更年期のホルモン補充療法(HRT)とは?効果・副作用・受けられない人と漢方との使い分け

「ホットフラッシュがつらいが、ホルモン剤を使うのは少し怖い」「HRTという治療があるらしいが、自分が受けられるのかわからない」——更年期の治療を調べると必ず出てくるのがホルモン補充療法(HRT)です。効果が期待できる一方で、受けられない条件がはっきり定められている治療でもあります。本ページでは、HRTのしくみと受けられない条件を整理したうえで、ホルモン剤を使わない選択肢との使い分けまでを解説します。

この記事で分かること

  • HRTは減少したエストロゲンを補う治療で、ほてり・発汗といった血管運動神経症状が主な対象
  • 投与方法は飲み薬・貼り薬・塗り薬の3種類があり、体質や既往歴で選び分ける
  • 子宮がある方は、子宮内膜への影響を抑えるため黄体ホルモンを併用する
  • 絶対禁忌が8項目定められており、乳がんの既往や血栓症の既往などがある場合は使用できない
  • HRTを避けたい・使えない場合は、保険適用の漢方薬が選択肢になる
  • おうち病院ではHRTを取り扱っていません。漢方薬による治療をオンラインの保険診療で提供しています

【比較表】更年期の治療の選択肢

まず全体像です。更年期障害の治療は、大きく「ホルモンを補う治療」と「ホルモンを補わない治療」に分かれます。

ホルモン補充療法(HRT)漢方薬向精神薬など
しくみ減少したエストロゲンを補う体質の偏りを整える気分症状に直接作用する
主な対象症状ほてり・発汗(血管運動神経症状)ほてり・冷え・イライラ・疲労感など複数症状抑うつ・不安
保険適用あり(更年期障害の診断が必要)ありあり
効果の出方数週間〜1〜2か月1〜3か月かけて緩やかに2〜4週間
使えない条件絶対禁忌8項目(後述)体質に合わない場合。甘草の重複に注意併存疾患・併用薬による
必要な管理婦人科での検査と定期的な管理問診が中心医師の管理下
主な受診先婦人科(対面)婦人科・内科(オンライン可心療内科・精神科
おうち病院での取り扱いなしあり(保険適用)なし
※現在、おうち病院ではHRTを取り扱っていません。HRTをご希望の場合は対面の婦人科を受診してください。ホルモン剤を避けたい方・使えない方には、保険適用の漢方薬という選択肢があります。

HRTとはどんな治療ですか

HRT(Hormone Replacement Therapy)は、更年期に急激に減少するエストロゲン(女性ホルモン)を外から補う治療です。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳で、その前後10年間、おおよそ45〜55歳がエストロゲンの減少が起こる時期にあたります。

エストロゲンの減少によって体温調節をつかさどる自律神経の働きが乱れると、ほてり・のぼせ・発汗といった血管運動神経症状が現れます。HRTはこの原因側に直接働きかける治療で、血管運動神経症状に対する中心的な選択肢とされています。

投与方法は3種類あります

同じHRTでも、薬の入れ方によって特徴が変わります。どれを選ぶかは体質・既往歴・生活習慣を踏まえて医師が判断します。

投与方法特徴向いているケース
飲み薬(経口)服用が簡単。1日1回など決まった回数で飲む皮膚が弱い方、貼り薬・塗り薬が続けにくい方
貼り薬(パッチ)皮膚から吸収させる。肝臓を通らずに血中へ入る肝機能が気になる方、飲み薬で胃腸症状が出る方
塗り薬(ゲル)皮膚に塗って吸収させる。量の微調整がしやすい貼り薬でかぶれる方、細かく量を調整したい方

子宮がある方は黄体ホルモンを併用します

子宮がある方の場合、エストロゲンを単独で長期に使うと子宮内膜が厚くなり、子宮内膜癌のリスクが高まることが知られています。 このため、子宮がある方には黄体ホルモン(プロゲスチン)を併用するのが原則です。子宮を摘出している方は、エストロゲン単独で用います。

「同じHRTでも人によって処方が違う」のはこのためです。ご自身の状態に合った組み合わせは、婦人科での診察で決まります。

HRTを受けられない条件(絶対禁忌)

