「血圧の薬は、一生飲み続けないといけないのだろうか」「最近は数字も落ち着いているし、そろそろ減らせないだろうか」——降圧薬を飲んでいる方の多くが、一度はこう考えます。結論からお伝えすると、降圧薬は「一生同じ量」と決まっているわけではなく、生活習慣の改善で家庭血圧が目標を下回る状態が続けば、医師の判断で量や種類を減らせることがあります。 ただし、自己判断で急にやめると血圧が元に戻ったり、急に上がったりすることがあるため、減らすときは医師と一緒に段階的に進めることが大切です。本ページでは、減薬を相談できる条件と、相談の仕方、減らしたあとの注意をご案内します。
この記事の要点
先に結論だけを知りたい方のために、本ページの内容を5つにまとめました。
- 降圧薬は、生活習慣の改善で血圧が十分に下がれば、医師の判断で減らせることがあります。一生同じ量と決まっているわけではありません
- 自己判断で急にやめないでください。多くの場合、数週間〜数か月で血圧が元の高さに戻り、薬によっては急に上がることがあります
- 減薬を相談しやすいのは、減量・減塩・節酒などの生活習慣の改善が定着し、家庭血圧が長い期間、十分に低い状態が続いている場合や、下がりすぎのサインがある場合です。目標を達成しているだけで減らせるわけではありません
- 相談には、直近数週間の家庭血圧の記録と、生活習慣の変化(体重・塩分・飲酒・運動)を持っていくと話が進みやすくなります
- 減らしたあとも、家庭血圧の測定は続け、上がってきたら早めに医師に伝えます

目次
血圧の薬は「一生飲み続けるもの」なのか
降圧薬を飲み始めると、多くの方が「一生やめられない」と感じます。実際には、高血圧の多くは体質と生活習慣が重なって起こる「本態性高血圧」で、薬は高血圧そのものを治すのではなく、飲んでいるあいだ血圧を下げて合併症を防ぐ役割を持っています。そのため、薬をやめると血圧が元に戻ることが多く、長く飲み続ける方が多いのは事実です。
一方で、血圧を上げていた要因が変われば、必要な薬の量も変わります。体重が大きく減った、お酒をやめた、減塩が身についた、といった変化があった方では、医師の判断で薬を減らせることがあります。「一生同じ量」と決めつけず、変化を記録して医師と話し合うことが、必要な量を見直すきっかけになります。
自己判断でやめると、何が起こるか
このセクションが、本ページでもっともお伝えしたい内容です。血圧が下がっているのは薬が効いているからであることが多く、自己判断でやめると、次のようなことが起こる可能性があります。
| やりがちなこと | 起こりうること | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 数字が落ち着いたので、自分の判断でやめる | 数週間〜数か月で血圧が元の高さに戻る | 記録を持って、減らせるか医師に相談する |
| 高い日だけ飲む | 血圧が大きく上下し、血管と心臓に負担がかかる | 決められた量を毎日続ける |
| 薬を半分に割る・1日おきにする | 効き方が不安定になる | 量の変更は医師に相談する |
| β遮断薬を急にやめる | 狭心症や心不全が悪化することがある(添付文書でも注意) | 自己判断でやめず、減らすときも医師の指示で少しずつ |
| 副作用がつらいのでやめる | 血圧が上がったまま放置される | 副作用を医師に伝え、薬の変更を相談する |
とくに「副作用がつらいから」という理由でやめたくなる場合は、薬の種類を変えることで改善することがあります。むくみ、空せき、めまいなどは、薬の変更や量の調整で改善することがあるため、やめる前に医師にご相談ください。
薬を減らせる可能性がある条件
減薬を検討するかどうかは、血圧の状態、合併症のリスク、生活習慣の変化を合わせて、医師が判断します。なお、薬を飲んで目標の血圧を達成していることは、治療がうまくいっている状態であり、それだけで減らせるという意味ではありません。一般に、次のような条件がそろうと、減薬を相談しやすくなります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 生活習慣の改善が定着し、血圧が十分に低い | 減量・節酒などが定着したうえで、家庭血圧が正常な範囲を保てている。期間は一律に決められておらず、医師が判断する |
