産後に体重が戻らない方へ|医療GLP-1ダイエットの効果・授乳中の安全性・受診条件を医師が解説

「出産前の体型に戻りたいのに、どうしても体重が減らない」——産後に体重の悩みを抱える方は少なくありません。授乳・育児・睡眠不足が重なる産後の生活の中で、食事制限や運動によるダイエットを継続することは容易ではありません。

近年、医療機関で処方されるGLP-1薬(ウゴービ・ゼップバウンド等)による体重管理が注目されていますが、「産後でも使えるの?」「授乳中でも大丈夫?」という疑問を持つ方も多いことでしょう。この記事では、産後とGLP-1薬の関係、受診できる条件、産後の体重管理に役立つ生活習慣について医師が解説します。

この記事でわかること

  • 産後の体重増加は、ホルモン変化・睡眠不足・授乳による食欲増加など複数の医学的要因が重なるため、意志の力だけでは解決しにくい
  • GLP-1薬(ウゴービ・ゼップバウンド等)は授乳中には使用禁忌であり、授乳終了後に受診を検討することが推奨される
  • 産後・授乳終了後にBMI 27以上または肥満関連健康障害がある方は、医療的な体重管理の対象となりえる
  • おうち病院の肥満症外来はオンラインで受診でき、育児中の通院が難しい方でも自宅から相談できる
  • 産後の体重管理では、薬物療法に加えて授乳・睡眠・栄養バランスに配慮した生活習慣改善が重要

産後に体重が戻りにくい医学的な理由

産後の体重増加・体重維持は、単なる「食べすぎ・運動不足」では説明できない、複数の医学的メカニズムが関与しています。

1. ホルモンバランスの急激な変化

妊娠中に高値を保っていたエストロゲン・プロゲステロンが出産後に急低下します。エストロゲンには脂肪の蓄積を調節する働きがあり、その低下は脂肪が蓄積されやすい状態をつくります。また、授乳中はプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が高値を保ち、脂肪の分解を抑制する働きがあります。

2. 睡眠不足による食欲調節の乱れ

睡眠が断続的になる産後は、食欲を増進させるホルモン(グレリン)が増加し、食欲を抑制するホルモン(レプチン)が減少します。これにより、空腹感が増しやすく、高カロリーなものを求める傾向が高まります。

3. 授乳によるカロリー消費と食欲増加の矛盾

授乳は1日あたり約500kcalを消費するとされ、体重減少につながる側面もあります。しかし同時に、授乳中は食欲が増加しやすく、そのカロリー消費を上回る摂取につながるケースも多くみられます。

4. 活動量の低下

出産後の身体的回復期には運動が制限されます。育児による慢性的な疲労も、意図的な身体活動を困難にする要因です

産後肥満の主な特徴まとめ

産後の体重変化は個人差が大きく、以下のような傾向がみられます。

特徴詳細
出産後の急激な体重減少出産直後は赤ちゃん・胎盤・羊水・血液分が一時的に減少するが、その後は脂肪組織は残存
体脂肪の再分布産後はウエスト周りに内臓脂肪・皮下脂肪が蓄積しやすくなる傾向がある
産後うつとの関連産後うつはストレスホルモン(コルチゾール)を上昇させ、腹部への脂肪蓄積を促進する可能性がある
妊娠糖尿病の既往妊娠糖尿病を経験した方は、産後に2型糖尿病・インスリン抵抗性を発症するリスクが高い
次子妊娠への影響産後の体重が妊娠前に戻らないまま次の妊娠に入ると、妊娠高血圧症候群等のリスクが増加する可能性がある

参考:日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2022 / 日本産婦人科学会

GLP-1薬と授乳中の安全性

産後・授乳中へのGLP-1薬使用について、最も重要な注意点をお伝えします。

現時点で承認・販売されているGLP-1受容体作動薬(セマグルチド・チルゼパチドなど)は、授乳中の使用が禁忌(使用してはいけない)とされています。

これは、GLP-1薬が母乳を通じて乳児に移行する可能性や、乳児の発育への影響が十分に検討されていないためです。添付文書では授乳中の投与を避けることが明記されています。

GLP-1薬授乳中の可否根拠
ウゴービ(セマグルチド)禁忌添付文書「授乳婦には投与しないこと」との記載あり
マンジャロ(チルゼパチド)禁忌添付文書「授乳婦には投与しないこと」との記載あり
ゼップバウンド(チルゼパチド)禁忌添付文書「授乳婦には投与しないこと」との記載あり
リベルサス(経口セマグルチド)禁忌添付文書「授乳婦には投与しないこと」との記載あり

