「血圧は落ち着いているから、薬だけもらえれば十分なのに」「仕事が忙しくて、気づいたら薬があと3日分しかない」——高血圧の治療を続けている方の多くが、こうした場面に直面します。結論からお伝えすると、血圧の薬(降圧薬)は市販されておらず、「薬だけ」の場合でも医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。 ただし、かかりつけでの長期処方、リフィル処方箋、オンライン診療など、通院の負担を減らす方法はいくつかあります。本ページでは、処方を受ける方法の比べ方と、薬が切れそうなとき・切れたときの対応をご案内します。
この記事の要点
先に結論だけを知りたい方のために、本ページの内容を5つにまとめました。
- 降圧薬は医師の処方が必要な薬で、市販薬としては販売されていません。薬局で処方せんなしに受け取ることもできません
- 「薬だけ」の場合でも、法律上、医師の診察が必要です(医師法第20条:診察をしないで処方せんを出すことは禁じられています)
- 通院の負担を減らす方法として、長期処方、リフィル処方箋(最大3回まで繰り返し使える処方せん)、オンライン診療があります
- 薬が切れそうなときは、残りが2週間になったら予約し、遅くとも1週間を切る前に受診してください。切れたあとに2回分をまとめて飲むことはしないでください
- オンライン診療は、すでに診断を受けて治療中で、お薬手帳と家庭血圧の記録がある方が使いやすい方法です

目次
血圧の薬は、なぜ「薬だけ」でもらえないのか
降圧薬の多くは、医師の処方せんがなければ受け取れない「処方箋医薬品」で、市販薬としては販売されていません。また、医師法では、医師が自ら診察をしないで処方せんを出すことが禁じられているため、「いつもの薬だけ」の場合も、短い時間でも診察が必要になります。診察では、血圧が目標の範囲にあるか、副作用が出ていないか、ほかの薬との飲み合わせに問題がないかを確かめています。
こうした確認は、血圧が安定している方にとっても大切です。季節によって血圧が変わったり、体重や生活の変化で薬が効きすぎたりすることがあるため、定期的な診察が安全に治療を続ける土台になります。
処方を受ける方法の比べ方
このセクションが、本ページでもっともお伝えしたい内容です。血圧の薬の処方を受ける方法はいくつかあり、通院の負担と、検査の受けやすさのバランスで選びます。主な方法を表にまとめました。
| 方法 | 内容 | 向いている人 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| かかりつけでの再診 | いつもの医療機関で診察を受けて処方してもらう | 検査も同じ医療機関で受けたい人 | 待ち時間・通院の時間がかかる |
| 長期処方 | 1回の処方日数を長くしてもらう | 血圧が安定していて、受診の回数を減らしたい人 | 日数は医師が判断する。体調の変化に気づきにくくなる |
| リフィル処方箋 | 1枚の処方せんを、決められた期間内に最大3回まで繰り返し使える(2022年4月から) | 症状が安定していて、医師が適すると判断した人 | 医師の判断で発行される。2回目以降は薬局の薬剤師が体調を確認する |
| オンライン診療 | ビデオ通話で診察を受け、処方せんを近くの薬局に送ってもらう | 診断済み・治療中で、家庭血圧の記録がある人 | 血液検査はできないため、定期的に対面で受ける |
| 旅行先・転居先の内科 | お薬手帳を持って近くの医療機関を受診する | いつもの医療機関に行けない時期がある人 | 初めての医療機関では、処方日数が短くなることがある |
どの方法でも、お薬手帳と家庭で測った血圧の記録があると、医師がいまの処方を正確に把握でき、話が早く進みます。リフィル処方箋や長期処方を使えるかどうかは、いま通っている医療機関でご相談ください。おうち病院のオンライン診療では、ほかの医療機関で高血圧と診断され、お薬手帳で処方を確認できる方は、長期処方が可能です。お薬手帳で確認できない場合は、初診では7日分の処方となり、問題がなければ次の診察から長期処方が可能です。
薬が切れそうなとき・切れたときの対応
