【皮膚科医警告】 ヘルペスにリンデロンの薬は絶対NG!正しい対処法を徹底解説

ヘルペスに悩まされている方の中には、「皮膚の炎症を抑えるために、リンデロンなど皮膚の炎症を抑える薬が効果的なのでは?」と考える方もいるかもしれません。

たまたま家にあったから試しに塗ってみようかなという方もいるでしょう。

しかし、それは大変危険な行為です。ステロイド薬はヘルペスには意味がないどころか悪化させてしまう可能性もあります。

本記事では、リンデロン(ステロイド)が、ヘルペス治療に絶対NGな理由と正しい対処法を解説します。ぜひ、ヘルペス症状が現れた時の参考にしてください。

この記事でわかること

  • リンデロンなどのステロイド薬は、抗ウイルス効果がなく、免疫抑制作用によりヘルペスの症状を悪化させるため、原則として使用は禁忌
  • ヘルペスの治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の服用または塗布が基本
  • 発症後なるべく早く(特に水ぶくれができる前の24時間以内)に治療を開始することが重要
  • ヘルペスかどうか自己判断せずに、症状が出た場合は速やかに皮膚科などの医療機関を受診しよう

ヘルペスにリンデロンの薬が絶対NGな理由

リンデロンは薬剤師が在籍する薬局やドラッグストアでも処方箋なしで手に入る、スイッチOTC医薬品と呼ばれる種類の軟膏薬があります。

そのため、気軽に手に入りやすい薬でもありますが、ヘルペス治療には絶対NGです。まずはその理由を確認していきましょう。

リンデロンはどんな薬?

薬(塗り薬)の一種です。成分としては主にベタメタゾンという強力な抗炎症作用を持つ物質が含まれています。

抗生物質が入っているタイプ、抗菌が入っているタイプなどがあります。

詳しくは下記の通りです。

種類成分強さ用途
リンデロン-DPステロイド成分単体非常に強い強い炎症を伴う湿疹、アトピー性皮膚炎の重症な症状、乾癬(かんせん)など、難治性の皮膚疾患に。
リンデロン-Vステロイド成分単体強い一般的な湿疹、皮膚炎、かぶれ、虫刺されなど、幅広い皮膚の炎症に。最も広く使われているタイプ。
リンデロン-VGステロイド+抗菌薬強い最近の増殖を抑える。湿疹や皮膚炎を掻き壊してしまい、細菌感染(化膿)を伴っている場合に。
リンデロン-Aステロイド +抗菌薬普通または弱い眼や耳などのデリケートな部位の炎症や感染に使用される特殊な製剤

現在、ドラッグストアなどで市販されている「リンデロンVs」は、上記の医療用リンデロン-Vと同じステロイド成分(ベタメタゾン吉草酸エステル)を配合したもので、強さはストロング(強い)です。

ヘルペスにおけるリンデロンの使用は原則禁忌

リンデロンなどのステロイド外用薬は、湿疹やアトピー、かぶれなど、アレルギーや炎症を抑えるには非常に優秀な薬です。しかし、ヘルペス治療には使えません。

ヘルペスに対してリンデロンのようなステロイド外用薬を単独で使うことは基本的に禁止されています。

添付文書によると、使用禁忌(該当する患者には投与しないこと)として、ウイルス皮膚感染症患者には投与しないこと、との記載があります。ヘルペスはヘルペスウイルスの感染症です。単純ヘルペス(口唇ヘルペス、性器ヘルペスなど)、帯状疱疹がこれに該当します。

二次感染(細菌感染)が起きている場合にのみ、医師の診断のもと抗ウイルス薬との併用で処方されるケースがあります。ヘルペスによる水ぶくれをひっかいてしまい、細菌に感染して化膿する「とびひ」などが起きた場合です。この場合、炎症を抑えるステロイド薬と細菌を殺す抗生物質が配合されたリンデロンVGなどが処方されます。

水ぶくれや発疹などよく似た症状の場合もあり、特にヘルペスに初感染したさいは、見分けが難しく、自己判断ではむずかしいです。ヘルペスなのか湿疹かぶれなのかよくわからないのに、自己判断でとりあえずリンデロンを塗るのは絶対にやめて、皮膚科を受診しましょう。

