「些細なことで怒られる」「以前は穏やかだったのに」——ご家族が更年期を迎えたとき、その変化にどう向き合えばよいか戸惑う方は少なくありません。本人にも理由がわからないまま感情が揺れることがあり、支える側も消耗していきます。本ページでは、更年期に何が起きているのかを整理したうえで、避けたい対応と代わりにできること、そして支える側自身が抱え込まないための方法をご紹介します。
この記事で分かること
- 更年期のイライラや気分の波は、性格の問題ではなくホルモン変動による身体の変化
- 「頑張れ」「気の持ちよう」「もう年だから」は、もっとも避けたい3つの言葉
- 受診を促すときは、説得ではなくハードルを物理的に下げるほうが効果的
- 男性にも更年期があります(男性40歳代の86.6%、50歳代の86.5%が未受診)
- 支える側が消耗すると共倒れになります。ご家族自身にも相談できる場が必要です
- おうち病院の疾患コミュニティは登録料無料。同じ立場の方と経験を交換できます
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目次
更年期に何が起きているのですか
まず押さえていただきたいのは、更年期の気分の変化は身体で起きている変化の結果だという点です。
更年期とは、閉経を挟んだ前後10年間を指します。日本人女性の平均閉経年齢は50.5歳なので、おおよそ45〜55歳がこの時期にあたります。この期間に、卵巣から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少します。
エストロゲンは、生殖機能だけでなくセロトニンなど気分の調整に関わる神経伝達物質の働きを支えています。 これが急に減ると、気分の安定が保ちにくくなります。加えて、ほてり・発汗・不眠といった身体症状そのものがストレス源になります。夜眠れない日が続けば日中の気分は落ち込み、それがさらに眠りを妨げる——この循環が起こります。
さらにこの年代には、子どもの独立、親の介護、職場での役割の変化といった出来事が重なりやすくなります。厚生労働省研究班監修の資料でも、更年期障害は「エストロゲン量の低下」と「身体の機能低下」「社会環境の変化」が同時に起きることで症状が現れる状態と説明されています。
「わがままになった」「性格が変わった」のではありません。 ここを取り違えないことが出発点になります。
家族から見える変化と、その背景
ご家族が気づきやすい変化を、背景と対応の方向性とあわせて整理しました。
| 家族から見える変化 | 背景にあること | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| 些細なことでイライラする、怒りっぽい | エストロゲン減少による気分調整の不安定化 | 感情の波は日によって違うことを前提にする |
| 急に涙が出る、落ち込む | 同上。精神症状として現れる | 理由を問い詰めない。そばにいるだけでよい場合がある |
| 家事や仕事が以前ほどこなせない | 疲労感・不眠・集中力の低下 | できていないことではなく、負担の再配分を話し合う |
| 突然汗をかき、扇いだり服を脱いだりする | ホットフラッシュ(血管運動神経症状) | 室温・服装の調整に協力する。指摘して恥ずかしがらせない |
| 夜中に何度も起きている | 寝汗・中途覚醒 | 寝室の温度・寝具の見直しを一緒に考える |
| 「調子がいい日」と「悪い日」の差が大きい | 症状の日内変動・日による変動は更年期の特徴 | 調子の波を前提に予定を組む |
最後の変化「「調子がいい日」と「悪い日」の差が大きい」がとくに重要です。 「昨日はできたのに今日はできない」という状態は、更年期障害の特徴そのものです。これを「気分次第」「甘え」と受け取ると、関係が壊れます。
ほてり・発汗については 更年期のホットフラッシュ、不眠については 更年期の不眠 で解説しています
避けたい言葉と、代わりに使える言葉
具体的な言い換えを整理しました。
| ❌ 避けたい対応 | なぜ避けるか | ✅ 代わりにできること |
|---|---|---|
| 「頑張れ」 | 身体で起きている変化を意志の問題にすり替えてしまう | 「体の変化で起きていることらしいよ」と情報として伝える |
| 「気の持ちようだ」 | 本人がいちばん「気の持ちよう」で解決しようとしてきた | 「一度診てもらったら、何か楽になる方法があるかもしれない」 |