| 生活習慣の改善が続いている | 減量、減塩、節酒、運動などが一時的でなく、習慣になっている |
| 合併症のリスクが比較的低い | 糖尿病・慢性腎臓病・心臓病・脳卒中の既往などがない |
| 下がりすぎのサインがある | 立ちくらみ・めまいが出る、家庭血圧が低めに出る |
| 季節の影響 | 夏は血圧が下がりやすく、医師の判断で量を調整することがある |
日本高血圧学会の一般向けの解説では、生活習慣が大きく改善して正常な血圧を保てるようになれば、薬を少しずつ減らしてみることができるとされ、Ⅰ度高血圧(140〜159/90〜99mmHg)で少ない量の薬1種類を飲んでいる場合は、20〜30%の方が薬をやめられるとされています。減らすまでの期間はガイドラインで一律に決められていないため、記録をもとに医師が判断します。
反対に、糖尿病や慢性腎臓病、心臓病がある方、脳卒中を起こしたことがある方は、血圧をしっかり下げておくことが合併症の予防に直結するため、薬を減らすことには慎重になります。自分が減薬を相談できる状態かどうかは、記録を持って医師にご相談ください。
減薬を医師に相談するときの準備
減薬の相談では、「なぜ減らしたいか」と「減らしても大丈夫だと考える根拠」を、医師と共有することが大切です。次の4つを用意しておくと、医師が判断しやすくなります。
- 家庭血圧の記録:直近数週間分の、朝と夜の値(週5日以上が目安)
- 生活習慣の変化:体重の推移、塩分のとり方、飲酒量、運動の習慣
- 体調の変化:立ちくらみ、めまい、だるさなど、下がりすぎのサインがないか
- 減らしたい理由:副作用、費用、通院の負担、将来への不安など
減らしたい理由を伝えると、医師が「減らす」以外の選択肢(薬の種類の変更、配合剤で錠数を減らすなど)を提案できることもあります。家庭血圧の測り方は「家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ|血圧手帳・アプリどちらでもOK」で解説しています。
減らしたあとに注意すること
薬を減らしたあとは、血圧が再び上がってこないかを確かめる期間になります。家庭血圧の測定を続け、減らす前より上がってきた場合は、早めに医師に伝えてください。季節の変わり目、とくに寒くなる時期は血圧が上がりやすいため、減らしたあとの最初の冬は注意が必要です。
また、薬を減らせたのは生活習慣の改善が続いているからであることが多く、元の生活に戻ると血圧も戻りやすくなります。生活習慣の工夫は「血圧を下げる生活習慣7つ|薬に頼る前にできる高血圧の対策と予防」で解説しています。
こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】
減薬を医師に相談できる準備が整っているかを確かめるためのチェックです。当てはまる項目を数えてみてください。
□ 家で血圧を測り、手帳かアプリに記録している
□ 家庭血圧が、長い期間、低めで落ち着いている
□ 薬を飲み始めてから、体重を減らした・お酒を減らした
□ 減塩や運動が習慣になっている
□ 立ちくらみやめまいを感じることがある
□ 副作用が気になっている
□ 薬の量について、医師と話したことがない
3つ以上当てはまる場合は、記録を持って、薬の量について医師に相談してみてください。ただし、自己判断で薬を減らしたり、やめたりはしないでください。激しい頭痛や胸の痛み、手足のまひ・しびれなどがあるときは、血圧の値や項目の数にかかわらず、すぐに119番に連絡してください(迷うときは#7119)。

「薬の量を相談したいのに、通院の時間がない」なら、「おうち病院 オンライン高血圧外来」という選択肢
減薬の相談は、家庭血圧の記録を見ながら、医師とじっくり話すことが大切です。おうち病院の高血圧外来では、すでに高血圧と診断されて降圧薬で治療を受けている方を対象に、家庭血圧の記録とお薬手帳をもとに、ビデオ通話で処方の継続や量の相談を行っています。とくに、1〜2種類の薬で血圧が安定していて、家庭で血圧を測っている方は、オンライン診療と相性がよいといえます。 一方で、減薬の判断に血液検査の結果が必要な場合もあるため、3〜4か月ごとに対面の医療機関で検査を受けていただきます。
おうち病院の特徴
おうち病院の高血圧外来には、通院の負担を減らすための次のような特徴があります。
✅ 診察するのは全員が女性医師:
