過活動膀胱と診断された、あるいは薬を勧められたとき、「どの薬がどう違うのか」がわからないまま服用を始める方は少なくありません。過活動膀胱の内服薬は大きく2系統あり、副作用の出方も、使用できない方の条件もかなり異なります。本ページでは、2系統の薬を作用の仕組み・副作用・使えない人の条件で比較し、処方医と相談するときの材料になる形で整理します。
この記事で分かること
- 過活動膀胱の内服薬は「β3受容体作動薬」と「抗コリン薬」の2系統で、膀胱へのはたらきかけ方が異なります
- 副作用の出方が大きく違います。抗コリン薬では口の渇き(28.3%)・便秘(14.4%)が高い頻度で報告されるのに対し、β3受容体作動薬の一つでは便秘1.6%・口内乾燥1.4%と報告されています
- 妊娠の可能性がある方には注意が必要な薬があります。同じβ3受容体作動薬でも、使用に関する注意の記載は薬剤ごとに異なります
- 抗コリン薬には使用できない条件が複数あります(尿閉、閉塞隅角緑内障、腸管閉塞、重症筋無力症など)。服用中の薬やお持ちの病気を必ず医師にお伝えください
- おうち病院ではオンライン診療(内科)で保険診療のご相談が可能です(診察料と手数料の合計は約1,900〜2,400円)
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目次
過活動膀胱の治療はどう進むのか
薬の話に入る前に、治療全体の中で薬物療法がどこに位置するかを確認しておきます。順序を知っておくと、処方医との相談がしやすくなります。
過活動膀胱診療ガイドライン第3版(日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会、2022年9月)が示す治療体系は、次の順序です。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 行動療法 | 生活指導(減量・運動・禁煙など)、膀胱訓練、計画療法、骨盤底筋訓練 |
| ② 薬物療法 | β3受容体作動薬(ミラベグロン、ビベグロン)、抗コリン薬 |
| ③ 専門的治療 | 上記で改善が不十分な場合に検討されます |
重要なのは、薬物療法の前に「他の病気の除外」が必要だという点です。血尿、排尿時の痛み、発熱、尿の出にくさなどがある場合は、尿検査や画像検査で別の原因を確認したうえで治療方針を決めます。
内服薬2系統の比較
過活動膀胱の内服薬は、膀胱へのはたらきかけ方が異なる2系統に分かれます。
| 比較項目 | β3受容体作動薬 | 抗コリン薬 |
|---|---|---|
| 代表的な薬剤(一般名) | ミラベグロン、ビベグロン | ソリフェナシン、イミダフェナシン、フェソテロジン、プロピベリンなど |
| 作用の仕組み | 膀胱をゆるめて、尿を溜められる量を増やします | 膀胱が勝手に収縮するのを抑えます |
| 主な副作用 | 便秘、口内乾燥(頻度は比較的低く報告されています) | 口の渇き、便秘(頻度が高く報告されています) |
| 服用回数 | 1日1回(食後) | 薬剤により1日1〜2回 |
| 登場時期 | 2011年以降 | 従来から用いられてきた系統です |
| 使用できない条件 | 薬剤により異なります | 尿閉、閉塞隅角緑内障、腸管閉塞、重症筋無力症など複数あります |
効能はいずれも「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」です。どちらが優れているかではなく、体質・持病・服用中の薬・妊娠の可能性に応じて選ばれます。
β3受容体作動薬について
膀胱の筋肉をゆるめ、尿を溜められる量を増やすことで症状をやわらげる薬です。抗コリン薬に比べて口の渇きや便秘が起こりにくいことが特徴として挙げられています。
日本で使われている主な2剤には、使用上の注意に違いがあります。
| 項目 | ミラベグロン(先発品名:ベタニス) | ビベグロン(先発品名:ベオーバ) |
|---|---|---|
| 用法用量 | 成人に50mgを1日1回食後 | 成人に50mgを1日1回食後 |
| 禁忌 | 過敏症の既往、重篤な心疾患、妊婦・妊娠している可能性のある女性、授乳婦、重度の肝機能障害、特定の抗不整脈薬(フレカイニド、プロパフェノン)投与中 | 過敏症の既往 |