| 「もう年だから仕方ない」 | 治療可能な状態を放置する理由を与えてしまう | 「治療の選択肢があるみたいだよ」と選択肢の存在を伝える |
| 家事や役割をすべて代わりに担う | 役割の喪失感が症状を強めることがある | 負担の大きい部分だけを引き受け、できることは任せる |
| 症状の波を「わがまま」と受け取る | 日による変動は更年期障害の特徴 | 調子の良い日・悪い日があることを前提に予定を組む |
| 受診を強く迫る | 追い詰められた感覚が受診をさらに遠ざける | 予約の代行、送迎、オンライン診療の提案など具体的な支援を申し出る |
| 人前で症状に言及する | 恥ずかしさが症状のストレスを増幅する | 二人のときに、落ち着いて話す |
共通する原則は「評価しない」ことです。 「なぜできないのか」ではなく「何なら手伝えるか」に言い換えるだけで、伝わり方が変わります。
受診を促すときのコツ
厚生労働省が2022年7月26日に公表した調査では、更年期症状を自覚した女性のうち40歳代の81.7%、50歳代の78.9%が医療機関を受診していません。 受診しなかった理由の最多は「医療機関に行くほどのことではない」でした。
つまり、受診しない理由は「治療法を知らないから」ではなく「受診という行為のハードルが高いから」です。したがって、説得よりもハードルを物理的に下げるほうが効果があります。
| ハードル | 家族ができること |
|---|---|
| 「予約が面倒」 | 予約を代行する。日時の候補だけ選んでもらう |
| 「平日に時間が取れない」 | 土日祝日・夜間に対応している医療機関を調べて渡す |
| 「婦人科の待合室に入りづらい」 | 自宅から受けられるオンライン診療を提案する |
| 「この程度で行くのは大げさ」 | セルフチェックの結果を一緒に見る(点数という客観的な材料をつくる) |
| 「何科に行けばいいかわからない」 | 症状別の受診先を一緒に調べる |
症状の重さを点数で確認できる簡略更年期指数(SMI)のセルフチェックや、症状別の受診先をまとめた更年期は何科に行けばいい?を、押しつけずに「こんなのがあったよ」と渡すところから始めてみてください。
男性の更年期もあります
「更年期=女性のもの」と思われがちですが、男性にもあります。加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)と呼ばれ、テストステロンの低下により意欲低下・抑うつ・疲労感・性機能の低下などが現れます。
厚生労働省の2022年の調査では、男性40歳代の1.5%・50歳代の1.7%が更年期障害と診断されている一方、40歳代の86.6%・50歳代の86.5%が受診していません。 女性よりもさらに受診率が低い状態です。
「夫が最近怒りっぽい」「やる気がなさそうに見える」——それが年齢のせいや性格の問題ではない可能性があります。男性の場合の受診先は泌尿器科・メンズヘルス外来が中心です。
詳しくは 男性更年期障害(LOH症候群) をご覧ください
参考:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」結果概要(2022年7月26日)
参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」(厚生労働省研究班監修)
支える側が消耗していませんか【セルフチェック】
ご本人の状態ではなく、支えているあなた自身について確認してください。
□ 相手の機嫌をうかがって、自分の言いたいことを飲み込むことが増えた
□ 「また怒られるのでは」と身構えるようになった
□ 家事や育児、介護の負担が自分に偏ってきている
□ この状況をいつまで続ければいいのかわからず、先が見えない
□ 職場や友人には話しづらく、家庭内のことを誰にも相談していない
□ 自分の睡眠・食事が乱れてきた
□ 相手を思いやれない自分に、罪悪感を感じることがある
3つ以上当てはまる場合は、あなた自身にも支えが必要な状態です。
支える側が消耗すると、共倒れになります。そしてもっとも起こりやすいのが、「家庭内のことだから」と誰にも相談しないまま孤立することです。更年期は5〜10年続く期間です。一人で抱えきれる長さではありません。
一人で悩まないで|おうち病院 疾患コミュニティで相談してみましょう
同じ症状や悩みを抱える患者と家族を支えるコミュニティとして、「おうち病院疾患コミュニティ」があります。登録料無料で、専門家の意見やアドバイスも受けられます。