(※下記で見分け方も解説しています)

万が一塗ってしまった場合は、塗ってすぐであれば、優しく洗い流しましょう。

参照元:リンデロン-VG軟膏・クリーム|塩野義製薬株式会社

リンデロンでヘルペスが悪化する可能性

前述の通り、リンデロンはヘルペス治療には向いておらず、単独で治療に用いることは禁止されています。

ここからは、なぜ禁止されているのかもう1歩踏み込んで解説していきます。

リンデロンを始めとするステロイド薬には、抗炎症作用と免疫抑制作用があります。炎症やアレルギーを抑えるのは得意ですが、ヘルペスの原因であるウイルスを殺す作用はありません。

さらに、ステロイドの「免疫抑制作用」が働き、ヘルペスウイルスが増殖しやすくなってしまいます。そのため症状が悪化し、治りが遅くなったり広範囲に広がったりするおそれがあるのです。

「水ぶくれが赤く腫れているから、炎症を抑えよう」と考えるのは間違いではありませんが、ヘルペスにおいてはウイルスを退治することが最優先です。炎症を抑える薬であるリンデロン(ステロイド薬)は、ウイルスの勢いを強めてしまう「助っ人」になってしまうのです。

ヘルペス症状が重症化する危険性が高まるため、リンデロンは自己判断で絶対に塗らないでください。

ヘルペスにリンデロンを塗っても意味がない

ヘルペスにリンデロンを塗ると症状が悪化する危険性と禁忌を理解したところで、そもそもヘルペスの患部にリンデロンを塗っても、意味がないということを押さえておきましょう。

ここからは、ヘルペス治療で優先されるべきことについて説明します。

ヘルペスには抗ウイルス薬が必要

ヘルペスはヘルペスウイルスによる皮膚感染症のため、リンデロンを塗ってもウイルスの増殖は収まらないので、全く意味がないのです。

治療の基本は、ヘルペスウイルスの増殖をおさえること。抗ウイルス薬の投与一択です。

また、ヘルペスウイルスは一度症状が改善されて治ったように見えても完治する病気ではありません。体の中のヘルペスウイルスを完全に消滅させるのは、現代の医学では不可能です。一度感染すると、体内の細胞の深いところに潜伏して、再活性化するチャンスを狙っている厄介なウイルスです。

そして、寝不足や疲労・ストレスなどにより、自律神経が乱れ免疫力が低下すると、再び活動を始め、皮膚の表面に症状が現れ再発するのです。

そのため、再発時にも早い段階でウイルスの増殖をおさえることが、症状の悪化を防ぎ早期に治すことへ繋がります。症状の段階として、水ぶくれができる前に「ピリピリ」「ムズムズ」等の違和感があります。

症状を感じたら、その段階でできるだけ早く適切な処置を行うことが推奨されます。

リンデロンはどんな時に効果を発揮する?

リンデロンの適応症は以下の通りです。

  • 湿潤(湿っている状態)
  • びらん(皮膚が部分的に欠損している状態。ただれ、赤みなど比較的浅い傷)
  • 結痂(傷口から出た体液や膿などが皮膚表面で固まってできたかさぶた)

又は二次感染を併発している次の疾患に効果的です。

  • 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎を含む)
  • 乾癬(免疫系の異常が原因で起こる慢性的な皮膚の炎症性疾患)
  • 掌蹠膿疱症(手のひらや足の裏に膿を持った水ぶくれ(膿疱)が繰り返しできる病気)

また、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染などでも使用されます。

症状が改善した場合には健やかに使用を中止し、抗生物質を含まない薬に切り替えること、ともされています。

湿疹やアトピー、かぶれ、ただれなど、アレルギーや皮膚の炎症に効果を発揮するものの、免疫力を抑える働きもあるため、長期間の継続使用は控える薬とされています。

参照元:リンデロン-VG軟膏・クリーム|塩野義製薬株式会社

ヘルペスかな?と思った時の正しい対処法

自己判断でリンデロンを塗るのは危険!それならば、ヘルペスの疑いがある時はどうすれば良いのでしょうか。正しい対処法を確認してみましょう。

ヘルペス発症後24時間が勝負!早期治療の大切さ

「ヘルペスかな?」と疑いのある時は、迷わず皮膚科を受診しましょう。

初感染時は、なかなか気付けないこともありますが、発疹・水ぶくれ等の症状ができる頃には「チクチク」「ピリピリ」などの痛みがあることが多いです。

思うように通院の時間がとれない時は、オンライン診療も選択肢にいれます。

ヘルペス治療の基本は、ウイルスの増殖を抑えること。抗ヘルペスウイルス薬の早期投与です。水ぶくれなどの症状が出始めてからできるだけ早く、抗ウイルス薬を服用することが重要です。