| 生殖可能年齢の方への注意 | 添付文書の警告に「生殖可能な年齢の患者への本剤の投与はできる限り避けること」と記載されています(動物実験で生殖器系への影響が認められたことによります) | 妊婦には治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ投与、とされています |
| その他の注意 | 投与開始前・投与中の定期的な血圧測定が必要です | 重篤な心疾患のある方では心拍数増加に注意が必要です |
| 主な副作用 | 便秘、口内乾燥、血圧上昇、高血圧、尿閉など | 便秘1.6%、口内乾燥1.4%(50mg群)。重大な副作用として尿閉(頻度不明) |
この違いは、妊娠の可能性がある年代の女性にとって実務的に重要です。ミラベグロンは添付文書の警告で生殖可能な年齢の患者への投与をできる限り避けるよう記載されているため、該当する方では別の選択肢が検討されることになります。処方の際は、妊娠の可能性の有無を医師に必ずお伝えください。
抗コリン薬について
膀胱が意図せず収縮するのを抑える系統の薬で、過活動膀胱の治療に長く用いられてきました。効果が期待できる一方、副作用の頻度は比較的高く報告されています。
代表的なソリフェナシン(先発品名:ベシケア)の場合、用法は成人に1日1回5mgを経口投与し、年齢や症状に応じて調整、1日最高10mgが上限とされています。肝機能・腎機能に障害のある方や高齢の方では、段階的な用量調整が必要です。
主な副作用は口内乾燥28.3%、便秘14.4%と報告されており、そのほか霧視(目のかすみ)、排尿困難などが2%以上で認められています。添付文書には「眼調節障害(霧視等)、傾眠が起こることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意」との記載があります。
副作用と対処のポイント
副作用は「起きたらすぐ中止」ではなく、対処できるものと医師に相談すべきものを区別しておくと、治療を続けやすくなります。
| 副作用 | 主に関係する系統 | 頻度の目安 | 対処のポイント |
|---|---|---|---|
| 口の渇き | 抗コリン薬 | ソリフェナシンで28.3% | こまめに少量の水分をとる、無糖のガムを利用するなど。強い場合は用量調整や薬剤変更を医師にご相談ください |
| 便秘 | 抗コリン薬・β3受容体作動薬 | ソリフェナシンで14.4%、ビベグロン50mgで1.6% | 食物繊維・水分・運動で調整します。改善しない場合は医師にご相談ください |
| 目のかすみ(霧視) | 抗コリン薬 | 2%以上 | 運転や高所作業の前は特にご注意ください。続く場合は医師にご相談ください |
| 尿が出にくい・出なくなる(尿閉) | 両系統 | ビベグロンで重大な副作用(頻度不明) | すぐに医師にご連絡ください。自己判断で服用を続けないでください |
| 血圧の上昇 | ミラベグロン | — | 投与開始前・投与中の定期的な血圧測定が必要とされています |
| 動悸・心拍数の増加 | β3受容体作動薬 | — | 心疾患のある方は特に注意が必要です。医師にご相談ください |
使用できない方・慎重な判断が必要な方
処方前に必ず医師へお伝えいただきたい情報があります。以下は添付文書に基づく整理です。
抗コリン薬(ソリフェナシンの例)を使用できない方
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 尿閉のある方 | 尿がさらに出にくくなるおそれがあります |
| 閉塞隅角緑内障の方 | 眼圧が上昇するおそれがあります |
| 腸管閉塞または麻痺性イレウスのある方 | 腸の動きをさらに抑えるおそれがあります |
| 重症筋無力症の方 | 症状が悪化するおそれがあります |
| 重篤な心疾患のある方 | — |
| 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)の方 | — |
| 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方 | — |
ミラベグロンを使用できない方
| 条件 |
|---|