更年期の悩みは、当事者にもご家族にも言葉にしづらい種類のものです。「調子の良い日があるから、周りには元気に見えてしまう」「家族に当たってしまう自分が嫌になる」——ご本人がそう感じている一方で、支える側は「どこまで手を出していいのかわからない」と迷っています。この双方の戸惑いは、同じ経験をした方となら共有しやすいものです。
- 登録料無料。 オンラインなのでプライバシーが守られ、通う必要もありません
- 同じ悩みを持つ方・そのご家族と、経験や情報を交換できます
- 専門家の意見やアドバイスを受けられます
- ご本人だけでなく、支えるご家族も参加できます
- 「受診するほどではない気がする」という段階から利用できます
関連するコミュニティもあります。 気分の落ち込みが強い場合は うつ病コミュニティ、月経に関する悩みが続いている場合は 月経困難症・PMSコミュニティ、閉経後の骨の健康が気になる場合は 骨粗しょう症コミュニティ をご覧ください。いずれも登録料無料です。

受診を考えはじめたら|「おうち病院 オンライン診療」という選択肢
ご本人が「一度診てもらおうか」と思えたとき、その気持ちが続いているうちに受診できるかどうかが分かれ目になります。予約が数週間先だったり、平日の昼間しか空いていなかったりすると、そのまま流れてしまいます。
おうち病院では、スマートフォン・PCから保険適用で内科の診察を受けられます。更年期症状に対しては、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・温経湯などの漢方薬を保険診療で処方しています。漢方薬の処方にあたって、事前の検査資料は必要ありません。
おうち病院の特徴
✅ 自宅から受診できる
スマートフォン・PCから問診・診察が完結します。婦人科の待合室に入ることへの抵抗がある方でも、自室から相談できます。ご家族が予約や準備を手伝いやすいのも、オンラインの利点です。
✅時間通りに診察が始まる
予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能
✅ 女性医師が丁寧に診察
診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「何がいちばんつらいか」を落ち着いて話していただけます。
✅受診場所と薬の受け取り場所を分けられる
受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし
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受診費用の目安(保険適用・両外来共通)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 診察料(保険適用・初診) | 1,000〜1,200円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 |
| 合計目安 | 約1,900〜2,400円 |
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。
ご家族ができる、受診までの4ステップ
- セルフチェックを一緒に見る — 簡略更年期指数(SMI)で点数を出すと、「この程度で行くのは大げさ」という迷いに客観的な材料が入ります
- 予約を代行する — 日時の候補だけ選んでもらえば、あとは代われます
- 問診票の記入を手伝う — いつから・どんな症状が・週に何回くらいあるかを一緒に整理します
- 診察の時間を確保する — 15分、静かに話せる環境をつくる。それだけで診察の質が変わります
対面受診をおすすめする場合
以下に当てはまる場合は、対面での受診をご検討ください。オンライン診察の中で医師が対面受診の必要性を判断した場合も、あらためてご案内します。
- 気分の落ち込みが2週間以上ほぼ毎日続いている(心療内科・精神科へ)
- 自分を責める気持ちが強く、消えてしまいたいと話している(早めに医療機関または公的な相談窓口へ)
- 不正出血がある、月経量が急に増えた(婦人科へ)
- ホルモン補充療法(HRT)を希望する(対面の婦人科へ)
受診先の全体像は 更年期は何科に行けばいい?症状タイプ別・診療科の早見表 で整理しています。うつ病との見分け方は 更年期のうつとうつ病の違い をご覧ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 更年期の家族にどう接すればいいですか?
