帯状疱疹とヘルペスの違いとは?症状・原因・感染経路・経過も解説

帯状疱疹とヘルペスは、どちらも水疱を形成するため、違いがよく理解できずにいる方は多いのではないでしょうか。それぞれ、症状や原因、感染経路、経過などが大きく異なります。

目次

帯状疱疹とヘルペスは、どちらも水疱を形成するため、違いがよく理解できずにいる方は多いのではないでしょうか。それぞれ、症状や原因、感染経路、経過などが大きく異なります。

この記事では、帯状疱疹とヘルペスの違いについて、症状や原因、感染経路、経過、治療法、市販薬の有無まで詳しく解説します。

帯状疱疹とヘルペスの違い

帯状疱疹とヘルペスには、次のような違いがあります。

症状

帯状疱疹は、体の前から後ろにかけて広範囲かつ帯状に発疹が広がります。また、神経節に沿って複数の部位に発生することがあります。神経痛が後遺症として残りやすく、発疹が消失してからも半年から数年にわたって続くことも少なくありません。

一方、ヘルペスは唇や口の周り、性器周辺など、比較的限られた部位に発疹が現れます。適切な治療を受けると比較的速やかに改善し、後遺症が残ることはほとんどありません。

原因

帯状疱疹の原因は、水痘帯状疱疹ウイルスです。初めて水痘帯状疱疹ウイルスに感染した場合は、水痘(水ぼうそう)を発症します。その後、ウイルスは体から完全に排除されることなく神経節に潜伏し、過労やストレス、病気などで免疫機能が低下した際に再活性化して帯状疱疹を引き起こします。

一方、ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルスです。主に口唇ヘルペスを引き起こすHSV-1と、下半身や性器のヘルペスを引き起こすHSV-2があります。水痘帯状疱疹ウイルスと同じく、一度感染すると神経節に潜伏し、免疫機能が低下した際に再活性化します。

帯状疱疹とヘルペスの原因となるウイルスはいずれもヘルペスウイルス科に属し、神経節に潜伏することで免疫が低下した際に再活性化するリスクがあります。

感染経路

帯状疱疹は、神経節に潜伏している水痘帯状疱疹ウイルスが免疫機能が低下した際に再活性化することで発生するものであり、人には感染しません。ただし、水痘帯状疱疹ウイルスに感染したことがない人には感染し、水痘を引き起こす可能性があります。

一方ヘルペスは、感染者の唾液、体液、または皮膚接触によって感染します。

人への感染

帯状疱疹は他人から直接感染することはありませんが、帯状疱疹の患者が水痘にかかったことがない人に水痘・帯状疱疹ウイルスをうつすことで、水痘を発症させてしまう場合があります。帯状疱疹の水ぶくれから排出される液に触れることで感染します。

ヘルペスは、共用の食器やタオル、性的接触などを通じて他者に感染を広げることがあります。特に症状が現れている期間はウイルスが大量に排出され、他者への感染リスクが高まります。

家族間でも、感染を避けるために食器やタオルの共用を避け、手を清潔に保つためのこまめな手洗いが重要です。また、水ぶくれを触らないようにしましょう。

経過

帯状疱疹は、ピリピリするような痛みや違和感、軽い発熱などから始まります。その後、1週間ほどで症状が強くなり、赤みを帯びた小さな水疱の群れが皮膚上に現れます。水疱は1週間から10日ほどでつぶれ、患部から液が排出されます。

これにより、皮膚がさらに炎症を起こし、赤くただれたような状態になります。ただれた部分は数日でかさぶたになり、やがてかさぶたが自然に剥がれ落ちます。

ヘルペスも、症状が現れる前にピリピリとした違和感やかゆみなどを感じます。再発を何回か繰り返している人は、この段階で再発の兆候に気付くこともあるでしょう。

症状が現れるタイミングは帯状疱疹とは異なり、兆候が現れてから半日程度と比較的早く赤く腫れてきて、さらに1~3日が経つと水疱に変わります。水疱は1~2週間ほどで乾燥し、かさぶたができて自然に剥がれ落ちます。

再発

ヘルペス・帯状疱疹共に、一度感染するとウイルスが宿主の神経節に潜伏し、免疫機能が低下した際に再発します。再発が起こるタイミングや頻度には個人差がありますが、過労やストレス、病気などが再発を誘発する要因です。

