花粉症の点鼻薬|市販と処方の違い・鼻づまりに効く選び方と、使い続けてはいけない薬

飲み薬を飲んでいるのに鼻がつまったまま——花粉症でこの状態が続いているなら、薬の種類が症状に合っていない可能性があります。鼻づまりに対しては、飲み薬より点鼻薬のほうが効果が期待できるとガイドラインで示されています。一方で、市販の点鼻薬には使い続けてはいけないものがあります。本ページでは点鼻薬の種類と選び方を整理し、注意すべき使い方までをご案内します。

この記事で分かること

  • 鼻づまりが中心なら、飲み薬より鼻噴霧用ステロイド薬です。鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版で鼻閉に対して推奨されています
  • 血管収縮薬が入った市販の点鼻薬を使い続けると、かえって鼻づまりが悪化することがあります(薬剤性鼻炎)
  • 市販のステロイド点鼻薬には「1年間に3か月まで」「15歳未満は使用不可」という制限があります
  • 処方の鼻噴霧用ステロイド薬にはこの期間制限がなく、小児用の用法が設定されている製剤もあります
  • 鼻噴霧用ステロイド薬は局所に作用するため、飲み薬に比べて全身への影響が少なく、眠気も問題になりません

なぜ鼻づまりには点鼻薬なのか

「飲み薬を飲んでいるのに鼻づまりが治らない」という状態には、はっきりした理由があります。

花粉症の症状は、関わる物質によって2つに分かれます。

症状主に関わる物質効きやすい薬
くしゃみ・水のような鼻水ヒスタミン抗ヒスタミン薬(飲み薬)
鼻づまり(鼻閉)ロイコトリエンなど。鼻粘膜の腫れが原因です鼻噴霧用ステロイド薬、抗ロイコトリエン薬

鼻づまりは、粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなった状態です。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの働きを抑える薬なので、粘膜の腫れそのものには効きにくくなります。

鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版では、鼻閉に対して鼻噴霧用ステロイド薬が推奨されています。鼻の粘膜に直接届くため少量で効果が期待でき、飲み薬に比べて全身への影響が少ないことも特徴です。眠気も問題になりません。

点鼻薬の4分類

点鼻薬は成分の働きで4つに分かれます。選び方を誤ると効かないだけでなく、症状を悪化させることがあります。

分類働き効果の出方連用市販/処方
ステロイド(鼻噴霧用ステロイド薬)粘膜の炎症と腫れを抑えます数日〜1週間程度シーズンを通した使用が想定されています市販(制限あり)・処方
抗ヒスタミンかゆみ・くしゃみ・鼻水を抑えます比較的早い市販が中心
抗アレルギー(メディエーター遊離抑制)症状が出るのを抑えます緩やか市販が中心
血管収縮薬血管を縮めて鼻の通りをよくしますすぐ⚠ 連用は避けてください市販が中心

一番下の血管収縮薬に注意してください。「差した瞬間に鼻が通る」という使用感は、炎症が治ったからではなく血管を縮めて一時的に通り道を広げているだけです。詳しくは後述します。

市販の点鼻薬の比較

市販の点鼻薬は、配合されている成分で性格がまったく異なります。

タイプ主な成分特徴注意点
ステロイド点鼻薬
〈季節性アレルギー専用〉
フルチカゾン、ベクロメタゾン鼻づまりに効果が期待できます。処方薬と同じ成分です1年間に3か月まで。15歳未満は使用不可(後述)
抗ヒスタミン配合ケトチフェンなどくしゃみ・鼻水に鼻づまりへの効果は限定的です
抗アレルギー成分のみクロモグリク酸など症状が出る前から使うタイプ即効性は期待しにくい成分です
血管収縮薬配合ナファゾリン、テトラヒドロゾリンすぐに鼻が通ります⚠ 連用で鼻づまりが悪化することがあります

「鼻づまりに効く」と書かれた市販の点鼻薬の多くは、血管収縮薬を含んでいます。成分表示をご確認ください。

使い続けてはいけない点鼻薬(薬剤性鼻炎)

このセクションは、本ページで最もお伝えしたい内容です。

血管収縮薬(ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなど)を含む点鼻薬を連用すると、薬剤性鼻炎(点鼻薬性鼻炎)という状態を起こすことがあります。