A.「頑張れ」「気の持ちよう」「もう年だから仕方ない」の3つは避けてください。身体で起きている変化を意志の問題にすり替えてしまうためです。代わりに「体の変化で起きていることらしいよ」「治療の選択肢があるみたいだよ」と情報として伝え、予約の代行や送迎、オンライン診療の提案など具体的な支援を申し出るほうが効果的です。また、調子の良い日と悪い日の差が大きいのは更年期障害の特徴ですので、それを前提に予定を組んでください。
Q. イライラされるのは自分のせいでしょうか?
A.違います。更年期のイライラは、エストロゲン(女性ホルモン)の急激な減少によって気分の調整が不安定になることで起こります。加えて、ほてり・発汗・不眠といった身体症状そのものがストレス源になり、悪循環が生じます。性格が変わったわけでも、あなたに原因があるわけでもありません。ただし、そう理解していても支える側が消耗することは別問題ですので、ご家族自身の相談先も確保してください。
Q. 受診を勧めても行こうとしません。どうすればいいですか?
A.説得よりも、受診のハードルを物理的に下げるほうが効果があります。厚生労働省の調査では、受診しなかった理由の最多が「医療機関に行くほどのことではない」でした。つまり治療法を知らないのではなく、受診という行為自体が重いのです。予約の代行、土日祝日や夜間に対応している医療機関を調べて渡す、自宅から受けられるオンライン診療を提案する、セルフチェックの点数という客観的な材料を一緒に見る、といった方法があります。
Q. 家族として、どこに相談できますか?
A.おうち病院疾患コミュニティ「クリラ」をご利用いただけます。登録料無料で、同じ症状や悩みを抱える患者とご家族が経験や情報を交換でき、専門家の意見やアドバイスも受けられます。オンラインのためプライバシーが守られ、通う必要もありません。「家庭内のことだから」と誰にも相談しないまま孤立することが、支える側にとってもっとも避けたい状態です。
Q. 夫が最近怒りっぽいのですが、男性にも更年期はありますか?
A.あります。加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)と呼ばれ、テストステロンの低下により意欲低下・抑うつ・疲労感・性機能の低下などが現れます。厚生労働省の2022年の調査では、男性40歳代の1.5%・50歳代の1.7%が更年期障害と診断されている一方、40歳代の86.6%・50歳代の86.5%が受診していません。女性よりもさらに受診率が低い状態です。受診先は泌尿器科・メンズヘルス外来が中心になります。
Q. 家事を全部代わってあげたほうがいいですか?
A.すべてを代わるのは、かえって逆効果になることがあります。役割の喪失感が症状を強めることがあるためです。負担の大きい部分だけを引き受け、できることは任せるという配分が現実的です。また「昨日はできたのに今日はできない」という波は更年期障害の特徴ですので、日によって手を出す範囲が変わってよい、と考えておくと双方が楽になります。
Q. 支える側が疲れてしまったときはどうすればいいですか?
A.ご自身にも支えが必要な状態だと考えてください。相手の機嫌をうかがって言いたいことを飲み込む、身構えるようになった、自分の睡眠や食事が乱れてきた——こうした変化があれば、限界が近いサインです。更年期は5〜10年続く期間で、一人で抱えきれる長さではありません。おうち病院疾患コミュニティ(登録料無料)では、同じ立場のご家族と経験を交換できます。
Q. すぐに受診が必要なのはどんなときですか?
A.気分の落ち込みが2週間以上ほぼ毎日続いている場合、自分を責める気持ちが強く「消えてしまいたい」と話している場合は、更年期障害としての対処より前に、心療内科・精神科への受診を優先してください。また、不正出血がある、月経量が急に増えたという場合は婦人科での検査が必要です。ためらわずに医療機関へご相談ください。