理想は72時間以内、可能ならば24時間以内が望ましいです。症状の悪化を防ぎ、治るまでの期間を短くする効果があります。ウイルスがすでに増殖したあとでは効果が薄く、治りが遅くなってしまう恐れがあります。

また、再発を繰り返し悩んでいる場合は、再発抑制療法や自宅で薬を常備出来る治療法もあるので、医師に相談してみましょう。

ヘルペスの主な治療法と薬

ヘルペスの主な治療法と、使用される薬は以下の通りです。

1.対処療法

初めての発症、または再発頻度が比較的低い方(年に1~2回程度)が対象です。

主な薬はバラシクロビル(バルトレックス)、アシクロビル(ゾビラックス)、アメナビル(アメナリーフ)などの内服薬と、ファムシクロビル(ファムビル)、アラセナ(ビダラビン)などの外用薬です。

メリット再発のたびに症状に合わせて医師の診察のもと治療ができる。
デメリット症状が出てから病院に行く必要がある。72時間ルールを逃すと効果が薄れる。

2.PIT療法

再発頻度が高い方(年に3回以上が目安)が対象。前もって処方してもらい「予兆」を感じた瞬間に患者さん自身の判断で薬を飲み始めます。

主な薬は、アメナビル(アメナリーフ)・ファムシクロビル(ファムビル)などの内服薬です。

メリット病院に行く手間が省け、72時間ルールを確実に守れるため、症状を軽減させ早期に治すことが可能。
デメリット患者自身で予兆および内服のタイミングをしっかり把握し、自己判断しなければならない。

3.再発抑制療法

再発が非常に頻繁で生活に大きな支障をきたしている方(年に6回以上が目安)が対象です。予防的に毎日薬を飲み続けます。

主な薬は、バラシクロビル(バルトレックス)などの内服薬です。

メリット再発の回数を大幅に減らし(6〜9割減)、再発の不安から解放される。
デメリット長期間(数ヶ月〜1年程度)毎日薬を飲み続ける必要がある。

どの治療法が最適かは、再発の頻度、症状の重さ、ライフスタイルによって異なります。

そして、医師の正確な診断と処方が必要です。恥ずかしがらずに、あなたの再発の悩みを全て医師に打ち明けて、あなたにぴったりの治療法を見つけてください。

ヘルペスと湿疹・かぶれの見分け方

「ヘルペスの治療にはスピードが命というのは理解できたけど、判断が難しいよね」と思ったあなたが早い段階で判断を見誤らないように、症状のチェック項目を紹介します。

見た目や経過など、ヘルペスの特徴を紹介しますので、参考にしてください。

これはヘルペス?セルフチェック

ヘルペスと湿疹(かぶれ)は見た目が似ていることがありますが、原因が全く違うため、しっかり見分けてください。

ヘルペスと湿疹(かぶれ)の見分け方:危険な自己判断を防ぐセルフチェック

症状・経過項目湿疹かぶれの場合
発症前の予兆赤くなる前に、チクチク、ムズムズ、ピリピリとした違和感があったか違和感の予兆よりもかゆみが多い
水ぶくれの形小さな水ぶくれが群れになって集まっているか単独または広範囲に赤みやブツブツ
再発性同じ場所に過去にも何度も症状が出たことがあるか原因物質に触れた場所にできる
進行スピード症状が始まってから水ぶくれができるまでが非常に速いか比較的ゆっくりと赤みや炎症が広がる
場所のヒント唇の周り、鼻の下、性器・おしりなど、神経の終末に近い場所かアクセサリーが触れた場所、洗剤がついた場所など
感染源発症前に、家族やパートナーに水ぶくれの症状があったか家族やパートナーと関係なく虫刺されやアレルギーの可能性