予約日時を選ぶときの「医師フィルター」で、医師を選んで予約できます。
✅ 時間通りに診察が始まる:
予約した時間に診察が始まるため、仕事や家事の合間にも予定を組みやすくなります。
✅ 平日・土日祝日も朝6時〜深夜0時まで受診できる:
最終の診察枠は23:45〜0:00で、予約は枠の1時間前まで受け付けています。
✅ 受診場所と薬の受け取り場所を分けられる:
処方せんは、全国8,200店舗以上の連携薬局から選んだ薬局へ送られます。自宅に届ける「おくすりおうち便」も選べます。
✅ 費用が事前にわかる:
診察料の目安とシステム利用手数料を、予約の前に確認できます。
受診費用の目安(保険適用・3割負担の場合)
オンライン診療でも、対面の診療と同じく健康保険が使えます。初診と再診の目安は次のとおりです。
| 項目 | 初診 | 再診 |
|---|---|---|
| 診察料(3割負担) | 1,000〜1,200円 | 800〜900円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 | 1,100円 |
| 合計の目安 | 約2,100〜2,300円 | 約1,900〜2,000円 |
処方できるお薬(すべて保険診療の対象です)
おうち病院の高血圧外来では、すでに処方されている降圧薬の継続を基本に、医師が診察のうえで処方を判断します。主な処方例は次のとおりです。
| 分類 | 主な薬剤(一般名(商品名)) | 市販での入手 |
|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | アムロジピン(アムロジン など) | 不可 |
| ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬) | アジルサルタン(アジルバ)、オルメサルタン(オルメテック など)、テルミサルタン(ミカルディス など) | 不可 |
※上の表は処方例です。このほかの降圧薬の継続も、医師が診察のうえで判断します。
※麻薬・向精神薬に加え、抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤などのハイリスク薬は、オンライン診療では処方できません。血液をサラサラにする薬、糖尿病の薬、不整脈の薬などを飲んでいる方は、すべての処方を把握している対面のかかりつけ医での治療が適しています。
おうち病院 高血圧外来への受診の流れ
受診の前に、3か月以内のお薬手帳と、家庭で測った血圧の記録(血圧手帳、または血圧アプリの画面)をご用意ください。この2つが確認できない場合は、オンライン診療では処方できないことがあります。
- 予約:おうち病院のトップページ、または高血圧外来のページから、受診したい日時を選んで予約します
- 事前問診:いま飲んでいる薬と、お薬手帳・血圧の記録の写真を、問診票で共有します
- ビデオ通話で診察:血圧の記録とお薬手帳をもとに、医師が処方の継続や調整を判断します
- 薬の受け取り:指定した連携薬局で受け取るか、おくすりおうち便で自宅に届けてもらいます
- 経過の確認:家庭での血圧測定を続け、3〜4か月ごとに対面の医療機関で血液検査を受けていただきます
⚠ オンライン診療ではなく、対面での受診をお願いするケース
次に当てはまる場合は、オンライン診療ではなく、対面の内科・循環器内科での受診をお願いしています。安全に治療を続けるための線引きですので、ご理解ください。
- 高血圧と診断されたことがない(健診で指摘されただけで、まだ治療を始めていない):診断には対面での測定や検査が必要です
- お薬手帳で降圧薬の処方を確認できない、家庭で測った血圧の記録がない
- 3〜4か月以上、血液検査を受けていない:腎臓の働きやカリウムの値を確認する必要があります
- 高血圧以外の持病で多くの薬を飲んでいる、またはハイリスク薬を処方されている:複数の薬の調整は、すべての処方を把握しているかかりつけ医が適しています
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある:使える降圧薬が限られるため、産婦人科と相談してください
