汗濡れで手を繋げない…、手の多汗症の症状・原因・治療法について解説

汗で濡れて恋人と手を繋げない、つり革が滑って握れない、ノートをとっていて紙が濡れて字がにじむといった経験はありませんか。チョークを持つと粉が取れない学校の先生や、鍵盤を叩く指が滑ってしまうピアニストの方など、手汗が多くて普段から困ることが多い方は、手の多汗症かもしれません。今回は手の多汗症かもしれないという方に、症状や原因、治療方法などをご紹介します。

目次

手の多汗症とは

手の多汗症は、汗の原因が糖尿病や更年期障害といった持病に関わらない場合、別名「原発性手掌(しゅしょう)多汗症」といいます。緊張する場面でもなく、日常的に手から大量の汗がでる病気です。手の多汗症の人は6か月以上にわたって手汗が多いほか、次の特徴がみられます。

・最初に症状がでたのが 25 歳より前

・左右対称に汗をかく

・眠っているときは手汗をかかない

・1 週間に 1 回以上、手汗の量が多いと感じた記憶がある

・家族に多汗症の人がいる

・手汗が原因で生活に困っている

また、手の多汗症の人は足の裏にも症状が出る場合も多く、その場合は「掌蹠(しょうせき)多汗症」と診断されます。

手の多汗症の症状

 手の多汗症は、小学校入学時期から思春期あたりに症状を自覚するようです。手汗が気になって握手やハイタッチといった社交的活動を避けがちだったり、重症の場合は手から汗が滴り落ちて不快に感じたりします。

 また大量の手汗をかくことで、あせもができやすく、皮膚が軟らかくなってむけやすくなることもあり、ウイルス感染の合併症を伴う危険性があります。

 手の多汗症の発症率は全国で5.3%と、日本には約490万人の患者がいると推測されますが、「ただの手汗」と病院に行くのを避けがちで、周囲の人からも「そこまで気にしなくても良いのでは」と言われるなど受診する人が少ない現状です。

手の多汗症の原因

 手の多汗症の人は、健常者の人と比べて汗腺の数や大きさに違いがないため、汗腺の働きが異常になっていると考えられています。手のひらは周囲の温度によって汗をかくわけではなく、精神的に不安や緊張を感じる時に汗をかきやすいようです。家族に多汗症の人がいる場合、遺伝の可能性もあります。

手の多汗症の治療法

 治療については薬の服用のほか、水道水の入った容器に手を入れて微弱の電流を流すイオントフォレーシス治療が一般的です。薬は錠剤タイプと手のひらに直接付ける塗り薬のタイプがあります。手に注射を打つボツリヌス毒素局所注射や、重症の人は手術を希望することもできます。

手の多汗症の薬

 【塗り薬】

 手の多汗症と診断された場合には以下の薬が処方されます。重症度と患者の希望によって処方内容が変わります。

 ・アポハイドローション20%

 ・抗コリン外用薬

 ・塩化アルミニウム外用薬(保険適用なし)

 【飲み薬】

 ・抗コリン薬

 【注射薬】

 ・A型ボツリヌス菌毒素製剤(重度の場合)

 

手の多汗症の対策

 一番の対策は病院を受診して薬の処方を受けることですが、日常生活で対策できることとしては次のものがあげられます。

 ・手汗ケアの習慣をつける

 こまめに汗を拭くことで皮膚の軟化などを予防し合併症を防ぐことができます。ハンカチは汗を拭くほか、つり皮に汗が付かないように持つことができるので外出の時は携帯するようにしましょう。

 ・精神安定に努める

 緊張すると手汗をかきやすいので、精神的に不安を感じる場面は避けることが大切です。ストレスは溜め込まないようにし、睡眠もしっかり取りましょう。

 ・市販薬を利用する

 ドラッグストアで手汗予防のジェルを購入し、使うのも良いでしょう。特にアルミニウム・ローションは汗腺を塞ぎ、手汗をかきづらくなります。しかし病院で処方された物に比べて濃度は低いため、制汗効果は得づらい可能性もあります。

まとめ

 普段、通学や通勤時に手汗が気になるという方、人よりも手汗が出やすいと感じている方は手の多汗症の可能性があります。「汗の相談では病院に行きづらい」、「人に話すのが恥ずかしい」という思いもあるかもしれませんが、生活に不便を感じている方は受診することをおすすめします。

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