何が起きているのか

段階状態
1. 使い始め血管が縮み、すぐに鼻が通ります。効果を実感しやすい段階です
2. 効果の減弱同じ量では効きにくくなり、使う回数が増えます
3. 反跳性の腫れ薬が切れたときに、以前より粘膜が腫れるようになります
4. 薬剤性鼻炎点鼻薬を使わないと鼻が通らない状態になります。花粉のシーズンが終わっても鼻づまりが続きます

気づくためのサイン

  • 使う回数が、シーズン開始時より増えている
  • 効果が続く時間が短くなってきた
  • 夜中に鼻がつまって目が覚め、点鼻薬を差している
  • 花粉のシーズンが終わっても鼻づまりが続いている
  • 点鼻薬を持っていないと不安になる

心当たりのある方は、医師にご相談ください。薬剤性鼻炎は、原因となっている点鼻薬をやめ、鼻噴霧用ステロイド薬などに切り替えることで改善が期待できます。ただし切り替えの過程では一時的に鼻づまりが強くなることがあるため、自己判断で急にやめず、医師の指示のもとで行ってください。

市販のステロイド点鼻薬にある制限

市販のステロイド点鼻薬(フルナーゼ点鼻薬〈季節性アレルギー専用〉、パブロン鼻炎アタックJL〈季節性アレルギー専用〉など)は、成分としては医療用と同じフルチカゾンやベクロメタゾンですが、市販薬として使う場合には条件がつきます。

制限項目市販のステロイド点鼻薬処方の鼻噴霧用ステロイド薬
使用期間1年間に3か月まで(他のステロイド点鼻薬との使用期間も合算されます)上限は設けられていません
年齢15歳未満は使用不可小児用の用法が設定されている製剤があります
対象季節性アレルギー性鼻炎のみ通年性アレルギー性鼻炎にも用いられます
医薬品区分指定第2類医薬品医師の処方
費用全額自己負担(1本1,500〜2,500円程度)保険適用(3割負担)

この「年3か月」の制限が、実際にどう効いてくるか

症状の出る期間市販薬で足りるか
スギのみ(2〜3月)足ります(約2か月)
スギ+ヒノキ(2〜5月)足りません(約4か月)
スギ+ヒノキ+秋のブタクサ・ヨモギまったく足りません(年6か月以上)
通年性アレルギー性鼻炎を併発市販薬は対象外です

症状が2月から5月まで続く方は、市販のステロイド点鼻薬ではシーズン内に枠を使い切ってしまいます。また15歳未満のお子さんは、そもそも市販のステロイド点鼻薬を使うことができません。

処方の点鼻薬の比較

おうち病院で処方できる鼻噴霧用ステロイド薬は2種類です。剤形が異なります。

薬剤名(一般名)剤形使用回数特徴
エリザス点鼻粉末(デキサメタゾンシペシル酸エステル)粉末1日1回 各鼻腔1噴霧液だれがありません。においもほとんどなく、外出先でも使いやすい剤形です
モメタゾン点鼻液(モメタゾンフランカルボン酸エステル)液体1日1回 各鼻腔2噴霧1日1回で済みます。小児用の用法が設定されています(12歳未満は各鼻腔1噴霧)

どちらを選ぶかは、剤形の好みと年齢で決まります。粉末が苦手な方は液体を、液だれが気になる方は粉末を、という選び方になります。お子さんの場合は、小児用の用法がある製剤が選ばれます。

鼻噴霧用ステロイド薬について、よくある誤解

誤解実際
「ステロイドは怖い」鼻噴霧用ステロイド薬は鼻の粘膜に局所的に作用するもので、飲み薬のステロイドとは使用量も全身への影響も大きく異なります
「一度使うとやめられなくなる」やめられなくなるのは血管収縮薬です。鼻噴霧用ステロイド薬は依存を起こす薬ではありません
「すぐ効く」効果を実感するまで数日から1週間程度かかります。続けることで効果が安定します

点鼻薬の正しい使い方

効果を十分に得るには、使い方が重要です。

手順ポイント
1. 鼻をかむ鼻水が残っていると薬が届きません
2. 容器をよく振る(液体タイプ)成分が均一になります
3. 軽く下を向く顔を上に向けると、薬がのどに流れてしまいます
4. 反対側の手で差す右の鼻には左手で。鼻の中心(鼻中隔)ではなく、外側に向けて噴霧できます
5. 軽く息を吸いながら噴霧する強く吸い込むとのどに流れます
6. 噴霧後は強く鼻をかまない数分は薬をとどめてください
注意点内容
鼻中隔(鼻の中心)に当てない繰り返し当たると、鼻血や粘膜の傷の原因になります
効果が出るまで続ける鼻噴霧用ステロイド薬は数日〜1週間で効果が安定します。数日で判断しないでください
症状が軽い日も続ける症状の有無で使ったり使わなかったりすると、効果が安定しません
鼻血が出る場合噴霧の向きを見直してください。続く場合は医師にご相談ください
他の人と共有しない感染の原因になります

