「夜中に何度も目が覚める」「汗をかいて起きてしまう」「寝つけないまま朝を迎える」——更年期に入ってから睡眠が変わったと感じる方は少なくありません。ただし、更年期の不眠には対処の順番があり、そこを間違えると睡眠薬を飲んでも改善しないことがあります。本ページでは眠れない原因を3つのタイプに分けて整理し、それぞれに適した受診先と治療の選択肢をご説明します。
この記事で分かること
- 更年期の不眠は「更年期症状が原因のタイプ」「不眠が主体のタイプ」「両方が重なるタイプ」の3つに分かれる
- ホットフラッシュや寝汗で目が覚めるタイプは、睡眠薬より先に更年期治療を検討したほうがよい
- 寝つけない・早朝覚醒が中心で更年期症状が軽いタイプは、不眠症外来が適している
- 実際にはこの2つが重なっているケースが最も多く、その場合はどちらの受診先でも切り分けができる
- おうち病院の不眠症外来では、依存性の低いクービビック・デエビゴ・ベルソムラ・ロゼレム等を保険適用で処方している
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬は規制区分上の向精神薬にあたり、オンライン診療の初診では処方できない
- 診察料とシステム利用手数料の合計は約1,900〜2,400円(保険適用)
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目次
【判定表】あなたの不眠はどのタイプですか
まず、ご自身がどのタイプに近いかを確認してください。ここで対処の順番が決まります。
| タイプA:更年期症状が原因 | タイプB:不眠が主体 | タイプC:両方が重なる | |
|---|---|---|---|
| 主な症状 | 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒) | 布団に入っても寝つけない(入眠障害)、予定より2時間以上早く目が覚める(早朝覚醒) | AとBが混在している |
| 目が覚めるきっかけ | ほてり・寝汗・動悸 | とくにきっかけはない。考えごとが止まらない | 両方ある |
| 日中の更年期症状 | ほてり・発汗・イライラがある | 乏しい、または軽い | ある |
| まず検討すべきこと | 更年期治療(漢方薬など) | 不眠症の治療(睡眠薬など) | どちらの受診先でも可。診察で切り分ける |
| 適した受診先 | 婦人科・内科 | 不眠症外来・心療内科・内科 | 不眠症外来または内科 |
実際にはタイプCがもっとも多くみられます。 どちらか一方に決めきれない場合は、無理に自己判断せず受診してください。診察で切り分けることが、遠回りを避ける最短の方法です。
なぜ更年期に眠れなくなるのですか
理由は大きく2つあります。1つはホルモン変動による直接の影響、もう1つはホットフラッシュによる中途覚醒です。
エストロゲン(女性ホルモン)は、睡眠と関わりの深いセロトニンなどの神経伝達物質の働きを支えています。更年期にエストロゲンが急激に減少すると、睡眠のリズムが保ちにくくなり、眠りが浅くなります。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳で、その前後10年間、おおよそ45〜55歳がこの変化の起こる時期にあたります。
もう1つがホットフラッシュです。就寝中に体温調節が乱れると、ほてりや発汗(寝汗)が起こり、その刺激で目が覚めます。これが更年期の不眠に中途覚醒が多い理由です。 この場合、睡眠薬で眠りに入れたとしても、汗をかけばまた目が覚めます。原因側であるホットフラッシュに対処しないと、根本的な改善につながりません。
不眠症の4タイプと、更年期に多いパターン
不眠症は症状の出方によって4つに分類されます。更年期でとくに多いのは中途覚醒です。
| タイプ | 主な症状 | 更年期での多さ |
|---|---|---|
| 中途覚醒 | 夜中に何度も目が覚め、再入眠できない | 最も多い。ホットフラッシュ・寝汗が引き金になりやすい |
| 入眠障害 | 布団に入っても30分〜1時間以上眠れない | 多い。不安・考えごとが背景にあることも |
| 早朝覚醒 | 起床予定の2時間以上前に目が覚める | みられる。うつ病が背景にあることがある |
| 熟眠障害 | 眠っているはずなのに疲れが取れない | みられる。睡眠の「質」の問題 |
なお、不眠症とは、十分な睡眠時間と環境があるにもかかわらずこうした症状が週に3日以上・3か月以上続き、日中の生活に支障をきたしている状態を指します。一時的なストレスによる不眠とは区別されます。各タイプの詳細は 睡眠障害は何科に行けばいい?原因タイプ別・診療科の早見表 でも解説しています。
治療の選択肢|タイプによって順番が変わります
タイプ別に、検討される治療を整理しました。同じ「更年期の不眠」でも、入り口が違えば処方も変わります。
| タイプ | 主に検討される治療 | 内容 | 保険適用 |
|---|---|---|---|
| A:更年期症状が原因 | 漢方薬 | 温経湯(効能・効果に「更年期障害」「不眠」を含む)、加味逍遙散など | 適用あり |