⚠ 血圧の値にかかわらず、激しい頭痛、顔や手足のまひ・しびれ、ろれつが回らない、胸や背中の激しい痛み、息苦しさがある場合は、ためらわずに119番に連絡してください。 救急車を呼ぶか迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。症状がなくても家庭で180/110mmHg以上が続くときは、当日中に医療機関に相談してください。

あわせてお読みください
薬を減らすための準備として、次の記事もご覧ください。
- 記録を準備したい方へ → 家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ|血圧手帳・アプリどちらでもOK
- 生活習慣で血圧を下げたい方へ → 血圧を下げる生活習慣7つ|薬に頼る前にできる高血圧の対策と予防
- 治療の進め方を知りたい方へ → 高血圧の治療法|薬を使わずに下げる?生活習慣の改善と薬の始め方
- 薬の種類と副作用を知りたい方へ → 血圧を下げる薬(降圧薬)の種類と選び方|「軽い降圧剤」はある?副作用・即効性も解説
- 受診について詳しく知りたい方へ → おうち病院 オンライン高血圧外来
この記事の監修
本記事は、おうち病院 医師チームが監修しています。医師チームは、産婦人科・皮膚科・内科などを専門とする医師で構成され、全員が女性医師です。記事の内容は、公的機関や学会のガイドラインをもとに医師が確認しています。
よくある質問
受診の前によく寄せられる疑問をまとめました。それぞれ、最初の一文で答えをお伝えしています。
Q. 血圧の薬をやめたいのですが、やめられますか?
A. 自己判断でやめることは避けてください。生活習慣の改善が定着し、家庭血圧が長い期間、十分に低い状態が続いていれば、医師の判断で量や種類を減らせることがあります。家庭血圧の記録と生活習慣の変化を持って、医師に相談してください。
Q. 血圧の薬は一生飲み続けないといけませんか?
A. 多くの方は長く続けますが、減量・減塩・節酒などで血圧を上げていた要因が変われば、医師の判断で薬を減らせることがあります。降圧薬は高血圧そのものを治す薬ではないため、自己判断でやめると血圧が元に戻ることが多い点にご注意ください。
Q. 降圧剤をやめる目安はありますか?
A. 一律の目安はなく、血圧の状態、合併症のリスク、生活習慣の変化を合わせて医師が判断します。一般には、生活習慣の改善が定着し、家庭血圧が長い期間、十分に低い状態が続いている場合に、減薬を相談しやすくなります。糖尿病や慢性腎臓病などがある方は、慎重に判断されます。
Q. 血圧の薬を急にやめると、どうなりますか?
A. 多くの場合、数週間〜数か月で血圧が元の高さに戻ります。β遮断薬は、急にやめると狭心症や心不全が悪化することがあり、添付文書でも急にやめないよう注意されています。やめたいときは、必ず医師に相談してください。
Q. 副作用がつらいので、薬をやめたいです。
A. やめる前に、副作用を医師に伝えてください。むくみ、空せき、めまいなどは、薬の種類を変えたり、量を調整したりすることで改善することがあります。自己判断でやめると、血圧が上がったまま放置されることになります。
Q. 夏に血圧の薬を減らすことがあるのはなぜですか?
A. 暑い時期は血管が広がりやすく、汗で体の水分や塩分が減るため、血圧が下がりやすくなります。そのため、家庭血圧の記録をもとに、医師の判断で夏に量を調整することがあります。寒くなると血圧が上がりやすいため、秋以降は記録を見ながら元に戻すかを判断します。
Q. 薬を減らす相談は、オンライン診療でもできますか?
A. はい、すでに高血圧と診断されて降圧薬で治療を受けている方は、オンライン診療で薬の量を相談できます。おうち病院では、3か月以内のお薬手帳と家庭で測った血圧の記録の添付をお願いしています。判断に血液検査が必要な場合は、対面の医療機関で受けていただきます。
参考文献・出典
本ページは、次の公的機関・学会の情報をもとに作成しています。
- 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」2025年
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症」
- 日本高血圧学会・日本高血圧協会「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医療用医薬品 情報検索(各薬剤の添付文書)」