6項目の中の1個でも当てはまれば、ヘルペスの可能性があります。

また、右側の湿疹やかぶれの場合の症状も確認してみましょう。

もし、上記のチェックリストで「ヘルペスの可能性がある」と思ったら、絶対にリンデロンの薬を塗るのはやめてください。

特に「チクチク、ムズムズ」という予兆と、「同じ場所に何度もできる」という再発性は、ヘルペス特有のサインです。

関連記事1:ヘルペスの初期症状とは?現れたときの対処法や日常の注意点|オンライン診療サービス おうち病院
関連記事2:口唇ヘルペスセルフチェック / おうち病院 疾患コミュニティ

ヘルペスの疑いがあるのにリンデロンを塗ってしまった場合はどうすればいい?

もしも、すでに自己判断でリンデロンを塗ってしまっているなら、対処してほしいことがあります。

使用後すぐに気付いた場合は患部を拭き取る・洗うなどして薬を取り除きましょう。そのさいはごしごし洗わずに、優しく洗います。

もしヘルペスである場合、ゴシゴシこすって水ぶくれが破れると、悪化する恐れがあります。また、ウイルスの感染力が強いため、念のためタオル等の家族間や他人との共有は避けましょう。

万が一、リンデロンを塗ってから時間が経過してしまった場合は、患部や周辺に症状の変化があるか観察し、ただちに医師に相談しましょう。

ヘルペスかどうかを見極めたい時に受診する病院

ここで、ヘルペスかどうか迷う時は何科に行けばよいのか、解説していきます。受診の参考にしてください。

皮膚科・内科または婦人科で受診

ヘルペスはウイルス性の皮膚炎なので、専門は主に皮膚科です。

しかし、感染部位によってそれぞれの適切な治療ができる、という観点から、部位別にも推奨されています。

唇周辺や口周りであれば皮膚科か内科、口腔内であれば耳鼻咽喉科、目に症状があれば眼科、小児は小児科、性器にできてしまった場合、女性は婦人科へ、男性は泌尿器科を受診すると良いでしょう。または性病外来でも受診可能です。

ただし、すべての内科でヘルペスを取り扱っているとは限りません。かかりつけ内科や近所の内科に受診したい場合は、予約前に電話やWebサイトで確認してみましょう。

オンライン診療の選択もあり

ヘルペス治療はスピードが鍵ですが、多忙でなかなか通院が難しい方も多いと思います。また、性器にできた場合など、恥ずかしくて通院できない場合もあります。

そのような時は、オンラインがおすすめです。

オンラインは、皮膚科や内科のオンライン診察窓口がある場合もありますが、オンライン専用クリニックにて、ヘルペス外来がある場合もあります。

オンラインであれば、仕事や育児の合間のスキマ時間等に予約して、お薬もお住まいの近くの薬局薬店かご自宅で受け取り可能です。クリニックにより違いはありますが、通常の通院より幅広い診療時間を設定しているところも多いです。

プライバシーも保たれるので、安心して診察を受けることが可能です。

受診する時間がない方には、「おうち病院 オンラインヘルペス外来」

口唇ヘルペスは、早めの治療が肝心です。市販の塗り薬だけでは十分な効果が得られないこともあるため、飲み薬を含む処方薬による治療が推奨されます。

しかし、忙しくて病院に行く時間がない…そんな方におすすめなのが、「おうち病院 オンラインヘルペス外来」です。

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ヘルペスの疑いがある時のリンデロンは逆効果!ただちに受診し適切な治療を

リンデロンは、アレルギーや皮膚の炎症を抑えるうえで有効な薬ですが、ヘルペスに関しては逆効果で、ヘルペスウイルスの増殖を助けてしまう恐れがあります。

ヘルペスか湿疹かどうかわからない時に、とりあえずリンデロンなどのステロイド軟膏を塗ってしまうのは、とても危険です。絶対にやめましょう。

迷った時は、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。また、ヘルペスの治療には早期の抗ウイルス薬投与が非常に重要です。すぐに皮膚科等に受診できない時はオンライン診療を選択肢のひとつとして、一刻も早く受診し適切な治療を受けましょう。