HRTは、誰でも受けられる治療ではありません。 ホルモン補充療法ガイドライン(日本産科婦人科学会・日本女性医学学会)では、以下の8項目が絶対禁忌(使用してはいけない条件)として定められています。

絶対禁忌
1.重度の活動性肝疾患
2.現在の乳がん、およびその既往
3.現在の子宮内膜癌(子宮体癌)、低悪性度子宮内膜間質性肉腫
4.原因不明の不正性器出血
5.妊娠が疑われる場合
6.急性血栓性静脈炎または静脈血栓症、およびその既往
7.心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往
8.脳卒中の既往

このほか、子宮内膜癌の既往をはじめとする14項目が慎重投与(条件付きで実施を検討する)として整理されています。

原因不明の不正性器出血がある場合は、HRTを始める前にその原因を調べる必要があります。 出血の背景に子宮や卵巣の疾患が隠れている可能性があるためです。不正出血がある方は、まず婦人科で検査を受けてください。

参考:更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)|日本産婦人科医会

乳がんリスクについて、どう考えればよいですか

HRTを検討する方がもっとも気にされる点です。整理してお伝えします。

まず、乳がんの既往がある方・現在乳がんの方はHRTを使用できません(絶対禁忌の2番目)。ここは明確です。

そのうえで、既往がない方についてです。エストロゲンと黄体ホルモンを併用する長期のHRTでは、乳がんの発症リスクがわずかに上昇するという報告があります。一方、子宮摘出後のエストロゲン単独療法では、そのような上昇がみられないとする報告もあり、製剤の種類・投与期間・開始年齢によって評価が変わります。

重要なのは、**「リスクがあるかないか」ではなく「その方にとってリスクとベネフィットのどちらが上回るか」**という判断だという点です。これは検査結果と既往歴を確認したうえで医師が個別に判断するものであり、記事で一律にお答えできる性質のものではありません。婦人科でご相談ください。

ホルモン剤を使わない選択肢

「絶対禁忌に当てはまる」「ホルモン剤には抵抗がある」「婦人科で定期的に管理を受ける時間が取れない」——こうした理由でHRTを選ばない方には、非ホルモンの治療という選択肢があります。

現在、更年期障害に対して保険適用で用いられる非ホルモン治療の中心は漢方薬です。ホルモンそのものを補充せず、体質の偏りを整えることで症状の緩和を目指します。

漢方薬適する体質・状態主な対象症状
加味逍遙散体質虚弱、肩がこり疲れやすく、便秘傾向イライラ、不安、のぼせ、精神神経症状
当帰芍薬散筋肉が軟弱で疲労しやすく、腰脚が冷えやすい貧血、倦怠感、頭重、頭痛、めまい、肩こり
桂枝茯苓丸体格はしっかりし赤ら顔が多いのぼせ、頭痛、めまい、肩こり
温経湯手足がほてり、唇がかわくほてり、不眠、足腰の冷え

いずれも医療用漢方エキス製剤の効能・効果に「更年期障害」が明記されており、保険診療で処方できます。使い分けの詳細は 更年期障害の漢方 をご覧ください。

HRTはどこで受けられますか

受診先HRT漢方薬備考
婦人科(対面)HRTの検査・処方・定期管理ができる
女性外来・女性内科(対面)○(施設による)施設によって対応が異なる
内科(対面)△(施設による)HRTは扱わない施設が多い
おうち病院(オンライン)○(保険適用)HRTは取り扱っていません

HRTは開始前の検査と、開始後の定期的な管理が前提になる治療です。対面の婦人科で継続的に診てもらえる環境を確保したうえで始めてください。 受診先の全体像は 更年期は何科に行けばいい?症状タイプ別・診療科の早見表 で整理しています。

あなたはどちらに近いですか【セルフチェック】

以下のAタイプ・Bタイプのうち、当てはまる項目が多いほうが、いま検討しやすい方向です。

Aタイプ:HRTを婦人科で相談してみる価値がある

□ ほてり・のぼせ・発汗が週に何度もあり、仕事や外出に影響している
□ 症状の中心が血管運動神経症状(ほてり・発汗)である
□ 乳がん・子宮体癌・血栓症・心筋梗塞・脳卒中の既往がない
□ 不正出血はない
□ 婦人科に定期的に通える環境がある