| 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方 |
| 重篤な心疾患のある方 |
| 妊婦および妊娠している可能性のある女性 |
| 授乳婦 |
| 重度の肝機能障害(Child-Pughスコア10以上)の方 |
| フレカイニド酢酸塩、またはプロパフェノン塩酸塩を投与中の方 |
緑内障とお伝えいただく際のご注意: 抗コリン薬が使用できないのは閉塞隅角緑内障の場合です。緑内障には型がいくつかあり、型によって扱いが変わります。診断名を正確にお伝えいただくか、眼科の受診歴をお伝えください。
薬だけに頼らない:行動療法の役割
薬物療法を始めた後も、行動療法は続ける価値があります。ガイドライン第3版で薬物療法の前段に置かれているのは、薬と併用することで症状の管理がしやすくなるためです。
骨盤底筋訓練は、排尿を止めるときに使う筋肉を意識的に締める・ゆるめる運動です。数日で判断できるものではなく、数週間から数か月の単位で継続することが前提となります。特に出産経験のある方や閉経後の方では、骨盤底の機能低下が背景にあることが多く、取り組む意義が大きいと考えられます。
膀胱訓練は、尿意を感じてもすぐにトイレへ行かず、我慢する時間を少しずつ延ばしていく方法です。ただし自己流で無理に我慢を続けると負担になることがあるため、医師の指導のもとで行うことが望ましい方法です。
水分摂取とカフェインの調整も重要です。コーヒー・紅茶・緑茶・アルコールには利尿作用があり、症状を強めることがあります。一方で、症状を恐れて水分を極端に控えると、脱水や便秘につながります。特に抗コリン薬を服用中は便秘が起こりやすいため、水分を過度に制限しないことが大切です。
減量もガイドラインの生活指導に含まれます。体重が増えると骨盤底への負担が増えるためです。
こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】
薬物療法を検討する段階かどうかの目安として、以下の項目をご確認ください。
□ 急に強い尿意が来て、トイレまで我慢するのが難しいことが週に1回以上ある
□ 日中の排尿回数が8回以上ある
□ 夜中にトイレのために2回以上起きる
□ 市販薬や生活習慣の見直しを2週間以上試したが、変化がない
□ 外出・仕事・睡眠のいずれかに支障が出ている
□ トイレが心配で、水分を意識的に控えている
□ 尿もれパッドや尿とりライナーを日常的に使っている
□ 症状が1年以上続いている
3つ以上当てはまる場合は、は、薬物療法を含めた相談をご検討ください。過活動膀胱症状スコア(OABSS)で質問3(尿意切迫感)が2点以上かつ合計3点以上の場合、過活動膀胱が疑われます。
なお、以下に当てはまる場合は薬物療法の前に検査が必要です。血尿がある、排尿時に痛みがある、発熱がある、尿が出にくい——これらは尿検査や画像検査で別の原因を確認する必要があり、対面での受診をお願いしています。
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過活動膀胱かも?でも泌尿器科の受診はハードルが高いと悩んでいる方は、「おうち病院 オンライン診療」という選択肢
過活動膀胱の薬物療法は、いったん方針が決まれば、その後は服薬と定期的な確認が中心になります。この「続ける」段階は、通院の負担が最も重くのしかかる部分でもあります。
おうち病院では、オンライン内科で保険適用の診察を受けられます。2026年8月時点で過活動膀胱に特化した外来は開設していませんが、一般内科として症状のご相談と、必要に応じた内服薬の処方に対応しています。
おうち病院の特徴
✅ 自宅から受診できる
診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。月経前後・月経中症状の悩みを対面で話すことへの心理的なハードルも軽減できます。
✅時間通りに診察が始まる
予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能
✅ 女性医師が丁寧に診察
診察時間は15分を確保しています。副作用の出方や日中の症状の変化など、薬を続けるうえで相談したい内容を落ち着いて共有できます。妊娠の可能性の有無、閉塞隅角緑内障の診断歴、服用中の薬は必ずお伝えください。薬の選択に直結します。