引用元:「ウゴービ皮下注 添付文書|ノボノルディスクファーマ
引用元:「ゼップバウンド皮下注 添付文書|イーライリリー」
引用元:「マンジャロ皮下注 添付文書|イーライリリー
引用元:「リベルサス 添付文書|ノボノルディスクファーマ」

GLP-1薬処方は授乳終了後の受診を検討すること

授乳を終えた後で、BMIや健康状態の基準を満たす方は、医療的な体重管理(GLP-1薬処方)を検討することができます。まずは医師にご相談ください。

産後に医療ダイエットを検討できる条件(授乳終了後)

授乳終了後、以下の条件を満たす方は、おうち病院の肥満症外来への受診を検討できます。

  • BMI 27以上 の方
  • BMI 25〜27 で、高血圧・高血糖・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群など肥満関連健康障害がある方
  • 妊娠前の体重から大幅に増加しており、生活習慣改善のみでは減量が困難と感じている方
  • 妊娠糖尿病の既往があり、産後も血糖値管理が気になる方

医師が診察の上で治療適応を判断します。まず初回相談(無料)でご自身の状況をご相談ください。

医療ダイエット(GLP-1薬)とはなにか

GLP-1受容体作動薬(ウゴービ・マンジャロ・リベルサスなど)は、食後に腸から分泌される「GLP-1ホルモン」の作用を薬理的に強めることで、食欲抑制・血糖管理・体重減少をサポートします。

食事制限や運動だけでは改善が難しかった肥満症に対し、医師の管理のもとで薬物療法を組み合わせるアプローチが、肥満症治療ガイドラインでも推奨されています。産後女性においても、ホルモン変化(エストロゲン低下・プロラクチン上昇)による食欲調節の乱れに薬理的にアプローチできる点が、産後体重管理の選択肢として注目されています。

主なGLP-1系薬剤と特徴(参考)

授乳終了後に受診する場合の参考として、主要薬剤の特徴を示します。

薬剤名剤形投与頻度肥満症承認特徴
ウゴービ注射週1回STEP-J試験:平均13.2%体重減少(68週)
ゼップバウンド注射週1回SURMOUNT-1試験:最大22.5%体重減少(72週)
リベルサス経口毎日❌(自費)注射が苦手な方向け。体重減少効果は注射薬より穏やか
マンジャロ注射週1回❌(自費)チルゼパチド。医師の判断による処方

副作用と対処法

GLP-1薬に共通する主な副作用は以下のとおりです。

副作用頻度目安対処のポイント
吐き気・嘔吐比較的多い(使い始め)少量の食事から始める。症状は多くが数週間で軽減する傾向がある
下痢やや多い脂っこい食事・過食を避ける。水分を十分に摂る
便秘やや多い食物繊維・水分摂取を増やす。症状が続く場合は医師に相談
食欲低下一般的少量でもタンパク質・栄養素を確保する食べ方を心がける
頭痛まれ水分補給を心がける。継続する場合は医師に相談
注射部位反応やや多い(注射薬)毎回注射部位を変える(腹部・太もも・上腕を交互に)

使用できない方・慎重投与が必要な方

GLP-1薬は全員に処方できるわけではありません。以下に該当する方は処方できない場合があります。

使用禁忌(処方できない方):

  • 授乳中の方(上記で説明のとおり)
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある方
  • 甲状腺髄様がん、または甲状腺髄様がんの家族歴がある方
  • 多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の方
  • 本剤の成分に対して重篤なアレルギー反応の既往がある方

慎重投与(医師に要相談):

  • 膵炎の既往がある方
  • 重篤な腎機能障害・肝機能障害がある方
  • 消化管の運動機能に問題がある方
  • 1型糖尿病の方

「医療ダイエット(GLP-1薬)が気になっているけど、自分には使えるのか?」

ウゴービ・マンジャロ・リベルサスなどを使用する医療ダイエット(GLP-1薬)はメディアやSNSで注目を集めていますが、「実際に自分が使えるのか」「費用がどれくらいかかるのか」がわからず、一歩踏み出せていない方が多くいらっしゃいます。

あくまで授乳終了後にはなりますが、産後体重管理についての受診を検討する際に、以下の項目を参考にしてください。

あなたはいくつ当てはまりますか?