血圧の薬は、毎日続けて飲むことで血圧を安定させる薬のため、途切れないように受診の予定を立てることが大切です。薬が切れそうなとき・切れたときは、次の目安で対応してください。
| いまの状況 | 次にすること |
|---|---|
| 残りが2週間 | 受診を予約する。オンライン診療なら、お薬手帳と家庭血圧の記録を用意する |
| 残りが数日 | できるだけ早く受診する。いつもの医療機関に行けない場合は、近くの内科やオンライン診療も選択肢 |
| すでに切れてしまった | 自己判断で再開の量を変えず、できるだけ早く受診する。家庭で血圧を測り、記録を持っていく |
| 切れたあと、激しい頭痛・胸の痛み・まひなどがある | 血圧の値にかかわらず、すぐに119番 |
⚠ 薬を長持ちさせるために、自己判断で1錠を半分にしたり、1日おきに飲んだりしないでください。 血圧が不安定になり、かえって体に負担がかかることがあります。
なお、β遮断薬は、急にやめると狭心症や心不全が悪化することがあり、添付文書でも急にやめずに少しずつ減らすよう注意されています。とくに切らさないように注意が必要です。飲んでいる薬が該当するかは、薬局の薬剤師に確認できます。
通院の負担を減らすための工夫
薬が切れる心配を減らすには、受診の予定を生活の流れに組み込むことが役立ちます。次のような工夫を取り入れている方が多くいます。
- 薬が残り2週間になったら予約すると決めておく
- スマートフォンのカレンダーに、次の受診日の目安を登録しておく
- お薬手帳は1冊にまとめ、スマートフォンでも写真を撮っておく
- 家庭血圧は手帳かアプリに記録し、受診のたびに見せる
記録があると、医師がいまの処方を続けてよいかを判断しやすくなり、受診の時間も短くなります。家庭血圧の測り方と記録のコツは「家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ|血圧手帳・アプリどちらでもOK」で解説しています。
こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】
通院の負担から、薬が途切れやすい状態になっていないかを確かめるためのチェックです。当てはまる項目を数えてみてください。
□ 薬が切れそうになってから、慌てて受診することが多い
□ 薬が切れて、数日飲まなかったことがある
□ 平日の日中は、仕事や家事で病院に行きにくい
□ 待ち時間が長く、受診が負担に感じる
□ 血圧は安定していて、ここ数か月は薬の量が変わっていない
□ 家で血圧を測り、記録している
□ お薬手帳をいつも持ち歩いている
上の4つのうち2つ以上が当てはまる場合は、通院の方法を見直す時期かもしれません。下の3つにも当てはまる方は、長期処方やオンライン診療を医師に相談しやすい状態です。激しい頭痛や胸の痛み、手足のまひ・しびれなどがあるときは、血圧の値や項目の数にかかわらず、すぐに119番に連絡してください(迷うときは#7119)。

「薬をもらうための通院」が負担なら、「おうち病院 オンライン高血圧外来」という選択肢
血圧が安定している時期の通院は、移動と待ち時間に比べて診察が短く、負担に感じやすいものです。おうち病院の高血圧外来では、すでに高血圧と診断されて降圧薬で治療を受けている方を対象に、家庭血圧の記録とお薬手帳をもとに、ビデオ通話で処方の継続や調整を行っています。とくに、1〜2種類の薬で血圧が安定していて、家庭で血圧を測っている方は、オンライン診療と相性がよいといえます。処方日数は、お薬手帳でほかの医療機関の診断と処方を確認できる場合は長期処方が可能で、確認できない場合は初診を7日分とし、問題がなければ次の診察から長期処方が可能です。一方で、血液検査はオンラインではできないため、3〜4か月ごとに対面の医療機関で受けていただきます。
おうち病院の特徴
おうち病院の高血圧外来には、通院の負担を減らすための次のような特徴があります。
✅ 診察するのは全員が女性医師:
予約日時を選ぶときの「医師フィルター」で、医師を選んで予約できます。
✅ 時間通りに診察が始まる:
予約した時間に診察が始まるため、仕事や家事の合間にも予定を組みやすくなります。
✅ 平日・土日祝日も朝6時〜深夜0時まで受診できる:
最終の診察枠は23:45〜0:00で、予約は枠の1時間前まで受け付けています。