Bタイプ:まず非ホルモン(漢方薬)から検討したほうがよい

□ 絶対禁忌8項目のいずれかに当てはまる、または当てはまるか分からない
□ ホルモン剤を使うことに抵抗がある
□ ほてりだけでなく、冷え・イライラ・疲労感・不眠などが混在している
□ 平日に婦人科へ通う時間を確保しづらい
□ まず試せる範囲から始めたい

Bタイプに3つ以上当てはまる方は、漢方薬から検討する価値があります。 なお、AタイプとBタイプは排他的ではありません。漢方を試したうえでHRTに移る方も、その逆もあります。

8割の人が受診していないという背景

厚生労働省が2022年7月26日に公表した「更年期症状・障害に関する意識調査」では、更年期症状を自覚した女性のうち40歳代の81.7%、50歳代の78.9%が医療機関を受診していないことが示されました。受診しなかった理由の最多は「医療機関に行くほどのことではない」でした。

HRTという治療があることを知っていても、婦人科の受診自体がハードルになっている——それがこの数字の背景にあると考えられます。

参考:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」結果概要(2022年7月26日)
参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」(厚生労働省研究班監修)

HRTをご希望の方へ|対面の婦人科を受診してみてください

現状、おうち病院ではHRTを取り扱っていません。 HRTは開始前の検査(問診・血液検査・必要に応じて超音波検査や乳がん検診)と、開始後の定期的な管理が前提となる治療のためです。

婦人科を受診される際は、次の情報を持参・整理しておくとスムーズです。

  1. 症状の記録 — いつから・どんな症状が・週に何回くらいあるか
  2. 月経の状況 — 最終月経、周期の乱れ方、不正出血の有無
  3. 既往歴 — 乳がん・子宮体癌・血栓症・心筋梗塞・脳卒中の有無(絶対禁忌に関わります)
  4. 家族歴 — 乳がん・血栓症の家族歴
  5. 服用中の薬 — 市販薬・サプリメントも含めてすべて

ホルモン剤を避けたい方へ|「おうち病院 オンライン診療」という選択肢

「絶対禁忌に当てはまる」「ホルモン剤には抵抗がある」「婦人科に通う時間が取れない」——そうした方には、非ホルモンの治療から始める方法があります。

おうち病院では、スマートフォン・PCから保険適用で内科の診察を受けられます。更年期症状に対しては、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・温経湯などの漢方薬を保険診療で処方しています。漢方薬の処方にあたって、事前の検査資料は必要ありません。

おうち病院の特徴

✅ 自宅から受診できる

スマートフォン・PCから問診・診察が完結します。ほてりや気分の変動といった、対面では話しづらい症状も、自室から落ち着いて相談できます。待合室で他の患者さんと顔を合わせることもありません。

時間通りに診察が始まる

予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能

✅ 女性医師が丁寧に診察

診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「ホルモン剤を使わずに症状を和らげたい」「体質に合った漢方薬を探したい」といった具体的な相談を落ち着いてしていただけます。

受診場所と薬の受け取り場所を分けられる

受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし

受診費用の目安(保険適用・3割負担の場合)

費用項目金額
診察料(保険適用・初診)1,000〜1,200円
システム利用手数料1,100円
合計目安約1,900〜2,400円
※自宅への配送をご希望の場合は追加900円にて「おくすりおうち便」をご利用いただけます。
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。

おうち病院 オンライン診療の受診の流れ(5ステップ)

  1. おうち病院のトップページから診療予約(ほてり・のぼせが中心なら内科、手足・脇の限局した汗が中心なら多汗症外来)
  2. 事前問診票に回答(症状の内容と程度・月経の状況・既往歴・現在服用中の薬・試した市販品など)
  3. ビデオ通話で医師と診察 (約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
  4. 処方薬を薬局で受け取り、または自宅に配送してもらう
  5. 経過を見ながら調整 — 漢方薬は1〜3か月で効果を判断します