| ホルモン補充療法(HRT) | 減少したエストロゲンを補い、ホットフラッシュを抑える | 適用あり(婦人科での管理が前提) | |
| B:不眠が主体 | オレキシン受容体拮抗薬 | クービビック(ダリドレキサント)、デエビゴ(レンボレキサント)、ベルソムラ(スボレキサント) | 適用あり |
| メラトニン受容体作動薬 | ロゼレム(ラメルテオン) | 適用あり | |
| C:両方 | 上記の組み合わせ | 更年期治療を軸に、必要に応じて睡眠薬を併用 | 適用あり |
| 全タイプ共通 | 睡眠衛生の改善 | 就寝前のカフェイン・アルコールを控える、就寝環境の温度調整 | — |
睡眠薬の種類・特徴・依存性の比較については 睡眠薬の種類と比較 を、更年期の漢方薬の使い分けについては 更年期障害の漢方 をご覧ください。市販の睡眠改善薬を試している方は 市販の睡眠薬・睡眠改善薬 もあわせてご確認ください。
タイプAの方が知っておくべきこと。 ホットフラッシュで目が覚めているのに睡眠薬だけを足すと、入眠は助けられても中途覚醒の原因が残ります。まず更年期治療で発汗を抑えたほうが、結果的に早く落ち着くことがあります。 受診の際は「汗やほてりで目が覚める」ことを必ず医師にお伝えください。
参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」(厚生労働省研究班監修)
参考:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」結果概要(2022年7月26日)
更年期の不眠と間違えやすい病気
眠れない原因が更年期以外にあることもあります。以下に心当たりがある場合は、そちらの確認が優先されます。
| 病気 | 似ている症状 | 見分けるポイント | 受診先 |
|---|---|---|---|
| 睡眠時無呼吸症候群(SAS) | 中途覚醒、日中の強い眠気 | いびきを指摘される、呼吸が止まると言われる | 耳鼻咽喉科・睡眠外来 |
| 甲状腺機能亢進症 | 寝つけない、動悸、発汗 | 体重が減る、手指のふるえ | 内科・内分泌内科 |
| うつ病 | 早朝覚醒、熟眠感のなさ | 朝がもっともつらい、2週間以上ほぼ毎日続く | 心療内科・精神科 |
| むずむず脚症候群 | 寝つけない | 夜になると脚に不快感が生じ、じっとしていられない | 神経内科・睡眠外来 |
うつ病との見分け方は 更年期のうつ(鬱)とうつ病の違い で詳しく解説しています。
こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】
以下の項目に2つ以上当てはまる場合は、医師に相談することをご検討ください。
□ 夜中に2回以上目が覚め、そのあと寝つけないことが週に3日以上ある
□ 寝汗やほてりで目が覚めることがある
□ 布団に入ってから30分以上、寝つけない日が続いている
□ 日中の眠気や集中力の低下が、仕事や家事に影響している
□ 市販の睡眠改善薬を試したが、効果を感じられなかった
□ 「更年期だから仕方ない」と思って我慢している
□ ★いびきを指摘される、または睡眠中に呼吸が止まると言われたことがある
□ ★朝がもっともつらく、気分の落ち込みが2週間以上ほぼ毎日続いている
特に★の項目に当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群またはうつ病の可能性があります。 いずれも更年期治療や睡眠薬では対応できないため、それぞれ耳鼻咽喉科・睡眠外来、心療内科・精神科への受診をご検討ください。
「更年期だから仕方ない」で止まってしまう方が多くいます
厚生労働省が2022年7月26日に公表した調査では、更年期症状を自覚した女性のうち40歳代の81.7%、50歳代の78.9%が医療機関を受診していません。受診しなかった理由の最多は「医療機関に行くほどのことではない」でした。
しかし、睡眠は日中のあらゆる活動の土台です。眠れない状態が続くと、集中力の低下・気分の落ち込み・食欲の変化が連鎖して起こり、更年期の他の症状も重く感じられるようになります。 睡眠は更年期の不調のなかでも、治療によって比較的はっきりと変化が出やすい領域です。
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寝つけない・早朝に目が覚める方(タイプB・C)は、「おうち病院 不眠症外来」という選択肢
「病院に行く時間が取れない」「心療内科に行くのは気が重い」——そうした理由で受診を先送りしている方は、オンライン診療から始める方法があります。
おうち病院の不眠症外来では、スマートフォン・PCから保険適用で診察を受け、睡眠薬の処方まで完結できます。「更年期のせいなのか、不眠症なのか分からない」という状態のままご相談いただいて構いません。 診察のなかで医師が切り分けます。
処方方針:依存性の低い薬剤を中心に