✅ 受診場所と薬の受け取り場所を分けられる:
処方せんは、全国8,200店舗以上の連携薬局から選んだ薬局へ送られます。自宅に届ける「おくすりおうち便」も選べます。
✅ 費用が事前にわかる:
診察料の目安とシステム利用手数料を、予約の前に確認できます。
受診費用の目安(保険適用・3割負担の場合)
オンライン診療でも、対面の診療と同じく健康保険が使えます。初診と再診の目安は次のとおりです。
| 項目 | 初診 | 再診 |
|---|---|---|
| 診察料(3割負担) | 1,000〜1,200円 | 800〜900円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 | 1,100円 |
| 合計の目安 | 約2,100〜2,300円 | 約1,900〜2,000円 |
処方できるお薬(すべて保険診療の対象です)
おうち病院の高血圧外来では、すでに処方されている降圧薬の継続を基本に、医師が診察のうえで処方を判断します。主な処方例は次のとおりです。
| 分類 | 主な薬剤(一般名(商品名)) | 市販での入手 |
|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | アムロジピン(アムロジン など) | 不可 |
| ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬) | アジルサルタン(アジルバ)、オルメサルタン(オルメテック など)、テルミサルタン(ミカルディス など) | 不可 |
※上の表は処方例です。このほかの降圧薬の継続も、医師が診察のうえで判断します。
※麻薬・向精神薬に加え、抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤などのハイリスク薬は、オンライン診療では処方できません。血液をサラサラにする薬、糖尿病の薬、不整脈の薬などを飲んでいる方は、すべての処方を把握している対面のかかりつけ医での治療が適しています。
おうち病院 高血圧外来への受診の流れ
受診の前に、3か月以内のお薬手帳と、家庭で測った血圧の記録(血圧手帳、または血圧アプリの画面)をご用意ください。この2つが確認できない場合は、オンライン診療では処方できないことがあります。
- 予約:おうち病院のトップページ、または高血圧外来のページから、受診したい日時を選んで予約します
- 事前問診:いま飲んでいる薬と、お薬手帳・血圧の記録の写真を、問診票で共有します
- ビデオ通話で診察:血圧の記録とお薬手帳をもとに、医師が処方の継続や調整を判断します
- 薬の受け取り:指定した連携薬局で受け取るか、おくすりおうち便で自宅に届けてもらいます
- 経過の確認:家庭での血圧測定を続け、3〜4か月ごとに対面の医療機関で血液検査を受けていただきます
⚠ オンライン診療ではなく、対面での受診をお願いするケース
次に当てはまる場合は、オンライン診療ではなく、対面の内科・循環器内科での受診をお願いしています。安全に治療を続けるための線引きですので、ご理解ください。
- 高血圧と診断されたことがない(健診で指摘されただけで、まだ治療を始めていない):診断には対面での測定や検査が必要です
- お薬手帳で降圧薬の処方を確認できない、家庭で測った血圧の記録がない
- 3〜4か月以上、血液検査を受けていない:腎臓の働きやカリウムの値を確認する必要があります
- 高血圧以外の持病で多くの薬を飲んでいる、またはハイリスク薬を処方されている:複数の薬の調整は、すべての処方を把握しているかかりつけ医が適しています
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある:使える降圧薬が限られるため、産婦人科と相談してください
⚠ 血圧の値にかかわらず、激しい頭痛、顔や手足のまひ・しびれ、ろれつが回らない、胸や背中の激しい痛み、息苦しさがある場合は、ためらわずに119番に連絡してください。 救急車を呼ぶか迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。症状がなくても家庭で180/110mmHg以上が続くときは、当日中に医療機関に相談してください。