どちらで予約すればよいか迷う場合は、内科からの受診予約で構いません。 診察のなかで医師が発汗の性質を確認し、必要に応じて対応を判断します。

対面受診をおすすめする場合

以下に当てはまる場合は、対面での受診をご検討ください。オンライン診察の中で医師が対面受診の必要性を判断した場合も、あらためてご案内します。

  • ホルモン補充療法(HRT)を希望する場合(対面の婦人科へ)
  • 不正出血がある、月経量が急に増えた場合
  • 甲状腺疾患や貧血が疑われ、血液検査が必要な場合
  • 漢方薬を2〜3種類試しても改善がみられない場合

よくある質問(FAQ)

Q. 更年期のホルモン補充療法(HRT)とは何ですか?

A.更年期に急激に減少するエストロゲン(女性ホルモン)を外から補う治療です。ほてり・のぼせ・発汗といった血管運動神経症状に対する中心的な選択肢とされています。投与方法は飲み薬・貼り薬・塗り薬の3種類があり、子宮がある方は子宮内膜への影響を抑えるため黄体ホルモンを併用するのが原則です。

Q. HRTは誰でも受けられますか?

A.受けられません。ホルモン補充療法ガイドライン(日本産科婦人科学会・日本女性医学学会)で8項目の絶対禁忌が定められています。重度の活動性肝疾患、現在の乳がんとその既往、現在の子宮内膜癌・低悪性度子宮内膜間質性肉腫、原因不明の不正性器出血、妊娠が疑われる場合、急性血栓性静脈炎または静脈血栓症とその既往、心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往、脳卒中の既往です。このほか慎重投与として14項目が整理されています。

Q. HRTで乳がんのリスクは上がりますか?

A.まず、乳がんの既往がある方・現在乳がんの方はHRTを使用できません(絶対禁忌)。既往がない方については、エストロゲンと黄体ホルモンを併用する長期のHRTで発症リスクがわずかに上昇するという報告がある一方、子宮摘出後のエストロゲン単独療法では上昇がみられないとする報告もあり、製剤の種類・投与期間・開始年齢によって評価が変わります。個別のリスクとベネフィットの比較になりますので、婦人科でご相談ください。

Q. おうち病院でHRTを受けられますか?

A.受けられません。おうち病院ではHRTを取り扱っておりません。HRTは開始前の検査と開始後の定期的な管理が前提となる治療のため、対面の婦人科を受診してください。おうち病院では、更年期障害に対する漢方薬をオンラインの保険診療で処方しています。

Q. ホルモン剤を使いたくない場合、どんな選択肢がありますか?

A.保険適用の漢方薬が選択肢になります。加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・温経湯などは、いずれも医療用漢方エキス製剤の効能・効果に「更年期障害」が明記されています。ホルモンそのものを補充せず、体質の偏りを整えることで症状の緩和を目指す治療です。効果の判断には1〜3か月の継続が目安になります。

Q. HRTと漢方薬は併用できますか?

A.医師の判断のもとで併用されることはあります。ただし、HRTは婦人科での管理、漢方薬は婦人科または内科での処方となるため、複数の医療機関にかかる場合は、双方に服用中の薬をすべて伝えてください。とくに漢方薬に含まれる甘草は、他の漢方薬と重複すると偽アルドステロン症のリスクが高まるため、確認が必要です。

Q. HRTはいつまで続けるものですか?

A.一律の期間は定められていません。症状の程度、年齢、開始からの経過、リスク因子の変化などを踏まえて、継続の可否を定期的に見直していくのが一般的です。開始後も婦人科で定期的に評価を受けることが前提の治療ですので、期間についても主治医とご相談ください。

Q. 更年期障害の治療は保険適用になりますか?

A.なります。更年期障害と診断された場合、ホルモン補充療法・漢方薬のいずれも健康保険の適用を受けられます。おうち病院のオンライン診療も初診から保険診療に対応しており、診察料1,000〜1,200円とシステム利用手数料1,100円で、合計約1,900〜2,400円が目安です。一方、ドラッグストアで購入する市販薬やサプリメントは保険適用外です。

おうち病院の特化型外来

診療科目

その他一般科として、内科、小児科、皮膚科、循環器内科を受診いただくことが可能です。

診療科目(自費)