点鼻薬を見直すべきサイン

状況対応の目安
市販のステロイド点鼻薬で鼻づまりが抑えられている市販薬の継続で問題ありません(年3か月の制限にはご注意ください)
市販の点鼻薬を使う回数が増えている薬剤性鼻炎の可能性があります。医師にご相談ください
点鼻薬がないと鼻が通らない同上。自己判断で急にやめず、医師にご相談ください
飲み薬だけで対処していて、鼻づまりが治らない鼻噴霧用ステロイド薬の適応です。医師にご相談ください
症状が2月から5月まで続く市販のステロイド点鼻薬では年3か月の枠が足りません。医師にご相談ください
15歳未満のお子さんの鼻づまり市販のステロイド点鼻薬は使えません。医師にご相談ください
鼻づまりで夜眠れない・口で呼吸している生活への影響が出ている状態です。医師にご相談ください
飲み薬の眠気が困る鼻噴霧用ステロイド薬は眠気の問題がありません。医師にご相談ください
黄色・緑色の粘り気のある鼻水/頬や額の痛み副鼻腔炎の可能性があります。対面での受診をご検討ください
片方の鼻だけ、いつもつまっている鼻中隔弯曲症などの可能性があります。耳鼻咽喉科の対面受診をご検討ください

こんな症状がありませんか【セルフチェック】

当てはまる項目を数えてみてください。

□ 飲み薬を飲んでいるのに、鼻づまりが治らない
□ ★市販の点鼻薬を使う回数が、シーズン開始時より増えている
□ ★点鼻薬の効果が続く時間が短くなってきた
□ 鼻づまりで夜眠れない、または口で呼吸している
□ 症状が2月から5月まで、あるいはそれ以上続く
□ ★花粉のシーズンが終わっても鼻づまりが続いている
□ 15歳未満の子どもの鼻づまりに困っている
□ 飲み薬の眠気が気になって、十分に薬を使えていない

2つ以上当てはまる場合は、点鼻薬の見直しで変わる可能性があります。医師にご相談ください。

2つ目・3つ目・6つ目の★に当てはまる方は、特に医師にご相談ください。薬剤性鼻炎の可能性があり、その場合は使い続けるほど状態が悪くなります。

通院せず花粉症の処方薬がほしい方は、「おうち病院 オンライン花粉症外来」という選択肢

点鼻薬は、通院しなくても処方を受けられます

鼻づまりで受診を考えても、花粉症のピーク時期は耳鼻咽喉科が最も混み合う時期です。鼻がつまってつらい状態のまま待合室で待つことは、それ自体が負担になります。

花粉症の鼻づまりは、症状の内容・出る時期・これまでに使った薬を問診で確認できます。内科でも鼻噴霧用ステロイド薬を処方できるため、オンライン診療で対応できる領域です。

おうち病院のオンライン花粉症外来では、初診から保険診療で診察を受けられます。

おうち病院の特徴

✅ 使用期間の制限がない鼻噴霧用ステロイド薬を処方できます

市販のステロイド点鼻薬にある「1年3か月まで」「15歳未満は使用不可」という制限が、処方薬にはありません。症状が長く続く方、お子さんにとって決定的な差になります。

✅ 自宅から受診できる

診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。仕事が忙しくクリニックが閉まっている時間にしか行けないと悩んでいた方も、自宅から受診が可能です。

時間通りに診察が始まる

予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能

✅ 女性医師が丁寧に診察

診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「どの部位の症状が最も重いか」「内服薬・点眼薬・点鼻薬の組み合わせ」といった具体的な状況を落ち着いてお伝えいただけます。

受診場所と薬の受け取り場所を分けられる

受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし

お子さん・妊娠中/授乳中の方のご相談にも対応しています

年齢や妊娠週数によって、使用できる薬は変わります。お子さんの年齢、妊娠週数、授乳の有無を問診票にご記入ください。その内容をふまえて、医師が使用できる薬をご提案します。市販薬を自己判断で使う前に、まずは医師にご相談ください。