☐ BMI 35以上である(高度肥満)

☐ BMI 27以上で、高血圧・2型糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群・変形性関節症のうち2つ以上がある

☐ 食事療法・運動療法を3か月以上続けたが、体重が十分に減らなかった

☐ 「注射が苦手」「経口薬で治療を始めたい」と思っている

☐ 「ダイエットしても続かない」「リバウンドを繰り返している」と感じている

3つ以上当てはまる場合は、医師に相談する価値があります。 ウゴービ・マンジャロ・リベルサスなどのGLP-1薬は、肥満症目的の処方は医師の適応判断のもとで自費診療となります。まずはオンラインで医師に相談することをおすすめします。

産後体重管理で大切な生活習慣の考え方

薬物療法を始める前後にかかわらず、産後の体重管理において生活習慣の整備は不可欠です。育児という制約の中でも実践できるポイントを挙げます。

食事のポイント(授乳中・授乳終了後共通)

産後は体力回復・授乳のために十分な栄養摂取が必要です。極端な食事制限は産後の回復を妨げます。

  • タンパク質(肉・魚・卵・大豆類)を毎食しっかり摂る
  • 野菜・海藻・きのこを積極的に摂り、食物繊維を増やす
  • 授乳中は1日あたり約350kcalの追加摂取が推奨されている(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」より)
  • 菓子・甘い飲料・加工食品は最小限に

参考:厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド

運動のポイント(産後2〜3ヶ月以降が目安)

産後すぐの激しい運動は体への負担が大きいため、産後健診(1ヶ月健診・2ヶ月健診)で医師の許可を得てから開始しましょう。

  • ウォーキング(赤ちゃんと一緒に)から始める
  • 腹筋・骨盤底筋のリハビリ(産後ヨガ等)を取り入れる
  • 週150分以上の中強度有酸素運動(産後健診の許可後)を目標に
  • 睡眠を優先し、運動で体を疲弊させすぎないバランスを保つ

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット

睡眠と体重の関係 睡眠不足は食欲増進ホルモン(グレリン)を増やし、体重管理を困難にします。赤ちゃんが眠っている間に一緒に休む「おひるね育児」を取り入れるなど、できる範囲での睡眠確保を意識しましょう。

参考:産後6ヶ月時点での睡眠時間の減少と産後1年時点での著しい体重増加との関連性(American Journal of Epidemiology,2007年10月)

参考:睡眠、ストレス、うつ病が産後体重維持に及ぼす影響:系統的レビュー(Journal of Psychosomatic Research,2014年9月)

参考:初産婦における夜間睡眠時間と産後体重維持の関係(Sleep Advances,2023年12月)

保険診療でウゴービ・ゼップバウンドを処方してもらえる医療機関は限られています

ウゴービ・ゼップバウンドは肥満症の適応・承認されています。保険診療での治療を希望する場合には、肥満症治療の条件を満たし、かつ「肥満症の専門的な教育・指導を行う医療機関」として認定された医療機関(認定肥満症専門病院)での受診が必要です。近隣の一般内科では対応していないケースも多く、専門病院の予約は数週間〜数か月待ちになることもあります。

多忙でなかなか通院できない方、または体型のことで人目が気になるという方には、オンライン診療が向いています。ただし、オンライン診療での肥満症治療は自費診療となります(保険適用は対面の認定専門病院のみ)。

産後に医療ダイエット(GLP-1薬処方)ご希望なら、「おうち病院 きちんと向き合う肥満症改善外来」という選択肢

肥満や過体重は、高血圧・糖尿病・脂質異常症など、さまざまな生活習慣病のリスク因子となります。運動や食事に気を配っているつもりでも、出産後のホルモンバランスの変化、ストレスなどの影響で、思うように体重が落ちないと感じている方も多いのではないでしょうか。

そのような方には、医師の継続的な診察とサポートを受けながら、医療的介入(薬物治療)と生活習慣の見直しを組み合わせた治療が推奨されます。

「他サービスのように、お薬の処方だけで終わりでは不安…」そんな声に応えるのが、「おうち病院 きちんと向き合う肥満症改善外来」です。

おうち病院の「きちんと向き合う肥満症改善外来」では、スマートフォンのブラウザから医師の診察を受け、ウゴービ・マンジャロ・ゼップバウンド・リベルサスなどの肥満症治療薬の処方・自宅配送まで一貫してオンラインで完結できます(自費診療)。

✅ 自宅から受診できる

診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。肥満やダイエットの悩みを対面で話すことへの心理的なハードルを軽減できます。