帯状疱疹とヘルペスの診断方法

帯状疱疹とヘルペスは症状が似ているものの、複雑な検査をせずに診断できることがほとんどです。それぞれの診断方法について詳しく見ていきましょう。

帯状疱疹

帯状疱疹の特徴的な症状である水疱性の発疹やただれた皮膚を観察します。しかし、他の皮膚疾患や単純ヘルペスなどと混同されることもあるため、臨床症状だけで確定的な診断は難しいことがあります。

場合によってはウイルス検査によって、症状を引き起こしているウイルスを特定します。

ヘルペス

ヘルペスの症状である水疱性の発疹、赤みを帯びた腫れ、かゆみなどを確認するだけで診断できます。ただし、他の疾患との鑑別を目的にウイルス検査が行われることがあります。

帯状疱疹とヘルペスの治療法

帯状疱疹とヘルペスの治療法は、いずれも薬物療法です。それぞれの治療法や使用する薬について詳しく見ていきましょう。

帯状疱疹

帯状疱疹は、年齢や免疫機能によって症状の重症度が異なります。軽症の場合でも、無理をすることで重症化する可能性があるため、放置せずに医療機関を受診しましょう。

帯状疱疹の初期には、抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなど)をできるだけ早く服用することが推奨されています。これにより、ウイルスの増殖を抑制し、症状の悪化を防ぎます。

また、非ステロイド抗炎症薬で皮膚の炎症を抑えることも重要です。水疱が現れてからは細菌の二次感染を防ぐために化膿疾患用の塗り薬を使用します。さらに、潰瘍が形成された場合には潰瘍治療薬を貼布することもあります。

重症な場合や合併症のリスクが高い場合は、入院して抗ウイルス薬(アシクロビル、ビダラビンなど)を点滴静注で投与することも検討されます。

塗り薬、飲み薬、点滴静注の順に効果が高くなるため、これらを重症度や体質、合併症などに応じて組み合わせて使用します。

ヘルペス

ヘルペスは、軽症では抗ヘルペス薬(アシクロビル、ビダラビン)の塗り薬を使用します。

ただし、近年では米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)が、塗り薬の長期使用により耐性ウイルスの出現リスクが高まる可能性を指摘しているため、使用の可否を慎重に判断する必要があります。

初感染や中等症の場合は、抗ヘルペス薬(アシクロビル、バラシクロビル)の飲み薬を使用します。重症のヘルペスや免疫機能が低下している患者に対しては、抗ヘルペス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注が必要になることも少なくありません。

ヘルペスによって細菌の二次感染が起きている場合は、抗生物質の全身投与または塗り薬で対応します。

帯状疱疹とヘルペスの市販薬はある?

帯状疱疹に有効な市販薬は販売されていません。塗り薬と飲み薬のいずれも医師の処方箋が必要です。

一方、ヘルペスに関しては市販薬もありますが、飲み薬に限ります。また、再発した際の初期段階で使用することを目的としており、すでに悪化したものや初感時には使用できません。

ヘルペスの市販薬に含まれている成分は、アシクロビルやビダラビンといった抗ウイルス成分です。市販薬を使用する場合でも、症状や再発の頻度によっては医師に相談し、適切な処置を受ける必要があります。

ヘルペスの飲み薬を個人輸入することも可能ですが、そもそもヘルペスかどうかは自己判断できません。そのため、自己判断で使用するのではなく、必ず医師の診察を受けて、処方してもらうことが大切です。

ヘルペスの市販薬について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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受診する時間がない場合は、おうち病院「オンラインヘルペス外来」

帯状疱疹とヘルペスは、どちらも水疱を作る点が似ているものの、症状の経過や感染経路などに違いがあります。

いずれにしても、帯状疱疹やヘルペスを疑う症状が現れている場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。しかし、仕事や家事、育児などに追われており、受診する時間を確保できない方もいらっしゃいます。

そのような方には、おうち病院「オンラインヘルペス外来」をおすすめします。帯状疱疹とヘルペスのどちらの診察もオンラインで受けることができます。さらに、治療薬は自宅から近い薬局で受け取ることができます。

帯状疱疹とヘルペスは、放置すると重症化することもあるため「オンラインヘルペス外来」をうまく活用しましょう。