。
ただし、暑い環境にいる以上は何度でも体温が上がって発汗するため、室内ではエアコンを使う、屋外では日陰を歩くなどして、なるべく体温を上昇させないことが重要です。
対策5.制汗剤を使う
制汗剤は、汗の出口にフタをすることで発汗を抑えるアイテムです。
医療機関では、塩化アルミニウムを含む水またはアルコール液を寝る前に塗るようアドバイスされます。ただし、顔に塗ると肌トラブルの原因になる可能性があるため、塗っても問題ないかどうかは医師に相談しましょう。
まとめ
顔の多汗症に悩んでいる方は、原因を突き止めるために医師に相談することが先決です。
汗が気になるため人との接触をなるべく避けたい、忙しくて通うのが難しいといった方には、おうち病院の「オンライン多汗症外来」をおすすめします。
「オンライン多汗症外来」は、パソコンやスマホを用いて、早朝・夜間でも診察を受けることができるため、忙しくて時間が無い方にはうってつけです。
また、近場の薬局に処方箋が届くシステムになっており、最短当日中に薬の受取も可能です。
丁寧なサポートとアフターサービスも付いており安心して利用できるので、ぜひこの機会に利用してみてください。