✅ 時間通りに診察が始まる

予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込めます。平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診療可能です。

✅ 女性医師が丁寧に診察

おうち病院の肥満症改善外来では、初回診察時間を30分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「どんな風に伝えればいいか分からない」「生活に支障が出ている」といった具体的な悩みを落ち着いて相談できます。患者様の背景や課題を丁寧にヒアリングし、きめ細かい治療方針を提案します。リバウンド防止にも対応しています。

✅ 薬は自宅に配送される

自宅配送「おくすりおうち便」にて配送。薬局に行く手間がありません。

対応している薬剤(2026年4月現在):

  • ウゴービ(セマグルチド)週1回皮下注射
  • ゼップバウンド(チルゼパチド)週1回皮下注射
  • リベルサス(セマグルチド)1日1回経口錠
  • マンジャロ(チルゼパチド)週1回皮下注射

費用の目安(自費診療):

この外来は自費診療(保険適用外)です。保険診療を希望の場合は、保険適用条件を満たすか医師にご確認の上、認定肥満症専門病院を受診してください。

受診の流れ:

  1. おうち病院のきちんと向き合う肥満症改善外来にアクセス → 肥満症外来の予約フォームに入力
  2. 問診票(食事・運動歴・合併症・服薬歴など)に回答
  3. オンラインで医師と診察(約30分を確保)
  4. 処方が決まった場合、オンライン服薬指導を実施して、自宅配送で薬を受け取る
  5. 翌月以降、毎月の定期フォローアップで進捗を確認・薬を調整

なお、初回受診時には医師が正確に状態を把握するため、「健康診断書」または「体重計測結果の画像」のご提出が必要です。ご予約の前にご用意いただくようお願いいたします。

本気で産後の体重改善に取り組みたい方、自己流のダイエットに限界を感じている方は、
ぜひ「おうち病院 きちんと向き合う肥満症改善外来」での診察をご検討ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 授乳中にGLP-1薬を使うことはできますか?

A.授乳中のGLP-1薬(ウゴービ・マンジャロ・ゼップバウンド・リベルサスなど)の使用は禁忌(使用禁止)です。各薬剤の添付文書に「授乳婦には投与しないこと」と明記されています。授乳終了後に受診をご検討ください。

Q. 産後いつから受診できますか?

A.産後の受診については授乳終了後を目安にご検討ください。産後の体の回復状況・授乳の状況・BMIや健康状態を踏まえ、医師が診察の上で治療適応を判断します。まずは初回相談(無料)でご自身の状況をお知らせください。

Q. 産後で体重が増えているが、BMIは27未満です。受診できますか?

A.BMI 25〜27の方でも、肥満関連健康障害(高血圧・高血糖・脂質異常症など)がある方は受診の対象となる場合があります。また、妊娠糖尿病の既往がある方も相談対象です。まず医師の診察を通じて適応を確認することをお勧めします。

Q. 受診対象はどのような方ですか?

A.BMI 27以上の方、もしくはBMI 25〜27で肥満の腹囲基準または既往症基準の条件を満たす方が対象です。ただし、医師が診察した上で治療適応を判断しますので、まずは初回相談にお越しください。かかりつけ医への照会や他の医療機関の受診が適切と判断した場合は、そのようにご案内することもあります。おうち病院の肥満症外来は美容目的のダイエットは推奨しておらず、肥満を解消し健康体を目指すことを目的とした受診をお願いしております。

Q. 産後ダイエット目的でもGLP-1薬を処方してもらえますか?

A.美容目的のみのダイエット(健康上の問題を伴わない方)には対応していません。ただし、産後に体重が増加し肥満基準に該当する方・肥満関連健康障害がある方については、医師の診察を経て治療を検討できます。まずは初回相談でご状況をお伝えください。

Q. 育児中で通院が難しいですが、フォローも受けられますか?

A.はい、フォローアップ診察もオンラインで受けていただけます。育児中の方でも、スマートフォンから自宅で受診が完結します。処方薬の配送も自宅対応しています。

Q. 妊娠糖尿病の既往がある場合、産後の体重管理に医療は必要ですか?

A.妊娠糖尿病を経験した方は、産後10年以内に約50%が2型糖尿病を発症するリスクがあるとされています(参考:日本糖尿病学会)。産後の体重管理は血糖値リスクの低減にもつながるため、かかりつけ医や産婦人科医に相談しながら体重管理を継続することが推奨されます。

おうち病院の特化型外来

診療科目

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診療科目(自費)