おうち病院では、依存性の高いベンゾジアゼピン系睡眠薬(ユーロジン・ハルシオン等)の処方は原則行わない方針です。代わりに、依存性が低く翌朝への影響が少ないクービビック(ダリドレキサント)・デエビゴ(レンボレキサント)・ベルソムラ(スボレキサント)・ロゼレム(ラメルテオン)などを中心に処方しています。
⚠️ 処方できる薬剤は症状・既往歴・服用中の薬との相互作用により変わります。処方の可否は医師の診察・判断のうえで決定されます。
なぜベンゾジアゼピン系を処方しないのか
依存性の問題に加えて、制度上の理由もあります。オンライン診療では、初診で麻薬・向精神薬を処方することができません。 ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ゾルピデム・トリアゾラム・エチゾラムなど)の多くは規制区分上の向精神薬に該当するため、この制限の対象になります。
一方、おうち病院が中心的に処方しているクービビック・デエビゴ・ベルソムラ(オレキシン受容体拮抗薬)とロゼレム(メラトニン受容体作動薬)は、規制区分上の向精神薬には該当しません。デエビゴについては製造販売元のエーザイも「規制区分上向精神薬ではありません」と回答しており、習慣性医薬品・処方箋医薬品として位置づけられています。
つまり、おうち病院の処方方針は「依存性が低い」という臨床上の理由と、オンライン診療で適切に処方できるという制度上の理由の両方を充足しているためです。
参考:オンライン診療について 国民・患者の皆様へ(厚生労働省)
おうち病院の特徴
✅ 自宅から受診できる
診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。月経前後・月経中症状の悩みを対面で話すことへの心理的なハードルも軽減できます。
✅時間通りに診察が始まる
予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能
✅ 女性医師が丁寧に診察
診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「ほてりで目が覚めるのか、それとも眠り自体が浅いのか」といった切り分けの相談も落ち着いてしていただけます
✅受診場所と薬の受け取り場所を分けられる
受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし
ほてり・寝汗で目が覚める方(タイプA)は、内科での更年期治療という選択肢
日中もほてりや発汗があり、夜間もその症状で目が覚めているのであれば、睡眠薬よりも更年期側への治療を先に検討したほうが近道になることがあります。
おうち病院では、スマートフォン・PCから保険適用で内科の診察を受けられます。更年期症状に対しては、加味逍遙散・温経湯・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸などの漢方薬を保険診療で処方しています。漢方薬の処方にあたって、事前の検査資料は必要ありません。
受診費用の目安(保険適用・両外来共通)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 診察料(保険適用・初診) | 1,000〜1,200円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 |
| 合計目安 | 約1,900〜2,400円 |
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。
おうち病院 オンライン診療の受診の流れ(5ステップ)
- おうち病院のトップページ診療予約(タイプB・Cは不眠症外来、タイプAは内科)
- 事前問診票に回答(眠れない症状のタイプ・ほてりや寝汗の有無・いつから続いているか・日中への影響・現在服用中の薬・試した市販品など)
- ビデオ通話で医師と診察(約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
- 処方薬を薬局で受け取り、または自宅に配送してもらう
- 経過を見ながら調整 — 睡眠薬は月1回以上の定期フォロー、漢方薬は1〜3か月で効果を判断します
どちらで予約すればよいか迷う場合。 タイプCに当てはまる方は、不眠症外来からで構いません。 診察のなかで医師が更年期側の関与を確認し、必要に応じて対応を判断します。
対面受診をおすすめする場合
以下に当てはまる場合は、対面での受診をご検討ください。オンライン診察の中で医師が対面受診の必要性を判断した場合も、あらためてご案内します。
- いびきがひどい、睡眠中に呼吸が止まると指摘されている(睡眠時無呼吸症候群の検査が必要です)
- 気分の落ち込みが2週間以上ほぼ毎日続き、日常生活が営めない場合
- 不正出血がある、月経量が急に増えたなど、婦人科での検査が必要な場合
- ホルモン補充療法(HRT)を希望する場合
受診先の全体像は 更年期は何科に行けばいい?症状タイプ別・診療科の早見表 で整理しています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 更年期の不眠は何科を受診すればいいですか?