あわせてお読みください
処方を続けるために、次の記事もご覧ください。
- オンライン診療が使えるか確かめたい方へ → 高血圧のオンライン診療|向いている人・必要な準備(お薬手帳・血圧の記録)・費用
- 記録の準備をしたい方へ → 家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ|血圧手帳・アプリどちらでもOK
- アムロジピンを飲んでいる方へ → アムロジピンの効果と副作用|むくみ・飲み忘れ・グレープフルーツ
- 薬を減らしたい方へ → 血圧の薬を減らしたい・やめたい|減らせる条件と医師への相談の仕方
- 受診について詳しく知りたい方へ → おうち病院 オンライン高血圧外来
この記事の監修
本記事は、おうち病院 医師チームが監修しています。医師チームは、産婦人科・皮膚科・内科などを専門とする医師で構成され、全員が女性医師です。記事の内容は、公的機関や学会のガイドラインをもとに医師が確認しています。
よくある質問
受診の前によく寄せられる疑問をまとめました。それぞれ、最初の一文で答えをお伝えしています。
Q. 血圧の薬だけもらうことはできますか?
A. 「薬だけ」の場合でも、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。医師法で、医師が診察をしないで処方せんを出すことは禁じられているためです。血圧が安定している方は、長期処方やリフィル処方箋、オンライン診療で、通院の負担を減らせることがあります。
Q. 血圧の薬はどこでもらえますか?
A. いつも通っている医療機関、近くの内科、またはオンライン診療で診察を受け、処方せんを薬局に出して受け取ります。オンライン診療では、処方せんを近くの薬局に送ってもらい、薬局で受け取るか、薬を自宅に配送してもらうこともできます。どの方法でも、お薬手帳を用意しておくと処方が正確になります。
Q. 血圧の薬は市販されていますか?
A. いいえ、血圧の薬(降圧薬)は医師の処方が必要な薬で、市販薬としては販売されていません。「血圧が高めの方に」と表示された食品やサプリメントは、薬の代わりにはなりません。
Q. 血圧の薬が切れてしまったら、どうすればいいですか?
A. 自己判断で量を変えず、できるだけ早く受診してください。家庭で血圧を測り、記録を持っていくと、医師が判断しやすくなります。激しい頭痛・胸の痛み・まひなどの症状があるときは、血圧の値にかかわらず、すぐに119番に連絡してください。
Q. リフィル処方箋とは何ですか?
A. 1枚の処方せんを、決められた期間内に最大3回まで繰り返し使える仕組みで、2022年4月に始まりました。症状が安定していて、医師が適していると判断した場合に発行されます。2回目以降は、薬局の薬剤師が体調を確認したうえで薬を渡します。
Q. 薬を長持ちさせるために、半分に割って飲んでもいいですか?
A. 自己判断で半分にしたり、1日おきに飲んだりしないでください。血圧が不安定になり、かえって体に負担がかかることがあります。薬が足りなくなりそうなときは、早めに受診してください。
Q. 初めての医療機関やオンライン診療でも、いつもの薬をもらえますか?
A. お薬手帳で処方内容が確認できれば、医師の判断で同じ薬を処方してもらえることが多くあります。ただし、初めての受診では、処方日数が短くなることがあります。おうち病院のオンライン診療では、3か月以内のお薬手帳と家庭で測った血圧の記録の添付をお願いしており、お薬手帳でほかの医療機関の診断と処方を確認できる方は長期処方が可能です。確認できない場合は初診を7日分とし、問題がなければ次の診察から長期処方が可能です。
参考文献・出典
本ページは、次の公的機関・学会の情報をもとに作成しています。
- 厚生労働省「リフィル処方箋について」(広報誌「厚生労働」2024年10月号)
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
- 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」2025年
- e-Gov法令検索「医師法」(第20条)