受診費用の目安(保険適用・両外来共通)

費用項目金額
診察料(保険適用・初診)1,000〜1,200円
システム利用手数料1,100円
合計目安約1,900〜2,400円
※自宅への配送をご希望の場合は追加900円にて「おくすりおうち便」をご利用いただけます。
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。

おうち病院 オンライン診療の受診の流れ(5ステップ)

  1. おうち病院の花粉症外来ページから診療予約
  2. 事前問診票に回答 現在使っている市販の点鼻薬の商品名と、1日に使う回数を必ずご記入ください。薬剤性鼻炎の判断に必要です
  3. ビデオ通話で医師と診察 (約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
  4. 処方薬を薬局で受け取り、または自宅に配送してもらう
  5. 経過を見ながら調整 — 眠気が出た場合や効果が不十分な場合は、再度ご相談いただけます。自分に合う処方薬の組み合わせを探す場合には、1週間分・2週間分の処方で効果を判断し処方変更していくことができます

対面受診をおすすめする場合

黄色・緑色の粘り気のある鼻水が続く場合(副鼻腔炎の疑い)、片方の鼻だけがいつもつまっている場合、鼻血が続く場合、高熱や強い痛みを伴う場合は、鼻の中を直接観察する必要があるため、耳鼻咽喉科の対面受診をご案内しています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 鼻づまりに一番効く点鼻薬はどれですか?

A.鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版では、鼻閉に対して鼻噴霧用ステロイド薬が推奨されています。市販薬にもステロイド点鼻薬がありますが、使用期間に制限があります。処方薬にはエリザス点鼻粉末とモメタゾン点鼻液があり、期間の制限はありません。効果を実感するまで数日から1週間程度かかるため、続けてお使いください。

Q. 市販のステロイド点鼻薬は何か月まで使えますか?

A.1年間に3か月までです。他のステロイド点鼻薬との使用期間も合算されます。また15歳未満は使用できません。スギとヒノキで2月から5月まで症状が続く方は、シーズン内にこの枠を使い切ってしまうため、処方の鼻噴霧用ステロイド薬への切り替えを医師にご相談ください。

Q. 市販の点鼻薬を使うと最初は効くのに、だんだん効かなくなります。

A.血管収縮薬が配合された点鼻薬を連用したことで、薬剤性鼻炎(点鼻薬性鼻炎)を起こしている可能性があります。使うとすぐ鼻の通りがよくなる一方、連用すると薬が切れたときに以前より粘膜が腫れるようになり、点鼻薬なしでは鼻が通らない状態になります。自己判断で急にやめず、医師にご相談ください。

Q. ステロイドの点鼻薬は体に影響しませんか?

A.鼻噴霧用ステロイド薬は鼻の粘膜に局所的に作用する薬で、飲み薬のステロイドとは使用量も全身への影響も大きく異なります。眠気の問題もありません。ただし気になる症状がある場合や、他にステロイドの薬を使っている場合は、医師にご相談ください。

Q. 子どもに点鼻薬を使えますか?

A.市販のステロイド点鼻薬は15歳未満には使用できません。一方、処方の鼻噴霧用ステロイド薬には小児用の用法が設定されている製剤があります。モメタゾン点鼻液は12歳未満で各鼻腔1噴霧、12歳以上で各鼻腔2噴霧という用法です。お子さんの年齢を添えて、医師にご相談ください。

Q. 点鼻薬と飲み薬はどちらを使うべきですか?

A.症状によります。くしゃみ・水のような鼻水が中心なら飲み薬(抗ヒスタミン薬)、鼻づまりが中心なら点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬)が効果を実感しやすい傾向があります。なおおうち病院のオンライン花粉症外来では、内服薬と外用薬の併用処方には対応していません(2026年8月時点)。症状の中心がどこにあるかを診察でご相談ください。

Q. 点鼻薬を使うと、のどに流れてくるのが気になります。

A.使い方で軽減できることがあります。噴霧のときに顔を上に向けると薬がのどに流れやすくなるため、軽く下を向いた姿勢で行ってください。また強く息を吸い込むとのどに流れます。粉末タイプ(エリザス点鼻粉末)は液だれがないため、この点が気になる方に向いています。医師にご相談ください。

参考文献・出典

おうち病院の特化型外来

診療科目

その他一般科として、内科、小児科、皮膚科、循環器内科を受診いただくことが可能です。

診療科目(自費)