✅受診場所と薬の受け取り場所を分けられる
受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし
受診費用の目安(保険適用・3割負担の場合)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 診察料(保険適用・初診) | 1,000〜1,200円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 |
| 合計目安 | 約1,900〜2,400円 |
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。
おうち病院 オンライン診療への受診の流れ
- おうち病院のトップページから内科を選択し受診予約
- 事前問診票に回答(排尿回数・尿意切迫感の頻度・妊娠の可能性・持病・服用中の薬・これまでの治療歴など)
- ビデオ通話で医師と診察(約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
- 処方薬を薬局に受け取りに行く、または自宅に配送してもらう
- 経過を見ながら調整 — 漢方薬は1〜3か月の継続で判断するため、定期的に経過を確認します
オンライン診療で対応できないケースについて: 血尿・排尿時痛・発熱がある場合、尿が出にくい場合は、尿検査や画像検査が必要となるため対面での受診をご案内しています。診察の中でその判断が必要と考えられた場合は、医師から適切な受診先をお伝えします。
あわせてお読みください
- どの診療科を受診すべきか → 頻尿・尿もれは何科に行けばいい?
- 漢方薬という選択肢 → 過活動膀胱の漢方薬
- 市販薬との違い → 頻尿・尿もれの市販薬は効く?
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よくある質問(FAQ)
Q. 過活動膀胱の薬にはどんな種類がありますか?
A.大きく2系統あります。膀胱をゆるめて尿を溜められる量を増やす「β3受容体作動薬」(ミラベグロン、ビベグロン)と、膀胱が勝手に収縮するのを抑える「抗コリン薬」(ソリフェナシンなど)です。効能はいずれも過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁です。
Q. β3受容体作動薬と抗コリン薬はどちらを選べばよいですか?
A.どちらが優れているというものではなく、体質・持病・服用中の薬・妊娠の可能性に応じて医師が判断します。副作用の出方には違いがあり、抗コリン薬では口の渇き(ソリフェナシンで28.3%)や便秘(14.4%)が比較的高い頻度で報告されています。
Q. 妊娠の可能性がある場合、過活動膀胱の薬は使えますか?
A.薬剤によって扱いが異なります。ミラベグロンは妊婦および妊娠している可能性のある女性が禁忌とされ、添付文書の警告に「生殖可能な年齢の患者への本剤の投与はできる限り避けること」と記載されています。妊娠の可能性については必ず医師にお伝えください。
Q. 緑内障があると過活動膀胱の薬は使えませんか?
A.抗コリン薬は閉塞隅角緑内障の方には使用できません。ただし緑内障には型がいくつかあり、型によって扱いが変わります。診断名を正確にお伝えいただくか、眼科の受診歴を医師に共有してください。β3受容体作動薬には緑内障に関する同様の禁忌の記載はありません。
Q. 薬はどのくらい飲み続ける必要がありますか?
A.症状や経過によって異なります。過活動膀胱は継続的な管理が必要になることが多い病気で、服用しながら定期的に状態を確認していくのが一般的です。自己判断で中止せず、経過を医師と共有しながら方針を決めてください。
Q. 薬を飲めば行動療法はやめてよいですか?
A.続けることをおすすめします。ガイドライン第3版では行動療法が薬物療法の前段に置かれており、併用することで症状の管理がしやすくなります。特に骨盤底筋訓練は、出産経験のある方や閉経後の方では取り組む意義が大きいと考えられます。
Q. 薬を飲んでいて尿が出にくくなったらどうすればよいですか?
A.すぐに医師にご連絡ください。尿閉は両系統で報告されている副作用で、ビベグロンでは重大な副作用として記載されています。自己判断で服用を続けないでください。