A.症状のタイプで変わります。ほてりや寝汗で目が覚めるタイプであれば婦人科または内科で更年期治療を、寝つけない・早朝に目が覚めるタイプで更年期症状が軽ければ不眠症外来・心療内科・内科が適しています。両方が重なっている場合はどちらの受診先でも構いません。診察のなかで医師が切り分けますので、自己判断で受診を先送りしないことをおすすめします。
Q. 更年期の不眠に睡眠薬を飲んでもいいですか?
A.症状のタイプによります。寝つけない・早朝覚醒が中心で更年期症状が軽いタイプであれば、睡眠薬は有効な選択肢です。一方、ホットフラッシュや寝汗で目が覚めているタイプでは、睡眠薬で入眠を助けても中途覚醒の原因が残るため、まず更年期治療で発汗を抑えたほうが結果的に早く落ち着くことがあります。受診の際は「汗やほてりで目が覚める」ことを必ず医師にお伝えください。
Q. 更年期の不眠に漢方薬は効きますか?
A.体質に合えば選択肢になります。温経湯は医療用の効能・効果に「更年期障害」と「不眠」の両方が含まれており、手足のほてりや唇の乾燥を伴う方に用いられます。加味逍遙散はイライラ・不安といった精神神経症状を伴う場合に用いられます。ただし漢方薬は体質に合わせて選ぶ必要があり、効果の判断には1〜3か月の継続が目安です。自己判断での購入より、医師への相談をおすすめします。
Q. 市販の睡眠改善薬で対応できますか?
A.一時的な寝つきの悪さには使えますが、更年期の不眠のように継続する症状への対応には向きません。市販の睡眠改善薬に多く含まれるジフェンヒドラミンは、連用によって効きにくくなることが知られており、多くの製品で連続使用は数日までとされています。1〜2週間試して変化がない場合や、週3日以上の不眠が続いている場合は、医療機関での相談をご検討ください。
Q. 更年期の不眠はいつまで続きますか?
A.更年期は閉経を挟んだ前後10年間を指し、その期間の経過とともに症状が軽くなることはあります。ただし、その間の睡眠不足が日中の集中力低下や気分の落ち込みにつながり、更年期の他の症状も重く感じられるという連鎖が起こります。睡眠は治療によって比較的はっきりと変化が出やすい領域ですので、「いつか終わる」ことを理由に我慢を続けないことをおすすめします。
Q. 夜中に汗をかいて目が覚めるのは更年期のせいですか?
A.更年期のホットフラッシュによる寝汗は、中途覚醒のよくある原因です。ただし、甲状腺機能亢進症や睡眠時無呼吸症候群でも寝汗と中途覚醒が起こります。動悸や体重減少、手指のふるえを伴う場合は甲状腺の異常が、いびきや日中の強い眠気を伴う場合は睡眠時無呼吸症候群が疑われます。いずれも検査で確認できますので、心当たりがあれば医師にお伝えください。
Q. オンライン診療でも睡眠薬を処方してもらえますか?
A.処方できます。おうち病院の不眠症外来では、依存性の低いオレキシン受容体拮抗薬(クービビック・デエビゴ・ベルソムラ)やメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)を中心に、保険診療で処方しています。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は原則処方しない方針です。処方できる薬剤は症状・既往歴・他の薬との相互作用により異なり、医師が診察のうえで判断します。
Q. 更年期の治療と不眠の治療は同時に受けられますか?
A.受けられます。実際、ほてりと不眠が重なっているケースは多く、更年期治療を軸に必要に応じて睡眠薬を併用することがあります。ただし薬の組み合わせには確認が必要ですので、別の医療機関で処方を受けている場合は、服用中の薬をすべて医師にお伝えください。市販薬・サプリメントも含めてお伝えいただくと、より安全に組み立てられます。